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2023年06月15日

北方ジャーナル2023年7月号




6月15日発売。お求めは道内有名書店、セイコーマート、インターネットではAmazon、またはオンライン書店『Fujisan.co.jp』、あるいは直接当社(右サイドバーのメールボタンから)までお問い合わせください。

【報道】キリスト教系社会福祉法人 神愛園を揺るがす醜聞②

本誌報道で“火だるま”
トップとパワハラ幹部を外部
理事、職員が糾弾し改革へ舵


札幌市内の手稲区と清田区に事業拠点を構える社会福祉法人 神愛園(本部手稲区・後藤学理事長)。キリスト教の精神に基づき設立され、半世紀以上の歴史を歩んできた神愛園で噴き出したのが幹部によるパワハラ疑惑と“コロナ不倫”問題だ。詳細を報じた5月号(4月15日発売)以降、事態は急展開し、後藤理事長をはじめ問題の事務局長と女性施設長が責任を追及され、火だるまとなる事態へと発展。札幌の老舗社福で起きたスキャンダルの行方を追う──。 (本誌編集長・工藤年泰)

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【報道】告発・絶望の学府㉖

「もう握り潰さないで」
江差看護・パワハラ死で道が謝罪
悲劇から3年余、遺族「一区切り」



「今後は被害を握り潰さないで」「同じ思いをする子が出ないように」――。本誌前号発売直後の5月中旬、北海道立高等看護学院のハラスメント問題で最悪の被害といえる在学生の自殺問題が、ようやく一つの節目を迎えた。道の担当課から謝罪を受けた遺族は涙ながらに再発防止を訴えたが、事実調査にあたった第三者委からはハラスメントの芽が完全に摘み切れていないことへの懸念の声も。大きな節目が再生への一歩となるかどうかは、なお予断を許さないようだ。(小笠原 淳)

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【報道】道警不祥事から考える〈64〉

侵入警官、余罪次々
自宅アパートで重ねた犯行
元巡査部長、狙いは「下着」



本誌前々号で報告した元警察官の住居侵入事件はその後、当事者の懲戒免職処分を経て5月半ばに初公判を迎えた。この間に余罪の再逮捕・追起訴が続き、同下旬までに3つの事件が罪に問われる結果に。地元報道が「金に困り」「アイドルの“推し活”で」などと報じていた犯行動機は、実際には「女性の下着を盗むため」だったようだ。一連の現場は、元警察官自身が住むアパート。常習と言ってよい侵入行為は、4年前に始まっていた――。(小笠原 淳)

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【報道】問われる自治体の人権感覚

扶養認定「差別やめて」
道職員SOGIハラ訴訟結審
3年越しの訴え、今秋判決へ



出会って5年になるパートナーへの思いを問われたその人は、裁判所の証言台で左手の薬指を示し「死ぬまで一緒にいたい」と即答した。衣食住をともにするパートナーは、互いに家族ぐるみでその関係を認め合う文字通りの伴侶。ところが職場の地方自治体はこれを否定し、2人が戸籍上同性であるという理由だけで事実婚の関係を認めなかった。あからさまな差別に異を唱えて起こした闘いは、3年めの秋に一つの区切りを迎えることになる。 (小笠原 淳)

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2023年05月15日

北方ジャーナル2023年6月号




5月15日発売。お求めは道内有名書店、セイコーマート、インターネットではAmazon、またはオンライン書店『Fujisan.co.jp』、あるいは直接当社(右サイドバーのメールボタンから)までお問い合わせください。

【報道】道警・問われる強制捜査の要件

違法逮捕、国賠へ
無令状で窓破り突入“緊急逮捕”
裁判所「再度の考案」で勾留却下



札幌中心部の住宅地で3月下旬、面妖な捕り物があった。被害が否定された傷害事件で警察が当事者を騙して同居人に容疑をかけ、任意同行を拒否したその人を「立てこもり」扱いしたのだ。そこから4時間もの間、警察はなぜか逮捕状を裁判所に請求しようとせず、挙げ句は銃で武装した捜査員による強行突入・緊急逮捕に踏み切った。のちに違法捜査の被害が認められて釈放された元容疑者は近く、捜査機関に賠償を求める訴えを起こす考えだ。(小笠原 淳)

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【報道】函館市長選で大泉潤氏が現職に4倍差で圧勝

市民が求めた“変化”
共感呼んだ未来への危機感



時に選挙は残酷な現実を突きつける。過去に何度か繰り返されてきた多選を目指す現職首長の惨敗。4月23日に投開票が行なわれた函館市長選は、そんなリアリズムを見せつけた。4選を目指した現職・工藤寿樹氏(73、自民党・公明党函館支部推薦)と新人で同市元保健福祉部長、大泉潤氏(57、立憲民主党支持)の一騎打ち。結果は4倍以上の大差で大泉氏の圧勝というものだった──。  (佐久間康介・工藤年泰)

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【報道】告発・絶望の学府㉕

明暗分けた「紋別」
退学強要、パワハラ不認定
鬱発症事案では賠償で和解



4年前の在学生自殺事案がハラスメント認定されたばかりの北海道立高等看護学院をめぐる問題で、同認定と時期を同じくして別の被害申告がことごとく認められない結果に終わっていたことがわかった。さらにまた別の被害の示談交渉では被害者がようやく納得できる額の賠償が認められるなど、事案によって首尾が大きく異なる事態に。舞台はいずれも道東・紋別の看護学院。長い闘いを強いられた当事者の声とともに、各件の顛末を報告したい。(小笠原 淳)

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【報道】道警不祥事から考える〈63〉

未成年「同伴」4時間
異性関係事案、本年も最多か
道警・懲戒など1―3月速報



地元警察の不祥事、本年第1四半期(1―3月)の処分記録が出揃った。北海道職員の中で唯一懲戒処分の全件発表を免がれる“警察特権”は2023年も磐石。同時期に1件だけ記録された懲戒事案は複数の未成年が関わる「不適切」な不祥事だったが、処分が公表された形跡はない。もとより発表の対象とならない監督上の措置(懲戒に到らない軽微な制裁)も含め、文書開示請求で得られた事実を報告する。 (小笠原 淳)

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2023年04月15日

北方ジャーナル2023年5月号




4月15日発売。お求めは道内有名書店、セイコーマート、インターネットではAmazon、またはオンライン書店『Fujisan.co.jp』、あるいは直接当社(右サイドバーのメールボタンから)までお問い合わせください。

【報道】社会福祉法人 神愛園を検証する

“神の園”から離れる人心
パワハラ疑いの幹部2人が
コロナ渦中にラブホで密会



札幌市内の手稲区と清田区に特別養護老人ホームを中心とする事業拠点を構える社会福祉法人 神愛園(本部手稲区・後藤学理事長)。キリスト教の精神に基づいて設立され、半世紀以上の歴史を歩んできた社福で噴き出したのが幹部によるパワハラ疑惑と“コロナ不倫”問題だ。札幌では老舗の社福である神愛園でいったい何が起きているのか──。     (本誌編集長・工藤年泰)

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【報道】寿都町漁協の“黒い霧”を追う②

小西組合長ら幹部4人が
本誌報道直後に一斉辞任



“核のゴミ”の最終処分地選定問題で物議を醸し、全国的に耳目を集めた後志管内の寿都町。このまちを支える大黒柱、寿都町漁業協同組合に関する続報だ。先の4月号が地元を中心に大きな反響を呼ぶ中、本誌報道直後の3月下旬に小西正之代表理事組合長ら幹部4人が一斉に辞任したことが明らかになった。同漁協で、いま何が起きているのか──。(本誌編集長・工藤年泰)

