
2025年01月13日
本日発売! 北方ジャーナル2025年2月号

1月13日発売。お求めは道内有名書店、セイコーマート、インターネットではAmazon、またはオンライン書店『Fujisan.co.jp』、あるいは直接当社(右サイドバーのメールボタンから)までお問い合わせください。
【報道】旭川 少女凍死事件の深層【3】──再調査委を批判する金子圭一元校長が当時を証言(前篇)
爽彩さんが居場所を求め
さまよい続けた「3カ月」

2021年3月下旬、旭川市内の公園で凍死体で見つかった広瀬爽彩さん(当時中学2年生・14歳)。その亡くなり方の凄惨さも相まってこの事件は全国的に注目され、旭川市による2回にわたる調査の結果、「いじめが自殺の主因」とされたことは周知の通りだ。だが広瀬さんが入学した中学校の当時の校長・金子圭一氏(65)は、「事実に反する」として再調査の結果に憤りを隠さない。1年生の夏休みを前に起きた入水騒動、入院、そして転校──。わずか3カ月の間に彼女の身にいったい何があったのか。教育現場のトップだった金子元校長が取材に応じ、当時の様子を赤裸々に語った。 (本誌編集長・工藤年泰)
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【報道】告発・絶望の学府㉟
道「パワハラなかった」
江差・自殺訴訟で仰天主張
第三者調査報告を全面否定

事態の表面化からまもなく丸4年が過ぎる、公立看護学院のパワーハラスメント問題。第三者調査の対象となった事案の多くでハラスメント被害が認められた中、最悪の被害といえる在学生の自殺事案が驚きの展開を迎えた。自殺とパワハラとの因果関係を認めようとしない北海道が、この期に及びパワハラの事実そのものを否定し始めたのだ。一昨年春に公表された調査報告や担当課・知事の謝罪は、いったい何だったのか――。(小笠原 淳)
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【報道】狩人、銃を奪われる⑪
「高裁判決は違憲」
ヒグマ駆除めぐる裁判、最高裁へ
地元ではハンターらが意見交換会

2018年の夏に起きた出来事が、ついに8年越しの問題となった。自治体の要請でヒグマを駆除して罪に問われたハンターは、今も銃を差し押さえられたまま。地元公安委を相手どった訴えで、昨年の逆転敗訴判決を不服として最高裁に同判決の破棄を求めたところだ。駆除の現場への波紋は大きく、北海道が音頭を取った意見交換会では「ハンターだけの問題ではない」と訴える声が。問題解決までに今後どのぐらいの時間が費やされることになるのか、関係者たちには知る由もない。(小笠原 淳)
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【報道】“核のゴミ”レポートPART41 「文献調査報告書」の説明会と地層処分政策への疑問
綻び始めた壮大な虚構
概要調査に向けNUMOが道内
各地で続ける不毛なセレモニー

後志管内の寿都町と神恵内村で2020年から行なわれてきた“核のゴミ”最終処分地選定に向けた「文献調査」の報告書について、NUMO(原子力発電環境整備機構)による説明会が各振興局の所在地を中心に開かれている。道民の疑問に対し、文書の質問は受け付けるが口頭でのやり取りはせず、「詳細は概要調査でチェックする」と繰り返す。経済産業省の担当課長は法律を盾に「地層処分が唯一の方法」と豪語する……。そこには道民の懸念について丁寧に対応する姿勢は窺えなかった。「概要調査」に向けたセレモニーの色彩が濃い説明会の実態や破綻した核燃料サイクル政策の現状、立地調査の手法を疑問視する地質研究者の声、住民投票の行方などを探った。 (ルポライター・滝川 康治)
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【報道】再エネ事業問題に揺れる仁木町で佐藤町長が出馬表明
“4月決戦”に向け対立候補
擁立を模索する住民団体
受託事業者を変えても晴れぬ疑惑

再生可能エネルギービジョン策定業務事業を宮城県内の備蓄食品製造会社「ワンテーブル」に委託した問題がくすぶる仁木町で佐藤聖一郎町長(49)が、12月19日の町議会定例会本会議で任期満了に伴う今年の町長選(4月22日告示、同27日投開票)への出馬を正式に表明した。一方、仁木町が同社に業務を委託したのは官製談合の疑いがあるなどとして、住民監査請求を行なっていた同町の農業、宮下周平氏(74)は「佐藤町長では仁木町の未来は見えない」として候補者擁立に動いていることを明らかにした 。(武智敦子)
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【シリーズ・住宅不動産情報】㉖──変わりゆく札幌の電車通(南1条通)の街並み
大和ハウスのマンション計画続々
興和地所は旧「中殿ホテル」解体へ

