2024年12月14日
本日発売! 北方ジャーナル2025年1月号
12月14日発売。お求めは道内有名書店、セイコーマート、インターネットではAmazon、またはオンライン書店『Fujisan.co.jp』、あるいは直接当社(右サイドバーのメールボタンから)までお問い合わせください。
【報道】道警不祥事から考える〈74〉
道警 文書不開示で謝罪
前年の公開請求で対応漏れ
不祥事2件、あわや藪の中
警察不祥事に関連する本稿記者の定期的な公文書開示請求をめぐって11月中旬、情報公開を扱う地元警察の担当課が前年の手続きに不備があったとして記者に謝罪した。なんらかの原因で文書の探索漏れがあり、一部の事件・事故の記録が開示されていなかったという。1年以上を経て改めて開示されたのは、警察官による強制性交事件と公用車の人身事故、計2件を記録した公文書。今回開示漏れが発覚していなければ、いずれも永久に陽の目を見なかった可能性が高い。(小笠原 淳)
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【報道】21世紀の人質司法⑤
ノート持ち去り「違法」
札幌地裁が道警に賠償命令
黙秘権侵害・私物検閲訴訟
黙秘権行使を申し出る容疑者に供述を強要し、また弁護人とのやり取りを記録した「被疑者ノート」を無断で持ち去るなどした警察官の行為の違法性が問われていた裁判で12月初旬、問題の捜査を一部違法と認める判決が言い渡された。法廷で公開された取り調べ映像には適切とは言い難い捜査員の言動が記録されていたが、それらの人権侵害は認定されず、弁護側は控訴を検討することに。判決は、不適切な取り調べにお墨つきを与えてしまうおそれがあるという。(小笠原 淳)
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【報道】「値上げの年」に創成イーストへ移転した北海道新聞社
部数減少の逆風が吹く中で
内実問われる「第二の創業」
北海道新聞社(宮口宏夫社長)が11月1日、本社を札幌市中央区大通西3丁目から創成イースト地区の同区大通東4丁目に移転し、再スタートを切った。2023年9月末に夕刊を廃止、24年6月1日に朝刊の月ぎめ購読料を税込3800円から税込4300円に値上げする中で、新社屋への移転を「第二の創業」と位置付ける同社。だが今回の価格改定で購読部数が一気に落ち込み、道民の道新離れが進んでいる印象も否めない。旧社屋の活用問題など課題が山積している同社の現状を探った。 (本誌取材班)
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【報道】“核のゴミ”レポートPART40 「文献調査報告書」公表で節目を迎えた処分地選定の動き
賛成も反対も住民投票へ
寿都では初のシンポを開催
問われる町民と知事の判断
11月22日、“核のゴミ”処分事業者のNUMO(原子力発電環境整備機構)が後志管内の寿都町と神恵内村で行なった「文献調査」の報告書が公表され、大きな節目を迎えた。今後は、住民投票条例を制定した寿都町が「概要調査」の是非を町民にいつ問うのか、また調査に反対する意思を示してきた鈴木直道知事がどう最終判断するのか──が大きな焦点になる。本シリーズで繰り返し述べてきたが、「日本列島でも地層処分はできる」との政策は核燃料サイクルを延命させるための壮大な虚構であり、候補地にされた自治体の住民は長きにわたり不安感を抱えながらの生活を余儀なくされる。そんな未来を選択してもいいのか、いまあらためて問われている。 (ルポライター・滝川 康治)
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【報道】狩人、銃を奪われる⑩
高裁判決 現場に波紋
道猟友会が三役会経て支部通知
上告中の一審原告側には弁護団
本誌前号で報告した、ヒグマ駆除をめぐる猟銃所持許可取り消し訴訟の顛末。駆除を担ったハンターが全面勝訴した一審判決を百八十度覆す控訴審逆転敗訴の結果は、有害鳥獣対策に協力する猟友会に動揺を走らせた。11月の緊急三役会で、会は警察や自治体との慎重な協議を促す通知の発出を決定。ハンターが不利益を蒙ることのない体制の整備が急がれるのは、ひいては道民の安心・安全を担保するためだという。(小笠原 淳)
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【報道】告発・陸の蟹工船〈8〉
「被害 知って欲しくて」
原告男性が初めて顔を隠さず証言
恵庭・障碍者虐待裁判で弁論続く
それまで傍聴席から審理を見守ってきた当事者が、初めて代理人らとともに原告席に着いた。本誌2023年10月号から報告を続けている、恵庭市の牧場での障碍者虐待疑惑。長期間にわたった被害の賠償を求めて裁判を起こした男性3人のうち1人が、支援者らの前に顔を晒して声を上げ始めた。いわゆる奴隷労働や年金詐取の実態を広く知って貰いたいとの強い思いが、自らの背中を押すことになったのだという。(小笠原 淳)
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【報道】検証・北海道庁の半導体政策は道民のニーズに応えているか?
