2024年01月15日
北方ジャーナル2024年2月号
1月15日発売。お求めは道内有名書店、セイコーマート、インターネットではAmazon、またはオンライン書店『Fujisan.co.jp』、あるいは直接当社(右サイドバーのメールボタンから)までお問い合わせください。
【報道】全国中堅ゼネコンTSUCHIYAの架空発注疑惑を追う
「それは会社のためだった」
ツチヤ北海道支店が裏金を
作った本当の理由とは──
年間売上高約630億円の中堅ゼネコンとして知られるTSUCHIYA(ツチヤ)株式会社(本社岐阜・土屋智義会長兼社長)。同社の北海道支店(札幌市中央区)に勤めていた建築部副部長のM氏(68)が昨年6月、懲戒解雇され同社を後にした。だがこの懲戒解雇の裏には「架空発注」による裏金作りという大きな不祥事が潜んでいた。いったい同社の北海道支店で何が起きていたのか──。 (本誌編集長・工藤年泰)
----------------------------------------------------------------------
【報道】告発・絶望の学府㉚
パワハラ死問題 越年
江差看護・保護者らが知事要請
議会では各会派からの追及続く
「ご遺族の意向を伺いながら、丁寧かつ誠意をもって対応して参ります」――。どこで誰から問いを受けても、北海道トップの答えに“ブレ”はない。およそ具体性を欠いた言葉は、2024年も変わらず唱えられ続けることになるのか。少なくともその「誠意」はまだ、肝心の遺族には伝わっていないようだ。道立高等看護学院のハラスメント問題、最悪の被害は未解決のまま、またしても1つ年を越すこととなった。(小笠原 淳)
----------------------------------------------------------------------
【報道】苫小牧・老舗ガス業者で“独裁”か
「ぶん殴ってやりたい」
公益企業でパワハラ疑い
被害男性が社長など提訴
「ぶん殴ってやりたい」「ふざけんな」「本当に馬鹿」――。聴くに堪えない罵詈雑言の発信元とされるのは、苫小牧市のガス会社。被害を訴える男性は3年前に起きた事故を機に社長から理不尽なハラスメントを受け続け、心を病んで休職せざるを得なくなったという。労働災害の認定を経て損害賠償請求裁判に踏み切ったのは、理不尽な被害の再発防止を願うため。地域のライフラインを担う公益企業には一日も早く正常な職場に戻って欲しいという。(小笠原 淳)
----------------------------------------------------------------------
【シリーズ・住宅不動産情報】⑮──札幌圏で不動産開発進める日本エスコン
「キングムー」解体後にホテル
地場オフィスビル2棟も取得
プロ野球日本ハムファイターズの新球場、「エスコンフィールド北海道」の命名権を得るなど、北海道での知名度が急速に高まっている日本エスコン(東京本社・東京都港区)。新球場の玄関口である北広島市内では、駅西口で複合ビル開発を進める一方、札幌市内では新たにオフィスビル開発事業にも乗り出す。さらに、札幌のディスコ・クラブシーンを彩ってきた「キングムー」の土地建物を取得、解体後にはホテル建設を計画するなど、札幌圏の不動産市場で存在感が高まりつつある。(佐久間康介)
----------------------------------------------------------------------
【連載】“核のゴミ”レポートPART37 処分地選び「第3の自治体」が現れない中で…
節目を迎える「文献調査」
大型交付金による後遺症を
元高知県知事が寿都で力説