札幌市中央区の南1条通の西4丁目から西15丁目付近までは、札幌市電が走っているため通称「電車通」とも呼ばれる。片側1車線の中央を走る市電が街並みに溶け込み、都心部の情緒を醸し出している。そんな電車通の街並みが変化の渦中にある。既存のオフィスビルが相次いで解体工事に入っており、跡地にはマンションやホテルの建設が計画されている。電車通の変わりゆく現場をレポートする。 (佐久間康介)
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【環境】北海道風力発電問題ネットワーク代表・佐々木邦夫さんに訊く(後篇)
いま北海道に押し寄せている
風力発電の現状とリスクとは

凄まじい勢いで北海道に押し寄せている風力発電の波。山林を破壊し巨大な風車を建設しようとする事業者から見えてくるのは、環境や健康への影響を度外視して利益のみを追い求めようとする姿だ。「北海道風力発電問題ネットワーク」の代表などを務める佐々木邦夫さんは、「事業者は環境や人、生き物など多岐にわたってモニタリングを続け5年後、10年後にどのような影響があるかを調査する。そして何か問題があるならできるだけ解消し、次の事業につなげるべきです。しかし、現状ではそれが行なわれていないのが大きな問題です」と警鐘を鳴らす。 (武智敦子)
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【ニュース】
■札地検・新トップに安藤検事正
国民からの信頼「失うのは一瞬」
──着任会見で定番の「趣味」「座右の銘」質問消える
■全可視化・弁護人同席「早急に」
黙秘権侵害訴訟で賠償命令確定
──被告の道警が控訴断念「合理的理由みつからず」
■雪像だけではない。雪まつり
期間の札幌おすすめまち歩き
──楽しみ方いろいろ。市内近郊で多くの協賛行事も
■新幹線の要対策土搬入丸3年で
手稲星置地区の住民が抗議行動
──住民が懸念する粉塵中のヒソ濃度
■余市の学習会で語られた風車被害
寿都へ移住した女性が覚えた不調
──専門医は「風車による低周波障がい」と診断
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【2025 道東・根室特集】──石垣雅敏市長に訊く
市民を守り市民が集う新庁
舎は防災と交流の一大拠点
若い担い手が育つ北方領土返還運動

ロシアの侵攻によるウクライナ戦争の長期化に加え、元島民の高齢化も進み、待ったなしの北方領土問題。ただ最前線のまち根室市では、返還運動で若い世代の尽力も目立ってきており、希望が次世代に託されつつあるようだ。その根室市では令和6年5月に市役所新庁舎が供用開始。大規模災害への強固な備えをはじめ、市民や観光客の交流拠点として話題を呼んでいる。最上階のサロンは知床半島や北方領土の島を望める新たなビューポイントになり、自治体庁舎としては珍しく土日祝もこの展望フロアと1階を開放している。新庁舎の始動でまちの雰囲気もリフレッシュした印象がある中で、「水産都市の再興」を掲げて2期目を走る石垣雅敏市長(73)に、根室の“いまとこれから”を訊いた。 (12月23日取材 工藤年泰)
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【2025 道東・根室特集】千島歯舞諸島居住者連盟理事・根室支部長 角鹿泰司さんに訊く
消えていない日露交渉の種
若い世代らに託す返還運動

ロシアによるうウクライナ侵攻から丸3年が近づいている。この間に起きた日ロ関係の悪化は北方領土問題に暗い影を投げかけ、島はますます遠い存在になりつつある。しかし、戦後79年間にわたって返還運動を続けてきた元島民や後継者たちは、必ず光が差してくるという希望を失わず今も脈々と活動を続けている。歯舞群島勇留島に生まれ、実父から返還運動を引き継いで半世紀になる、公益社団法人千島歯舞諸島居住者連盟理事・根室支部長の角鹿泰司(つのか・やすじ)さん(87)に、返還に向けた活動を若い世代に託す思いを訊いた。 (佐久間康介)
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【2025 道東・根室特集】大地みらい信用金庫・伊藤哲也理事長に訊く
根釧の企業が持つ底力を信じ
事業を強くし、地域を元気に
金融機関の枠を超える支援を展開