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【報道】告発・絶望の学府㉔

在学生自殺、パワハラ認定
江差看護・第三者委が結論
道、5月にも遺族に謝罪へ



事態の表面化から丸2年が過ぎた公立看護学校のパワーハラスメント問題で、最大の被害といえる在学生の自殺事案を調査していた第三者機関の結論がまとまり、自殺とハラスメントとの因果関係が認定された。複数の元教員・元学生らへの聴取であきらかになったのは、学内で横行していた不適切な教育の実態。志半ばで力尽きた男子学生は、長く学校に根づいた理不尽な指導に追い詰められていた。謝罪を口にした加害者は、今のところ1人もいないという。(小笠原 淳)

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【報道】首相批判封殺の波紋㉗

安倍政権こそ「大迷惑」
一審全面勝訴の原告ら陳述
野次排除国賠・控訴審終結



「野次を『迷惑』というなら、安倍政権こそ『大迷惑』でした」――。時の総理大臣の演説に批判的な野次を飛ばし、あるいはプラカードなどで疑義を示した市民らが警察官にその言論を封じられた事件で、当事者らが地元警察に賠償を求めた裁判の控訴審が終結した。昨春の地裁判決で実質全面勝訴した一審原告らは、4年前の夏に侵害された言論の自由の重要さを改めて訴え、控訴棄却を強く求めた。長引く闘いの次の結論は、6月下旬にあきらかになる。 (小笠原 淳)

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2023年03月15日

北方ジャーナル2023年4月号




3月15日発売。お求めは道内有名書店、セイコーマート、インターネットではAmazon、またはオンライン書店『Fujisan.co.jp』、あるいは直接当社(右サイドバーのメールボタンから)までお問い合わせください。

【報道】寿都町漁協の“黒い霧”を追う

基幹産業、危うし─
経営の悪化で弱体化する統治
ナマコで囁かれる反社の関与



いわゆる“核のゴミ”の最終処分地選定に向けたNUMO(原子力発電環境整備機構)の調査受け入れを表明して物議を醸し、全国的に耳目を集めた後志管内の寿都町。今回はそんなまちの別の側面、基幹産業が抱える危うさを報告したい。水産のまちを支える寿都町漁業協同組合(小西正之代表理事組合長)では近年経営が悪化し、2年あまりの間で組合長の交代が繰り返されるなどガバナンスが漂流。そのような中で“海の黒いダイヤ”と言われるナマコをめぐり、浜ではきな臭い話も流れている。寿都湾の豊かな恵みを受ける漁協で、いま何が起きているのか──。   (本誌編集長・工藤年泰)

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【報道】道警不祥事から考える〈61〉

逮捕の2警官「訓戒」
死亡事故と暴行で懲戒ならず
道警不祥事・2022年概観


地元警察への定期的な公文書開示請求で、昨年第4四半期(10―12月)に記録された警察官の不詳事の概要があきらかになった。これにより通年の記録がまとまり、2022年の不祥事が前年比で1割ほど増えた結果が判明。さらには、現職警察官が逮捕された事案2件がいずれも懲戒に到らない監督上の措置に留まっていたことがわかった。現時点で公文書から確認できる事実を、急ぎ報告したい。
(小笠原 淳)

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【報道】地元紙・80年めの迷走〈11〉

あわや「SNS闘争」
道新、今世紀初のスト回避
団交「ベア100円」で収束



北海道新聞(札幌市中央区、宮口宏夫社長)で2月下旬、30年ぶりのストライキ入りが現実味を帯びる事態が起きた。労使間の春闘・夏期末手当交渉で、給与額のベースアップをめぐり組合側が「ゼロ回答なら闘争入り」を通告したのだ。結果としてストは回避されたが、仮に実現していた場合、それは同社初の“デジタルスト”となる筈だったという。収束の決め手は、「100円」のベアだった――。(小笠原 淳)

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【報道】留学生受け入れめぐる対立

懲戒解雇「不法」
国際大訴訟で大月氏が全面勝訴
「合理的な理由欠く」と札幌地裁



懲戒解雇処分を受けた大学教授が地位確認を求めて起こした裁判で2月中旬、教授側の主張が全面的に認められる判決が言い渡された。裁判所は当時の処分を「合理的な理由を欠く」と指摘、ひいては「不法行為にあたる」と断じたが、被告の札幌国際大学(札幌市清田区、蔵満保幸学長)はこれを不服として控訴した。提訴から2年半あまり、留学生受け入れ問題をきっかけに始まった争いは、なお収拾のつく兆しがない。 (小笠原 淳)

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2023年02月15日

北方ジャーナル2023年3月号




2月15日発売。お求めは道内有名書店、セイコーマート、インターネットではAmazon、またはオンライン書店『Fujisan.co.jp』、あるいは直接当社(右サイドバーのメールボタンから)までお問い合わせください。

【報道】地元紙・80年めの迷走〈10〉

どこへ行く、道新
常務急逝、若手の離職加速
創刊81年め、昏迷の幕明け



「80周年」に極まったかに見えた迷走は、年明け以降も収拾のつく兆しがない。1月中旬に伝わった役員の訃報をめぐっては早くから自殺説が囁かれ、内外に複数の怪文書が出回った。現場では若手社員の退職が相継ぎ、4月人事の“内々示”が延期される事態に。裁判になった情報漏洩事件や主催文学賞の盗作疑惑などの問題も残る今、北海道新聞(札幌市中央区、宮口宏夫社長)はどこへ向かおうとしているのか――。(小笠原 淳)

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【報道】道警不祥事から考える〈60〉

被害者“身内”か
警部補の強制わいせつ、未発表
処分記録では「不適切言動」扱い



昨年処分があった地元警察の不祥事で、深刻な性犯罪が疑われる事案が報道発表を免がれていたことがわかった。警察は未発表の理由をあきらかにしておらず、事件の経緯も公表していないが、取材によればその犯罪で被害を受けたのは加害者と職場を同じくする警察官の親族だったという。時期を同じくして伝わった別のわいせつ事件の動きと併せ、組織的な隠蔽が疑われる警察不祥事の実態を報告する。
(小笠原 淳)

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【報道】道 VS 市民団体 北海道百年記念塔の行方

記念塔存続派の一番長い日
解体中止を求める抗議活動の最中に
塔の鋼板を剥がした重機のショベル



札幌市厚別区の野幌森林公園にある巨大なモニュメント・北海道百年記念塔。老朽化による部材落下の危険性や維持管理費が多額に及ぶなどの理由から、所管する北海道は2019年の段階で解体を決定。一方で維持存続を求める市民団体などは、それを覆そうとこれまでさまざまな抗議活動を展開してきた。22年10月には道や鈴木直道知事を相手取り解体差し止めを求める住民訴訟を札幌地裁に提起。この動きと連動して訴訟費用の支援を求めるクラウドファンディングでは、23年1月までの募集期間で目標額の3倍強となる1045万円(支援者数1400人)が全国から集まった。その第2回口頭弁論の前日、1月23日には塔存続を訴える大規模な活動を展開したが、奇しくもその日、記念塔を解体する重機が唸りをあげて動き始めた──。(髙橋貴充)


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【政治】道知事選で自公は現職・鈴木、立憲は元衆議・池田の対決に

与野党とも旗頭出揃うも
早くも漂うしらけムード

懸念される無党派無関心の選挙



2021年の衆院選でれいわ新選組から比例北海道ブロックで出馬した過去を持つ岩見沢市の建設設備業経営・門別芳夫(新人・無所属)の、22年11月立候補表明からほぼ2カ月。与党が推す現職の鈴木直道(無所属)が1月15日に再選立起を表明。2月4日には立憲民主党の元衆議・池田真紀(新人)が無所属での立候補を決め、3月23日告示、4月9日投開票の北海道知事選の候補予定者が、ほぼ出揃った。今後新たな立候補予定者が出てくる可能性もあるが、ここでは組織同士の大きな闘いを展開していくだろう鈴木、池田両氏について触れていきたい。             (髙橋貴充、文中敬称略)