後志管内の寿都町と神恵内村を対象に行なわれてきた“核のゴミ”最終処分場の候補地選定に向けた「文献調査」の問題は今年、大きな節目を迎える。近く調査報告書の原案が公表され、一定期間の縦覧や道内各地での説明会などが予定されるからだ。次の「概要調査」に移るためには知事や両町村長の意向聴取が必要で、寿都町では条例に基づく住民投票を実施しなければならない。「第3の文献調査地域」が現れない中、経済産業省やNUMO(原子力発電環境整備機構)は時間稼ぎをするのか、地元住民や道民の意識の変化を踏まえ一気呵成に事を進めるのか──これまでの経緯や今後の見通しを概観し、元高知県知事の講演録と併せて紹介する。 (ルポライター・滝川 康治)
----------------------------------------------------------------------
【環境】仁木町の佐藤町長が関電の風力発電計画に反対表明
首長の背中を押した住民の
反対運動と風発への不信感
関西電力が仁木町の銀山地区を含む同町南部エリアで別の風力発電事業を検討している問題をめぐり、これまで中立の立場とされていた同町の佐藤聖一郎町長が12月21日、仁木町議会の一般質問で「好ましくない」と事実上の反対表明を出した。先立つ16日に行なわれた関電主催の説明会では、住民から銀山地区での事業中止を求める声が上がったが、具体的な回答はなく大荒れの展開に。佐藤町長が反対の意向を示した背景には、「仁木町の風力発電を考える会」(穂積豊仁代表)が1年半にわたり続けてきた反対運動と地元住人の風力発電への根深い不信がある。(武智敦子)
----------------------------------------------------------------------
【ニュース】
■寿都町丸抱えの「特養建て替え」で
社福に取り沙汰される補助金疑惑
──未取得の事業用地を「自己所有」と虚偽申請?
■北海道新幹線の要対策土搬入に
手稲山口の反対住民が抗議行動
──有害物質を含む粉塵の飛散に大きな危機感
■余市宇宙記念館の名誉館長に日本人
初の宇宙飛行士・毛利衛さんが就任
──オープンから25年越しで実った町のラブコール
■教授地位確認訴訟・二審で終結
大月隆寛氏と札幌国際大が和解
──結審後に札幌高裁が勧告、合意内容は非公表
■児童わいせつの元警察官、起訴
検審「不当」議決で検察が再捜査
──同居養女に性的虐待、不起訴後に親族の申立てで逆転決定
----------------------------------------------------------------------
【2024 道東・根室特集】石垣雅敏市長に訊く
困難な時にこそ創意工夫と
熱意で“地域みがき”に邁進
成し遂げる水産都市・根室の再興
ロシアとの関係悪化で北方領土返還交渉が暗礁に乗り上げ、人口減や看護師不足に悩まされても石垣雅敏市長は前を向くことを忘れない。故郷の根室をこよなく愛し、一介の職員から市のトップとなった72歳は「水産都市・根室の再興」を掲げて2期目をひた走っている最中だ。2022年度実績で寄付額全国3位と9年連続最高を更新したふるさと納税、新型コロナの5類への移行に伴い各種の祭りが復活するなど明るい話題もあるが、ウクライナ戦争や中国の禁輸措置といった国際情勢を受けて一次産業が危機に陥るなど新たな課題も生まれている。このような中で市政をどう舵取りしていくのか──。「困難な時にこそ職員と力を合わせ、地域にみがきをかける」と語る石垣市長に胸の内を訊いた。(12月19日取材 工藤年泰・佐久間康介)
----------------------------------------------------------------------
【2024 道東・根室特集】千島歯舞諸島居住者連盟理事・根室支部長 角鹿泰司さんに訊く
置き去りにされる四島問題
何より望む北方墓参の再開
ロシアによるウクライナ侵攻に端を発して日ロ関係が悪化、北方領土問題は戦後最も厳しい局面に置かれている。元島民たちの平均年齢は88歳になり、もはや生きているうちに島は戻らないという酷薄な現実を突きつけられたも同然の状況だ。これまで元島民らが積み上げてきた返還運動の思いを、後継者や三世、四世にどう引き継いでもらうかは、今後の運動の在り方を左右する大きな課題。歯舞群島勇留島出身で公益社団法人千島歯舞諸島居住者連盟理事・根室支部長を務める角鹿泰司(つのか・やすじ)さん(86)に返還運動の〝いまとこれから〟を訊いた。(佐久間康介)
