2023年06月15日
北方ジャーナル2023年7月号

6月15日発売。お求めは道内有名書店、セイコーマート、インターネットではAmazon、またはオンライン書店『Fujisan.co.jp』、あるいは直接当社(右サイドバーのメールボタンから)までお問い合わせください。
【報道】キリスト教系社会福祉法人 神愛園を揺るがす醜聞②
本誌報道で“火だるま”
トップとパワハラ幹部を外部
理事、職員が糾弾し改革へ舵

札幌市内の手稲区と清田区に事業拠点を構える社会福祉法人 神愛園(本部手稲区・後藤学理事長)。キリスト教の精神に基づき設立され、半世紀以上の歴史を歩んできた神愛園で噴き出したのが幹部によるパワハラ疑惑と“コロナ不倫”問題だ。詳細を報じた5月号(4月15日発売)以降、事態は急展開し、後藤理事長をはじめ問題の事務局長と女性施設長が責任を追及され、火だるまとなる事態へと発展。札幌の老舗社福で起きたスキャンダルの行方を追う──。 (本誌編集長・工藤年泰)
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【報道】告発・絶望の学府㉖
「もう握り潰さないで」
江差看護・パワハラ死で道が謝罪
悲劇から3年余、遺族「一区切り」

「今後は被害を握り潰さないで」「同じ思いをする子が出ないように」――。本誌前号発売直後の5月中旬、北海道立高等看護学院のハラスメント問題で最悪の被害といえる在学生の自殺問題が、ようやく一つの節目を迎えた。道の担当課から謝罪を受けた遺族は涙ながらに再発防止を訴えたが、事実調査にあたった第三者委からはハラスメントの芽が完全に摘み切れていないことへの懸念の声も。大きな節目が再生への一歩となるかどうかは、なお予断を許さないようだ。(小笠原 淳)
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【報道】道警不祥事から考える〈64〉
侵入警官、余罪次々
自宅アパートで重ねた犯行
元巡査部長、狙いは「下着」

本誌前々号で報告した元警察官の住居侵入事件はその後、当事者の懲戒免職処分を経て5月半ばに初公判を迎えた。この間に余罪の再逮捕・追起訴が続き、同下旬までに3つの事件が罪に問われる結果に。地元報道が「金に困り」「アイドルの“推し活”で」などと報じていた犯行動機は、実際には「女性の下着を盗むため」だったようだ。一連の現場は、元警察官自身が住むアパート。常習と言ってよい侵入行為は、4年前に始まっていた――。(小笠原 淳)
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【報道】問われる自治体の人権感覚
扶養認定「差別やめて」
道職員SOGIハラ訴訟結審
3年越しの訴え、今秋判決へ

出会って5年になるパートナーへの思いを問われたその人は、裁判所の証言台で左手の薬指を示し「死ぬまで一緒にいたい」と即答した。衣食住をともにするパートナーは、互いに家族ぐるみでその関係を認め合う文字通りの伴侶。ところが職場の地方自治体はこれを否定し、2人が戸籍上同性であるという理由だけで事実婚の関係を認めなかった。あからさまな差別に異を唱えて起こした闘いは、3年めの秋に一つの区切りを迎えることになる。 (小笠原 淳)
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【“核のゴミ”レポートPART34】最終処分地の選定に向けた「事前調査」をめぐる状況
地層処分は壮大な虚構
国が前のめりになる中、寿都と
神恵内は概要調査に向かうのか

2020年11月に後志管内の寿都町と神恵内村を対象に始まった“核のゴミ”最終処分場の候補地選定に向けた「文献調査」が終わり、新たな局面を迎えた。政府は今年4月に地層処分に関する基本方針を改定し、これまで以上に権力と札束をちらつかせて立地調査を推進する方策を示し、長崎県の対馬では文献調査への応募が取り沙汰されている。ふたつの町村が今後、次の「概要調査」に向かうのかどうか──住民投票の行方とも絡んで目を離せない。「トイレなきマンション」を放置し、原発の負の遺産を増やした歴史を追認するのではなく、北海道の宝である一次産業や観光を軸にした地域振興を進めることがあらためて問われている。 (ルポライター・滝川 康治)
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【追悼】脱原発に生涯を捧げた市民科学者・斉藤武一さんを悼む
「故郷の海が呼んでいる」
執念で44年間測り続けた海水温