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2023年01月14日

北方ジャーナル2023年2月号




1月14日発売。お求めは道内有名書店、セイコーマート、インターネットではAmazon、またはオンライン書店『Fujisan.co.jp』、あるいは直接当社(右サイドバーのメールボタンから)までお問い合わせください。

【報道】白鳳寺・御霊堂元町の“遺骨難民事件”を追う②

転売の果てに起きた巨額詐欺
札幌市に問われる納骨堂許可



永代供養を信じて故人の遺骨を預けていた利用者を不安の底に突き落とし、大きな波紋を呼んだ宗教法人白鳳寺(札幌市東区・太田司代表役員)の経営破綻問題。御霊堂元町に残されていた遺骨は12月中旬から希望する檀家へ引き渡されたが、今なお納骨堂には多くの遺骨が残されたままだ。宗教法人を盾にした“納骨堂ビジネス”はいかにスタートし、頓挫したのか。浮かび上がってきたのは、転売の果てに詐欺事件を起こした宗教法人の“黒歴史”だった──。        (本誌編集長・工藤年泰)

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【報道】首相批判封殺の波紋㉖

再現映像「高度なセンス」
道警提出の動画に関係者ら爆笑
野次排除・国賠控訴審で初弁論



証言台に着いた警察官は“自爆”し、証拠映像が爆笑を呼ぶ――。師走の札幌で幕を開けた、首相演説野次排除事件をめぐる国家賠償請求訴訟の控訴審。昨年3月の地裁判決で完敗を喫した地元警察は、匿名の「ヤフーコメント」を証拠提出するなどで法廷を笑いに包んだ一審に続き、またしても独特の立証活動で関係者らを抱腹させることになる。3年超の闘いを続ける当事者の1人は、感慨深げに呟いた。「本当にギャグセンスが高い…」(小笠原 淳)

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【報道】性的少数者に法の下の平等を⑤

「遠回り」いつまで
当事者が実名明かし陳述
「結婚の自由」訴訟控訴審



4年前のバレンタインデーに幕を開けた裁判は、一昨年春に意義深い判決を得た後、舞台を上級審に移して現在も続いている。この年末には訴訟当事者の1人が初めて顔と名前を晒し、地元の法廷で思いの丈を述べた。「結婚したい気持ちに、異性愛者か同性愛者かの違いはありません」。地裁判決に「勇気を貰った」という6人の一審原告は、さらに踏み込んだ司法判断を求め続ける。誰にも不都合が生じない筈の法改正が実現する日は、いつ訪れるのか。(小笠原 淳)

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【環境】双日が毛無山で計画している巨大風力発電の行方

準備書縦覧を前に小樽市議
会が守る会の要望書を採択

市長と議会が事業者にプレッシャー?



大手総合商社双日(本社東京)が小樽市と余市町にまたがる毛無山付近に建設を予定している風力発電をめぐり新たな動きが出てきた。1月末から始まる準備書の縦覧を前に、住民団体「小樽余市の巨大風力発電から自然と生活を守る会」(平山秀朋代表)が小樽市議会に提出して継続審議となっていた要望書が12月26日に採択されたのだ。これに先立つ同21日には平山代表らが迫俊哉市長とも面談し、双日側の準備書に厳しい意見を示すよう求めた。平山代表は「準備書が出る前に議会が要望書を採択したことで、事業者に一定のプレッシャーを与えることになるのではないか」と話している。(武智敦子)

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2022年12月15日

北方ジャーナル2023年1月号




12月15日発売。お求めは道内有名書店、セイコーマート、インターネットではAmazon、またはオンライン書店『Fujisan.co.jp』、あるいは直接当社(右サイドバーのメールボタンから)までお問い合わせください。

【報道】白鳳寺・御霊堂元町の“遺骨難民事件”を追う

「家賃は不払い借金は踏み倒す」
太田代表は債務不履行常習犯か



永代供養を信じて遺骨を預けていた利用者を不安の底に突き落とし、全国にも波紋を呼んだ宗教法人白鳳寺(札幌市東区・太田司代表役員)の経営破綻問題。多額の利用料や管理料を集めていたはずの御霊堂元町の納骨堂事業はなぜ頓挫したのか。取材を進めると、そこに浮かび上がってきたのは太田代表の公私にわたる債務不履行の実態だった──。(本誌編集長・工藤年泰)

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【報道】地元紙・80年めの迷走〈9〉

「辞めることにします」
道新・若手アンケートの衝撃
「ここで頑張れる」1割届かず



地元ブロック紙・北海道新聞(札幌市中央区、宮口宏夫社長)で、同社労働組合によるアンケート調査の結果が衝撃をもって受け止められている。選択式の問いに「この会社で頑張っていける」と答えた若手社員が、全体の1割にも満たなかったのだ。調査は冬期末手当をめぐる団体交渉をきっかけに行なわれたものだが、寄せられた回答からはこれまでの不祥事対応や幹部人事などへの不満も垣間見える。来たる2023年は道新にとって、さしずめ“会社離れ元年”といえる年になりそうだ。(小笠原 淳)

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【報道】告発・絶望の学府㉑

聴取対象6人特定
江差看護パワハラ第三者調査
自殺事案で関係者聴取始まる



未だ公式に認められていない被害が、少しずつ解明に近づいている。北海道立高等看護学院のパワーハラスメント問題で、新たな調査が始まった在学生の自殺事案。遺族への聴取を終えた第三者委員らはその後、事件の背景を知る元学生や教員ら6人の関係者を特定、具体的な証言を集め始めた。調査は年を跨いで続き、場合によっては追加聴取の可能性もあるという。最悪の被害とハラスメントとの因果関係は、どこまで認められることになるのか――。(小笠原 淳)

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【報道】首相批判封殺の波紋㉕

「控訴、もってのほか」
野次判決で道警に「意見」相継ぐ
当事者らは各地で講演、関連本も



本誌面で折に触れ報告を続けている首相演説野次排除事件で、直近の1年間に一般市民などから地元警察に寄せられた意見が100件あまりに上ることがわかった。同様の意見は事件発生後の1年間で900件以上寄せられていたのに対し、次の1年間では30件以下にまで急減したが、3年めを迎えてこれが再び増加に転じた形。この秋には当事者らが道内各地で講演に招かれ、また地元メディアが関連書籍を出版するなど、事件は改めて多くの関心を集め始めているようだ。(小笠原 淳)

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2022年11月14日

北方ジャーナル2022年12月号




11月14日発売。お求めは道内有名書店、セイコーマート、インターネットではAmazon、またはオンライン書店『Fujisan.co.jp』、あるいは直接当社(右サイドバーのメールボタンから)までお問い合わせください。

【報道】全国旅館団体トップ 阿寒鶴雅の大西雅之社長が賭けゴルフ

協力会との懇親コンペで
幹部と業者が「勝馬投票」



全国約2600の宿を束ねる一般社団法人日本旅館協会会長という要職にある大西雅之氏(67)が率いる鶴雅グループ(本社釧路市阿寒町)で、まさかの不祥事が発覚した。9月下旬、阿寒カントリークラブで開催された「鶴ゆう会ゴルフコンペ」で賭けゴルフが行なわれていたことが本誌の取材で分かった。この懇親コンペには取引業者のほか大西氏をはじめとする多くの鶴雅幹部が出席。参加者の大半が金銭を賭けて“勝馬投票”に興じていた。10月下旬、記者の取材に鶴雅側は事実を概ね認めた。国内有数の観光ホテルチェーンとして名高い鶴雅でいったい何が起きていたのか──。                 (本誌編集長・工藤年泰)