誰の為の半導体立国か
「綺麗事」で語られるラピダスの
負の側面に警鐘を鳴らす有識者
「日本の半導体産業の現状とリスク、ラピダスの将来性、道内の社会・経済的な影響などの調査は行なったのか?」「立地に際してのアセスメント(評価)はやっているか。行なわないとすれば、なぜなのか?」──先端半導体企業「ラピダス」の立地に前のめりになる北海道庁に対し、長年にわたり東京都の環境行政に携わり、全国の廃棄物問題の市民運動にも関わってきた藤原寿和さん(本誌24年6月号を参照)が次々に疑問を投げかける。
これまで30年間、半導体技術が衰退してきた日本にあって、すぐれた人材の確保ができるのか。道民が関心をもつ工場排水の安全性や環境に与える影響などについての情報提供は、企業や行政側からのものに偏っているのではないか──筆者もまた、そんな疑問をいだく。失速した苫小牧東部開発の二の舞になるのではないか…と。道内のマスメディアからは立地に対する批判の声をあまり聞かないが、警鐘を鳴らす有識者はいる。NPO法人さっぽろ自由学校「遊」の講座で最近、道の半導体政策を検証した藤原さんの話を紹介する。 (ルポライター・滝川 康治)
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【社会】日本学術会議講演会「北海道から多文化共生を考える」報告レポート
待ったなしの多文化共生
労働力不足を補っている外国人と
どう生きていくか問われる北海道
急速な人口減少を受け道内179市町村の3分の2が将来的に「消滅の可能性」があるとされる。その北海道の経済や自治インフラなどをめぐり持続可能性のカギとなりうるのが「来道する外国人との共生」だ。日本を代表する研究者で構成され、地元への寄与も掲げる日本学術会議北海道地区会議が11月17日、北大キャンパスで学術講演会「北海道から多文化共生を考える」を開いた。「多文化共生」とは、多様な文化・言語・出自を持つ人々が人権を守られながら共に生きる社会のあり方を指す。この日、5人の専門家が登壇し、それぞれの専門分野の知見に基づき講演した。そこで浮かび上がった課題とは──。
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【環境】北海道風力発電問題ネットワーク代表・佐々木邦夫さんに訊く(前篇)
風力発電問題を訴えるのは
ここに暮らす私たちの責務
風況のよい北海道は全国でも有数の風力発電の適地とされ、発電施設の建設計画が目白押しだ。一方で建設予定地では風車建設による景観問題や健康被害、生態系への影響を懸念する住民による反対運動も起きている。環境影響評価手続きの不備から、住民が郵送した「意見書」が「あて所にない」として届かず再縦覧を余儀なくされた事業者もあり、何かと地元との軋轢を生んでいる。このような道内における風力発電の現状と課題を、元稚内市議で「北海道風力発電問題ネットワーク」代表などを務める佐々木邦夫さんに訊いた。前篇と後篇の2回に分けて報告する。 (武智敦子)
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【ニュース】
■旭川いじめ凍死事件の元校長が
再調査委の報告書を真っ向否定
──「クラス内でのいじめはなかった」と反論
■パワハラ調査アンケート改竄か
現職自衛官の裁判で国に求釈明
──「逃げずに説明責任果たして」と原告男性
■北海道初出店の「ロピア」で来店客
1万5千人、売上げ1億円の衝撃
──屯田店が大混雑。注目される「道内スーパー3強」の出方
■多様化する家族のケアのあり方
いま「支える人」を支える体制を
──ケアラー支援推進シンポでパネリストが事例を紹介
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【新春インタビュー】北海道知事 鈴木 直道 氏
可能性秘めたラピダスと観光
北海道創生を目指し道庁一丸