大地みらい信用金庫(本店根室市)の新理事長に伊藤哲也常務理事が昇格して半年。就任時は48歳と、その若さが道内信金の中で注目されたが、常勤理事、常務理事時代に経営の中枢ポストを歴任するなど順当な人事だったことがうかがわれる。根釧の企業が有する底力を信じ、「地方の企業を強くすることが何よりの地域づくり」と話す伊藤理事長には同信金のかねてからの進取の気性が息づいているようだ。その伊藤理事長に、大地みらい信金が地域経済に果たすべき役割を訊いた。
(2024年11月8日、同信金札幌支店で収録・佐久間康介)
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【医療】「さっぽろ麻生乳腺甲状腺クリニック」に乳がん検診の必要性と治療トレンドを訊く
早期発見なら怖くない乳がん
トリプルネガティブにも朗報

乳がんは日本女性が最も多く罹患するがんで、生涯罹患率は50年前の50人に1人から近年は9人に1人と増加の一途をたどっている。一方、検診率はOECD(経済協力開発機構)加盟国の中でも日本は低く、乳がん検診をどう普及させるかが社会課題となっている。この状況を変えていくにはどうしたらいいのか──。乳がん治療のエキスパートで医療法人北つむぎ会「さっぽろ麻生乳腺甲状腺クリニック」(札幌市北区・19床)の亀田博理事長・院長に乳がん検診の必要性と喚起策、乳がん治療の実際、ADC(抗体薬物複合体)といった最新の治療法を訊いた。乳がん治療に現れた新たなゲームチェンジャーの光と影にも注目だ。
(12月20日取材 工藤年泰・武智敦子)
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【ビジネスリポート】
網走ビール、生産能力3倍に
この12月に大増産体制確立
全国からの受注増による品薄解消へ

看板の「流氷ドラフト」をはじめとするクラフトビール商品が全国で人気を博している網走ビール(本社網走)だが、この12月に大規模増産体制を確立した。これに伴う生産能力の向上はこれまでの実に3倍。2024年1月からこの設備投資の取り組みを進め、ほぼ1年をかけて整備した。大型設備投資に踏み切ったのは、国内外からの需要増に伴う品薄状況の解消。同社商品は、ふるさと納税返礼品の人気商品ということもあり、この設備投資には網走市も支援。また国も補助金を交付している。大幅な生産能力向上を果たした同社だが、この取り組み自体が網走ビールの人気の証と言えるだろう。 (髙橋貴充)
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【ビジネスリポート】
百年の大計で社会課題を解決する
事業創造拠点が札幌の桑園に誕生
オープンイノベーション「エア・ウォーターの森」

開業を前にした12月5日の会見でエア・ウォーター(本社大阪)の豊田喜久夫会長・CEOが口火を切った。「カーボンニュートラルや食料危機を考えたら、北海道はそれらの課題を解決できる一番ポテンシャルが高いところ。ラピダスが進出して成長余地も大きい。そんな場所で北海道に出自がある当社は新しいエア・ウォーターを創ろうと、この施設を完成させた」。その施設こそが、このほどJR桑園駅に近くに誕生したオープンイノベーション拠点「エア・ウォーターの森」だ。同社の母体企業のひとつ、ほくさんの誕生から間もなく百年。国内外の課題を見据え次の百年の大計を生み出そうと、道内の〝産官学金〟を巻き込みながら産業界側が仕掛けるかつてない挑戦をレポートする。 (12月19日取材 佐久間康介・工藤年泰)
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【文化】ゲーム同人誌などで活躍し急逝した荒木聡さんを偲ぶ
ゲームとアニメの仲を取り持った
異才の図録集を小樽文學舎が発行

2022年末に57歳で急逝したゲーム同人誌の元編集発行人、荒木聡さんの図録『市立小樽文学館企画展 荒木聡 追悼展 ゲームとアニメの間に』が12月4日、小樽文學舎から発行された。1980年代から札幌を拠点にアニメやゲームをテーマにした同人活動や音楽制作などで活躍した荒木さんの多彩な才能を振り返ろうと、交流のあったフリーライターらが企画・構成を手掛けた。 (武智敦子)
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【連載】〝農と食〟北の大地から
追悼 足寄町の放牧酪農家
吉川友二さんの人生を辿る
種を蒔き道筋をつけた放牧酪農
牛の偉大さを尊ぶ牧夫精神とは