後志管内岩内町の市民科学者として知られ、泊原発から出る温排水の影響を調査するため岩内港で44年間に亘り海水温を測り続けた斉藤武一さんが4月29日に亡くなった。70歳だった。手製の紙芝居で原発と放射能の問題を伝える活動に取り組み、泊原発の廃炉と運転差し止めを求める集団訴訟の原告団長も務めた。昨年は道内で進む巨大風力発電の研究も進め、環境や健康被害について警鐘を鳴らすなど生涯、市民科学者であり続けた。 (武智敦子)
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【シリーズ・住宅不動産情報】⑧──ラピダス進出に沸く千歳市の宅地開発
百区画超えの宅地開発が目白押し
市街化区域編入に前向きな千歳市

「ラピダス」の次世代半導体製造工場の建設が本決まりとなり、さまざまな方面から注目される千歳市。試作工場や量産工場の稼働で働く人は関連企業を含めると数千人規模に膨らむ見込みだ。当然、住宅も必要になることから、千歳市周辺では今後を睨み宅地開発が熱を帯び始めている。ラピダス進出が決まる前から造成が予定されていた場所を含め付近の宅地造成事情をレポートする。(佐久間康介)
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【報道】児童デイの不適切な支援計画を道が容認?②
つねり返しを療育とした児童デイ
岩見沢市は「不適切な対応」と指導

児童デイサービスの職員による子どもへの「つねり返し」は療育か虐待か──。本誌5月号で報じた岩見沢市内の児童デイの療育計画について調査していた岩見沢市が取材に応じた。市福祉課の管理職は「虐待の事実はなかった」とする一方で、「身体的虐待に当たるつねり返すという行為を(計画書に)記載したことは不適切」と結論づけ、事業者に任意で指導を行なったことを明らかにした。問題となった児童デイは、職員をつねるようになった4歳の自閉症の子どもへの療育として、つねり返すことを家族に提案したが、家族は「つねり返しは虐待」と強く反発。空知総合振興局に問題を提起していたが納得のいく回答は得られず、市に対応を求めていた。(武智敦子)
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【ニュース】
■中島公園に札幌初の5つ星ホテル
「インターコンチネンタル」開業へ
──アクサ生命が数百億円投じて新本社複合ビルを建設
■北海道経営未来塾8期生の入塾式
世界に羽ばたく若手経営者を育成
──塾生代表・小鍛冶組の小鍛冶洋介社長が決意表明
■パワハラ自殺遺族が和解を報告
「過労死家族会」設立10周年総会
──吃音への不適切指導問う闘い、2年経て終結
■対東電訴訟の控訴審で和解勧告
原発作業員の訴え、陳述で結審
──「被曝の真相究明し、適切な判断を」と一審原告
■寿都町漁協と元役員2人が慰謝料と
謝罪広告掲載などを求め本誌を提訴
──前執行部による批判封じ込めを狙ったスラップ訴訟か
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【経済】
海外のバイヤーも戻ってきた
最大規模の道産品取引商談会
衰え知らずの北海道人気を示す盛況

北海道と札幌市、(一社)北海道貿易物産振興会が主催する「北海道産品取引商談会」が6月6日・7日の2日間、ロイトン札幌を会場に催された。道内最大規模と言われる同商談会の、今回の出展事業者は道内27市46町4村から282の企業・団体。うち42事業者が初出展だった。これら北海道のものづくり事業者とマッチングをはかろうというバイヤーは、530社以上1600人を超え開場早々に黒山の人だかりとなった。そしてコロナ禍から人々の動きが元に戻りつつある中、前回は乏しかった海外バイヤーの声もそこかしこに。北海道ブランドの人気は衰え知らず、を改めて実感させられた。(髙橋貴充)
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【医療】
膝関節・股関節両分野に貢献
正確で安全な人工関節置換術
我汝会えにわ病院が2台目を導入
手術支援ロボット「Mako」の実力