----------------------------------------------------------------------
【医療】
さっぽろ麻生乳腺甲状腺クリニックの
亀田院長に「がんゲノム医療」を訊く
解明された遺伝子変異と
乳がん発症の「因果関係」
遺伝子を調べてがんを治療する「がんゲノム医療」が注目されている。ゲノムとは全遺伝情報を指し、乳がんの分野でもがんの原因となる遺伝子を一括して調べる「がん遺伝子パネル検査」や乳がんの再発リスクを数値化し抗がん剤の投与を判断する「オンコタイプDX乳がんスコアプログラム」が保険収載されている。昨年7月には京都大学の研究チームが、乳がんの芽となる遺伝子の変異から発症までのプロセスを最先端のゲノム解析で明らかにしたというニュースも飛び込んできた。医療法人北つむぎ会「さっぽろ麻生乳腺甲状腺クリニック」の亀田博理事長・院長を訪ね、京都大学のゲノム解析やゲノム医療の現状について訊いた。(工藤年泰・武智敦子)
----------------------------------------------------------------------
【医療】
北海道BPにメディカルモールを開く
ミライシアHD・神山武士社長に訊く
連携と共有をキーワードに
クリニックと薬局を新展開
この夏、北海道ボールパークFビレッジ(北広島市)に開業予定のメディカルモールを手掛け、外来診療の停止に追い込まれた釧路の精神科病院の建て直しにも取り組む──。調剤薬局などを手掛けるミライシアホールディング(本社札幌)の神山武士社長(42)にとって23年は激動の年だった。そんな若き経営者が24年に掲げるキーワードは「連携」と「共有」。2019年の創業以来、地域のニーズに応える調剤薬局事業を展開しながら道内の医療格差を肌で感じてきた神山社長は、医療機関などと連携を図り地域に手厚い医療を届けることを目標に掲げる──。 (12月12日取材 工藤年泰・武智敦子)
----------------------------------------------------------------------
【企業】2024年の進路を訊く──サッポロビール 森本光俊北海道本社代表
上富良野でのホップ試験栽培
百年目は学びや体験に力注ぐ
ここだけのビール求め行列の賑わいも
「上富良野町でのホップ試験栽培100周年」をキーワードに、原料生産地・上富良野町とのつながりやビールに欠かせない原材料の歴史、物語などを積極的に打ち出してきた2023年のサッポロビール。この象徴的事業といえる上富良野町日帰りツアーは、ホップなど原材料にまつわる特別な体験や学びを提供し大好評。また伝説のホップと呼ばれる上富良野発祥のソラチエースを使ったSORACHI 1984に関しては、JR札幌駅改札内にオープンしたBEER STAND SORACHIが連日行列の大人気だという。そんな同社の今後などについて森本代表に話を訊いた。 (12月21日収録)
----------------------------------------------------------------------
【ビジネス】
新千歳空港に待望のビジネス
ジェット専用ターミナル開業
利用者をもてなす独自のサービスも
北海道の良質な雪を求めてやってくる海外客の繁忙期を間近に控えた12月8日、新千歳空港に新施設が開業した。それはビジネスジェット専用ターミナル。これまでは羽田・成田空港など限られた空港のみで整備されていた施設だ。同ターミナルは主に海外富裕層のニーズに応える上でかねてより北海道エアポートが構想し、準備を進めていたもので、いわば念願の施設ともいえる。開業式典では、北海道エアポートの蒲生猛社長が「当施設を北海道での高付加価値な観光体験につながる玄関口として、北海道と世界をつなぐ交流拠点に育てていきたい」と意気込みを述べた。