北海道の放牧酪農のリーダー的存在だった十勝管内足寄町の吉川友二さん(1964年、長野県生まれ)が昨年11月25日、59歳の若さで逝去した。23年秋に膵臓癌と診断されて闘病生活を送っていたが、旅立つ直前まで多くの人たちと語り、放牧酪農やアニマルウェルフェア(家畜福祉・AW)のあり方などについて発信し続けた。「家畜との良い関係を築き上げるためには、ストックマンシップ(牧夫精神)が必要」、「日本のAW問題を解決するには、*畜産の現状をしっかり伝えること *食品表示義務の徹底 *義務教育の段階で食育を取り入れる」……。青春時代に抱いた「自然保護のような仕事をしたい」との夢を放牧酪農を通じて実現させた人生から、わたしたちが学ぶことは多い。
(ルポライター・滝川 康治)
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【連載】ルポ「ひきこもり」113──道内各地で進む支援拠点づくり
「親亡き後」を見据え当事者や
家族らが地域で繋がる場所を

ひきこもり当事者や家族が安心して過ごせる居場所や支援ネットワークをつくるための事業が道内で本格化している。札幌市のNPO法人「レター・ポスト・フレンド相談ネットワーク」(田中敦理事長)が昨年8月から12月にかけて北見市と函館市など3地域で実施したもので、かつて同じ経験をしたピアスタッフの話題提供を軸に交流の場づくりなどを展開した。田中敦理事長は、「日本のひきこもり支援は家族頼みの部分が強く、両親が亡くなったらどうするかが喫緊の課題。まずは、困っている当事者や家族が地域でつながる場を広げていきたい」と話している。 (武智敦子)
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【連載】戦争遺産をめぐる旅 【110】
大型掩体壕など屈指の遺構が
今なお残る宇佐海軍航空隊跡
平和の尊さを語り継ぐまち

太平洋戦争末期に特別攻撃隊(特攻隊)の中継基地となった大分県宇佐市の宇佐海軍航空隊(宇佐空)。その跡地をめぐるレポートを続けたい。ここには、戦争関連遺跡として全国で2番目に文化財に指定された城井(じょうい)1号掩体壕などがあり、周辺の公園内では2025年度中にも着工する予定になっている市営の「平和ミュージアム」(仮称)の建設準備が進んでいる。現地を訪れると、麦畑の中に残る掩体壕や激しい空襲の爪痕などがある落下傘整備所など多くの戦争遺産を目にすることができ、子どもたちへの平和学習も盛んに行なわれていた。
(ジャーナリスト 黒田 伸)
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【フォトレポート・トピックス】
●女性施設・札幌刑務支所が内部公開 「支援センター」発足5年
●侍ジャパンを世界一に導いた栗山氏が札幌でトークショー
●高校生の足を支えた歴史に幕 「東根室駅廃止」も地元は冷静
●二次加工メインに成長軌道へ 兼由の名品「ほたてのバジル」
●厳冬期の自然美、滝上渓谷「錦仙峡」の氷瀑
●酪農学園大とISHIYAが北海道スイーツカレッジプロジェクト
●「サッポロ SORACHI1984」と道産ほたてがペアリング認定
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【連載コラムなど】
*つれづれフォトエッセイ
*シネマ
*スポーツ筆刀両断
*古本屋女房の“古本的日常"
*デンタルエッセイ
*北海道妄想紀行
*連載小説 仮面の恋
*よいどれブンガク夜話
*ソレでもナマがすき?
*夏井功の夜を駈ける車イス
*人物株価
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【今月の表紙】鈴木翁二画
『帽子と手袋』
【報道】再エネ事業問題に揺れる仁木町で佐藤町長が出馬表明
“4月決戦”に向け対立候補
擁立を模索する住民団体
受託事業者を変えても晴れぬ疑惑

