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2024年12月14日

北方ジャーナル2025年1月号




12月14日発売。お求めは道内有名書店、セイコーマート、インターネットではAmazon、またはオンライン書店『Fujisan.co.jp』、あるいは直接当社(右サイドバーのメールボタンから)までお問い合わせください。

【報道】道警不祥事から考える〈74〉

道警 文書不開示で謝罪
前年の公開請求で対応漏れ
不祥事2件、あわや藪の中



警察不祥事に関連する本稿記者の定期的な公文書開示請求をめぐって11月中旬、情報公開を扱う地元警察の担当課が前年の手続きに不備があったとして記者に謝罪した。なんらかの原因で文書の探索漏れがあり、一部の事件・事故の記録が開示されていなかったという。1年以上を経て改めて開示されたのは、警察官による強制性交事件と公用車の人身事故、計2件を記録した公文書。今回開示漏れが発覚していなければ、いずれも永久に陽の目を見なかった可能性が高い。(小笠原 淳)

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【報道】21世紀の人質司法⑤

ノート持ち去り「違法」
札幌地裁が道警に賠償命令
黙秘権侵害・私物検閲訴訟



黙秘権行使を申し出る容疑者に供述を強要し、また弁護人とのやり取りを記録した「被疑者ノート」を無断で持ち去るなどした警察官の行為の違法性が問われていた裁判で12月初旬、問題の捜査を一部違法と認める判決が言い渡された。法廷で公開された取り調べ映像には適切とは言い難い捜査員の言動が記録されていたが、それらの人権侵害は認定されず、弁護側は控訴を検討することに。判決は、不適切な取り調べにお墨つきを与えてしまうおそれがあるという。(小笠原 淳)

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【報道】「値上げの年」に創成イーストへ移転した北海道新聞社

部数減少の逆風が吹く中で
内実問われる「第二の創業」



北海道新聞社(宮口宏夫社長)が11月1日、本社を札幌市中央区大通西3丁目から創成イースト地区の同区大通東4丁目に移転し、再スタートを切った。2023年9月末に夕刊を廃止、24年6月1日に朝刊の月ぎめ購読料を税込3800円から税込4300円に値上げする中で、新社屋への移転を「第二の創業」と位置付ける同社。だが今回の価格改定で購読部数が一気に落ち込み、道民の道新離れが進んでいる印象も否めない。旧社屋の活用問題など課題が山積している同社の現状を探った。       (本誌取材班)

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【報道】“核のゴミ”レポートPART40 「文献調査報告書」公表で節目を迎えた処分地選定の動き

賛成も反対も住民投票へ
寿都では初のシンポを開催
問われる町民と知事の判断



11月22日、“核のゴミ”処分事業者のNUMO(原子力発電環境整備機構)が後志管内の寿都町と神恵内村で行なった「文献調査」の報告書が公表され、大きな節目を迎えた。今後は、住民投票条例を制定した寿都町が「概要調査」の是非を町民にいつ問うのか、また調査に反対する意思を示してきた鈴木直道知事がどう最終判断するのか──が大きな焦点になる。本シリーズで繰り返し述べてきたが、「日本列島でも地層処分はできる」との政策は核燃料サイクルを延命させるための壮大な虚構であり、候補地にされた自治体の住民は長きにわたり不安感を抱えながらの生活を余儀なくされる。そんな未来を選択してもいいのか、いまあらためて問われている。 (ルポライター・滝川 康治)

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2024年11月15日

北方ジャーナル2024年12月号




11月15日発売。お求めは道内有名書店、セイコーマート、インターネットではAmazon、またはオンライン書店『Fujisan.co.jp』、あるいは直接当社(右サイドバーのメールボタンから)までお問い合わせください。

【報道】中和興産と中和welfareが迎えた末路

「杉澤正通劇場」開幕─
事業破綻の責任をスタッフと
親族に押し付ける「杉澤親子」



保育事業の中和興産(本社札幌)、障害者福祉事業の中和welfare(同)。ガソリン販売道内大手で知られる中和石油の元社長、杉澤達史氏(故人)の未亡人である杉澤廣子氏(78)と三男である杉澤正通氏(42)が共同経営(登記上の代表者は廣子氏)してきた両社が8月から9月にかけて札幌市の認可および指定を取り消され、事実上破綻した。行政側から不正受給を指摘され総額2億円もの返還を求められる中で、どうやら正通氏はメディアを使って反撃を始めたもようだ──。               (本誌編集長・工藤年泰)

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【報道】狩人、銃を奪われる⑨

そして誰も撃てなくなった
ヒグマ駆除裁判で逆転判決
全面敗訴にハンターら動揺


言い渡しの瞬間、傍聴席を重苦しい空気が覆った。「被控訴人の請求を棄却する」。自治体の要請でヒグマを駆除して銃を取り上げられたハンターが処分の撤回を求めて起こした裁判は、原告側が全面勝訴判決を得た筈だった。地元公安委員会の控訴で争いが上級審に持ち込まれた結果、改めて示された結論はハンター全面敗訴の逆転判決。駆除の現場に走った動揺は小さからず。即ち「誰も撃てなくなった」――。(小笠原 淳)

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【報道】告発・絶望の学府㉞

「息子の無念晴らして」
自殺学生遺族が慟哭の陳述
江差パワハラ裁判で初弁論



「道の対応に誠意を感じることはできません」――。本誌前号で伝えた損害賠償請求裁判が10月下旬、函館の裁判所で最初の口頭弁論を迎えた。法廷で意見陳述に立った原告女性は改めて訴訟に込めた思いを語り、裁判所に「適切な判断」を求めた。公立の看護学校で在学生が自ら命を絶つ事件が起きてから、5年あまり。その死と教員のハラスメントとの因果関係をめぐる争いを法廷に持ち込むことは、遺族にとっては決して本意ではなかったという。(小笠原 淳)

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【報道】道警不祥事から考える〈73〉

警察職員 パチンコ店で窃盗
道警不祥事“第3四半期”速報
19歳との飲酒は懲戒に到らず



本稿記者が飽かず続けている地元警察への定期的な情報開示請求で、本年第3四半期(7―9月)に処分などがあった不祥事の記録が出揃った。地元報道が一斉に報じた旭川中央署の不適切飲酒問題への対応を含め、例の如く多数の事案が公式には未発表だったと思われる。報道された形跡のない窃盗事件など、やはり例に漏れず深刻なケースもいくつか。10月下旬に開示された文書から読み取れる事実を、急ぎ報告したい。

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2024年10月14日

北方ジャーナル2024年11月号

2411表紙



10月14日発売。お求めは道内有名書店、セイコーマート、インターネットではAmazon、またはオンライン書店『Fujisan.co.jp』、あるいは直接当社(右サイドバーのメールボタンから)までお問い合わせください。

【報道】「旭川・女子中学生いじめ凍死事件」の深層

隠され続ける「誤報道」
“盛られた事実”の拡散と隠蔽で
起きた事件関係者の「二次被害」



雪解けが始まったばかりの公園で見つかった女の子の遺体──。3年前に起きた「旭川・女子中学生いじめ凍死事件」は、大手メディアのオンライン報道や旭川市が再調査を手がけたことで全国的に注目を浴びた。だが、この事件をめぐる報道に多くの誤りがあったことをほかならぬ同市自身が認定していた事実はあまり知られていない。これらは最初の調査報告書で詳細に指摘されたが、公表にあたり全て黒塗り処理されたからだ。メディアの誤報と行政の隠蔽がもたらした深刻な二次被害とは──。   (本誌編集長・工藤年泰)