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【報道】告発・絶望の学府⑳

「学校 よくなって」
第三者委、遺族に聴取2時間
江差・パワハラ死、調査開始


「事案の重要性に鑑み、できるだけ迅速に調査を進めたい」。10月中旬に最初の会合を設けた北海道の第三者機関は、新たな取り組みに臨む決意をそう語った。道立高等看護学院のパワーハラスメント問題で、長く待たれていた自殺事案の再調査。在学中に亡くなった学生の遺族が求めるのは、真相究明のみならず、その学校が真っ当な教育の場に変わることだ。願いが実を結ぶ日は、いつ訪れるのか。(小笠原 淳)

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【報道】地元紙・80年めの迷走〈8〉

隠蔽、組織ぐるみか
道新、漏洩問題で当事者ら処分
メモ証拠提出は8月時点で把握



前号で報告した北海道新聞の取材メモ漏洩問題で、同メモが地元企業の役員人事をめぐる裁判に証拠提出されていた事実を道新関係者が遅くとも8月下旬に把握していたことがわかった。漏洩問題は前号締め切り後の10月7日に公表されたが、道新はそれまで1カ月半にわたり事実を伏せ続けたことになる。その後の社内処分では当事者を含む3人が制裁の対象となったものの、組織ぐるみの隠蔽疑いについては誰も責任を問われていない。小さからぬ疑問を残したまま、問題はこれで幕引きとなるのだろうか。(小笠原 淳)

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【報道】道警不祥事から考える〈59〉

懲戒、3カ月で4件
「異性関係不適切事案」未発表
道警不祥事“第3四半期”速報



本誌のみが定期的に報告を続けている地元警察の不祥事問題で、直近の記録が出揃った。懲戒処分ではすでに報道発表された連続窃盗や酒気帯び運転などに加え、未発表が疑われる異性関係事案が眼を引く。懲戒よりも軽い監督上の措置では泥酔状態での住居侵入が2件あったほか、拳銃の不適切な取り扱いやハラスメント事案が複数みられた。総数では前年同期を上回った2022年第3四半期の処分。その概要を報告する。(小笠原 淳)

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2022年10月15日

北方ジャーナル2022年11月号




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【報道】地元紙・80年めの迷走〈7〉

道新 不祥事隠蔽か
帯広で情報漏洩、2年間公表せず
本社では内勤者が収入激減に悲鳴



本号発売前の10月8日、地元大手紙が自社の紙面に謝罪記事を掲載している筈だ。それは本来9月末にも公表される予定だったところ、一度見送られた経緯がある。さらに言うなら、報告される不祥事が2年前の11月に発覚した時点で、同社はただちにその事実を読者へ説明すべきだった。隠蔽疑いがあかるみに出るのと前後して、編集現場では内勤記者の収入激減が問題となり、部内説明会が設けられる事態に。創刊80周年を目前に控えた北海道新聞が今、やけに騒がしい。

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【報道】道南の北斗市で噴き出した「LED疑惑」を追う──②

発覚した業者の契約不履行
市も監査も怠った納品確認



函館の隣にある北斗市(池田達雄市長)が手掛けた総額1億1800万円弱のLED化事業が一者随意契約だったことをめぐる問題の続報だ。住民監査請求は棄却されたものの、このほど施設の一部で蛍光灯がLEDに交換されていなかった契約不履行が発覚。引き渡しの際に業者と市がともに確認を怠っていたという杜撰さが明るみになった。さらには照明灯の積算が水増しされていた疑惑も浮上するなど、道南で起きたLED騒動はまだまだ収まりそうにない──。(本誌編集長・工藤年泰)

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【報道】告発・絶望の学府⑲

第三者委 調査に着手
江差看護・パワハラ死から3年
遺族の申し入れ受け再調査開始



昨年から本年初頭にかけた50件超の被害認定が1つの節目だったとすれば、その問題はこれからまた1つの大きな佳境を迎えることになる。本誌面で19回めの報告となる、北海道立高等看護学院のパワーハラスメント問題。最悪の被害といえる在学生の自殺事案で、第三者調査委員会発足の報が伝わった。本号店頭発売時までには初会合が設けられ、遠からず遺族への聴き取り調査が行なわれる可能性が高い。悲劇から3年強、事態はようやく動き始めた。(小笠原 淳)

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【報道】産廃処分場建設中止を求める安平町役場が環境フォーラムを開催

専門家を交え住民と情報を共有
「オール安平」で挙がる反対の声



安平町の早来北進地区で計画されている産業廃棄物最終処分場の建設問題をめぐり、同町(及川秀一郎町長)が9月10日、環境問題に詳しい専門家や弁護士を招いて「あびら環境フォーラム」を町内で開いた。この計画をめぐっては、5年前に道の建設許可が下りているが、地元にはすでに産廃処分場があることを理由に、町は「2つの処分場はいらない」と反対の立場を明確にしている。住民への情報提供を目的としたフォーラムを通して産廃問題と向き合う安平町の動きを追った。(武智敦子)

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2022年09月15日

北方ジャーナル2022年10月号




9月15日発売。お求めは道内有名書店、セイコーマート、インターネットではAmazon、またはオンライン書店『Fujisan.co.jp』、あるいは直接当社(右サイドバーのメールボタンから)までお問い合わせください。

【報道】道南の北斗市で噴き出した「LED化疑惑」を追う

1億円を超える発注事業で
大阪の照明業者と随意契約



自治体におけるカーボンニュートラルの1丁目1番地として注目されているのが、公共施設における照明設備のLED化だ。この中で道南の北斗市(池田達雄市長)が最近手掛けた総額1億1800万円弱のLED化事業が一者随意契約だったことをめぐり疑義が噴出。今年3月以降、議会が追及に乗り出したほか市民有志が住民監査請求に踏み切るなど内外から注目を集めている。このほど市監査委員会は監査請求を棄却したが、騒ぎはまだ収まりそうにない──。      (本誌編集長・工藤年泰)

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【報道】地元法曹たちの挑戦②

「立ち会い」拡大を――
弁護士会が取り調べ同席推進運動
地元警察は「認めない」通達撤回



本年1月号の誌面で報告した、刑事事件の取り調べへの弁護人立ち会い促進の動き。札幌ではこの9月から弁護士会の「推進運動」が始まり、会員らに積極的な実践が呼びかけられた。地元報道ではこれに抵抗する警察の姿勢が問題視され、弁護士らの抗議により関係通達が撤回に追い込まれる事態に。全国に先駆けた“人質司法”解消への一歩は、どれほどの成果を残すことになるのか。現在進行中の取り組みを報告したい。(小笠原 淳)

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【報道】告発・絶望の学府⑱

全容解明、近からず
ハラスメント告発から丸2年
道立看護・待たれる真の救済


本誌などが昨春から報告を続けている、公立看護学校のパワーハラスメント問題。本年8月に入って在学生自殺事案など過去の被害で再調査が始まり、当事者の聴き取りや資料の開示が進んでいることが伝わった。一方、未だ関与教員からの謝罪を得られていない被害者もおり、また長期間の通院を余儀なくされている元学生からは改めて充分な補償を求める声が。真っ当な被害回復は、今なお道半ばにあると言ってよい。(小笠原 淳)

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【報道】恵庭発・賃貸住宅の擁壁倒壊をめぐる損賠訴訟の顛末