再生可能エネルギービジョン策定業務事業を宮城県内の備蓄食品製造会社「ワンテーブル」に委託した問題がくすぶる仁木町で佐藤聖一郎町長(49)が、12月19日の町議会定例会本会議で任期満了に伴う今年の町長選(4月22日告示、同27日投開票)への出馬を正式に表明した。一方、仁木町が同社に業務を委託したのは官製談合の疑いがあるなどとして、住民監査請求を行なっていた同町の農業、宮下周平氏(74)は「佐藤町長では仁木町の未来は見えない」として候補者擁立に動いていることを明らかにした 。(武智敦子)
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【シリーズ・住宅不動産情報】㉖──変わりゆく札幌の電車通(南1条通)の街並み
大和ハウスのマンション計画続々
興和地所は旧「中殿ホテル」解体へ

札幌市中央区の南1条通の西4丁目から西15丁目付近までは、札幌市電が走っているため通称「電車通」とも呼ばれる。片側1車線の中央を走る市電が街並みに溶け込み、都心部の情緒を醸し出している。そんな電車通の街並みが変化の渦中にある。既存のオフィスビルが相次いで解体工事に入っており、跡地にはマンションやホテルの建設が計画されている。電車通の変わりゆく現場をレポートする。 (佐久間康介)
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【環境】北海道風力発電問題ネットワーク代表・佐々木邦夫さんに訊く(後篇)
いま北海道に押し寄せている
風力発電の現状とリスクとは

凄まじい勢いで北海道に押し寄せている風力発電の波。山林を破壊し巨大な風車を建設しようとする事業者から見えてくるのは、環境や健康への影響を度外視して利益のみを追い求めようとする姿だ。「北海道風力発電問題ネットワーク」の代表などを務める佐々木邦夫さんは、「事業者は環境や人、生き物など多岐にわたってモニタリングを続け5年後、10年後にどのような影響があるかを調査する。そして何か問題があるならできるだけ解消し、次の事業につなげるべきです。しかし、現状ではそれが行なわれていないのが大きな問題です」と警鐘を鳴らす。 (武智敦子)
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【ニュース】
■札地検・新トップに安藤検事正
国民からの信頼「失うのは一瞬」
──着任会見で定番の「趣味」「座右の銘」質問消える
■全可視化・弁護人同席「早急に」
黙秘権侵害訴訟で賠償命令確定
──被告の道警が控訴断念「合理的理由みつからず」
■雪像だけではない。雪まつり
期間の札幌おすすめまち歩き
──楽しみ方いろいろ。市内近郊で多くの協賛行事も
■新幹線の要対策土搬入丸3年で
手稲星置地区の住民が抗議行動
──住民が懸念する粉塵中のヒソ濃度
■余市の学習会で語られた風車被害
寿都へ移住した女性が覚えた不調
──専門医は「風車による低周波障がい」と診断
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【2025 道東・根室特集】──石垣雅敏市長に訊く
市民を守り市民が集う新庁
舎は防災と交流の一大拠点
若い担い手が育つ北方領土返還運動

ロシアの侵攻によるウクライナ戦争の長期化に加え、元島民の高齢化も進み、待ったなしの北方領土問題。ただ最前線のまち根室市では、返還運動で若い世代の尽力も目立ってきており、希望が次世代に託されつつあるようだ。その根室市では令和6年5月に市役所新庁舎が供用開始。大規模災害への強固な備えをはじめ、市民や観光客の交流拠点として話題を呼んでいる。最上階のサロンは知床半島や北方領土の島を望める新たなビューポイントになり、自治体庁舎としては珍しく土日祝もこの展望フロアと1階を開放している。新庁舎の始動でまちの雰囲気もリフレッシュした印象がある中で、「水産都市の再興」を掲げて2期目を走る石垣雅敏市長(73)に、根室の“いまとこれから”を訊いた。 (12月23日取材 工藤年泰)
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【2025 道東・根室特集】千島歯舞諸島居住者連盟理事・根室支部長 角鹿泰司さんに訊く
消えていない日露交渉の種
若い世代らに託す返還運動