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【報道】札幌トロイカ病院に浮上した不正請求疑惑を追う

「不正の舞台はデイケア」
算定基準を満たさず請求か



昨年、開院40周年を迎えた精神科専門病院、社会医療法人共栄会 札幌トロイカ病院(札幌市白石区・有田矩明理事長)で長年にわたり診療報酬の不正請求が続けられてきた疑いが浮上した。複数の関係者が「デイ・ナイトケアの実施時間が算定基準を満たしていないにもかかわらず、時間を偽り請求している」と証言し、入手した関係書類からも不正が日常的に行なわれていることが強く疑われる。419病床という精神科領域における道内有数規模の同病院で、いったい何が起きているのか──。    (工藤年泰)

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【報道】告発・絶望の学府㉝

パワハラ死問題 法廷へ
江差看護・最悪の被害で国賠提訴
遺族「道に裁判を強制された思い」



「ここで諦めては息子が報われない」と、その母親は訴える。3年前の春に北海道立江差高等看護学院で表面化した、教員による日常的なパワーハラスメント問題。一連の事案の中でも最悪の被害といえる在学生の自殺問題が、紆余曲折の挙句に法廷へ持ち込まれることとなった。第三者調査を受けて謝罪した道のその後の「手のひら返し」は、遺族にとっては提訴を促す挑発に等しかったという。即ち「道が裁判を望んだ」――。(小笠原 淳)

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【報道】もの言う自衛官 法廷へ

公益通報 テロ扱い
現職自衛官が陸自に損賠請求
パワハラ告発、上官に筒抜け



所属部隊のパワーハラスメント問題を告発したら、通報内容が部隊に筒抜けになった――。理不尽な被害を受けた現職自衛官の男性が、組織に籍を置いたまま自衛隊を訴える裁判を起こした。匿名の告発人は職場の“犯人捜し”の標的となり、当時の上官から「通報はテロ行為」などの暴言を受けたという。法廷では、被告の国がそれらの暴言や不利益な取り扱いの多くを認める異例の展開に。この秋に幕を開けた裁判で、組織の不正隠蔽疑いはどこまで断罪されることになるのか。(小笠原 淳)

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2024年09月14日

北方ジャーナル2024年10月号




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【報道】通信大手元幹部の不動産投資詐欺疑惑を追う

元同僚らを騙して資金を集め
自己破産で踏み倒した9億円



札幌在住の高齢男性が9億円近い負債を抱えて自己破産した。かつて通信大手の取締役だった男性は在職時から借金を繰り返し、手がける不動産投資事業で配当を出すとして元同僚や知人から多額の金銭を集めていた。だが、事業は全くのでっちあげ。昨秋から詐欺容疑で刑事告訴に動いていた債権者たちは、今回の自己破産を「責任逃れ」と怒りを隠さない──。 (本誌編集長・工藤年泰)

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【報道】首相批判封殺の波紋㉙

「半分勝訴」確定
野次排除事件から丸5年
国賠上告を最高裁が棄却



結論は、唐突だった。発生5年を過ぎた直後に伝わった「上告棄却・不受理」の報。1年2カ月前の控訴審判決を追認するその決定は、当事者らが使う言い回しの通り「半分」意義のあるものには違いない。2019年夏に札幌で起きた首相演説野次排除事件は、司法判断が確定することで一つの節目を迎えた。無論、即ち「終わったこと」になるわけではない。本稿もまた、飽くまで現時点での報告という位置づけだ。(小笠原 淳)

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【報道】告発・陸の蟹工船〈7〉

「原告主張は誹謗・中傷」
恵庭牧場、市が虐待認識を否定
裁判所は手話通訳に公費認めず


恵庭市の牧場で持ち上がった、長期間に及ぶ障碍者虐待疑惑。被害当事者たちが起こした損害賠償請求裁判は、提訴から丸1年を経て5回めの口頭弁論を迎えた。早期に被害を把握していたことが疑われる被告の自治体は今回、改めてこれを否定し、原告側の批判を「誹謗・中傷」とまで言い募ることに。元市議への忖度も含め、飽くまで行政に責任はないとの主張は、2年めを迎えても変わらないようだ。(小笠原 淳)

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【ジャーナルズアイ】深海工学会の調査チームが慰霊祭で初公開

留萌沖の「三船遭難事件」で
明らかになった沈没船の姿



 終戦直後の1945年8月22日未明に樺太の大泊(コルサコフ)港から引き揚げ者を乗せ小樽に向かっていた引き揚げ船3隻が旧ソ連軍の攻撃を受けて2船が沈没、1船が大破し、1700人以上の犠牲者を出した留萌沖の悲劇「三船遭難事件」。
 この事件から79年目の8月22日、留萌市の了善寺で執り行なわれた慰霊祭で、今も日本海の海底に眠る2船の船影が鮮明に映った立体図が関係者に公開された。沈没船の実際の様相が明らかになったのは初めてで、将来の引き揚げや遺骨収集につながる可能性もある。(ジャーナリスト 黒田 伸)
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2024年08月12日

北方ジャーナル2024年9月号




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【報道】千歳発・障害者福祉「アガペ」に浮上した性加害疑惑を追う

「社長さんが胸を…」
グループホーム入居者を喰い物か
「身に覚えがない」と男性経営者



障害者福祉施設であってはならない疑惑が浮上した。千歳市内のグループホームに入居していた女性があろうことか施設経営者から性被害を受け、泣き寝入りを余儀なくされていたというのだ。関係者の証言から経営者の行為は不同意わいせつが疑われる。株式会社アガペ(本社千歳)が運営する共同生活援助事業所で、いったい何が起きていたのか──。 (本誌編集長・工藤年泰)

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【報道】道警不祥事から考える〈71〉

「警察は襟を正して」
「文春砲」被弾警官の写真流出
旭川中央署員ら不適切飲酒か



本年4月に旭川市で起きた殺人事件をめぐり、7月上旬の『週刊文春』報道で伝えられた容疑者と捜査員との不適切交際疑い。同中旬にはその疑惑を補強する“証拠写真”がみつかり、複数のウェブ媒体や週刊誌が報じたほか、SNSを通じてまたたく間に拡散した。倫ならぬ出会いの舞台となったのは、旭川「三六街」のカラオケスナック。写真の存在を知らしめた人物は、憤りを込めて訴える。「警察は襟を正して欲しい」――。(小笠原 淳)

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【環境】“核のゴミ”レポートPART39 “原子力マネー”に頼らない地域づくりへ冊子で一石投じる

いま探る“ポスト原発”の道
語られるバラ色の夢から覚めて
住民目線の地域振興策で活路を



過疎や財政難などに悩む自治体が原発や“核のゴミ”関連施設の誘致に手を染めるのは多額の原子力マネーの魅力に吸い寄せられるからだ。地震・火山列島の日本で地層処分など容易にできないにも係わらず、「処分場を造ることは可能」とする壮大な虚構を示し、お金がほしい自治体が住民を巻き込む……。そうした状況に一石を投じ、住民目線で独自の地域振興プランを創ろうとする取り組みが泊原発や核ゴミ調査問題を抱える後志管内で続く。2年がかりで行なった地域資源を発掘する作業などを基に小冊子も発行された。こうした試みの今と「地域資源を生かした発展の道」を探る委員会の座長を務める小田清さん(北海学園大名誉教授)の話を紹介する。    (ルポライター・滝川 康治)

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【経済】「ラピダス」の東哲郎会長が札幌で講演

先端半導体開発の失地を回復し
北海道の6次産業を世界へ発信



札幌商工会議所・北海道商工会議所連合会による「TOP SEMINAR 2024 北海道経営未来塾公開講座」が7月22日、札幌市内で開かれ、Rapidus(ラピダス・東京都千代田区)の東哲郎会長(74)が、「半導体産業の持続的成長に向けて 今、何故『最先端半導体』を選択したか」をテーマに講演した。千歳でのパイロットライン稼働を来年に控え、道内で経済効果に期待感が広がる中、札商会員など約250人が東会長の話に耳を傾けた。この日の講演要旨を紹介する。     (佐久間康介)