地裁は「業者の不備」を指摘
倒壊して当然の杜撰工事か



恵庭を舞台にした建設工事による擁壁倒壊トラブルをめぐり、倒壊防止策の有無などが争われた損害賠償請求訴訟の判決が今年5月、札幌地裁であった。賃貸マンション建設のため土地掘削を行なった際、隣地の賃貸住宅の擁壁が倒壊するトラブルが発生。裁判で原告の施主側が「擁壁に安全性がなかった」と主張したが、反訴した被告の賃貸住宅オーナーが「原告側が十分な倒壊防止策を取っていなかった」と反論。裁判所はこの反論を認め、原告側に約500万円の支払いを命じるに至った。実際に工事を行なったのは、千歳市に本社があるマーベラスホーム。裁判所が指摘した業者の倒壊防止策の不備とはどのようなものだったのか──。  (佐久間康介・工藤年泰)

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2022年08月15日

北方ジャーナル2022年9月号




8月15日発売。お求めは道内有名書店、セイコーマート、インターネットではAmazon、またはオンライン書店『Fujisan.co.jp』、あるいは直接当社(右サイドバーのメールボタンから)までお問い合わせください。

【報道】首相批判封殺の波紋㉔

「蛮人に自戒を」――
元首相銃撃で国賠判決が標的に
現職道議は関係者名指しで批判



本誌前号締め切り直後に伝わった、元首相射殺事件。警護の不手際が指摘されることになった出来事は、ほどなく大きな“流れ弾”を生む。3年前に札幌で起きた野次排除事件をめぐる司法判断が、その後の警備の萎縮を招いたとする言説だ。インターネットの匿名投稿から報道大手の社説・解説、地方議員の発言まで、あたかも要人警護と言論・表現の自由は両立しないと言わんばかりの声は、事情を知らない多くの人たちを誤解させた可能性がある。本来、警備と言論のいずれも萎縮してはならない筈なのだが…。(小笠原 淳)

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【報道】告発・絶望の学府⑰

未認定被害 再調査開始
解明なるか、あわや風化の被害
道立看護パワハラで新たな動き



北海道立高等看護学院のパワーハラスメント問題で8月上旬、未だ被害認定に到っていない複数の事案について道が再調査の意向をあきらかにした。遺族が調査を要望してきた在学生の自殺事案では、すでに解散した第三者委員会とは別の調査チーム発足が決定。8年前の不適切指導・退学強要問題では、今月から改めて聴き取り調査が始まることに。埋もれていた事実の解明に光が射し始めたのは、ほかならぬ当事者が声を上げ続けたためだった。(小笠原 淳)

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【特集 故・安倍晋三元首相と北海道】
安倍元首相が若手経営者たちへ贈ったラストメッセージ

未来は、私たちが何を考え
何をやるかにかかっている



「成長を諦めた国には未来はない。未来は定められたものではなく、いま私たちが何を考え、何をやるかにかかっている」──北海道の若手経営者たちを前に安倍元首相が熱く語りかけたのは凶弾に倒れる1年前、昨年7月のことだった。体調が万全ではないことを理由に首相の座を辞していた安倍氏は「北海道経営未来塾」の特別講師として招かれ講演に臨んだ。本稿ではこの日の講演の概要と同氏が同塾の設立を後押しした秘話を読者に紹介したい。(佐久間康介)

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【特集 故・安倍晋三元首相と北海道】
安倍晋三元首相を悼む──党派を超えた30年の付き合いで見えた人間力


寄せられた「北海道への期待」
信念の人を失った大きな痛手

北海道経営未来塾塾長 長内 順一氏


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【特集 故・安倍晋三元首相と北海道】
安倍晋三元首相を悼む──知られざる安倍氏と北海道の接点


彼に拉致被害者の情報を提供
「チカホ」建設では陰で後押し


青木ビジネス企画センター社長 青木雅典氏

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2022年07月15日

北方ジャーナル2022年8月号




7月15日発売。お求めは道内有名書店、セイコーマート、インターネットではAmazon、またはオンライン書店『Fujisan.co.jp』、あるいは直接当社(右サイドバーのメールボタンから)までお問い合わせください。

【報道】道警不祥事から考える〈57〉

副署長 相継ぎ自殺か
道警・旭川方面で異例の事態
ストレス、パワハラ疑う声も



5月末から6月にかけ、北海道警察・旭川方面の2警察署で副署長の急逝が相継いだ。ともに50歳代後半の男性で、階級は警視。1人は暴力団捜査など刑事部門で実績を積み、もう1人は警備・公安畑を長く歩いた。前者にかかわる“事件”は報道大手の取材で周知の事実となったが、後者の話題はほぼ表沙汰になっていない。時期の重なりは偶然だった可能性が高いものの、同じ管内で同じ役職の警察官の訃報が続くのは異例の事態といえるだろう。2人の副署長に、何があったのか。(小笠原 淳)

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【報道】首相批判封殺の波紋㉓

「判決、確認していない」
野次訴訟、公安委には他人事
道の控訴決裁は副知事「代決」


「判決文そのものは確認していません」。地元警察を監督する公安委員会のトップがそう言い切ったのは、6月下旬のこと。首相演説野次排除事件をめぐる国賠訴訟で完敗を喫した道警は、その後すかさず控訴に踏み切ったが、公安委はその判断を追認したのみで、司法の決定に目を通していないというのだ。さらには、被告である道の知事も控訴の決裁に関与せず、警察の意向を丸呑みして副知事に「代決」させていた。わかったことは、1つ。警察を制御できる公的機関は、北海道には存在しない――。(小笠原 淳)

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【報道】道東・新興メディアの舞台裏で

船出直後の波瀾
新装地域紙で労使間トラブル
労基、ネムロニュースに勧告



この春に産声を上げた地方紙で、編集現場の混乱が続いている。発端は、労働環境の改善を求めて組合を結成した記者たちが取材・執筆の現場から逐われた異例の人事。創刊時の過重労働などを訴えていた記者らは問題を労働当局に持ち込み、6月末には賃金未払いの是正勧告に到った。7月に入ってからは労働委員会への救済申し立てが受理され、労使間の緊張はなお続きそうな様相。紙面の劣化を指摘する声も聴かれる中、生まれたばかりの新聞社では今、何が起きているのか――。(小笠原 淳)

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【報道】告発・絶望の学府⑯

第三者委 新たに設置か
江差看護・パワハラ死解明へ
卒業生らは学生間いじめ否定



新たな被害調査が求められている北海道立高等看護学院のパワーハラスメント問題で、道が昨年設けた第三者調査委員会とは別のメンバーによる調査チームが発足する可能性が浮上した。教員によるパワハラを苦に自殺したとみられる在学生の事案で、遺族の申し入れを受けた道が設置の検討を進めているという。同事案では事情を知る卒業生らも証言に名乗りを挙げており、一連のパワハラ問題で最悪の被害にようやく真相解明のメスが入り始めた。(小笠原 淳)

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2022年06月15日

北方ジャーナル2022年7月号




6月15日発売。お求めは道内有名書店、セイコーマート、インターネットではAmazon、またはオンライン書店『Fujisan.co.jp』、あるいは直接当社(右サイドバーのメールボタンから)までお問い合わせください。

【報道】告発・絶望の学府⑮

パワハラ死 調査へ
江差看護・学生遺族が申し入れ
紋別の未認定事案も調査の方向



北海道立高等看護学院のパワーハラスメント問題で、近く新たな被害調査が始まる。これまで公式に被害認定されていなかった在学生の自殺事案では、本年5月に遺族が告発の決意を固めたことで、道がようやく腰を上げた。6月に入ってからは8年前に起きた別の被害が掘り起こされる動きもあり、問題の根深さが改めて浮き彫りに。すべての膿が出尽くす日は、いつ訪れるのか――。(小笠原 淳)