医療法人社団我汝会(木村正一理事長)が運営し、人工関節置換術で全国屈指の実績を誇る「えにわ病院」(恵庭市・150床)がこの春、アメリカで開発された手術支援ロボット「Mako」(メイコー)の2台目を導入した。これにより人工膝関節置換術と人工股関節置換術を手掛けるチームがそれぞれ独自に使える体制が整った。このМakoを同病院は3年前に道内で初導入。術前のCT画像のデータから組み立てた治療計画に基づきロボットアーム(機械の腕)が医師の執刀をサポートすることで正確かつ安全な手術を可能にしている。人工関節置換術の治療体制を強化した木村理事長に今回の導入の狙いや我汝会グループの今後について訊いた。(5月24日取材 工藤年泰・武智敦子)
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【企業】エコミック「企業の給与引上げに貢献する」
人手不足、物価高の時代に有用な
生産性を高めるアウトソーシング

企業活動に不可欠ながらも、その業務自体は生産性や収益向上とは結び付かない給与計算、年末調整などの業務を受託し、取引先の業績アップに寄与しているアウトソーサーのエコミック(本社札幌・熊谷浩二社長)。その2023年3月期(22年4月~23年3月)決算は、売上高が前期を4億6000万円上回る20億円超えで着地。営業利益、経常利益、純利益のいずれも前期超えを果たし増収増益の好決算となった。これに対し、「売上に関してはまだまだ頑張れる余地があった」と振り返る熊谷社長。今後は人手不足といった社会経済問題対策の一助としてのアウトソーシングの役割も発信していきたい考えだ。(5月16日収録、髙橋貴充)
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【企業】サッポロビールが期待するぶどう栽培地
道南産の上質ワインが初リリース
グランポレール北斗ヴィンヤード

サッポロビールが良質なぶどうの確保や、同社における日本ワインのフラグシップである「グランポレール」のブランド力向上などを目指して、2018年6月に道南・渡島管内の北斗市で開園した「グランポレール北海道北斗ヴィンヤード(所在地・北斗市三ツ石)」。そのファーストヴィンテージたる「グランポレール 北斗シャルドネ〈初収穫〉2022」がこのほど完成。6月6日より500本の数量限定で初リリースとなった。これに先立つ5月25日には、北斗ヴィンヤードでお披露目会も実施。渡島総合振興局の田中仁局長や地元北斗市の池田達雄市長なども出席して、同ヴィンヤードにおける初の商品の船出を祝した。
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【観光】北海道観光振興機構の小金澤健司 会長に訊く【PART1】
組織改革に振るった大ナタ
自主財源確保で機能強化へ
「頼れる、稼げる機構」がキーワード

公益社団法人北海道観光振興機構の大改革がスタートする。北海道観光連盟の発足から77年、今の機構になってから10年。北海道観光が大きく変化する中で時代に即した組織への脱皮を目指す。そのリーダーは、国内初のウェブコールセンター、アイティ・コミュニケーションズ(本社札幌)の創業者で昨年6月に機構のトップに就いた小金澤健司会長(63)だ。就任早々大ナタをふるうことを宣言し、それから1年。いよいよ今期からかつてなかった改革が本格的に始まる見込みだ。重厚長大という古い殻を破り、新しい組織に生まれ変わることができるのか。「北海道観光の明日」を考える連続インタビュー第一弾をお届けする。 (5月29日取材 佐久間康介・工藤年泰)
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【夏のボーナス特集】「資産形成」に向き合うコツとは
大事な「何のために、いつまでに」
将来像を具体的に描くことが基本

苦難の3年間を経てポストコロナ時代が到来しているが、気がつけば物価高が押し寄せ節約志向は一段と高まっている。4年前に叫ばれた「老後2千万円不足問題」は、より深刻になってきていると言えそうだ。少子化という形で端的に表れている将来不安もさることながら資金面の不安は生活に直結する。今や「資産形成」は待ったなしの状況と言っていい。ボーナスや退職金などある程度まとまったお金が入る機会は、まさに運用を始めるベストなタイミング。国際的な生命保険会社を経て今年4月、札幌市議に初当選したファイナンシャルプランナーの山田洋聡さんに、資産形成に向き合うコツを訊いた。
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【エネルギー】電気料金値上げ対策緊急インタビュー 「あかりみらい」の越智文雄社長に訊く
規制料金23%増 自由料金は80%増!
問われる「自衛意識と対応」
これまでじわじわ値上がりし、消費者から悲鳴があがっていた電気料金だが、電力調達コストの高騰などを理由に6月1日から全国大手電力会社7社による大幅値上げが始まった。北海道電力の値上げ幅は、国から認可を得た規制料金で約23%増、自由料金では80〜90%もの値上げもあるという衝撃的な事態に。この影響と対策についてエネルギーの専門家である株式会社あかりみらいの越智文雄社長に緊急インタビューした。(聞き手・工藤年泰)
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【追悼】急逝した元ゲーム同人誌編集発行人・荒木聡さんを悼む
独自に掘り下げたゲームの世界観
市立小樽文学館が追悼展を開催へ