2024年の北海道で、ことあるごとに話題にあがったのは、千歳市で建設中のラピダス社による次世代半導体工場だろう。生成AIの加速度的な普及でますます必要性、存在感が増している次世代半導体だが、同工場では春にもパイロットラインが動き出す見通しで、量産化への本格稼働に向けカウントダウンが始まった印象だ。コロナ禍を経た観光の状況については順調な入込客数回復の一方で、人手不足に苦悩するなど悲喜こもごも。宿泊税の導入などを含めて観光立国の在り方をどうするかを改めて問い直す時期を迎えているようだ。このほかにも課題が山積みの中で行政の長として北海道をどのように舵取りしていくのか、今後の「北海道創生」に向けた思いを鈴木直道知事に訊いた。 (11月28日収録・聞き手=工藤年泰)
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【新春インタビュー】札幌市長 秋元 克広 氏
保育行政の信頼回復は急務の課題
観光復活、GX投資で集まる注目
2024年の札幌市政は光と影が交錯した1年だった。コロナ禍明けに伴い観光需要が復活し、飲食店や各地の賑わいが戻ってきたことに加え、GX(グリーン・トランスフォーメーション)や半導体の生産拠点開設の動きに伴い道都・札幌市が国際的な注目を集めることが実感できる年になった。一方で、保育事業者による補助金不正受給、突然の休園といった市の保育行政を揺るがす事件が発生し、信頼回復に向けて今後の対応が問われることにもなっている。北海道新幹線札幌延伸の2030年度末開業が不透明な状況となり、まちづくりの目標が定まらない状況に置かれていることも気がかりだ。現在3期目の秋元克広市長に24年を振り返ってもらい、25年に向けた展望を訊いた。 (11月21日収録 聞き手=工藤年泰)
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【ビジネス】来場1100万人超に達した複合要因
開業から1年。総支配人が
語ったココノススキノの今
当時のすすきの住民の念願だった地元のデパート、札幌松坂屋の開業から始まり、最後はススキノラフィラとして幕を閉じ解体されるまでの47年間、このまちのシンボルだったススキノ十字街ビル。この建物があった場所に新たに出現したのが2023年11月開業の複合商業施設COCONO SUSUKINO(ココノススキノ)だ。その1周年を迎えるにあたり運営する東急不動産SCマネジメント(本社東京)は11月21日、同施設で会見を実施。登壇した志村敦史総支配人は初年度の来場者数について、見通しを約300万人も上回る1100万人超と明かした。順調な船出となったすすきのの新シンボル。その好調要因や、これからの取り組みなどを会見での志村支配人の発言から綴る。 (構成・髙橋貴充)
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【医療】変形性膝関節症にラジオ波治療を導入した北海道整形外科記念病院
合併症などで手術ができない
患者の疼痛を緩和する新治療
国内有数の整形外科専門病院、医療法人 北海道整形外科記念病院(札幌市豊平区・199床、加藤貞利理事長)がこのほど変形性膝関節症の治療に「末梢神経ラジオ波焼灼療法(ラジオ波治療)」を導入した。昨年6月に保険収載されたばかりの新しい治療法で、高齢や糖尿病などの合併症のため人工関節置換術ができない患者の選択肢となりそうだ。同病院副理事長で変形性膝関節症のエキスパートである鈴木孝治医師(65)は、「手術を受けられない患者さんの中にはヒアルロン酸注射を長く続けているケースも多い。そのような方にとってもラジオ波治療は朗報となるでしょう。国内で始まったばかりこの治療を普及させるべく取り組んでいきたい」と意欲を口にしている。 (11月25日取材 工藤年泰・武智敦子)
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【文化】短編グランプリは審査員満場一致の「ZIMA」
次の10年に向けて飛び立った第11回
新千歳空港国際アニメーション映画祭
大きな節目となった昨年の第10回開催から次の10年に向け飛び立った、空港を会場とする全国的にも珍しい新千歳空港国際アニメーション映画祭。11回目の今回は11月1日から同5日まで催された。観光地として世界的にも人気の北海道の空の玄関口たる、会場の新千歳空港はコロナ禍前の賑わいを取り戻し、この映画祭に携わった海外のクリエイターたちも同イベントはもとより、〝北海道〟で過ごす時間そのものを存分に満喫しているようだった。そんな今回だが、今夏大きな注目を集めた劇場アニメ「ルックバック」がコンペ長編部門にノミネートされたほか、看板のコンペ短編部門では審査員満場一致という作品が最高位のグランプリに輝いた。