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【報道】狩人、銃を奪われる⑦

「現場を知らな過ぎる」
銃所持許可取消訴訟・第2幕
道警、5年越しの「処罰感情」



自治体の要請でヒグマを駆除したハンターが警察に銃を取り上げられた事件。地元の裁判所は昨年12月にその処分を取り消す判決を言い渡したが、被告の公安委員会が控訴に及んだため、押収された銃は今も持ち主のもとに戻っていない。本年6月上旬に幕を開けた控訴審で、公安委側はなおも当初の処分の正当性を主張。「異常な処罰感情」に囚われ続ける捜査当局の真意は、もはや誰にもわからない。(小笠原 淳)

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【報道】医療現場で散った命⑮

「どうか生き続けて」
遺族の訴え、現場に一石
看護師過労死訴訟が終結



10年間に及んだ闘いが、ようやく1つの節目を迎えた。就職まもない新人看護師の命を奪った、医療現場の過重労働。その被害を労働当局が認めるまでには6年の時間を要し、さらに現場の医療機関が自らの責任を受け入れるまでに3年あまりが費やされた。司法が和解を進める中、当事者がこだわったのは「再発防止」の誓い。声を上げ続けた遺族は、すべての医療関係者に呼びかける。「苦しく、辛いことがあっても、どうか生き続けて」――。(小笠原 淳)

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【経済】北海道のエンタメ企業・スガイディノスが民事再生

再スタート直後を襲ったコロナ
りそな銀の支援打切りで破綻へ



スガイディノス(札幌市中央区)が負債約23億円を抱えて経営破綻した。5月30日、同社は札幌地裁に民事再生法の適用を申請。今後はスポンサーの支援、協力を受け経営再建を目指す。紆余曲折を経ながらも、スタートから100年を超えて北海道のエンターテイメント文化を発信し続けてきた「スガイ」は、その灯を守り続けることができるだろうか。  (佐久間康介)

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2022年05月14日

北方ジャーナル2022年6月号




5月14日発売。お求めは道内有名書店、セイコーマート、インターネットではAmazon、またはオンライン書店『Fujisan.co.jp』、あるいは直接当社(右サイドバーのメールボタンから)までお問い合わせください。

【報道】地元紙・80年めの迷走〈6〉

権力監視、今は昔
記者逮捕問題、道新の幕引き
報道幹部の人事には失意の声



昨年6月に起きた、北海道新聞の新人記者逮捕事件。本誌前号発売直前の4月中旬、道新社内では編集幹部の処分などが決まり、追って事件に対する社の認識が明かされた。同下旬には宮口宏夫社長が初めて逮捕問題に言及し「非常に重く受け止める」などと発言。前後して労組が関連団体などと共同で声明を発表し、改めて当時の警察の対応などを批判している。道新自身の紙面からはすでに姿を消した問題、その後の動きを追った。(小笠原 淳)

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【報道】告発・絶望の学府⑭

「正しいと思って」
江差看護・前副学院長放言
謝罪の場でパワハラ否定も



真っ当な謝罪や賠償などの被害対応が待たれる、北海道立高等看護学院のパワーハラスメント問題。加害を認定された教員らの一部はすでに個別の謝罪を始めているというが、その弁明は必ずしも被害者に受け入れられているとは言い難く、中には謝罪そのものを拒否された人もいる。当事者らの不信感が拭いきれないまま、発覚から1年以上が過ぎてなお、問題は尾を引き続けることになりそうだ。(小笠原 淳)

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【報道】道警不祥事から考える〈56〉

道警、謝罪の春
懲戒処分など1―3月速報
年度明け以降も不祥事連続



地元警察で処分などがあった不祥事、本年最初の報告だ。3カ月ごとの文書開示請求では、同時期の懲戒処分・監督上の措置が前年比で5割ほど増えた事実や、未発表が疑われる法令違反事案などの処分を確認できた。年度が替わった4月以降の記録はまだまとまっていないものの、同下旬から5月にかけては深刻な不正行為や人身事故などの発表が相継ぐ事態に。2022年春は北海道警察にとって、さながら謝罪コメントの季節となったようだ。(小笠原 淳)

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【報道】広域紋別病院の医師流出問題を追う【3】

「個別の回答は差し控える」
弁護士を盾にして数々の
疑問に口を閉ざす病院側



広大なオホーツク西紋地区の医療を預かる広域紋別病院(曽ヶ端克哉院長・150床)の医師流出問題の続報だ。昨年秋から今年1月にかけて副院長をはじめとする常勤内科医3人が相次いで病院を去る異常事態はなぜ起きたのか。本稿では、その疑問に対して寄せられた病院側の「公式回答」を紹介したい。4月中旬に委任弁護士から送られてきた内容は、極めて分かりやすいものだった。曰く「個別の事案についての回答は差し控えます」──。(本誌編集長・工藤年泰)

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2022年04月15日

北方ジャーナル2022年5月号




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【報道】首相批判封殺の波紋㉒

万雷拍手、法衣の背に

野次排除国賠で原告全面勝訴
裁判所認定「表現の自由侵害」



「表現の自由を侵害し、違法」――。時の総理大臣に野次を飛ばして“排除”された市民が警察に賠償を求めた裁判で、原告の主張をほぼ全面的に認める判決が言い渡された。司法は被告が示した排除の根拠をことごとく否定し、政権批判の自由は保障されるべきと断言。完敗を喫した警察が控訴を申し立てたことで争いは上級審に持ち込まれたが、一審判決の意義は時間が過ぎても色褪せることがない。その日、法廷には音高く拍手が響いた。(小笠原 淳)

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【報道】告発・絶望の学府⑬

免職0人「軽過ぎる」

江差パワハラ・教員処分決定
議会では学生の自殺事案追及



事態の表面化から1年、関係者の処分がようやく伝えられた。複数の教員の関与が認められた、北海道立高等看護学院のパワーハラスメント問題。3月末に懲戒処分に到った加害者は10人を数え、中心人物とされる教員はほどなく職を辞したが、被害者の評価は「処分が軽い」。公式な謝罪表明はついになく、関与教員の一部は新年度も教壇に立ち続けることに。地元議会では過去の事案が掘り起こされる動きもあり、完全な問題解決はなお遠いと言えそうだ。(小笠原 淳)

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【報道】渦中のネクステップ・濱岸春尋新社長が語った「出直しと決意」

「貴誌報道に強い危機感」

ガバナンス委で過去を
検証して再出発を期す


道内を中心に不動産事業を営むネクステップ(本社札幌)に関する続報だ。北洋銀行の親密企業でありながら、経営陣の暴走によりグループとしての規範を大きく逸脱してきた同社がこのほど本誌の取材に応じ、ガバナンスの立て直しと会社の再出発を表明した。問題の中心とされた水口千秋社長(当時・67)は3月末に会社を去り、副社長から社長に就任した濱岸春尋氏(61)主導のもとでガバナンス委員会を設置し、過去の問題を検証していくという。3月下旬、村松法律事務所の村松弘康所長(75)と共に取材の席に姿を見せた濱岸新社長が語った同社の内情とは──。    (本誌取材班)

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【報道】旭川医科大学の新学長・西川祐司氏に訊く

もう一度、旭川医大の
理想を掲げ再生に全力



吉田晃敏前学長(70)の解任をめぐって混乱が続いていた旭川医科大学の新学長に病理学講座教授で副学長を務めていた西川祐司氏(62)が4月1日、就任した。この人事を文部科学省が発表する直前の3月24日、西川教授は旭川医大で本誌の取材に応じ、大学側が吉田氏の解任申し出を取り下げた真意や今後の大学改革について率直に口を開いた。学内の声に背中を押され、旭川医大の再生を担うことになった西川新学長の胸の内にあるものとは──。     (本誌編集長・工藤年泰)