1980年代、札幌を拠点にゲーム同人誌『おーるらうんど』の編集発行に携わり、昨年12月4日に57歳で急逝した荒木聡さん。これまで一連のゲーム展の中で荒木さんの同人誌を紹介してきた市立小樽文学館は、今回の逝去を受けて企画展「荒木聡 追悼展 ゲームとアニメの間に―JOSCA THE CREATOR―」を8月下旬から開催する。追悼展の準備に奔走するライターの藤井昌樹さん(54)は「自分の好きなことを楽しみ、その後もオリジナル小説の執筆やボーカロイドによる音楽制作を手掛けるなど非凡な人でした」と高く評価する。(武智敦子)
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【連載】ルポ「ひきこもり」94──当事者・大橋伸和さんの活動から
過去の体験を詳細に言語化
伝えることで救われる自分

子どもの頃から特定の場で話せなくなる場面緘黙症に苦しみ、不登校やひきこもりを経験。今ではそれらを克服した大橋伸和さん(39)。ひきこもり支援に携わるピアスタッフとして本連載にも度々登場しているが、昨年夏から札幌市内の精神・発達障害者を支援する社会福祉施設で月に一度「生きにくさを考える講演・対話会~ウィス(WIS)」を担当し、語り部としての活動に力を入れている。「これまで自分が感じてきた生きにくさや人との関わり方の難しさ。それらを伝え皆で考えることで苦しんでいる人の役に立ちたい」と力を込める大橋さんにフォーカスした。 (武智敦子)
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【連載】戦争遺産をめぐる旅 【91】
南東北を守る拠点として建設
山形県東根の若木山防空壕跡
完成待たずに迎えた終戦

山形県東部の内陸部に東根市というサクランボの産地として有名なまちがある。人口約4万7000人のこのまちには、かつて海軍の航空隊があったことから空襲を避けるための防空壕がいくつも掘られていた。数年前にこの防空壕が一般公開されたことを知っていたので、サクランボの季節の前に山形を訪れ、取材することにした。東根市にある若木山公園の雑木林に足を踏み入れると、頑丈な姿を今に留める「若木山防空壕跡」が姿を現した──。(ジャーナリスト 黒田 伸)
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【フォトレポート・トピックス】
●廃棄米利用のバイオマスレジ袋をコープさっぽろが全国初導入
●第10回新千歳アニメ映画祭会期拡大で日程は11月2~6日に
●80代男性が決意の提訴。旧優生法国賠、道内原告3組に
●対象商品を買いCO2削減に寄与 「北海道の森に海に乾杯」始まる
●道内アドバイザーらが依存症家族会新設。元刑事の稲葉さん、代表に
●万雷の拍手を受けて見送られた故・横路孝弘さん「お別れの会」
●タカハシグループが創出した新たな集いの場「ネイバー ロースト&ブリュー」
●札幌心臓血管クリニックが東区内で移転新築へ
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【連載コラムなど】
*北海道フォトエッセイ
*シネマ
*スポーツ筆刀両断
*新設企業情報
*古本屋女房の“古本的日常"
*デンタルエッセイ
*北海道妄想紀行
*連載小説 特別授業
*夏井功の夜を駈ける車イス
*よいどれブンガク夜話
*ソレでもナマがすき?
*視点 公共交通をどうする?
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【今月の表紙】鈴木翁二画
『夏への招待状』
【“核のゴミ”レポートPART34】最終処分地の選定に向けた「事前調査」をめぐる状況
地層処分は壮大な虚構
国が前のめりになる中、寿都と
神恵内は概要調査に向かうのか

