2008年02月26日
「鈴木翁二之世界」その2
父の町 水彩 2004年
毎号、独特のタッチで本誌の表紙を飾ってくれているのが、画家・漫画家の鈴木翁二さん(59)である。
かつて雑誌ガロでデビューした幻想漫画家と言えば、ピンと来る読者も多いかもしれない。大衆に受けた大ヒット作こそないものの、その叙情をたたえた画風と不思議な味わいのある作品世界は、いまでも全国のファンから根強い支持を集めている。あまり知られていないが、実は、一部の作品がフランスでも出版されているほどの国際派でもある。
愛知県出身。放浪の末、20歳でデビューした翁二さんは82年に来道し、現在は北海道の浦河町に家族とともに居住して健筆をふるっている。子供たちも大人へ近づいて何かと忙しいご様子だ。そんな氏へのエールと全国の翁二ファンのために、本ブログに「翁二ギャラリー」を開設したい。
今回アップするのは、本誌07年6月号で掲載した特集「銀翳礼讚──鈴木翁二之世界」で紹介した作品群である。まずは、その中編をお届けしよう。
40年近い作家生活。すでに翁二さんの作品世界は膨大な広がりを見せている。その世界の全貌はとても伝え切れないが、読者にはその味わいの片鱗でも感じてもらえれば幸いだ。翁二作品に関する問い合わせはメールか電話で本誌編集部まで──。
テレーゼのために 水彩 2004年
夜の向こう 水彩 2007年
夜のくろぐろとしたもの 水彩 2007年
天使がいる場所 水彩 2000年
(プロフィール)
すずき・おうじ
1949年愛知県に生まれる。マンガと映画と駄玩具を偏愛する。《私という駄玩具》。《少年とは夜店出のラジカリズムである》。
67年上京。新宿を中心に転々とする。無名だった中上健次との交流や永山則夫との一瞬の邂逅があった。69年、ガロ11月号に青年の空想的な恋を描いたデヴュー作「庄助あたりで」を発表。同年末、乞われて水木プロダクションへ入社。一年と少し勤めた後に本格的に描き出し、「さみしい名前」「マッチ一本の話」「東京グッドバイ」などの秀作を続々と発表。若手表現者たちに広汎で多大な影響を与えることになる。
82年、結婚のため夫人の生地である北海道浦河町へ移住し、現在に至る。
Posted by 北方ジャーナル at 17:27│Comments(0)
│文化(文芸・アート・音楽)
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