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2022年03月14日

北方ジャーナル2022年4月号




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【報道】広域紋別病院の医師流出問題を追う【2】

内科医退職で被った痛手
失われた地域の医療とは

企業長に就任する宮川市長を直撃



広大なオホーツク西紋地区の医療を預かる広域紋別病院(曽ヶ端克哉院長・150床)の医師流出問題の続報だ。内部対立などを理由に昨年秋から今年1月にかけて副院長をはじめとする常勤内科医3人が病院を去る事態の中で、どのような医療が失われてしまったのか。そして、かつて同病院の誕生に当り汗をかき地域医療の存続に尽力してきた紋別市の宮川良一市長(67)は、今回の問題をどのように捉えているのか。折しも宮川市長は、現在の及川郁雄氏に取って代わり、この4月から運営母体である企業団の企業長に就任することが決まっている。2月下旬、宮川市長を市役所で直撃した──。(本誌編集長・工藤年泰)

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【報道】北洋銀行の親密企業「ネクステップ」経営陣の暴走【2】

本誌発売直後に水口社長が退任
新体制でも問われるガバナンス



3月号で報じた、不動産仲介、不動産賃貸管理、駐車場管理のネクステップ(本社札幌)経営陣における暴走問題の続報だ。北洋銀行幹部が代々社長に就く同行の親密企業でありながら、水口千秋社長(67)がオーナー社長のように振る舞い、自身の報酬倍増や社長定年延長などやりたい放題。こういった水口社長をはじめとする経営幹部のガバナンス欠如を指摘したところ、本誌発売直後の株主総会で水口社長が会長に退き、濱岸春尋副社長が社長に昇格したことが分かった。事実上の水口社長の引責辞任という受け止めが広がる中で、ネクステップ経営陣の暴走にブレーキはかかったのだろうか──。   (本誌取材班)

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【報道】告発・絶望の学府⑫

「息子は殺された」
被害学生遺族が慟哭の告発
江差パワハラで奪われた命



第三者調査で50件超の被害が認定された道立高等看護学院のパワーハラスメント問題で、未だ公式には認められていない最大の被害がある。理不尽な指導で留年を余儀なくされた男子学生が自ら命を絶ったのは、3年前の秋。不意の悲劇に言葉を失い、事実を追及する気力さえ奪われていた遺族がこの春、初めて被害告発に臨む決意を固めた。小さな声を支えるのは、ただ1つの思い。「なかったことにされたくない」――。(小笠原 淳)

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【報道】ウイルス禍が奪った“居場所”

路上支援、受難
活動20年超のボランティア困惑
地下鉄駅内での物資提供「禁止」



札幌で長く活動を続けるホームレス支援団体が、折からのウイルス禍で想定外の岐路に立たされている。路上の当事者へ支援物資を配布する活動に、不意の「待った」がかかったのだ。札幌の中心部からベンチなどの設備が減った結果、限られた休憩場所でホームレスとそうでない人たちとが接触する機会が増え、市営地下鉄駅構内で係員への苦情が急増。当惑するボランティアたちは市当局へ相談を寄せてみたのだが…。(小笠原 淳)

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2022年02月15日

北方ジャーナル2022年3月号




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【報道】コープ共済連が詐欺で告訴した釧路の「あまの整骨院」

施術録を大量に捏造か
柔道整復師が患者を利用し
共済金や保険金を不正申請


釧路市内で整骨院を営んでいた柔道整復師が患者の施術録を書き換え、損保会社などから共済金や保険金を騙し取った疑いが浮上している。この中で最も被害額が大きいと目されているコープ共済連では昨年の夏、詐欺容疑で本人の刑事告訴に踏み切り、釧路署による捜査の行方が注目されているところだ。多くの患者を巻き込む形で捏造された施術録──。その手口とはどのようなものだったのか。   (本誌編集長・工藤年泰)

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【報道】広域紋別病院の医師流出問題を追う

昨秋から内科医3人が退職
内部対立が生む地域の不幸



広大なオホーツク西紋地区の医療を預かる広域紋別病院(曽ヶ端克也院長・150床)の医師流出が止まらない。昨年秋にかけて幹部クラスの内科医2人が退職。今年に入ってからも1月末に同じく内科医1人が病院を去った。病院の方向性をめぐって生まれた内部対立が主な原因とされるが、それにより不利益を被るのは地域と患者にほかならない。今回の内部対立の背景にあったものとは何なのか──。「病院としての課題と再生」をテーマに広域紋別病院の医師流出問題を追う。(本誌編集長・工藤年泰)

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【報道】首相批判封殺の波紋㉑

「この国賊が」――
野次問題で道内外から賛否の声
道警受理、2年間で900件超



国家賠償請求訴訟の判決言い渡しを1カ月後に控えた、首相演説野次排除事件。3年前の夏に札幌でその出来事が起きて以来、政権批判の声を封じた警察の行為はどう評価されてきたか。公文書開示請求で得られた記録を紐解くと、昨夏までの2年間に地元警察へ寄せられた意見は900件以上に上り、その多くが排除に批判的な声だったことがわかる。そこには、さまざまな立場の有権者の率直な思いが綴られていた――。(小笠原 淳)

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【報道】道警不祥事から考える〈55〉

児童ポルノ隠蔽か
相継ぐ未発表疑い事案
21年・道警不祥事速報



地元警察の不祥事記録、2021年ぶんが出揃った。公文書開示請求で得た情報を報告する本誌の試みは7年めに入ったが、これまで頑なに懲戒処分の全件公表を拒んできた北海道警察は、今後も同じ姿勢を貫き続ける可能性が高い。知事部局や議会、教育委員会などの透明性に倣うことなく、ひたすら“警察特権”を死守し続ける捜査機関。公文書により不祥事隠しが露見することになっても、その方針は変わることがなさそうだ。(小笠原 淳)



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2022年01月15日

北方ジャーナル2022年2月号




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【報道】道警不祥事から考える〈54〉

「みんな払ってくれた」
飲み逃げ指摘に“逆ギレ”か
女性巡査の傷害、発表せず



初対面の男性と飲食をともにして食事代の支払いを拒否、咎められると逮捕術まがいの暴力で相手を“制圧”し、怪我を負わせて逃走した――。昨年暮れに報じられたその事件は、今に到るまで公式には発表されていない。地元報道の取材に、警察は犯行態様を過少に説明、被害者代理人がこれに反論の声を上げる事態に。事件を起こしたのは「スーパーの店員」を名乗る20歳代の女性。本当の職業は、警察官だった。(小笠原 淳)

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【報道】狩人、銃を奪われる⑥

「著しく妥当性欠き、違法」
ヒグマ駆除ハンター全面勝訴
完敗の公安委はまさかの控訴



地元公安委員会の処分は、法廷で全否定された。「社会通念に照らして著しく妥当性を欠き、裁量権を濫用したものと言わざるを得ない」――。自治体の要請でヒグマを駆除したハンターから銃を取り上げる措置を、裁判所ははっきり「違法」と断定。これにより各地の獣害対策が正常化するかに思われたが、完膚なきまで潰された筈の被告がその結果に水を差し、争いは高裁に持ち込まれることに。駆除の担い手を狙い撃ちにする当局にはどんな目的があるのか、その真意はもはや測りようもない。(小笠原 淳)