ロシアによるうウクライナ侵攻から丸3年が近づいている。この間に起きた日ロ関係の悪化は北方領土問題に暗い影を投げかけ、島はますます遠い存在になりつつある。しかし、戦後79年間にわたって返還運動を続けてきた元島民や後継者たちは、必ず光が差してくるという希望を失わず今も脈々と活動を続けている。歯舞群島勇留島に生まれ、実父から返還運動を引き継いで半世紀になる、公益社団法人千島歯舞諸島居住者連盟理事・根室支部長の角鹿泰司(つのか・やすじ)さん(87)に、返還に向けた活動を若い世代に託す思いを訊いた。 (佐久間康介)
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【2025 道東・根室特集】大地みらい信用金庫・伊藤哲也理事長に訊く
根釧の企業が持つ底力を信じ
事業を強くし、地域を元気に
金融機関の枠を超える支援を展開

大地みらい信用金庫(本店根室市)の新理事長に伊藤哲也常務理事が昇格して半年。就任時は48歳と、その若さが道内信金の中で注目されたが、常勤理事、常務理事時代に経営の中枢ポストを歴任するなど順当な人事だったことがうかがわれる。根釧の企業が有する底力を信じ、「地方の企業を強くすることが何よりの地域づくり」と話す伊藤理事長には同信金のかねてからの進取の気性が息づいているようだ。その伊藤理事長に、大地みらい信金が地域経済に果たすべき役割を訊いた。
(2024年11月8日、同信金札幌支店で収録・佐久間康介)
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【医療】「さっぽろ麻生乳腺甲状腺クリニック」に乳がん検診の必要性と治療トレンドを訊く
早期発見なら怖くない乳がん
トリプルネガティブにも朗報

乳がんは日本女性が最も多く罹患するがんで、生涯罹患率は50年前の50人に1人から近年は9人に1人と増加の一途をたどっている。一方、検診率はOECD(経済協力開発機構)加盟国の中でも日本は低く、乳がん検診をどう普及させるかが社会課題となっている。この状況を変えていくにはどうしたらいいのか──。乳がん治療のエキスパートで医療法人北つむぎ会「さっぽろ麻生乳腺甲状腺クリニック」(札幌市北区・19床)の亀田博理事長・院長に乳がん検診の必要性と喚起策、乳がん治療の実際、ADC(抗体薬物複合体)といった最新の治療法を訊いた。乳がん治療に現れた新たなゲームチェンジャーの光と影にも注目だ。
(12月20日取材 工藤年泰・武智敦子)
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【ビジネスリポート】
網走ビール、生産能力3倍に
この12月に大増産体制確立
全国からの受注増による品薄解消へ

看板の「流氷ドラフト」をはじめとするクラフトビール商品が全国で人気を博している網走ビール(本社網走)だが、この12月に大規模増産体制を確立した。これに伴う生産能力の向上はこれまでの実に3倍。2024年1月からこの設備投資の取り組みを進め、ほぼ1年をかけて整備した。大型設備投資に踏み切ったのは、国内外からの需要増に伴う品薄状況の解消。同社商品は、ふるさと納税返礼品の人気商品ということもあり、この設備投資には網走市も支援。また国も補助金を交付している。大幅な生産能力向上を果たした同社だが、この取り組み自体が網走ビールの人気の証と言えるだろう。 (髙橋貴充)
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【ビジネスリポート】
百年の大計で社会課題を解決する
事業創造拠点が札幌の桑園に誕生
オープンイノベーション「エア・ウォーターの森」

開業を前にした12月5日の会見でエア・ウォーター(本社大阪)の豊田喜久夫会長・CEOが口火を切った。「カーボンニュートラルや食料危機を考えたら、北海道はそれらの課題を解決できる一番ポテンシャルが高いところ。ラピダスが進出して成長余地も大きい。そんな場所で北海道に出自がある当社は新しいエア・ウォーターを創ろうと、この施設を完成させた」。その施設こそが、このほどJR桑園駅に近くに誕生したオープンイノベーション拠点「エア・ウォーターの森」だ。同社の母体企業のひとつ、ほくさんの誕生から間もなく百年。国内外の課題を見据え次の百年の大計を生み出そうと、道内の〝産官学金〟を巻き込みながら産業界側が仕掛けるかつてない挑戦をレポートする。 (12月19日取材 佐久間康介・工藤年泰)
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【文化】ゲーム同人誌などで活躍し急逝した荒木聡さんを偲ぶ
ゲームとアニメの仲を取り持った
異才の図録集を小樽文學舎が発行

