2021年06月18日
突如、旭川医大の吉田学長が荻生田文科相に辞表を提出。不名誉となる学長選考会議の解任決議を前に逃亡か

文科相に辞任を届け出た旭川医科大学の吉田晃敏学長(2020年1月28日の会見当時)
就任以来、全国でも珍しい14年間の長きにわたりトップに君臨していた旭川医科大学の吉田晃敏学長(69)が前日に迫った弁明を放棄し6月17日、突然辞意を表明した。吉田学長の代理人・中村元弥弁護士(1961年兵庫県西宮市生まれ、京大法卒、判事補から97年旭川弁護士会登録)が同日旭川市内で開いた会見で経緯と理由を説明した。中村弁護士によれば、吉田学長は同月15日付で荻生田光一文部科学大臣宛てに内容証明郵便を送付。17日をもって学長を辞任する旨を届け出たという。
会見で中村弁護士は、「(吉田学長は)解任請求をめぐる混乱を学内にもたらしたことについて、自身の不徳の致すところと反省している。これ以上大学に混乱を招くことは本意でないと考え身を引く決意をした」と辞任届を出した理由を説明した。
学内の混乱の元となった一連の疑惑は今年初めから噴き出した。新型コロナウイルスの感染患者受け入れを進言した旭川医科大学病院の古川博之病院長(当時)に辞任を迫ったとされたいわゆるパワハラ発言を皮切りに、勤務実態がない中で滝川市立病院から多額の顧問料を長年受け取っていた事実、目に余る酩酊状態での言動などが文春砲をはじめ各メディアで次々報じられたのは記憶に新しいところ。
これらの動きを受けて学内では教授らによる「旭川医科大学の正常化を求める会」が、学外ではOBなどによる「吉田晃敏旭川医科大学学長のリコールを求める全国有志の会」が立ち上がり、同氏を大学から排除するよう署名を大学に提出。この学内外で湧き起こった解任請求に背中を押される形で学長選考会議が第三者による調査委員会(札幌弁護士会所属の3名の弁護士)に委嘱し、疑惑に関する調査を開始した経緯がある。
約3カ月の精査を踏まえ調査委は6月1日に選考会議に結果を報告したが、この中で吉田学長のパワハラや新たな問題を調査委が認定したなどと大手メディアが報じ、6月18日に予定されていた吉田学長本人の弁明に注目が集まっていた。
先の会見で中村弁護士は「選考会議は解任の結論ありきで強引に進行されているものと考えざるを得ない」とし、疑惑に関しては「パワハラはない。それ以外のことで、もしあったとしても解任に値するものではない」「解任請求の理由が吉田学長に明らかにされていない」と選考会議を批判。吉田学長が自ら出席しての会見や学内での説明会などについては「現在、予定していない」とした。
18日午前、文科省の人事課は取材に対し、17日夕方に吉田学長本人から辞任する旨の文書を受け取ったことを認めつつ「あくまで(文科相宛に)文書が届いたということで、これをもって辞任を受理したということではない。国立大学法人の学長の選任、解任は学長選考会議の申し出を受けて文科大臣が決定することになっており、直接辞表を受け取るなどは前例がない」とコメント。今後は、「この辞任の申し出を選考会議に報告し、確認してもらう」としている。
「旭川医科大学の正常化を求める会」の発起人のひとりは、今回の吉田学長の行動について次のように厳しく批判した。
「本来、自身の辞表は学長選考会議に出すべきもの。それを頭越しに文科大臣に提出すること自体間違っている。吉田学長は、もはや数々の疑惑を釈明しきれないと判断し、18日の弁明の場を欠席するつもりで動いていたとしか考えられない。説明責任を何ら果たさず、学長選考会議の審査プロセスに文句をつけ、言いたいことだけ言って辞めるというのは、国立大学法人のトップとして到底許されるものではない」
18日午前、吉田学長の代理人である中村弁護士に先述の文科省の見解を伝えたところ、次のように反論した。
「国立大学法人の学長に関する選任、解任の最終決定権者である文科大臣に辞表を提出した段階で、吉田氏は学長の地位を失っている。したがって、もはや学長ではない本人が(学長選考会議の)弁明の場に出る必要はないというのが当方の見解だ。学内の規約や関連法令を精査しても、この行為(文科相への辞表提出)が本人の辞職を妨げるという結論には達しなかった。そもそも当方としては学長選考会議における解任請求審議のあり方に大きな不満と疑念を抱いてきた。会見時にこの件での関するコメントを文書として配布し、道新などがその一部を紹介したが、主張の肝心な部分を掲載しておらず、恣意的な扱いをしており極めて不公平と言わざるを得ない」