2020年11月に後志管内の寿都町と神恵内村を対象に始まった“核のゴミ”最終処分場の候補地選定に向けた「文献調査」が終わり、新たな局面を迎えた。政府は今年4月に地層処分に関する基本方針を改定し、これまで以上に権力と札束をちらつかせて立地調査を推進する方策を示し、長崎県の対馬では文献調査への応募が取り沙汰されている。ふたつの町村が今後、次の「概要調査」に向かうのかどうか──住民投票の行方とも絡んで目を離せない。「トイレなきマンション」を放置し、原発の負の遺産を増やした歴史を追認するのではなく、北海道の宝である一次産業や観光を軸にした地域振興を進めることがあらためて問われている。 (ルポライター・滝川 康治)
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【追悼】脱原発に生涯を捧げた市民科学者・斉藤武一さんを悼む
「故郷の海が呼んでいる」
執念で44年間測り続けた海水温

後志管内岩内町の市民科学者として知られ、泊原発から出る温排水の影響を調査するため岩内港で44年間に亘り海水温を測り続けた斉藤武一さんが4月29日に亡くなった。70歳だった。手製の紙芝居で原発と放射能の問題を伝える活動に取り組み、泊原発の廃炉と運転差し止めを求める集団訴訟の原告団長も務めた。昨年は道内で進む巨大風力発電の研究も進め、環境や健康被害について警鐘を鳴らすなど生涯、市民科学者であり続けた。 (武智敦子)
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【シリーズ・住宅不動産情報】⑧──ラピダス進出に沸く千歳市の宅地開発
百区画超えの宅地開発が目白押し
市街化区域編入に前向きな千歳市

「ラピダス」の次世代半導体製造工場の建設が本決まりとなり、さまざまな方面から注目される千歳市。試作工場や量産工場の稼働で働く人は関連企業を含めると数千人規模に膨らむ見込みだ。当然、住宅も必要になることから、千歳市周辺では今後を睨み宅地開発が熱を帯び始めている。ラピダス進出が決まる前から造成が予定されていた場所を含め付近の宅地造成事情をレポートする。(佐久間康介)
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【報道】児童デイの不適切な支援計画を道が容認?②
つねり返しを療育とした児童デイ
岩見沢市は「不適切な対応」と指導

児童デイサービスの職員による子どもへの「つねり返し」は療育か虐待か──。本誌5月号で報じた岩見沢市内の児童デイの療育計画について調査していた岩見沢市が取材に応じた。市福祉課の管理職は「虐待の事実はなかった」とする一方で、「身体的虐待に当たるつねり返すという行為を(計画書に)記載したことは不適切」と結論づけ、事業者に任意で指導を行なったことを明らかにした。問題となった児童デイは、職員をつねるようになった4歳の自閉症の子どもへの療育として、つねり返すことを家族に提案したが、家族は「つねり返しは虐待」と強く反発。空知総合振興局に問題を提起していたが納得のいく回答は得られず、市に対応を求めていた。(武智敦子)
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【ニュース】
■中島公園に札幌初の5つ星ホテル
「インターコンチネンタル」開業へ
──アクサ生命が数百億円投じて新本社複合ビルを建設
■北海道経営未来塾8期生の入塾式
世界に羽ばたく若手経営者を育成
──塾生代表・小鍛冶組の小鍛冶洋介社長が決意表明
■パワハラ自殺遺族が和解を報告
「過労死家族会」設立10周年総会
──吃音への不適切指導問う闘い、2年経て終結
■対東電訴訟の控訴審で和解勧告
原発作業員の訴え、陳述で結審
──「被曝の真相究明し、適切な判断を」と一審原告
■寿都町漁協と元役員2人が慰謝料と
謝罪広告掲載などを求め本誌を提訴
──前執行部による批判封じ込めを狙ったスラップ訴訟か
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【経済】
海外のバイヤーも戻ってきた
最大規模の道産品取引商談会
衰え知らずの北海道人気を示す盛況

北海道と札幌市、(一社)北海道貿易物産振興会が主催する「北海道産品取引商談会」が6月6日・7日の2日間、ロイトン札幌を会場に催された。道内最大規模と言われる同商談会の、今回の出展事業者は道内27市46町4村から282の企業・団体。うち42事業者が初出展だった。これら北海道のものづくり事業者とマッチングをはかろうというバイヤーは、530社以上1600人を超え開場早々に黒山の人だかりとなった。そしてコロナ禍から人々の動きが元に戻りつつある中、前回は乏しかった海外バイヤーの声もそこかしこに。北海道ブランドの人気は衰え知らず、を改めて実感させられた。(髙橋貴充)
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【医療】
膝関節・股関節両分野に貢献
正確で安全な人工関節置換術
我汝会えにわ病院が2台目を導入
手術支援ロボット「Mako」の実力