2022年末に57歳で急逝したゲーム同人誌の元編集発行人、荒木聡さんの図録『市立小樽文学館企画展 荒木聡 追悼展 ゲームとアニメの間に』が12月4日、小樽文學舎から発行された。1980年代から札幌を拠点にアニメやゲームをテーマにした同人活動や音楽制作などで活躍した荒木さんの多彩な才能を振り返ろうと、交流のあったフリーライターらが企画・構成を手掛けた。 (武智敦子)
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【連載】〝農と食〟北の大地から
追悼 足寄町の放牧酪農家
吉川友二さんの人生を辿る
種を蒔き道筋をつけた放牧酪農
牛の偉大さを尊ぶ牧夫精神とは

北海道の放牧酪農のリーダー的存在だった十勝管内足寄町の吉川友二さん(1964年、長野県生まれ)が昨年11月25日、59歳の若さで逝去した。23年秋に膵臓癌と診断されて闘病生活を送っていたが、旅立つ直前まで多くの人たちと語り、放牧酪農やアニマルウェルフェア(家畜福祉・AW)のあり方などについて発信し続けた。「家畜との良い関係を築き上げるためには、ストックマンシップ(牧夫精神)が必要」、「日本のAW問題を解決するには、*畜産の現状をしっかり伝えること *食品表示義務の徹底 *義務教育の段階で食育を取り入れる」……。青春時代に抱いた「自然保護のような仕事をしたい」との夢を放牧酪農を通じて実現させた人生から、わたしたちが学ぶことは多い。
(ルポライター・滝川 康治)
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【連載】ルポ「ひきこもり」113──道内各地で進む支援拠点づくり
「親亡き後」を見据え当事者や
家族らが地域で繋がる場所を

ひきこもり当事者や家族が安心して過ごせる居場所や支援ネットワークをつくるための事業が道内で本格化している。札幌市のNPO法人「レター・ポスト・フレンド相談ネットワーク」(田中敦理事長)が昨年8月から12月にかけて北見市と函館市など3地域で実施したもので、かつて同じ経験をしたピアスタッフの話題提供を軸に交流の場づくりなどを展開した。田中敦理事長は、「日本のひきこもり支援は家族頼みの部分が強く、両親が亡くなったらどうするかが喫緊の課題。まずは、困っている当事者や家族が地域でつながる場を広げていきたい」と話している。 (武智敦子)
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【連載】戦争遺産をめぐる旅 【110】
大型掩体壕など屈指の遺構が
今なお残る宇佐海軍航空隊跡
平和の尊さを語り継ぐまち

太平洋戦争末期に特別攻撃隊(特攻隊)の中継基地となった大分県宇佐市の宇佐海軍航空隊(宇佐空)。その跡地をめぐるレポートを続けたい。ここには、戦争関連遺跡として全国で2番目に文化財に指定された城井(じょうい)1号掩体壕などがあり、周辺の公園内では2025年度中にも着工する予定になっている市営の「平和ミュージアム」(仮称)の建設準備が進んでいる。現地を訪れると、麦畑の中に残る掩体壕や激しい空襲の爪痕などがある落下傘整備所など多くの戦争遺産を目にすることができ、子どもたちへの平和学習も盛んに行なわれていた。
(ジャーナリスト 黒田 伸)
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【フォトレポート・トピックス】
●女性施設・札幌刑務支所が内部公開 「支援センター」発足5年
●侍ジャパンを世界一に導いた栗山氏が札幌でトークショー
●高校生の足を支えた歴史に幕 「東根室駅廃止」も地元は冷静
●二次加工メインに成長軌道へ 兼由の名品「ほたてのバジル」
●厳冬期の自然美、滝上渓谷「錦仙峡」の氷瀑
●酪農学園大とISHIYAが北海道スイーツカレッジプロジェクト
●「サッポロ SORACHI1984」と道産ほたてがペアリング認定
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【連載コラムなど】
*つれづれフォトエッセイ
*シネマ
*スポーツ筆刀両断
*古本屋女房の“古本的日常"
*デンタルエッセイ
*北海道妄想紀行
*連載小説 仮面の恋
*よいどれブンガク夜話
*ソレでもナマがすき?
*夏井功の夜を駈ける車イス
*人物株価
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【今月の表紙】鈴木翁二画
『帽子と手袋』
Posted by 北方ジャーナル at 00:00│Comments(0)
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