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【Agri Report】羽幌発「株式会社焼尻めん羊牧場」の挑戦
還暦を過ぎて羊飼いになった男
小さな島は「地方創生の最前線」
民間の力で羽幌の地域資源を再生へ
還暦を過ぎてから離島の羊飼いになった男がいる。留萌管内の羽幌町が長年運営してきた「焼尻めん羊牧場」を昨年に引き継いだ東郷啓祐さん(62)、その人だ。今では1カ月に1、2度のペースで札幌を離れて焼尻島に渡り、1週間ほど羊たちに囲まれた生活を送る。これまで中小企業のM&Aなどを手掛けてきた東郷さんが羊飼いになったのは偶然の産物。東郷さんの仲介で焼尻めん羊牧場の承継を検討していた人物が突然手を引き、選択を迫られる中で出した答えが自分で牧場を引き受けることだった。当時、東郷さんの背中を押したのは肌で感じた「焼尻めん羊まつり」の活気。「この賑わいは残す価値がある」──直感的にそう思った東郷さんの新たな挑戦が、そこから始まった。小さな島における地方創生の大きな取り組みをレポートする。(11月14日取材 工藤年泰・佐久間康介)
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【政治】先の総選挙、立憲を大勝に導いたのは? 逢坂誠二道連代表に訊く
最優先で取組む物価高対策
持続可能な一次産業支援も
教育費軽減通じ手取り増を目指す
総裁選の注目度の高まりや、野党の選挙準備不足の隙を狙って決行したとされる、石破茂自公政権の戦後最短の解散総選挙。だが自民党本部のもくろみは、自らが引き起こしたいわゆる政治とカネの問題に最後まで足を引っ張られ、結果自公で過半数に届かない大敗。一方で新規少数政党の議席獲得が目立ったほか、野党第一党の立憲民主党は選挙前と比べ50議席増の148議席と大勝。こと北海道においては12ある選挙区全てで同政党の代議士が立った。こうした情勢の大きな変化で北海道の政治経済はどう変わるのか。自らも選挙戦を戦った逢坂誠二道連代表に訊いた。 (11月16日取材、髙橋貴充)
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【観光】北海道観光機構の小金澤健司 会長に訊く
アドベンチャーと美食旅で
観光総消費額3兆円目指す
北海道観光の柱はあくまで道民
小金澤健司会長(64)率いる公益社団法人 北海道観光振興機構は「北海道観光機構」に名称を変更し、小金澤体制が2期目に入った。重厚長大だった組織の改革に大ナタをふるい、「世界をリードする観光地に北海道を導く」を目標に掲げる小金澤会長は、2030年に観光総消費額を19年比の約2倍となる3兆円とするグランドデザインを示す。昨年9月にアジア圏で初開催したアドベンチャートラベル・ワールドサミットでは過去最高の評価を関係者から受けた北海道観光。その可能性に大きな手応えを感じている小金澤会長に、これまでの成果と課題を訊いた。
(11月11日取材 工藤年泰・佐久間康介)
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【マンガ回顧2024】
それは大地震から始まった!! (石川寿彦)
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【教育】不登校を経験した母親が実践するホームスクール
頑張り過ぎた子を休養させて
自分で学びの場を選ぶ自由を
ホームスクールって何? 不登校になった子どもの気持ちは?──。自身も不登校を経験し、3人の子どもをホームスクールで育てる鈴村結さんが11月23日、帯広市内で開かれた「不登校について学ぶセミナー」で講演し、「不登校は頑張り過ぎてエネルギーがゼロになった状態。安心した環境で休養すれば必ずやりたいことを始めるので、動けるようになるまでの休養が必要」と呼びかけた。結さんの語りから学び場の多様性について考えてみたい。 (武智敦子)
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【連載】ルポ「ひきこもり」111──親側と当事者による本音対談から【後篇】