18日夕方には、荻生田文科相が先の人事課のコメントを踏襲した発言を行なったほか、学長選考会議は今回の辞表提出に左右されず解任請求に関する審査を続けることを明らかにした。
本公式ブログでは本稿に続き、17日に中村弁護士の名で報道陣に配布された吉田氏の反論というべき「学長選考会議における解任請求審議についてのコメント」の全文を明日19日に公開する予定だ。(く)(こ)
学内の混乱の元となった一連の疑惑は今年初めから噴き出した。新型コロナウイルスの感染患者受け入れを進言した旭川医科大学病院の古川博之病院長(当時)に辞任を迫ったとされたいわゆるパワハラ発言を皮切りに、勤務実態がない中で滝川市立病院から多額の顧問料を長年受け取っていた事実、目に余る酩酊状態での言動などが文春砲をはじめ各メディアで次々報じられたのは記憶に新しいところ。
これらの動きを受けて学内では教授らによる「旭川医科大学の正常化を求める会」が、学外ではOBなどによる「吉田晃敏旭川医科大学学長のリコールを求める全国有志の会」が立ち上がり、同氏を大学から排除するよう署名を大学に提出。この学内外で湧き起こった解任請求に背中を押される形で学長選考会議が第三者による調査委員会(札幌弁護士会所属の3名の弁護士)に委嘱し、疑惑に関する調査を開始した経緯がある。
約3カ月の精査を踏まえ調査委は6月1日に選考会議に結果を報告したが、この中で吉田学長のパワハラや新たな問題を調査委が認定したなどと大手メディアが報じ、6月18日に予定されていた吉田学長本人の弁明に注目が集まっていた。
先の会見で中村弁護士は「選考会議は解任の結論ありきで強引に進行されているものと考えざるを得ない」とし、疑惑に関しては「パワハラはない。それ以外のことで、もしあったとしても解任に値するものではない」「解任請求の理由が吉田学長に明らかにされていない」と選考会議を批判。吉田学長が自ら出席しての会見や学内での説明会などについては「現在、予定していない」とした。
18日午前、文科省の人事課は取材に対し、17日夕方に吉田学長本人から辞任する旨の文書を受け取ったことを認めつつ「あくまで(文科相宛に)文書が届いたということで、これをもって辞任を受理したということではない。国立大学法人の学長の選任、解任は学長選考会議の申し出を受けて文科大臣が決定することになっており、直接辞表を受け取るなどは前例がない」とコメント。今後は、「この辞任の申し出を選考会議に報告し、確認してもらう」としている。
「旭川医科大学の正常化を求める会」の発起人のひとりは、今回の吉田学長の行動について次のように厳しく批判した。
「本来、自身の辞表は学長選考会議に出すべきもの。それを頭越しに文科大臣に提出すること自体間違っている。吉田学長は、もはや数々の疑惑を釈明しきれないと判断し、18日の弁明の場を欠席するつもりで動いていたとしか考えられない。説明責任を何ら果たさず、学長選考会議の審査プロセスに文句をつけ、言いたいことだけ言って辞めるというのは、国立大学法人のトップとして到底許されるものではない」
18日午前、吉田学長の代理人である中村弁護士に先述の文科省の見解を伝えたところ、次のように反論した。
「国立大学法人の学長に関する選任、解任の最終決定権者である文科大臣に辞表を提出した段階で、吉田氏は学長の地位を失っている。したがって、もはや学長ではない本人が(学長選考会議の)弁明の場に出る必要はないというのが当方の見解だ。学内の規約や関連法令を精査しても、この行為(文科相への辞表提出)が本人の辞職を妨げるという結論には達しなかった。そもそも当方としては学長選考会議における解任請求審議のあり方に大きな不満と疑念を抱いてきた。会見時にこの件での関するコメントを文書として配布し、道新などがその一部を紹介したが、主張の肝心な部分を掲載しておらず、恣意的な扱いをしており極めて不公平と言わざるを得ない」
18日夕方には、荻生田文科相が先の人事課のコメントを踏襲した発言を行なったほか、学長選考会議は今回の辞表提出に左右されず解任請求に関する審査を続けることを明らかにした。
本公式ブログでは本稿に続き、17日に中村弁護士の名で報道陣に配布された吉田氏の反論というべき「学長選考会議における解任請求審議についてのコメント」の全文を明日19日に公開する予定だ。(く)(こ)
Posted by 北方ジャーナル at 23:33│Comments(0)
│ニュース
※このブログではブログの持ち主が承認した後、コメントが反映される設定です。