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【報道】告発・絶望の学府⑩

副学院長、続投
江差看護・パワハラ告発3年め
人事先行、救済は弁護士対応へ



複数の教員の関与が認定された、北海道立高等看護学院のハラスメント問題。中心人物とされる江差看護学院の現副学院長は11月から勤務地を保健所に移したが、今後もその職を解かれず教務担当の副学院長に留まり続けることがわかった。12月には専任の学院長が着任するなど人事の刷新は進んでいるものの、最も強く待たれる学生たちの救済の道はまだ見えてこない。告発3年め、被害の回復はどこまで遠のくことになるのか。(小笠原 淳)

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【報道】21世紀の人質司法②

供述強要、私物検閲…
違法取り調べで国賠提訴
密室の捜査、無法地帯か



本誌昨年10月号で報告した北海道警察の違法捜査問題で12月下旬、黙秘権侵害などの被害を訴える容疑者(当時)と弁護人が道警に賠償を求める裁判を起こし、警察による不当な取り調べの改善を求めた。弁護人らはそれまで再三にわたって公安委員会などに苦情を寄せ、地元弁護士会も警察への申し入れを行なってきたが、納得できる説明は得られていないという。外部の監視の眼を欠いた取り調べの場では、日々何が起きているのか――。(小笠原 淳)

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2021年12月15日

北方ジャーナル2022年1月号




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【報道】現地報告──赤潮被害の実態を釧路町・小松茂町長に訊く

壊滅的な打撃を受けた
昆布森のブランドウニ

漁場回復に迅速かつ複数年の支援を



漁師4代目として今も沖に出る小松茂・釧路町長が海の異変に気付いたのは、さる9月20日のことだった。長年の漁師としての勘で「ただ事ではない」ことを直ぐに察知、地元の昆布森漁協と連携してスピーディーな被害状況の把握に努めた。その後、管内自治体首長と連携して道や国に対策を強く働きかけたことは周知の通りだ。地元のブランドウニが壊滅的な打撃を受けるなど今回の被害はまさに災害級。その影響は今後数年間続く見込みで、再び赤潮が発生する恐れもある。海の異変に気付いた時から小松町長は未曾有の事態にどう向き合ってきたのか──。 (11月18日取材/佐久間康介・工藤年泰)

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【報道】告発・絶望の学府⑨

謝罪・反省 どこ吹く風
パワハラ副学院長ら配置換え
江差看護・被害救済なお遠く



事態はゆっくり進む。公立看護師養成校の教員らによるパワーハラスメント問題で、第三者調査結果を受けた北海道は11月下旬に主要な加害者の配置換えに踏み切り、一方で一部の教員については今後も教壇に立たせ続ける意向を示した。当の教員たちが自ら謝罪や反省の弁を述べる動きが伝わらない中、担当課は11月中旬までに保護者らに意向確認を求めていたが、寄せられた要望への回答文には「今しばらくのお時間を」なる文言が。とりあえず事態は進んでいる、極めてゆっくりと。(小笠原 淳)

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【報道】地元法曹たちの挑戦

札弁、攻める――
全国初、取り調べ立ち会い支援
「よりそい」制度では矯正と提携



この冬、札幌弁護士会(坂口唯彦会長、登録826人)が立て続けに先駆的な試みに着手した。いずれも刑事弁護にかかわる重要な取り組みで、事件の容疑者や被告人、あるいは務めを終えた元受刑者たちにとって大きな福音となり得るものだ。いわゆる“人質司法”に斬り込み、また再犯防止に力を注ぎ始めた地元弁護士会。将来的に全国各地で定着が望まれる2つの施策は、社会が司法に何を求めているかという問いへの有効な解答となるだろう。(小笠原 淳)

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【報道】“核のゴミ”レポートPART27 巻原発計画を白紙撤回させた「住民投票」の経緯に学ぶ

町民みずからが決める
寿都の住民投票が内包する
勝ち負けを度外視した価値


1996年8月4日、新潟県巻町(現・新潟市西蒲区)で原子力発電所の建設計画の賛否をめぐり、条例に基づく全国初の住民投票が行なわれた。計画の表面化から27年目の町民の選択は、反対1万2748票、賛成7904票(投票率88・29%)であった。この住民投票をきっかけに東北電力や県、国は追い詰められ、2003年に町有地をめぐる裁判が決着したことで計画の白紙撤回を表明するに至った。34年におよぶ歴史の中で大きな節目になった住民投票をめぐる軌跡は、“核のゴミ”最終処分地の選定に向けた事前調査が進む北海道にとって示唆に富むものではないか──こう考え、旧巻町を訪れて関係者の話を訊いた。(ルポライター・滝川 康治)  続きを読む

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2021年11月15日

北方ジャーナル2021年12月号




11月15日発売。お求めは道内有名書店、セイコーマート、インターネットではAmazon、またはオンライン書店『Fujisan.co.jp』、あるいは直接当社(右サイドバーのメールボタンから)までお問い合わせください。

【報道】告発・絶望の学府⑧

「道の責任は重大」
第三者委がパワハラ52件認定
道立看護 告発1年で道が謝罪



決意の告発から1年以上が過ぎて得られたのは、被害者にとっては当然の結論だった。否、それでもなおすべての事実が解明されたとは言い難く、被害の救済に到ってはようやく緒についたばかり。すでにその道を諦めてしまった若者は1人や2人ではなく、失われた時間は取り返しようもない。この秋、北海道立高等看護学院で疑われていたパワーハラスメントの数々が初めて事実と認められた。調査結果の「52件」には、「少なくとも」の一句を冠さなくてはならないことを確認しておく。(小笠原 淳)

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【報道】道新労組委員長、初めて語る

「知る権利」守り抜く
記者逮捕問題で決意新た
北海道新聞労働組合・安藤委員長に訊く


北海道新聞の新人記者逮捕事件から4カ月が過ぎ、道新労組がこの問題で初めて本誌の取材に応じた。事件翌月の7月半ばにその任に着いた中央執行委員長の安藤健さん(48)は、まさに〝最初の仕事〟として逮捕問題と向き合うことになった。これまでの道新の対応については「報道機関として説明責任を果たせていない」と考えている。若手記者の萎縮や読者の不信を解消するには、何よりも「知る権利」の意義を確認する必要があるという。(小笠原 淳)

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【報道】道警不祥事から考える〈53〉

警官処分 9月「0件」
懲戒・監督措置で異例の記録
道警不祥事“第3四半期”速報


5年前から本誌面で報告を続けている地元警察の不祥事問題でこの9月、処分が1件も記録されない異例の事態が起きた。記者が入手している過去の記録を見る限り、懲戒処分・監督上の措置ともに0件となった月は、この10年余で初めてのこと。一方で同月を含む“第3四半期”の総数は20件を超え、うち懲戒については上半期から倍増する結果に。現時点の速報値を報告したい。(小笠原 淳)

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【報道】2021衆院総選挙を総括する

圧勝で軍配は自公に
下馬評を覆した絶対安定多数
争点にならなかったコロナ禍



コロナ禍に翻弄されてきた中で、国の舵取り役を決める第49回衆院総選挙が10月19日公示、10月31日投開票の日程で行なわれた。結果は選挙前の与党政権批判はどこへやら。自民党が絶対安定多数の261議席を得る大勝で、連立を組む公明党の32議席と合わせて盤石の政権基盤を築いた。一方の野党。下馬評では躍進が予想されていた立憲民主党だったが、蓋を開ければ公示前から14議席減らす惨敗。目下、その主な敗戦理由として野党共闘がやり玉に挙げられている状況だ。道内選挙区で繰り広げられた闘いを検証しつつ今回の総選挙を総括する。(敬称略、本誌編集部)

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