2022年03月08日
市立小樽文学館で“ゲーム本”の企画展を4月24日まで開催中 ゲーム文化を支えた 同人誌や攻略本などが大集合
展示される「ゲーム本」の数々
札幌在住のゲーム愛好家3人が企画構成した企画展「ザッシ・コウリャクボン・ドウジンシ ゲームの本」が3月5日から4月24日までの会期で市立小樽文学館で開催されている。アーケードゲームやファミコンゲームといったかつてのゲーム文化を陰で支えた同人誌や雑誌、攻略本のバックナンバーを通してゲームの歴史をたどろうというユニークな催しとなっている。
企画展の準備に携わった3人。左から山本さん、寺農さん、藤井さん
その流行は1978年のシューティングゲーム「スペースインベーダー」から始まった。
日本各地のゲームセンターに集まるファンがサークルを立ち上げ、情報共有を目的とした同人誌が生まれていった。やがて家庭でもゲームが楽しめるようになると、出版社からさまざまなゲーム雑誌、攻略本が出版され1990年代以降は単体の読み物としても楽しめる内容になってきた。ゲーム黎明期に同人誌作成に携わった人の中には、ゲーム業界や雑誌の世界で目覚ましい活躍をする人もいる。
市立小樽文学館がゲームにスポットを当てた展示会を開くのはこれでで5回目。今回はゲーム愛好家でフリーランスの藤井昌樹さん(53)、ゲームコレクター、研究家の山本耕平さん(46)、北海道大学大学院文学院博物館学研究室博士後期課程の寺農織苑さん(29)が企画構成に携わった。
初回から展示に携わってきた藤井さんは昨年、同文学館で開催された「小樽・札幌ゲーセン物語」を企画し、道内外から大きな反響を呼んだ。今回の企画展は約3000点のゲーム雑誌や攻略本を収蔵する山本さんのコレクションを見たことがヒントになったという。
「中でも札幌のゲームサークル、札幌南無児村青年団が1984年から86年にかけて制作した同人誌『おーるらうんど』は、ゲームが上手くなるための本ではないことが非常に斬新でした。
サークルの代表がアニメ好きで、アニメ的な視点でゲームのキャラクターを捉えることは、当時として珍しく時代を先取りしていた。この同人誌を見て記録として残したいと思いました」(藤井さん)
今回の企画展では、展示物の約8割を山本さんが自分の収蔵品の中から提供しており、「攻略本や雑誌といったゲームにまつわる本のバックナンバーからゲームの歴史を知ってほしい」と話す。
やはりゲーム愛好家で博物館学を研究する寺農さんは、「雑誌の中にはすでに休刊となったものやタイトルを代えながら現在も出版されているものもある。ゲーム本に焦点を当てた企画展がどのように評価されるか楽しみです」と期待する。
展示会場は第1章「誕生!ゲームの本」、第2章「最新情報はまかせろ! ゲーム雑誌」、第3章「プレイヤーをサポートした攻略本の数々!」、第4章「キーワード展示」で構成。
第1章では黎明期の『ゼビウス1000万点への解法』や『インベーダー攻略法』などの本を展示。第2章では『LOGiN』『Beep』『ハイスコア』『GAМEST』『ファミコン通信』などからゲーム雑誌の通史をたどる。
第3章では『ドルアーガの塔の全てがわかる本』『マザー百貨』などの攻略本を紹介。第4章では展示ケースごとに異なるテーマを設定し、「札幌南無児村青年団」「高橋名人」「伝説本」の3つを常設展示する。
さらに第4章では3回に分けて展示替えも行なう。第1期(3月5日~同25日)は、アメリカやイギリス、フランス、ドイツ、中国など海外のゲーム本や同人誌を。第2期(3月26日~4月8日)は、読者投稿や裏ワザにまつわる本。第3期(4月9日~同24日)では『小学一年生』『小学五年生』などの学年別学習雑誌や付録も展示される。
この他にも1996年頃のゲーム部屋を再現したスペースや『Beep』『ファミコン通信』といった著名雑誌や攻略本の全てのバックナンバーも常設展示し、高橋名人などゲームにゆかりのある10人の文章を収録した図録も販売するなど盛沢山の内容だ。
3月20日と4月3日、24日の日曜日には、山本さんによる展示解説が午後2時から3時まで行なわれる予定。展示資料について詳しく説明し、こぼれ話や見どころについても紹介する。
4月24日まで開催。開館時間は午前9時半~午後5時。休館日は3月7、14、22、23、28日と4月4、11、18日。入館料は一般300円。高校生と市内在住の70歳以上は150円。障害者と中学生以下は無料。
問い合わせは市立小樽文学館(小樽市色内1の9の5。☎0134・32・2388)まで。(あ)
Posted by 北方ジャーナル at 11:24│Comments(0)
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