ぶざまで惨めな自分を受け入れ
開き直れば「明日」が見えてくる
長年にわたり、ひきこもりの子どもを持つ親や当事者のサポートを続ける鈴木祐子さん(77)と札幌のNPO法人「レター・ポスト・フレンド相談ネットワーク」理事で、親亡き後をひとりで暮らす吉川修司さん(57)の対談後篇をお届けする。今回の後篇では、鈴木さんのこれまでの活動の経緯や若い頃の苦悩と気づき、そして昏迷の時代を当事者が生きていく極意について「したたかに生きたい」とする吉川さんが迫った。それぞれの語りからひきこもりの「いま」を伝えたい──。 (武智敦子)
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【連載】戦争遺産をめぐる旅 【109】
新ミュージアムの着工を待つ
大分県の「宇佐市平和資料館」
特攻とゼロ戦のリアル
大分県北部の国東半島の付け根にある宇佐市。ここに戦時中置かれていた宇佐海軍航空隊は、太平洋戦争末期に特別攻撃隊の基地となり、出撃した多くの若者が命を落とした。市内には戦争関連の遺跡として全国で2番目に文化財指定された城井(じょうい)1号掩体壕などが残り、平和教育のための施設整備が続いている。その中心施設となる「平和ミュージアム」(仮称)の建設計画は中断しているが、2025年度の着工を目指す。今回、関連資料を仮展示している「宇佐市平和資料館」を訪れ、同市が目指す平和への取り組みを取材した。(ジャーナリスト 黒田 伸)
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【フォトレポート・トピックス】
●オープンイノベーションの拠点「エア・ウォーターの森」が開業
●2025年は「美冬」の年。20周年記念して「おとなショコラ」発売
●野次排除「最終報告」 意義確認する討論に150人が関心
●浦河発、即日完売で話題を集めた名馬モチーフのスイーツ企画秘話
●道内各地の魅力を伝え、ものづくりも支援する「北海道どさんこプラザ」
●草莽の僧侶 小西征夫さんが『他力』を説く10冊目を刊行
●小中学生が交通安全の思い描いたJA共済の全道ポスターコンクール
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【連載コラムなど】
*つれづれフォトエッセイ
*シネマ
*スポーツ筆刀両断
*古本屋女房の“古本的日常"
*デンタルエッセイ
*北海道妄想紀行
*連載小説 仮面の恋
*よいどれブンガク夜話
*ソレでもナマがすき?
*夏井功の夜を駈ける車イス
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【今月の表紙】鈴木翁二画
『ニューイヤーペイデイ』
【報道】狩人、銃を奪われる⑩
高裁判決 現場に波紋
道猟友会が三役会経て支部通知
上告中の一審原告側には弁護団
本誌前号で報告した、ヒグマ駆除をめぐる猟銃所持許可取り消し訴訟の顛末。駆除を担ったハンターが全面勝訴した一審判決を百八十度覆す控訴審逆転敗訴の結果は、有害鳥獣対策に協力する猟友会に動揺を走らせた。11月の緊急三役会で、会は警察や自治体との慎重な協議を促す通知の発出を決定。ハンターが不利益を蒙ることのない体制の整備が急がれるのは、ひいては道民の安心・安全を担保するためだという。(小笠原 淳)
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【報道】告発・陸の蟹工船〈8〉
「被害 知って欲しくて」
原告男性が初めて顔を隠さず証言
恵庭・障碍者虐待裁判で弁論続く
それまで傍聴席から審理を見守ってきた当事者が、初めて代理人らとともに原告席に着いた。本誌2023年10月号から報告を続けている、恵庭市の牧場での障碍者虐待疑惑。長期間にわたった被害の賠償を求めて裁判を起こした男性3人のうち1人が、支援者らの前に顔を晒して声を上げ始めた。いわゆる奴隷労働や年金詐取の実態を広く知って貰いたいとの強い思いが、自らの背中を押すことになったのだという。(小笠原 淳)
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【報道】検証・北海道庁の半導体政策は道民のニーズに応えているか?