----------------------------------------------------------------------
【追悼特集】
経済界の巨星、伊藤義郎氏が
遺した故郷・北海道への直言
伊藤組土建(本社札幌)の取締役会長で、北海道商工会議所会頭、札幌商工会議所会頭、北海道建設業協会会長などを歴任した経済界の重鎮・伊藤義郎氏が2023年12月5日、老衰のため死去した。96歳だった。明治時代の半ばに新潟県出雲崎出身の伊藤亀太郎氏が渡道して伊藤組土建を設立。1926年12月生まれの義郎氏は56年に29歳の若さで同社3代目当主となり、以後半世紀以上にわたって建設業のみならず、北海道経済をリードしてきた。
札幌証券取引所理事長も21年間務め、アンビシャス市場創設に尽力したほか、札証廃止論が強まる道内経済界の中で経済インフラの重要性を説き、存続に導いた立役者だった。
このほか北海道スキー連盟会長としてウインタースポーツ振興に努めるなど、その功績は多岐にわたる。
その伊藤義郎氏への追悼を込めて本人が91歳の時に収録、2018年4月号に掲載したロングインタビューを再録する。数多の苦労を乗り越えて年輪を重ね、卒寿を超えた伊藤氏が考えていた北海道の将来像とはいかなるものか──。その直言に耳を傾けてもらえれば幸いだ。
----------------------------------------------------------------------
【連載】ルポ「ひきこもり」101──レタポスの小樽での居場所事業を引き継いだ「塩谷福祉会」
長い時間をかけ取り組んできた
ひきこもり支援に新たな担い手
小樽市の社会福祉法人「塩谷福祉会」が運営する地域活動支援センター「やすらぎ」が、昨年10月からひきこもり支援に乗り出した。同市においては札幌市のNPO法人「レター・ポスト・フレンド相談ネットワーク」(田中敦理事長・以下レタポス)が2017年10月から22年12月までサテライト事業を行なっていたが、行政の支援が手薄なことに加え社会資源が乏しいことが課題であった。そうした中、地域活動支援センターの主導で始まった新たな動きは親達に歓迎されている。(武智敦子)
----------------------------------------------------------------------
【連載】戦争遺産をめぐる旅 【98】
平和のために何ができるかを問う
立命館大学国際平和ミュージアム
誠実に歴史に向き合う
京都府京都市北区の「立命館大学国際平和ミュージアム」が開館から30年余りを経て、初めて全面的な大改装を行ない、昨年9月23日に新装オープンしている。見学者自らが「平和とは何か」を考えることができるよう、日中戦争から太平洋戦争、そして世界各地で起きている現代の紛争まで、さまざまな視点から問いかけながら展示が進む。立命館大学がなぜこうしたミュージアムを作ったのかにも興味があり、冬の京都を訪れた。(ジャーナリスト 黒田 伸)
----------------------------------------------------------------------
【フォトレポート・トピックス】
●愛知県の企業が札証に上場! 陶器瓦、高機能屋根材の新東
●地域一番店を堅持するスーパー 根室の「マルシェ デ キッチン」
●伝統の餅まきで事業完了を祝ったマールク新さっぽろのまちびらき
●厳冬期の自然美、滝上渓谷「錦仙峡」の氷瀑
●札幌証券取引所の大発会で取引開始を祝った清宮選手
●例年好評のオホーツクフェア、今年は1月24・25日に開催
----------------------------------------------------------------------
【連載コラムなど】
*北海道フォトエッセイ
*シネマ
*スポーツ筆刀両断
*古本屋女房の“古本的日常"
*デンタルエッセイ
*北海道妄想紀行
*連載小説 特別授業
*よいどれブンガク夜話
*ソレでもナマがすき?