医療法人社団我汝会(木村正一理事長)が運営し、人工関節置換術で全国屈指の実績を誇る「えにわ病院」(恵庭市・150床)がこの春、アメリカで開発された手術支援ロボット「Mako」(メイコー)の2台目を導入した。これにより人工膝関節置換術と人工股関節置換術を手掛けるチームがそれぞれ独自に使える体制が整った。このМakoを同病院は3年前に道内で初導入。術前のCT画像のデータから組み立てた治療計画に基づきロボットアーム(機械の腕)が医師の執刀をサポートすることで正確かつ安全な手術を可能にしている。人工関節置換術の治療体制を強化した木村理事長に今回の導入の狙いや我汝会グループの今後について訊いた。(5月24日取材 工藤年泰・武智敦子)
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【企業】エコミック「企業の給与引上げに貢献する」
人手不足、物価高の時代に有用な
生産性を高めるアウトソーシング

企業活動に不可欠ながらも、その業務自体は生産性や収益向上とは結び付かない給与計算、年末調整などの業務を受託し、取引先の業績アップに寄与しているアウトソーサーのエコミック(本社札幌・熊谷浩二社長)。その2023年3月期(22年4月~23年3月)決算は、売上高が前期を4億6000万円上回る20億円超えで着地。営業利益、経常利益、純利益のいずれも前期超えを果たし増収増益の好決算となった。これに対し、「売上に関してはまだまだ頑張れる余地があった」と振り返る熊谷社長。今後は人手不足といった社会経済問題対策の一助としてのアウトソーシングの役割も発信していきたい考えだ。(5月16日収録、髙橋貴充)
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【企業】サッポロビールが期待するぶどう栽培地
道南産の上質ワインが初リリース
グランポレール北斗ヴィンヤード

サッポロビールが良質なぶどうの確保や、同社における日本ワインのフラグシップである「グランポレール」のブランド力向上などを目指して、2018年6月に道南・渡島管内の北斗市で開園した「グランポレール北海道北斗ヴィンヤード(所在地・北斗市三ツ石)」。そのファーストヴィンテージたる「グランポレール 北斗シャルドネ〈初収穫〉2022」がこのほど完成。6月6日より500本の数量限定で初リリースとなった。これに先立つ5月25日には、北斗ヴィンヤードでお披露目会も実施。渡島総合振興局の田中仁局長や地元北斗市の池田達雄市長なども出席して、同ヴィンヤードにおける初の商品の船出を祝した。
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【観光】北海道観光振興機構の小金澤健司 会長に訊く【PART1】
組織改革に振るった大ナタ
自主財源確保で機能強化へ
「頼れる、稼げる機構」がキーワード

公益社団法人北海道観光振興機構の大改革がスタートする。北海道観光連盟の発足から77年、今の機構になってから10年。北海道観光が大きく変化する中で時代に即した組織への脱皮を目指す。そのリーダーは、国内初のウェブコールセンター、アイティ・コミュニケーションズ(本社札幌)の創業者で昨年6月に機構のトップに就いた小金澤健司会長(63)だ。就任早々大ナタをふるうことを宣言し、それから1年。いよいよ今期からかつてなかった改革が本格的に始まる見込みだ。重厚長大という古い殻を破り、新しい組織に生まれ変わることができるのか。「北海道観光の明日」を考える連続インタビュー第一弾をお届けする。 (5月29日取材 佐久間康介・工藤年泰)
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【夏のボーナス特集】「資産形成」に向き合うコツとは
大事な「何のために、いつまでに」
将来像を具体的に描くことが基本