誰の為の半導体立国か
「綺麗事」で語られるラピダスの
負の側面に警鐘を鳴らす有識者
「日本の半導体産業の現状とリスク、ラピダスの将来性、道内の社会・経済的な影響などの調査は行なったのか?」「立地に際してのアセスメント(評価)はやっているか。行なわないとすれば、なぜなのか?」──先端半導体企業「ラピダス」の立地に前のめりになる北海道庁に対し、長年にわたり東京都の環境行政に携わり、全国の廃棄物問題の市民運動にも関わってきた藤原寿和さん(本誌24年6月号を参照)が次々に疑問を投げかける。
これまで30年間、半導体技術が衰退してきた日本にあって、すぐれた人材の確保ができるのか。道民が関心をもつ工場排水の安全性や環境に与える影響などについての情報提供は、企業や行政側からのものに偏っているのではないか──筆者もまた、そんな疑問をいだく。失速した苫小牧東部開発の二の舞になるのではないか…と。道内のマスメディアからは立地に対する批判の声をあまり聞かないが、警鐘を鳴らす有識者はいる。NPO法人さっぽろ自由学校「遊」の講座で最近、道の半導体政策を検証した藤原さんの話を紹介する。 (ルポライター・滝川 康治)
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【社会】日本学術会議講演会「北海道から多文化共生を考える」報告レポート
待ったなしの多文化共生
労働力不足を補っている外国人と
どう生きていくか問われる北海道
急速な人口減少を受け道内179市町村の3分の2が将来的に「消滅の可能性」があるとされる。その北海道の経済や自治インフラなどをめぐり持続可能性のカギとなりうるのが「来道する外国人との共生」だ。日本を代表する研究者で構成され、地元への寄与も掲げる日本学術会議北海道地区会議が11月17日、北大キャンパスで学術講演会「北海道から多文化共生を考える」を開いた。「多文化共生」とは、多様な文化・言語・出自を持つ人々が人権を守られながら共に生きる社会のあり方を指す。この日、5人の専門家が登壇し、それぞれの専門分野の知見に基づき講演した。そこで浮かび上がった課題とは──。
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【環境】北海道風力発電問題ネットワーク代表・佐々木邦夫さんに訊く(前篇)
風力発電問題を訴えるのは
ここに暮らす私たちの責務
風況のよい北海道は全国でも有数の風力発電の適地とされ、発電施設の建設計画が目白押しだ。一方で建設予定地では風車建設による景観問題や健康被害、生態系への影響を懸念する住民による反対運動も起きている。環境影響評価手続きの不備から、住民が郵送した「意見書」が「あて所にない」として届かず再縦覧を余儀なくされた事業者もあり、何かと地元との軋轢を生んでいる。このような道内における風力発電の現状と課題を、元稚内市議で「北海道風力発電問題ネットワーク」代表などを務める佐々木邦夫さんに訊いた。前篇と後篇の2回に分けて報告する。 (武智敦子)
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【ニュース】
■旭川いじめ凍死事件の元校長が
再調査委の報告書を真っ向否定
──「クラス内でのいじめはなかった」と反論
■パワハラ調査アンケート改竄か
現職自衛官の裁判で国に求釈明
──「逃げずに説明責任果たして」と原告男性
■北海道初出店の「ロピア」で来店客
1万5千人、売上げ1億円の衝撃
──屯田店が大混雑。注目される「道内スーパー3強」の出方
■多様化する家族のケアのあり方
いま「支える人」を支える体制を
──ケアラー支援推進シンポでパネリストが事例を紹介
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【新春インタビュー】北海道知事 鈴木 直道 氏
可能性秘めたラピダスと観光
北海道創生を目指し道庁一丸
2024年の北海道で、ことあるごとに話題にあがったのは、千歳市で建設中のラピダス社による次世代半導体工場だろう。生成AIの加速度的な普及でますます必要性、存在感が増している次世代半導体だが、同工場では春にもパイロットラインが動き出す見通しで、量産化への本格稼働に向けカウントダウンが始まった印象だ。コロナ禍を経た観光の状況については順調な入込客数回復の一方で、人手不足に苦悩するなど悲喜こもごも。宿泊税の導入などを含めて観光立国の在り方をどうするかを改めて問い直す時期を迎えているようだ。このほかにも課題が山積みの中で行政の長として北海道をどのように舵取りしていくのか、今後の「北海道創生」に向けた思いを鈴木直道知事に訊いた。 (11月28日収録・聞き手=工藤年泰)
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【新春インタビュー】札幌市長 秋元 克広 氏
保育行政の信頼回復は急務の課題
観光復活、GX投資で集まる注目