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2024年07月15日

北方ジャーナル2024年8月号




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【報道】告発・陸の蟹工船〈6〉

「もう悪いことしないで」
恵庭・虐待被害者が語った思い
市「腐った野菜」など実態把握か



昨年6月に伝わった、恵庭市の牧場での障碍者虐待疑い。長期間の「奴隷労働」や年金詐取の被害を訴え、牧場関係者などに損害賠償を求める裁判を起こした当事者が6月下旬、提訴後初めて本誌などの取材に応じ、その胸中を語った。直近の口頭弁論に足を運び、傍聴席から被告らの姿を眼にした時の思いは「もう悪いことして欲しくない」。長く続いたプレハブ生活を振り返っては「自由が欲しかった」という。

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【報道】狩人、銃を奪われる⑧

「公益活動に安心を」
銃所持許可訴訟、10月判決へ
町と決裂の猟友会は独自調査



苦笑混じりに漏れた一言は「とにかく長かった」。地元自治体の要請でヒグマを駆除し、法令違反に問われて猟銃を差し押さえられたハンターは、道公安委員会を訴えた裁判を4年間にわたって争い続けなくてはならなかった。銃所持許可取り消しの決定時から数えると、足かけ7年の闘い。命がけの公益活動の担い手を犯罪者扱いする処分が正当化されては、誰も銃を撃てなくなる――。各地のハンターが注目する判決は、10月中旬に言い渡される。(小笠原 淳)

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【報道】21世紀の人質司法④

「危険物調べようと」
留置担当警官2人を証人尋問
供述強要・私物検閲国賠訴訟


「危険物がないか調べるための点検でした」――。本誌面で3年前から報告を続けている不起訴事件の黙秘権侵害・私物検閲問題で、札幌の女性が地元警察を訴えた裁判が佳境を迎えた。6月下旬の法廷で聴かれたのは、勾留中だった女性の「被疑者ノート」を無断で持ち去った警察官らによる、当時の行為に問題はなかったとの主張。捜査機関の重大な権利侵害を問う争いは今秋にも審理終結を迎え、一審判決に到ることになりそうだ。

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【シリーズ・住宅不動産情報】㉑──底堅い札幌中心部の中型・小型不動産開発

アパが札幌駅北口で土地確保
創成イースト彩り添える開発



札幌市の中心部では再開発事業や大型ビルの建て替えが進み、街並みが大きく変わろうとしている。街の顔とも呼べるこうした大規模な不動産開発は人目を引く派手さがあるが、あまり目立たない中型・小型の不動産開発も底堅く進んでいる。大型物件ばかりに焦点が当たりがちだが、実はこうした中小物件の動きこそ本当の意味で街の活力を示すバロメーターと言える。足で稼いで見つけた中小の不動産開発をレポートする。 (佐久間康介)

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2024年06月15日

北方ジャーナル2024年7月号




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【報道】保育事業の中和興産に浮上した不正受給疑惑を追う②

「全保育所休園」の衝撃
職員一斉退職を惹き起こした
歪んだガバナンスと親子関係



ドミノ倒しとはこのことだろう。本誌6月号(5月15日発売)の報道以後、同24日の札幌市による「ちゅうわ南保育園」(南区)への事業停止命令を皮切りに、中和興産株式会社(本社札幌)が運営する市内5カ所の保育所が次々に事業をストップ。6月初旬には全てが休園するという前代未聞の事態が発生した。全施設休園を招いた職員の一斉退職の原因、そして、かねてから同社が抱えていた歪んだガバナンスの問題とはいったい何なのか。実は昨秋、破綻の前触れというべき事件が同社の内部で起きていた──。         (本誌編集長・工藤年泰)

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【報道】海を越えた内部告発

「第三者」は本誌記者
鹿児島県警・不祥事隠蔽疑い
物証なき「漏洩」逮捕で口封じ



本号締め切り間際に大きく報じられ始め、にわかに各地の耳目を集めることとなった九州・鹿児島県警察の不祥事隠蔽疑惑。守秘義務違反の疑いで5月末に逮捕された元警察官は、その2カ月ほど前に組織的不正の実態を文書にまとめて報道関係者に告発していた。情報を受け取ったのは、当地から海を隔てて1600㎞ほど離れた札幌市に住むライター、即ち本稿記者・小笠原淳(55)。公益通報を託された当事者として、ここに一連のいきさつを報告する。(小笠原 淳)

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【シリーズ・住宅不動産情報】⑳──活発化する札幌中心部のオフィスビル売買

「建てるよりも買う」選択を
建設コストの上昇が後押し



再開発やビルの建て替えが進んでいる札幌市中心部。建設が進み外観が見えてきた新ビルもあって街が活気づく一方で、北海道新幹線札幌延伸の遅れや建設費高騰、人手不足などで不動産業界の見通しは不透明。そうした中で、市中心部にある既存ビルのM&Aとも言えるビルの売買が目立っている。地場の不動産業者も積極的にビル取得に動くなど、先行きが読めない中でも動きが活発だ。直近の3ケースを見てみよう。(佐久間康介)

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【報道】棄却された仁木町の住民監査請求

「業者と町との癒着」を完全否定
監査結果で拭えぬ疑問を追及へ



仁木町(佐藤聖一郎町長)の動きに関する続報だ。同町の再生可能エネルギービジョン策定業務を「ワンテーブル」(宮城県多賀城市)に委託したのは官製談合の疑いがあるなどとして、町が支払った委託費の返還や佐藤聖一郎町長と林幸治副町長に損害賠償を求めていた同町の農業、宮下周平氏(73)の住民監査請求について、町監査委員は5月10日付けで請求を棄却、一部を却下した。これを不服とする宮下氏は以後も2回の住民監査請求を行なったが、いずれも却下。住民訴訟も視野に入れながら近く4回目に踏み切り、あくまで佐藤町長らの責任を追及していく考えだ。   (武智敦子)

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2024年05月15日

北方ジャーナル2024年6月号




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【報道】保育事業の中和興産に浮上した不正受給疑惑を追う

“夜の街”に溶けた公金
国と札幌市が7千万円返還命令
園児と保育士の数を虚偽申請か



一部の道内放送局が事業者の名称を伏せて4月上旬から報じている保育園疑惑の全貌が明らかになってきた。企業主導型保育園への助成金や認可保育園への補助金が過払いだったとして、札幌市内で保育園事業を展開している中和興産株式会社(本社札幌)が国と市合わせて約7千万円の返還を命じられ、元職員らが「園児や保育士の数が大幅に水増しされていた」と告発の動きを強めている。公金の多くが“夜の街”に消えた疑いもあり、事件は巨額不正受給疑惑の様相を呈しつつある。大切な子どもを預ける現場でいったい何が起きていたのか──。 (本誌編集長・工藤年泰)

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【報道】先端半導体工場「ラピダス」の操業を危惧する藤原寿和さんに訊く

バラ色だけではない未来
半導体に潜む環境汚染
職業病などの負の側面



次世代半導体の国産化をめざし千歳市内で工場建設が進む「ラピダス」をめぐり、バラ色の未来ばかり語られるが、それは真実だろうか。40年あまり東京都職員として環境行政に携わり、全国の廃棄物問題の市民運動にも奔走してきた藤原寿和さんは今、新たな先端半導体工場の建設に疑問を募らせる。排水による環境汚染をはじめ労災・職業病や爆発・火災事故などの発生、環境アセスメントの不備など半導体製造の“負の側面”について、来札した藤原さんに訊いた。(ルポライター・滝川 康治)