----------------------------------------------------------------------
【今月の表紙】鈴木翁二画
『ふるえる やわらかい力にも 光気よ やどれ!!』
【連載】“核のゴミ”レポートPART37 処分地選び「第3の自治体」が現れない中で…
節目を迎える「文献調査」
大型交付金による後遺症を
元高知県知事が寿都で力説
後志管内の寿都町と神恵内村を対象に行なわれてきた“核のゴミ”最終処分場の候補地選定に向けた「文献調査」の問題は今年、大きな節目を迎える。近く調査報告書の原案が公表され、一定期間の縦覧や道内各地での説明会などが予定されるからだ。次の「概要調査」に移るためには知事や両町村長の意向聴取が必要で、寿都町では条例に基づく住民投票を実施しなければならない。「第3の文献調査地域」が現れない中、経済産業省やNUMO(原子力発電環境整備機構)は時間稼ぎをするのか、地元住民や道民の意識の変化を踏まえ一気呵成に事を進めるのか──これまでの経緯や今後の見通しを概観し、元高知県知事の講演録と併せて紹介する。 (ルポライター・滝川 康治)
----------------------------------------------------------------------
【環境】仁木町の佐藤町長が関電の風力発電計画に反対表明
首長の背中を押した住民の
反対運動と風発への不信感
関西電力が仁木町の銀山地区を含む同町南部エリアで別の風力発電事業を検討している問題をめぐり、これまで中立の立場とされていた同町の佐藤聖一郎町長が12月21日、仁木町議会の一般質問で「好ましくない」と事実上の反対表明を出した。先立つ16日に行なわれた関電主催の説明会では、住民から銀山地区での事業中止を求める声が上がったが、具体的な回答はなく大荒れの展開に。佐藤町長が反対の意向を示した背景には、「仁木町の風力発電を考える会」(穂積豊仁代表)が1年半にわたり続けてきた反対運動と地元住人の風力発電への根深い不信がある。(武智敦子)
----------------------------------------------------------------------
【ニュース】
■寿都町丸抱えの「特養建て替え」で
社福に取り沙汰される補助金疑惑
──未取得の事業用地を「自己所有」と虚偽申請?
■北海道新幹線の要対策土搬入に
手稲山口の反対住民が抗議行動
──有害物質を含む粉塵の飛散に大きな危機感
■余市宇宙記念館の名誉館長に日本人
初の宇宙飛行士・毛利衛さんが就任
──オープンから25年越しで実った町のラブコール
■教授地位確認訴訟・二審で終結
大月隆寛氏と札幌国際大が和解
──結審後に札幌高裁が勧告、合意内容は非公表
■児童わいせつの元警察官、起訴
検審「不当」議決で検察が再捜査
──同居養女に性的虐待、不起訴後に親族の申立てで逆転決定
----------------------------------------------------------------------
【2024 道東・根室特集】石垣雅敏市長に訊く
困難な時にこそ創意工夫と
熱意で“地域みがき”に邁進
成し遂げる水産都市・根室の再興
ロシアとの関係悪化で北方領土返還交渉が暗礁に乗り上げ、人口減や看護師不足に悩まされても石垣雅敏市長は前を向くことを忘れない。故郷の根室をこよなく愛し、一介の職員から市のトップとなった72歳は「水産都市・根室の再興」を掲げて2期目をひた走っている最中だ。2022年度実績で寄付額全国3位と9年連続最高を更新したふるさと納税、新型コロナの5類への移行に伴い各種の祭りが復活するなど明るい話題もあるが、ウクライナ戦争や中国の禁輸措置といった国際情勢を受けて一次産業が危機に陥るなど新たな課題も生まれている。このような中で市政をどう舵取りしていくのか──。「困難な時にこそ職員と力を合わせ、地域にみがきをかける」と語る石垣市長に胸の内を訊いた。(12月19日取材 工藤年泰・佐久間康介)
----------------------------------------------------------------------
【2024 道東・根室特集】千島歯舞諸島居住者連盟理事・根室支部長 角鹿泰司さんに訊く
置き去りにされる四島問題
何より望む北方墓参の再開
ロシアによるウクライナ侵攻に端を発して日ロ関係が悪化、北方領土問題は戦後最も厳しい局面に置かれている。元島民たちの平均年齢は88歳になり、もはや生きているうちに島は戻らないという酷薄な現実を突きつけられたも同然の状況だ。これまで元島民らが積み上げてきた返還運動の思いを、後継者や三世、四世にどう引き継いでもらうかは、今後の運動の在り方を左右する大きな課題。歯舞群島勇留島出身で公益社団法人千島歯舞諸島居住者連盟理事・根室支部長を務める角鹿泰司(つのか・やすじ)さん(86)に返還運動の〝いまとこれから〟を訊いた。(佐久間康介)