2024年の札幌市政は光と影が交錯した1年だった。コロナ禍明けに伴い観光需要が復活し、飲食店や各地の賑わいが戻ってきたことに加え、GX(グリーン・トランスフォーメーション)や半導体の生産拠点開設の動きに伴い道都・札幌市が国際的な注目を集めることが実感できる年になった。一方で、保育事業者による補助金不正受給、突然の休園といった市の保育行政を揺るがす事件が発生し、信頼回復に向けて今後の対応が問われることにもなっている。北海道新幹線札幌延伸の2030年度末開業が不透明な状況となり、まちづくりの目標が定まらない状況に置かれていることも気がかりだ。現在3期目の秋元克広市長に24年を振り返ってもらい、25年に向けた展望を訊いた。 (11月21日収録 聞き手=工藤年泰)
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【ビジネス】来場1100万人超に達した複合要因
開業から1年。総支配人が
語ったココノススキノの今
当時のすすきの住民の念願だった地元のデパート、札幌松坂屋の開業から始まり、最後はススキノラフィラとして幕を閉じ解体されるまでの47年間、このまちのシンボルだったススキノ十字街ビル。この建物があった場所に新たに出現したのが2023年11月開業の複合商業施設COCONO SUSUKINO(ココノススキノ)だ。その1周年を迎えるにあたり運営する東急不動産SCマネジメント(本社東京)は11月21日、同施設で会見を実施。登壇した志村敦史総支配人は初年度の来場者数について、見通しを約300万人も上回る1100万人超と明かした。順調な船出となったすすきのの新シンボル。その好調要因や、これからの取り組みなどを会見での志村支配人の発言から綴る。 (構成・髙橋貴充)
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【医療】変形性膝関節症にラジオ波治療を導入した北海道整形外科記念病院
合併症などで手術ができない
患者の疼痛を緩和する新治療
国内有数の整形外科専門病院、医療法人 北海道整形外科記念病院(札幌市豊平区・199床、加藤貞利理事長)がこのほど変形性膝関節症の治療に「末梢神経ラジオ波焼灼療法(ラジオ波治療)」を導入した。昨年6月に保険収載されたばかりの新しい治療法で、高齢や糖尿病などの合併症のため人工関節置換術ができない患者の選択肢となりそうだ。同病院副理事長で変形性膝関節症のエキスパートである鈴木孝治医師(65)は、「手術を受けられない患者さんの中にはヒアルロン酸注射を長く続けているケースも多い。そのような方にとってもラジオ波治療は朗報となるでしょう。国内で始まったばかりこの治療を普及させるべく取り組んでいきたい」と意欲を口にしている。 (11月25日取材 工藤年泰・武智敦子)
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【文化】短編グランプリは審査員満場一致の「ZIMA」
次の10年に向けて飛び立った第11回
新千歳空港国際アニメーション映画祭
大きな節目となった昨年の第10回開催から次の10年に向け飛び立った、空港を会場とする全国的にも珍しい新千歳空港国際アニメーション映画祭。11回目の今回は11月1日から同5日まで催された。観光地として世界的にも人気の北海道の空の玄関口たる、会場の新千歳空港はコロナ禍前の賑わいを取り戻し、この映画祭に携わった海外のクリエイターたちも同イベントはもとより、〝北海道〟で過ごす時間そのものを存分に満喫しているようだった。そんな今回だが、今夏大きな注目を集めた劇場アニメ「ルックバック」がコンペ長編部門にノミネートされたほか、看板のコンペ短編部門では審査員満場一致という作品が最高位のグランプリに輝いた。
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【Agri Report】羽幌発「株式会社焼尻めん羊牧場」の挑戦
還暦を過ぎて羊飼いになった男
小さな島は「地方創生の最前線」
民間の力で羽幌の地域資源を再生へ
還暦を過ぎてから離島の羊飼いになった男がいる。留萌管内の羽幌町が長年運営してきた「焼尻めん羊牧場」を昨年に引き継いだ東郷啓祐さん(62)、その人だ。今では1カ月に1、2度のペースで札幌を離れて焼尻島に渡り、1週間ほど羊たちに囲まれた生活を送る。これまで中小企業のM&Aなどを手掛けてきた東郷さんが羊飼いになったのは偶然の産物。東郷さんの仲介で焼尻めん羊牧場の承継を検討していた人物が突然手を引き、選択を迫られる中で出した答えが自分で牧場を引き受けることだった。当時、東郷さんの背中を押したのは肌で感じた「焼尻めん羊まつり」の活気。「この賑わいは残す価値がある」──直感的にそう思った東郷さんの新たな挑戦が、そこから始まった。小さな島における地方創生の大きな取り組みをレポートする。(11月14日取材 工藤年泰・佐久間康介)
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【政治】先の総選挙、立憲を大勝に導いたのは? 逢坂誠二道連代表に訊く
最優先で取組む物価高対策
持続可能な一次産業支援も
教育費軽減通じ手取り増を目指す
総裁選の注目度の高まりや、野党の選挙準備不足の隙を狙って決行したとされる、石破茂自公政権の戦後最短の解散総選挙。だが自民党本部のもくろみは、自らが引き起こしたいわゆる政治とカネの問題に最後まで足を引っ張られ、結果自公で過半数に届かない大敗。一方で新規少数政党の議席獲得が目立ったほか、野党第一党の立憲民主党は選挙前と比べ50議席増の148議席と大勝。こと北海道においては12ある選挙区全てで同政党の代議士が立った。こうした情勢の大きな変化で北海道の政治経済はどう変わるのか。自らも選挙戦を戦った逢坂誠二道連代表に訊いた。 (11月16日取材、髙橋貴充)