苦難の3年間を経てポストコロナ時代が到来しているが、気がつけば物価高が押し寄せ節約志向は一段と高まっている。4年前に叫ばれた「老後2千万円不足問題」は、より深刻になってきていると言えそうだ。少子化という形で端的に表れている将来不安もさることながら資金面の不安は生活に直結する。今や「資産形成」は待ったなしの状況と言っていい。ボーナスや退職金などある程度まとまったお金が入る機会は、まさに運用を始めるベストなタイミング。国際的な生命保険会社を経て今年4月、札幌市議に初当選したファイナンシャルプランナーの山田洋聡さんに、資産形成に向き合うコツを訊いた。
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【エネルギー】電気料金値上げ対策緊急インタビュー 「あかりみらい」の越智文雄社長に訊く
規制料金23%増 自由料金は80%増!
問われる「自衛意識と対応」
これまでじわじわ値上がりし、消費者から悲鳴があがっていた電気料金だが、電力調達コストの高騰などを理由に6月1日から全国大手電力会社7社による大幅値上げが始まった。北海道電力の値上げ幅は、国から認可を得た規制料金で約23%増、自由料金では80〜90%もの値上げもあるという衝撃的な事態に。この影響と対策についてエネルギーの専門家である株式会社あかりみらいの越智文雄社長に緊急インタビューした。(聞き手・工藤年泰)
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【追悼】急逝した元ゲーム同人誌編集発行人・荒木聡さんを悼む
独自に掘り下げたゲームの世界観
市立小樽文学館が追悼展を開催へ

1980年代、札幌を拠点にゲーム同人誌『おーるらうんど』の編集発行に携わり、昨年12月4日に57歳で急逝した荒木聡さん。これまで一連のゲーム展の中で荒木さんの同人誌を紹介してきた市立小樽文学館は、今回の逝去を受けて企画展「荒木聡 追悼展 ゲームとアニメの間に―JOSCA THE CREATOR―」を8月下旬から開催する。追悼展の準備に奔走するライターの藤井昌樹さん(54)は「自分の好きなことを楽しみ、その後もオリジナル小説の執筆やボーカロイドによる音楽制作を手掛けるなど非凡な人でした」と高く評価する。(武智敦子)
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【連載】ルポ「ひきこもり」94──当事者・大橋伸和さんの活動から
過去の体験を詳細に言語化
伝えることで救われる自分

子どもの頃から特定の場で話せなくなる場面緘黙症に苦しみ、不登校やひきこもりを経験。今ではそれらを克服した大橋伸和さん(39)。ひきこもり支援に携わるピアスタッフとして本連載にも度々登場しているが、昨年夏から札幌市内の精神・発達障害者を支援する社会福祉施設で月に一度「生きにくさを考える講演・対話会~ウィス(WIS)」を担当し、語り部としての活動に力を入れている。「これまで自分が感じてきた生きにくさや人との関わり方の難しさ。それらを伝え皆で考えることで苦しんでいる人の役に立ちたい」と力を込める大橋さんにフォーカスした。 (武智敦子)
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【連載】戦争遺産をめぐる旅 【91】
南東北を守る拠点として建設
山形県東根の若木山防空壕跡
完成待たずに迎えた終戦

山形県東部の内陸部に東根市というサクランボの産地として有名なまちがある。人口約4万7000人のこのまちには、かつて海軍の航空隊があったことから空襲を避けるための防空壕がいくつも掘られていた。数年前にこの防空壕が一般公開されたことを知っていたので、サクランボの季節の前に山形を訪れ、取材することにした。東根市にある若木山公園の雑木林に足を踏み入れると、頑丈な姿を今に留める「若木山防空壕跡」が姿を現した──。(ジャーナリスト 黒田 伸)
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【フォトレポート・トピックス】
●廃棄米利用のバイオマスレジ袋をコープさっぽろが全国初導入
●第10回新千歳アニメ映画祭会期拡大で日程は11月2~6日に
●80代男性が決意の提訴。旧優生法国賠、道内原告3組に
●対象商品を買いCO2削減に寄与 「北海道の森に海に乾杯」始まる
●道内アドバイザーらが依存症家族会新設。元刑事の稲葉さん、代表に
●万雷の拍手を受けて見送られた故・横路孝弘さん「お別れの会」
●タカハシグループが創出した新たな集いの場「ネイバー ロースト&ブリュー」
●札幌心臓血管クリニックが東区内で移転新築へ
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【連載コラムなど】
*北海道フォトエッセイ
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*連載小説 特別授業
*夏井功の夜を駈ける車イス
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*ソレでもナマがすき?
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【今月の表紙】鈴木翁二画
『夏への招待状』
Posted by 北方ジャーナル at 00:00│Comments(0)
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