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【報道】告発・絶望の学府㉜

道 自殺に「お詫び」せず
江差パワハラ死、謝罪1年
遺族代理人「騙された思い」



北海道立高等看護学院のパワーハラスメント問題で、当時の教員らに追い込まれて命を絶った学生の遺族が激しい後悔の念に苛まれることになりそうだ。ハラスメントと自殺との“相当因果関係”を認めた第三者調査に反し、学院設置者の道が同調査報告の重要な結論を事実上黙殺、昨年5月の遺族への謝罪は自殺の責任を詫びたものではなかったとの認識を明文化したのだ。当事者ならずとも徒労感を覚える、不可解な対応。この1年は、何だったのか――。(小笠原 淳)

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【報道】道警不祥事から考える〈70〉

監察トップ 泥酔
若手は大麻で免職・辞職
未発表疑いの副業事案も



職員の不祥事に対応する監察官室のトップが自ら失態を晒したかと思えば、拝命まもない若手職員間での薬物のやり取りが発覚する。新年度の幕開けは、地元警察にとって穏やかならぬ春となった。定期的な公文書開示でも、これまでに漏れず未発表が疑われる懲戒処分が確認でき、その総数も前年比2倍以上の増加を示すなど、負の話題には事欠かない。本年最初の速報を兼ね、現時点で伝わった事案の報告を――。(小笠原 淳)


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2024年04月15日

北方ジャーナル2024年5月号




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【報道】課題が山積する北海道医療大の北広島移転

遅れる移転計画の策定
巨額資金調達に大きな壁か
“置き去り”の当別町で悲鳴



当別町と札幌市北区にキャンパスを構える北海道医療大学の移転計画に遅れが出始めている。2028年4月までに「北海道ボールパークFビレッジ」(BP・北広島市)に全施設を移すとして、運営する学校法人東日本学園(鈴木英二理事長)が本年3月までに基本計画をまとめる予定だったが、本誌の取材で計画策定が6月ごろまでずれ込むことが分かった。移転費用の調達などの課題が山積しているもようで、今回の移転自体を危ぶむ声も聞かれる。あらためて道医療大の北広島移転を問う──。(ジャーナリスト 黒田 伸)

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【報道】厚真の砂利採取場で起きた産廃不法投棄事件を追う

最終処分場に持ち込まれず
野ざらしにされた建築廃材



厚真町で砂利採取業を営んでいた事実上の経営者が産廃の不法投棄に手を染めていた疑いが浮上した。同氏は配偶者が苫小牧市内に所有していた家屋を社員を使って解体し、建築廃材などを処分場ではなく砂利採取場に運ばせていた。これらの産廃は、採取場の土地が他者のものになった現在も野ざらしのままだ。厚真の現場でいったい何が起きていたのか──。  (本誌編集長・工藤年泰)

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【報道】告発・絶望の学府㉛

道「因果関係」否定貫く
江差パワハラ死問題で交渉決裂
遺族落胆「謝罪は何だったのか」



記者会見で地元報道が質問を繰り返しても、議会で複数の会派が追及を続けても、ほかならぬ当事者の代理人が粘り強く交渉を重ねても、その役所は毫も動くことがない。北海道立高等看護学院の在学生自殺問題で、第三者調査が認定したハラスメントと自殺との因果関係を道は一貫して否定し続け、賠償交渉で譲歩した遺族の提案さえも拒絶した。真意を問われた知事は、事ここに到ってなお常套句を繰り返すのみ。「誠意をもって対応する」と――。(小笠原 淳)

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【報道】告発・陸の蟹工船〈5〉

報酬「お菓子やジュース」
週7日労働の障碍者に賃金なし
恵庭・虐待疑いの牧場主認める


「健常者に対しては許されないことが、障碍者相手ならば許されるのか」。訴えを起こした知的障碍者たちの代理人は憤りを隠さない。昨年10月号以降の誌面で報告を続けている、恵庭市の牧場経営者による虐待疑い事件。事態を隠蔽していたとされる自治体とともに損害賠償請求の訴えを受けた関係者が、指摘される長期間の賃金未払いを事実上認めた。無休の労働の対価は、「お菓子やジュース」だったという。(小笠原 淳)

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2024年03月15日

北方ジャーナル2024年4月号




3月15日発売。お求めは道内有名書店、セイコーマート、インターネットではAmazon、またはオンライン書店『Fujisan.co.jp』、あるいは直接当社(右サイドバーのメールボタンから)までお問い合わせください。

【報道】道警不祥事から考える〈69〉

被害者は小1女児
児童わいせつの元警官に求刑3年
不起訴事件「不当」議決で明るみに



現職警官が同居する養女にわいせつな行為を強要し、親族の告発で容疑者として捜査を受けながらも起訴を免がれ、職場である警察本部も報道発表を見合わせた――。事実関係の多くが藪の中だったその不祥事が、発生から2年以上を経て公開の場で裁かれるに到った。第三者機関の「不起訴不当」議決を機に法廷で明かされることになった事件の概要を、発覚までの経緯と併せてここに報告する。小さからず注目されていた筈の裁判の模様は、なぜかどこにも報じられていない。(小笠原 淳)

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【報道】“核のゴミ”レポートPART38 「概要調査」めぐり真価を試される鈴木道政

いま毅然と“道是”を示せ
公表された「文献調査」の報告書
国策に翻弄されない地域作りを



2月13日、後志管内の寿都町と神恵内村を対象にした、“核のゴミ”最終処分場の選定に向けた文献調査の「報告書案」がようやく公表された。「第3の自治体」に浮上した長崎県対馬市では、3月3日投開票の市長選で調査反対の現職が圧勝し、調査に手を上げた自治体は2町村だけに。概要調査に「現時点では反対する」鈴木直道知事は今後どう対応するのか──堂垣内知事時代から「処分地は受け入れず」を基本にしてきた道政の流れや、幌延町での放射性廃棄物施設をめぐる膠着状態からの脱却をめざして制定された「特定放射性廃棄物に関する条例」の経緯などをたどりつつ考えた。道教育大名誉教授で地質学者の岡村聡さんによる「報告書案」批判と併せて紹介する。(ルポライター・滝川 康治)

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【経済】倶知安観光協会の吉田聡代表理事が「ニセコバブル」に反論

世界が認めた確かな実力
「バブル」と言われ続け20年
正しく評価されないニセコ



倶知安とニセコにまたがるいわゆる「ニセコエリア」が外国人スキー客で大賑わいだ。コロナ禍を経たいま、円安も追い風に国際的なスキーリゾートとして完全復活したと言っていい。しかし、一部メディアや識者の間には「ニセコバブル」と称して先行きを危ぶむ論調も少なくない。果たしてバブルに踊っているのか、それとも世界に認められた本物の人気なのか。おりしもスキーシーズン真っ只中、倶知安観光協会の吉田聡代表理事にニセコエリアの現状を訊いた。   (3月4日取材 佐久間康介)

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【シリーズ・住宅不動産情報】⑰──回復しない戸建て住宅需要

バブル超え株価でも底打たず
3年連続1万戸割れに現実味



戸建て住宅の需要が回復しない。国土交通省によると2023年の道内の住宅着工戸数は1万686戸で、そのうち持ち家は8277戸と2年連続で1万戸を割り込み、過去65年間で最少となった。株価はバブル時の最高値を34年ぶりに更新し、全国的に賃上げ期待が広がるが、北海道の景況感に持ち直しのムードは乏しく、戸建て需要が底を打つ気配はない。24年も1万戸割れが続く見通しだ。    (佐久間康介)