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【観光】北海道観光機構の小金澤健司 会長に訊く
アドベンチャーと美食旅で
観光総消費額3兆円目指す
北海道観光の柱はあくまで道民
小金澤健司会長(64)率いる公益社団法人 北海道観光振興機構は「北海道観光機構」に名称を変更し、小金澤体制が2期目に入った。重厚長大だった組織の改革に大ナタをふるい、「世界をリードする観光地に北海道を導く」を目標に掲げる小金澤会長は、2030年に観光総消費額を19年比の約2倍となる3兆円とするグランドデザインを示す。昨年9月にアジア圏で初開催したアドベンチャートラベル・ワールドサミットでは過去最高の評価を関係者から受けた北海道観光。その可能性に大きな手応えを感じている小金澤会長に、これまでの成果と課題を訊いた。
(11月11日取材 工藤年泰・佐久間康介)
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【マンガ回顧2024】
それは大地震から始まった!! (石川寿彦)
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【教育】不登校を経験した母親が実践するホームスクール
頑張り過ぎた子を休養させて
自分で学びの場を選ぶ自由を
ホームスクールって何? 不登校になった子どもの気持ちは?──。自身も不登校を経験し、3人の子どもをホームスクールで育てる鈴村結さんが11月23日、帯広市内で開かれた「不登校について学ぶセミナー」で講演し、「不登校は頑張り過ぎてエネルギーがゼロになった状態。安心した環境で休養すれば必ずやりたいことを始めるので、動けるようになるまでの休養が必要」と呼びかけた。結さんの語りから学び場の多様性について考えてみたい。 (武智敦子)
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【連載】ルポ「ひきこもり」111──親側と当事者による本音対談から【後篇】
ぶざまで惨めな自分を受け入れ
開き直れば「明日」が見えてくる
長年にわたり、ひきこもりの子どもを持つ親や当事者のサポートを続ける鈴木祐子さん(77)と札幌のNPO法人「レター・ポスト・フレンド相談ネットワーク」理事で、親亡き後をひとりで暮らす吉川修司さん(57)の対談後篇をお届けする。今回の後篇では、鈴木さんのこれまでの活動の経緯や若い頃の苦悩と気づき、そして昏迷の時代を当事者が生きていく極意について「したたかに生きたい」とする吉川さんが迫った。それぞれの語りからひきこもりの「いま」を伝えたい──。 (武智敦子)
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【連載】戦争遺産をめぐる旅 【109】
新ミュージアムの着工を待つ
大分県の「宇佐市平和資料館」
特攻とゼロ戦のリアル
大分県北部の国東半島の付け根にある宇佐市。ここに戦時中置かれていた宇佐海軍航空隊は、太平洋戦争末期に特別攻撃隊の基地となり、出撃した多くの若者が命を落とした。市内には戦争関連の遺跡として全国で2番目に文化財指定された城井(じょうい)1号掩体壕などが残り、平和教育のための施設整備が続いている。その中心施設となる「平和ミュージアム」(仮称)の建設計画は中断しているが、2025年度の着工を目指す。今回、関連資料を仮展示している「宇佐市平和資料館」を訪れ、同市が目指す平和への取り組みを取材した。(ジャーナリスト 黒田 伸)
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【フォトレポート・トピックス】
●オープンイノベーションの拠点「エア・ウォーターの森」が開業
●2025年は「美冬」の年。20周年記念して「おとなショコラ」発売
●野次排除「最終報告」 意義確認する討論に150人が関心
●浦河発、即日完売で話題を集めた名馬モチーフのスイーツ企画秘話
●道内各地の魅力を伝え、ものづくりも支援する「北海道どさんこプラザ」
●草莽の僧侶 小西征夫さんが『他力』を説く10冊目を刊行
●小中学生が交通安全の思い描いたJA共済の全道ポスターコンクール
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【連載コラムなど】
*つれづれフォトエッセイ
*シネマ
*スポーツ筆刀両断
*古本屋女房の“古本的日常"
*デンタルエッセイ
*北海道妄想紀行
*連載小説 仮面の恋
*よいどれブンガク夜話
*ソレでもナマがすき?
*夏井功の夜を駈ける車イス
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【今月の表紙】鈴木翁二画
『ニューイヤーペイデイ』
Posted by 北方ジャーナル at 00:00│Comments(0)
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