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2024年02月15日

北方ジャーナル2024年3月号




2月15日発売。お求めは道内有名書店、セイコーマート、インターネットではAmazon、またはオンライン書店『Fujisan.co.jp』、あるいは直接当社(右サイドバーのメールボタンから)までお問い合わせください。

【報道】21世紀の人質司法③

「逃げてねえか」
黙秘権侵害映像、法廷で上映
国賠訴訟で異例の「文書提出」



「供述拒否権は『嘘ついていい権利』じゃない」「それは間違った選択肢だと思う」「逃げてるつもりはねえか」――。無言で俯く女性に、執拗に迫り続ける警察官たち。延べ約25時間に及んだという密室の取り調べの様子が、警察自身の手で撮影・録音されていた。その一部が裁判所で上映されたことで、長時間の権利侵害の実態が白日の下に。被害女性の代理人らは、改めて訴える。「この取り調べが合法というなら、黙秘権は何のためにあるのか」。(小笠原 淳)

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【報道】告発・陸の蟹工船〈4〉

市、事業所に合流迫る
恵庭牧場・障碍者虐待疑い訴訟
事業所報告「事実と異なる」と市



本誌などが報告を続けている恵庭市の牧場での障碍者虐待疑い問題で、当事者から訴えを起こされた自治体が地元の相談支援事業所へ「訴訟告知」を行なっていたことがわかった。早期に虐待の存在を疑っていた事業所を、市が自分たちの側につける形で裁判に合流させようというのだ。これに驚いた原告側は近く、同様の訴訟告知を行なって事業所に協力を求める考え。長期の虐待隠蔽が問われる事件の行方は、なお予断を許さない状況だ。(小笠原 淳)

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【経済】タクシー不足解消をどうする

誰が地域の足を守るのか
日本版ライドシェアの行方と
ハイタク業界の「新潮流」とは



二種免許を持たない一般の人がタクシー会社の管理下で自家用車を使って客を運ぶ「日本版ライドシェア」の試験導入が4月から東京で始まる。タクシーを拾えなかったり、配車を依頼してもなかなか来ない「地域」「時期」「時間帯」を限定した導入だが、安全管理やサービス面の課題もあり全面解禁の行方は不透明。人口減少の流れを受け鉄道やバスといった公共交通が縮小する中、地域の足をいかにして守っていくのか──。タクシー難民の解消に向け「ニセコモデル」など独自の取り組みも進めている北海道ハイヤー協会の今井一彦会長(71)に訊いた。   (12月17日取材 聞き手=工藤年泰)

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【被災地支援】つしま医療福祉グループが能登半島地震で介護支援

被災者の苦難に寄り添って
不自由な高齢者をサポート



厚生労働省からの要請を受け、つしま医療福祉グループ(本部札幌市豊平区・対馬徳昭代表)が1月中旬から能登半島地震の被災地に職員を派遣し、避難所で介護が必要なお年寄りを支えている。1月15日に出発した第1班を皮切りに、22日からは第2班、28日からは第3班、2月4日からは第4班が向かい、それぞれ1週間現地で活動に従事。同グループでは第4班以降も継続派遣を決めている。今回の支援の概要をはじめ現地の様子や介護に当たった職員の声を紹介する。      (工藤年泰)

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2024年01月15日

北方ジャーナル2024年2月号




1月15日発売。お求めは道内有名書店、セイコーマート、インターネットではAmazon、またはオンライン書店『Fujisan.co.jp』、あるいは直接当社(右サイドバーのメールボタンから)までお問い合わせください。

【報道】全国中堅ゼネコンTSUCHIYAの架空発注疑惑を追う

「それは会社のためだった」
ツチヤ北海道支店が裏金を
作った本当の理由とは──



年間売上高約630億円の中堅ゼネコンとして知られるTSUCHIYA(ツチヤ)株式会社(本社岐阜・土屋智義会長兼社長)。同社の北海道支店(札幌市中央区)に勤めていた建築部副部長のM氏(68)が昨年6月、懲戒解雇され同社を後にした。だがこの懲戒解雇の裏には「架空発注」による裏金作りという大きな不祥事が潜んでいた。いったい同社の北海道支店で何が起きていたのか──。  (本誌編集長・工藤年泰)

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【報道】告発・絶望の学府㉚

パワハラ死問題 越年
江差看護・保護者らが知事要請
議会では各会派からの追及続く



「ご遺族の意向を伺いながら、丁寧かつ誠意をもって対応して参ります」――。どこで誰から問いを受けても、北海道トップの答えに“ブレ”はない。およそ具体性を欠いた言葉は、2024年も変わらず唱えられ続けることになるのか。少なくともその「誠意」はまだ、肝心の遺族には伝わっていないようだ。道立高等看護学院のハラスメント問題、最悪の被害は未解決のまま、またしても1つ年を越すこととなった。(小笠原 淳)

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【報道】苫小牧・老舗ガス業者で“独裁”か

「ぶん殴ってやりたい」
公益企業でパワハラ疑い
被害男性が社長など提訴



「ぶん殴ってやりたい」「ふざけんな」「本当に馬鹿」――。聴くに堪えない罵詈雑言の発信元とされるのは、苫小牧市のガス会社。被害を訴える男性は3年前に起きた事故を機に社長から理不尽なハラスメントを受け続け、心を病んで休職せざるを得なくなったという。労働災害の認定を経て損害賠償請求裁判に踏み切ったのは、理不尽な被害の再発防止を願うため。地域のライフラインを担う公益企業には一日も早く正常な職場に戻って欲しいという。(小笠原 淳)

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【シリーズ・住宅不動産情報】⑮──札幌圏で不動産開発進める日本エスコン

「キングムー」解体後にホテル
地場オフィスビル2棟も取得



プロ野球日本ハムファイターズの新球場、「エスコンフィールド北海道」の命名権を得るなど、北海道での知名度が急速に高まっている日本エスコン(東京本社・東京都港区)。新球場の玄関口である北広島市内では、駅西口で複合ビル開発を進める一方、札幌市内では新たにオフィスビル開発事業にも乗り出す。さらに、札幌のディスコ・クラブシーンを彩ってきた「キングムー」の土地建物を取得、解体後にはホテル建設を計画するなど、札幌圏の不動産市場で存在感が高まりつつある。(佐久間康介)

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2023年12月15日

北方ジャーナル2024年1月号




12月15日発売。お求めは道内有名書店、セイコーマート、インターネットではAmazon、またはオンライン書店『Fujisan.co.jp』、あるいは直接当社(右サイドバーのメールボタンから)までお問い合わせください。


【報道】告発・絶望の学府㉙

「息子は戻らない」
江差パワハラ自殺・遺族の慟哭
因果関係否定で「頭が真っ白に」



本誌前号で報告した“手のひら返し”が波紋を呼んでいる、北海道立江差高等看護学院の在学生自殺問題。教員によるパワーハラスメントと学生の死との「相当因果関係」をめぐって道の主張が二転三転する中、渦中の遺族が改めて取材に応じ、当局への不信感をあらわにした。「被害を認めた第三者調査は何だったのか」――。当事者の疑問に応える真っ当な説明は、寝耳に水の連絡から1カ月以上が過ぎた今も聴こえてこない。(小笠原 淳)

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【報道】告発・陸の蟹工船〈3〉

牧場主「いわば里親」
障碍者虐待問う裁判、弁輪始まる
恵庭市は当事者間の雇用関係否定



長期間にわたる不当労働行為や年金詐取などが指摘される障碍者虐待疑惑で11月下旬、被害を訴える当事者らが起こした裁判が初弁論を迎えた。原告代理人は意見陳述で、地元自治体による問題の放置や隠蔽の疑いを強く批判したが、自治体側は虐待の事実を否定、隠蔽もなかったなどとして争う姿勢を見せることに。3人の知的障碍者を無給で働かせていた雇用主は、被告の認識では「里親」だったのだという。(小笠原 淳)

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【報道】違法捜査 被害者は警察官

現職警官 道警提訴
合法古式銃所持で不当捜査か
「精神異常」扱いで降下評定も



趣味のモデルガンを入手しただけで銃刀法違反の疑いをかけられ、違法捜査の被害に遭った上に職場で不利益な扱いを受けた――。そう訴える声の主は、現職の警察官。「おかしいものはおかしい」の思いに従って11月下旬、職場である北海道警察に損害賠償を求める裁判を起こした。問われた“事件”は不起訴処分に終わったものの、理不尽な被害はその後も回復できていない。「組織を訴えるとは精神異常に違いない」と、今なお不当な扱いが続いているという。(小笠原 淳)

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【経済】

BiVi新さっぽろとCOCONO SUSUKINO
札幌市の「2大再開発」が同時期に完了

人口減にコロナ疲弊、地域課題解決の糸口に



札幌市内で進んでいた2つの大規模再開発が、このほど完了を迎えた。ひとつはBiVi(ビビ)新さっぽろの開業に伴う教育機関、医療機関、商業施設などが集積した新さっぽろ再開発。もうひとつはかつての商業ビル・ラフィラにかわるススキノの新たな複合商業施設COCONO SUSUKINO(ココノススキノ)の完成だ。開業日は奇しくも同じ11月30日。新さっぽろ含む厚別区は人口減少、少子高齢化の進行、ススキノはコロナ禍による疲弊と、いずれも大きな地域課題を抱えた中での再開発だったが、どうやらいずれもこれらの地域課題解決を目指す上で大きな役割を担っていきそうだ。                        (髙橋貴充)


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2023年11月15日

北方ジャーナル2023年12月号




11月15日発売。お求めは道内有名書店、セイコーマート、インターネットではAmazon、またはオンライン書店『Fujisan.co.jp』、あるいは直接当社(右サイドバーのメールボタンから)までお問い合わせください。

【報道】告発・絶望の学府㉘

道「因果関係」否定
遺族らの不信招く手のひら返し
江差パワハラ死、示談交渉暗礁



一昨年から本誌面で報告を続けている北海道立江差高等看護学院のパワーハラスメント問題で、在学生の自殺事案をめぐり北海道が第三者調査の結果を否定する認識を示し始めた。本年5月には知事や担当部局が学生の死とハラスメントとの「相当因果関係」を認めて頭を下げているが、ここに来て一転、「そうとは言い切れない」との主張。謝罪から僅か半年後の豹変に、亡くなった学生の遺族は強い失望感に苛まれている。

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【報道】道警不祥事から考える〈66〉

現金盗、未発表か
道警不祥事“第3四半期”速報
盗撮報道の巡査には“余罪”も



2023年もまた、懲戒処分などの全件公表を免れる“特権”は揺るがなかった――。地元警察の直近の不祥事記録を紐解くと、相も変わらず未発表が疑われる事案が複数あったことが見てとれる。うち1件は地元紙の独自取材であかるみに出ることとなったものの、ほかの報道大手が後追いするには到らず、別の1件は報道された形跡がない。定期的な公文書開示請求であきらかになった事実、取り急ぎまとめて報告を。(小笠原 淳)

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【報道】性的少数者に法の下の平等を⑥

司法の英断を――
LGBT当事者が最後の意見陳述
「結婚の自由」札幌訴訟、二審終結



地元裁判所への提訴から4年半あまり、一審で全国初の違憲判決を得てからは2年半が過ぎる「結婚の自由をすべての人に」札幌訴訟。婚姻の要件を異性間に限定せず、差別的取り扱いを解消するよう求めるその闘いは、来年3月にも2度めの判決言い渡しを迎えることになる。事実審として最後の口頭弁論となった10月末の法廷では、当事者らが改めて意見陳述に臨んだ。足かけ6年、文字通りの春は訪れるのか――。 (小笠原 淳)

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【国際】戦時下のウクライナを歩いた元朝日新聞記者が札幌で報告会

「ロシアとの戦争」で国民が
ひとつになったウクライナ

プーチンの犯罪とロシアの帝国主義



昨年2月24日に突如始まったロシアのウクライナ進攻。戦況に関するニュースは日々報じられても、戦火の下で生きる人々の声はほとんど伝わってこない。ロシア軍による砲撃やミサイルによる街の破壊、地下壕での避難生活や拉致監禁、性暴力、そして虐殺──。そんな人々の生の声に耳を傾けようと昨年11月から1カ月半、現地を取材したのが元朝日新聞記者でジャーナリストの岡野直(おかの・ただし)氏だ。その岡野氏が10月13日、「札幌なにかができる経済人ネットワーク」(呼びかけ人・越智文雄氏)の招きで来札し、市内で講演を行なった。今回の戦争の背景、そして市民たちの現在は──。ウクライナとロシアに精通している岡野氏のリアルな報告に耳を傾けてもらいたい。(工藤年泰・武智敦子)

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2023年10月14日

北方ジャーナル2023年11月号




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【報道】鵡川漁協で起きた役員改選妨害事件を追う

怪文書を組合員にばら撒いた
“暴露系ユーチューバー”の正体



胆振総合振興局管内で太平洋に面する「むかわ町」。ししゃもで知られるこのまちを支える鵡川漁業協同組合(小谷地好輝代表理事組合長)で起きた事件を報告したい。昨年6月の役員改選の最中、多くの組合員の自宅に「暴露系ユーチューバー」を名乗る人物から特定の候補者を誹謗中傷する怪文書が投函され、その影響から役員の選任が見送られる出来事があった。当事者は悪質な名誉毀損として刑事告訴に踏み切ったが、いまだに事件は解決していない。怪文書をばら撒いた差出人の目的とは何か、そして事件の背景にあるものは──。    (本誌編集長・工藤年泰)

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【報道】告発・陸の蟹工船〈2〉

「お答えを控える」
隠蔽疑いに恵庭市“無答弁”
障碍者虐待疑惑で議会追及



道央・恵庭市の牧場で長期間の障碍者虐待が疑われている問題で、地元市議会の野党系議員らが市の隠蔽疑惑を相継いで追及した。本会議と委員会で事案の事実関係などを質された理事者側は「お答えを控える」との答弁を連発、その理由を問われては曰く「裁判になっているため」。指摘される不適切な対応があったか否かは、飽くまで法廷であきらかにしていくという。市民が傍聴する開かれた議会でのやり取りは、市にとっては「場外戦」だった――。(小笠原 淳)

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【報道】問われる自治体の人権感覚②

「力尽くしたが…」
同性事実婚の扶養関係認めず
SOGIハラ訴訟で地裁判決



「同性パートナーを持つ北海道職員は、今回の判決にがっかりし過ぎないで」――。当事者の1人としてその訴えを起こした人は、かつての職場で自身と同じ差別に遭っている人たちにそう呼びかける。自らの闘いは不本意な結果に終わったが、この5年あまりを「とことんやりきった」と振り返り、問題提起としての訴訟の意義を再確認した。長い闘いから自分を解放し、今後は眼の前のパートナーとの時間を大切に過ごしていきたいという。 (小笠原 淳)

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【連載】“核のゴミ”レポートPART36 “原子力マネー”に頼らない地域づくりをめざす試み

地域を磨くか核に頼るか
アンケート調査で分かった
寿都町民の本音と憤りとは



後志管内の寿都町と神恵内村を対象に始まった“核のゴミ”最終処分場の候補地選定に向けた動きの中で問われているのは「原子力マネーに依存する道か」、それとも「地場資源を生かし、自立する町づくりをめざすのか」の選択でもある。この夏、泊原発周辺の住民団体が札幌のNPO法人に委託し、寿都町民を対象にしたアンケート調査を実施したが、その結果から町の将来に対する世代間の捉え方や、NUMO(原子力発電環境整備機構)が進めてきた「文献調査」によって住民が分断されたことへの憤りも伝わってくる。アンケートで見えてきたことをはじめ町づくりシンポジウムの様子や、地場資源を生かした事業を展開中の吉野寿彦さんの講演内容を紹介しよう。  (ルポライター・滝川 康治)

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2023年09月15日

北方ジャーナル2023年10月号




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【報道】告発・陸の蟹工船

長期虐待 隠蔽か
障碍者から年金詐取の疑い
恵庭の牧場などに賠償請求



知的障碍のある人たちが劣悪な環境で休みなく働かされ、計5000万円以上の年金を詐取されていた。当地の自治体は5年以上前にその疑いを把握していたが、障碍者たちの雇用主が元議員であると知り、見て見ぬふりを決め込んだ――。そんな告発の声が上がったのは、8月下旬のこと。語られる被害が事実なら、およそ信じ難い人権侵害が、否、あきらかな犯罪行為が長期間見過ごされてきたことになる。舞台は札幌近郊の恵庭市。言うまでもなく、この21世紀の出来事だ。

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【報道】“核のゴミ”レポートPART35 最終処分地の選定に影響を与える寿都町議選の行方

小さな町の大きな選択
いま、地元振興と片岡町政の
チェック機能を果たす議会へ



10月3日、“核のゴミ”最終処分場の候補地選定に向けた「文献調査」が終わった後志管内寿都町で、町議会議員選挙が執り行なわれる(告示は9月28日)。有権者数は2330人。9月初めまでに定数9に対し11人の立候補が確実視されており、少数激戦の様相に──。基幹産業である漁業と水産加工業の活性化をはじめ、少子高齢化や子育ての対策、観光振興など課題は山積しているが、「概要調査」の是非を問う住民投票が焦点になる中、議会側が片岡町政をどうチェックしていくのか、その試金石になる選挙といえる。立候補予定者の顔ぶれや核ゴミ問題をめぐる町議会の経緯、さらに事前調査の行方など寿都町議選の周辺を取材した。  (ルポライター・滝川 康治)

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【報道】寿都町議選のもうひとつの争点──「地元の社福と町長の危うい関係」

町議選に出馬する新人候補が
追及する片岡町政の死角とは



9月28日に告示され10月3日に投票を迎える寿都町(片岡春雄町長)の町議会議員選挙(定数9)で、立候補を予定している異色の新人が田原誠氏(74)だ。寿都に生まれ近年故郷にUターンしてきた田原氏は核のゴミ持ち込みに反対するひとりだが、「そもそも問題の本質は片岡町長が長期独裁を敷いてきた弊害にある」として独自に調査・追及を続けている人物。核のゴミ問題の影に隠れた、地元の社会福祉法人徳美会がらみの片岡町政の死角とは──。    (本誌編集長・工藤年泰)

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【環境】双日の風車計画中止を勝ち取った住民団体が報告会

「最高の結果」を得た一方で
風力開発が各地で進む現実



東京の大手総合商社双日が小樽市と余市町にまたがる毛無山周辺の国有林に計画していた風力発電施設の建設は、既報のように小樽市長の反対表明で6月中旬、中止に追い込まれた。この結果を受けて、住民団体「小樽余市の巨大風力発電から自然と生活を守る会」が9月2日午後、小樽市内で市民報告会を開いた。集会では「最高の結果」と評価する一方で、仁木や余市町、石狩湾など周辺地域で進む風車の建設計画に反対していくため、同月23日に新たな住民団体を立ち上げることを明らかにした。           (武智敦子)
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2023年08月15日

北方ジャーナル2023年9月号




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【報道】障害者グループホームの闇を追う【1】

札幌のベンチャー企業に
急浮上した不正請求疑惑



グループホーム事業を手掛ける札幌市内の会社が障害者を喰い物にしている疑惑が浮上した。疑いの目を向けられているのは、3年前に市の指定を受け福祉事業に参入したベンチャー企業、株式会社i&F(アイ・アンド・エフ)だ。同社が運営するグループホーム「リピア」のカビだらけの部屋から寄せられたSOSをきっかけに、見えてきた不正の実態とは──。  (本誌編集長・工藤年泰)

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【報道】地元紙・80年めの迷走〈13〉

編集幹部 また自殺か
北海道新聞で現場に動揺
半年間に2人急逝の衝撃



年明けに常務取締役が急逝した北海道新聞(札幌市中央区、宮口宏夫社長)で編集幹部がまた1人、自殺とみられる状況で亡くなったことがわかった。直後から社内では過労やパワーハラスメントを疑う声が湧き起こり、背景の詳しい説明が求められ始めたが、充分に社員たちの腑に落ちるような報告は未だない。僅か半年の間に幹部の訃報が相継ぐ事態に、編集現場では社への不信感が頂点に達しつつあるようだ。(小笠原 淳)

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【報道】告発・絶望の学府㉗

信頼回復 どこまで
江差看護、初の「まつり」上首尾
議会ではパワハラ“その後”追及




在学生自殺事案の被害認定で一段落した趣きの、北海道立高等看護学院のハラスメント問題。出直しをはかる現場では新たな試みが重ねられ、この夏には初めて地域に開かれたイベントが企画された。一方、過去の被害の清算はなお道半ばで、地元議会では改めて真の正常化を求める声が上がることに。真っ当な看護教育機関としての再生が待たれる中、現時点で伝わる“その後”を記録しておく。(小笠原 淳)

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【報道】道警不祥事から考える〈65〉

職場の無理解、引き金に
侵入盗の元巡査部長に求刑3年
婚約者の翻弄でパニック障碍に



本誌5月号から断続的に報告してきた、元警察官による連続住居侵入事件。7月中旬に結審した裁判では、私生活で大きな悩みを抱えることになった当事者に職場の無理解が追い討ちをかけた背景があきらかになった。責任の一端は、職員のストレスを適切にケアすることができない就労環境にもあったといえる。だがこれまでの例に漏れず、組織の責任が問われることはついにない。職を失った1人のみが断罪され、一連の事件には幕が下りようとしている。(小笠原 淳)

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2023年07月15日

北方ジャーナル2023年8月号




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【報道】カブトデコムの“億ション”「パームヒル藻岩」の出火疑惑を追う

誰もいない、火の気もない
部屋から出た不審火の正体



札幌市南区川沿地区にある藻岩山。そのふもとにひときわ目立つピンク色の建物がそびえている。かつてのバブルに踊った建設会社カブトデコムが建てた超高級マンション「パームヒル藻岩」だ。さる4月初め、このマンション最上階の一室で不審火騒ぎが起き、消防や警察が大挙して出動する出来事があった。誰もおらず、火の気もないはずの部屋で、なぜ火の手はあがったのか──。  (本誌編集長・工藤年泰)

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【報道】首相批判封殺の波紋㉘

「これでは終われない」
一部逆転判決に双方上告
野次排除国賠、最高裁へ



「社会通念に照らして客観的合理性を有する」。1年あまり前にほぼ全否定された警察官たちの行為が一転、司法のお墨つきを得た。首相演説野次排除事件をめぐる争いで、6月下旬に札幌高等裁判所が示した結論だ。一審が認めた表現の自由に関する判断こそ変わらなかったものの、当事者2人のうち1人への排除行為を軒並み適法とする一部逆転判決。警察・市民の双方が上告に踏み切ったことで、舞台は地元を離れて最高裁へと移ることになる――。(小笠原 淳)

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【報道】地元紙・80年めの迷走〈12〉

夕刊廃止、手当削減…
道新、若手の7割が転職検討
内勤の収入減はようやく救済



6月初旬、複数の地元媒体が北海道新聞(札幌市中央区、宮口宏夫社長)の夕刊廃止方針を報じた。関係者間で周知の事実に外部への箝口令が敷かれる中、社内では同月下旬に時間外手当の削減が決まり、今後の離職加速が懸念される事態に。昨年問題となった内勤記者の手取り激減ではようやく救済措置が講じられたものの、これは本年暮れまでの限定対応に留まるという。組合の調査で若手の7割が転職検討との実態も伝わり、道内最大メディアの迷走はなお止まりそうにない。(小笠原 淳)

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【報道】道警・問われる強制捜査の要件②

違法捜査、常態化か
「緊急逮捕」被害者ら国賠提訴
虚偽公文書で刑事告訴も視野



本誌前々号で報告した違法逮捕事件で6月中旬、不当捜査の被害を受けた札幌の男女が地元警察に賠償を求める訴えを起こした。「今後の再発を抑止したい」という代理人らは裁判を通じて警察の虚偽報告を追及していく考えで、追って告訴・告発に臨む用意もあるという。無令状で被害者宅のドアを解錠、さらにベランダの窓を破って室内に突入し、任意同行を拒否した住人を緊急逮捕した警察。弁護人の猛抗議で明るみに出たその違法捜査は、氷山の一角なのか――。 (小笠原 淳)

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2023年06月15日

北方ジャーナル2023年7月号




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【報道】キリスト教系社会福祉法人 神愛園を揺るがす醜聞②

本誌報道で“火だるま”
トップとパワハラ幹部を外部
理事、職員が糾弾し改革へ舵


札幌市内の手稲区と清田区に事業拠点を構える社会福祉法人 神愛園(本部手稲区・後藤学理事長)。キリスト教の精神に基づき設立され、半世紀以上の歴史を歩んできた神愛園で噴き出したのが幹部によるパワハラ疑惑と“コロナ不倫”問題だ。詳細を報じた5月号(4月15日発売)以降、事態は急展開し、後藤理事長をはじめ問題の事務局長と女性施設長が責任を追及され、火だるまとなる事態へと発展。札幌の老舗社福で起きたスキャンダルの行方を追う──。 (本誌編集長・工藤年泰)

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【報道】告発・絶望の学府㉖

「もう握り潰さないで」
江差看護・パワハラ死で道が謝罪
悲劇から3年余、遺族「一区切り」



「今後は被害を握り潰さないで」「同じ思いをする子が出ないように」――。本誌前号発売直後の5月中旬、北海道立高等看護学院のハラスメント問題で最悪の被害といえる在学生の自殺問題が、ようやく一つの節目を迎えた。道の担当課から謝罪を受けた遺族は涙ながらに再発防止を訴えたが、事実調査にあたった第三者委からはハラスメントの芽が完全に摘み切れていないことへの懸念の声も。大きな節目が再生への一歩となるかどうかは、なお予断を許さないようだ。(小笠原 淳)

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【報道】道警不祥事から考える〈64〉

侵入警官、余罪次々
自宅アパートで重ねた犯行
元巡査部長、狙いは「下着」



本誌前々号で報告した元警察官の住居侵入事件はその後、当事者の懲戒免職処分を経て5月半ばに初公判を迎えた。この間に余罪の再逮捕・追起訴が続き、同下旬までに3つの事件が罪に問われる結果に。地元報道が「金に困り」「アイドルの“推し活”で」などと報じていた犯行動機は、実際には「女性の下着を盗むため」だったようだ。一連の現場は、元警察官自身が住むアパート。常習と言ってよい侵入行為は、4年前に始まっていた――。(小笠原 淳)

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【報道】問われる自治体の人権感覚

扶養認定「差別やめて」
道職員SOGIハラ訴訟結審
3年越しの訴え、今秋判決へ



出会って5年になるパートナーへの思いを問われたその人は、裁判所の証言台で左手の薬指を示し「死ぬまで一緒にいたい」と即答した。衣食住をともにするパートナーは、互いに家族ぐるみでその関係を認め合う文字通りの伴侶。ところが職場の地方自治体はこれを否定し、2人が戸籍上同性であるという理由だけで事実婚の関係を認めなかった。あからさまな差別に異を唱えて起こした闘いは、3年めの秋に一つの区切りを迎えることになる。 (小笠原 淳)

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2023年05月15日

北方ジャーナル2023年6月号




5月15日発売。お求めは道内有名書店、セイコーマート、インターネットではAmazon、またはオンライン書店『Fujisan.co.jp』、あるいは直接当社(右サイドバーのメールボタンから)までお問い合わせください。

【報道】道警・問われる強制捜査の要件

違法逮捕、国賠へ
無令状で窓破り突入“緊急逮捕”
裁判所「再度の考案」で勾留却下



札幌中心部の住宅地で3月下旬、面妖な捕り物があった。被害が否定された傷害事件で警察が当事者を騙して同居人に容疑をかけ、任意同行を拒否したその人を「立てこもり」扱いしたのだ。そこから4時間もの間、警察はなぜか逮捕状を裁判所に請求しようとせず、挙げ句は銃で武装した捜査員による強行突入・緊急逮捕に踏み切った。のちに違法捜査の被害が認められて釈放された元容疑者は近く、捜査機関に賠償を求める訴えを起こす考えだ。(小笠原 淳)

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【報道】函館市長選で大泉潤氏が現職に4倍差で圧勝

市民が求めた“変化”
共感呼んだ未来への危機感



時に選挙は残酷な現実を突きつける。過去に何度か繰り返されてきた多選を目指す現職首長の惨敗。4月23日に投開票が行なわれた函館市長選は、そんなリアリズムを見せつけた。4選を目指した現職・工藤寿樹氏(73、自民党・公明党函館支部推薦)と新人で同市元保健福祉部長、大泉潤氏(57、立憲民主党支持)の一騎打ち。結果は4倍以上の大差で大泉氏の圧勝というものだった──。  (佐久間康介・工藤年泰)

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【報道】告発・絶望の学府㉕

明暗分けた「紋別」
退学強要、パワハラ不認定
鬱発症事案では賠償で和解



4年前の在学生自殺事案がハラスメント認定されたばかりの北海道立高等看護学院をめぐる問題で、同認定と時期を同じくして別の被害申告がことごとく認められない結果に終わっていたことがわかった。さらにまた別の被害の示談交渉では被害者がようやく納得できる額の賠償が認められるなど、事案によって首尾が大きく異なる事態に。舞台はいずれも道東・紋別の看護学院。長い闘いを強いられた当事者の声とともに、各件の顛末を報告したい。(小笠原 淳)

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【報道】道警不祥事から考える〈63〉

未成年「同伴」4時間
異性関係事案、本年も最多か
道警・懲戒など1―3月速報



地元警察の不祥事、本年第1四半期(1―3月)の処分記録が出揃った。北海道職員の中で唯一懲戒処分の全件発表を免がれる“警察特権”は2023年も磐石。同時期に1件だけ記録された懲戒事案は複数の未成年が関わる「不適切」な不祥事だったが、処分が公表された形跡はない。もとより発表の対象とならない監督上の措置(懲戒に到らない軽微な制裁)も含め、文書開示請求で得られた事実を報告する。 (小笠原 淳)

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