----------------------------------------------------------------------
【医療】
さっぽろ麻生乳腺甲状腺クリニックの
亀田院長に「がんゲノム医療」を訊く
解明された遺伝子変異と
乳がん発症の「因果関係」
遺伝子を調べてがんを治療する「がんゲノム医療」が注目されている。ゲノムとは全遺伝情報を指し、乳がんの分野でもがんの原因となる遺伝子を一括して調べる「がん遺伝子パネル検査」や乳がんの再発リスクを数値化し抗がん剤の投与を判断する「オンコタイプDX乳がんスコアプログラム」が保険収載されている。昨年7月には京都大学の研究チームが、乳がんの芽となる遺伝子の変異から発症までのプロセスを最先端のゲノム解析で明らかにしたというニュースも飛び込んできた。医療法人北つむぎ会「さっぽろ麻生乳腺甲状腺クリニック」の亀田博理事長・院長を訪ね、京都大学のゲノム解析やゲノム医療の現状について訊いた。(工藤年泰・武智敦子)
----------------------------------------------------------------------
【医療】
北海道BPにメディカルモールを開く
ミライシアHD・神山武士社長に訊く
連携と共有をキーワードに
クリニックと薬局を新展開
この夏、北海道ボールパークFビレッジ(北広島市)に開業予定のメディカルモールを手掛け、外来診療の停止に追い込まれた釧路の精神科病院の建て直しにも取り組む──。調剤薬局などを手掛けるミライシアホールディング(本社札幌)の神山武士社長(42)にとって23年は激動の年だった。そんな若き経営者が24年に掲げるキーワードは「連携」と「共有」。2019年の創業以来、地域のニーズに応える調剤薬局事業を展開しながら道内の医療格差を肌で感じてきた神山社長は、医療機関などと連携を図り地域に手厚い医療を届けることを目標に掲げる──。 (12月12日取材 工藤年泰・武智敦子)
----------------------------------------------------------------------
【企業】2024年の進路を訊く──サッポロビール 森本光俊北海道本社代表
上富良野でのホップ試験栽培
百年目は学びや体験に力注ぐ
ここだけのビール求め行列の賑わいも
「上富良野町でのホップ試験栽培100周年」をキーワードに、原料生産地・上富良野町とのつながりやビールに欠かせない原材料の歴史、物語などを積極的に打ち出してきた2023年のサッポロビール。この象徴的事業といえる上富良野町日帰りツアーは、ホップなど原材料にまつわる特別な体験や学びを提供し大好評。また伝説のホップと呼ばれる上富良野発祥のソラチエースを使ったSORACHI 1984に関しては、JR札幌駅改札内にオープンしたBEER STAND SORACHIが連日行列の大人気だという。そんな同社の今後などについて森本代表に話を訊いた。 (12月21日収録)
----------------------------------------------------------------------
【ビジネス】
新千歳空港に待望のビジネス
ジェット専用ターミナル開業
利用者をもてなす独自のサービスも
北海道の良質な雪を求めてやってくる海外客の繁忙期を間近に控えた12月8日、新千歳空港に新施設が開業した。それはビジネスジェット専用ターミナル。これまでは羽田・成田空港など限られた空港のみで整備されていた施設だ。同ターミナルは主に海外富裕層のニーズに応える上でかねてより北海道エアポートが構想し、準備を進めていたもので、いわば念願の施設ともいえる。開業式典では、北海道エアポートの蒲生猛社長が「当施設を北海道での高付加価値な観光体験につながる玄関口として、北海道と世界をつなぐ交流拠点に育てていきたい」と意気込みを述べた。
----------------------------------------------------------------------
【追悼特集】
経済界の巨星、伊藤義郎氏が
遺した故郷・北海道への直言
伊藤組土建(本社札幌)の取締役会長で、北海道商工会議所会頭、札幌商工会議所会頭、北海道建設業協会会長などを歴任した経済界の重鎮・伊藤義郎氏が2023年12月5日、老衰のため死去した。96歳だった。明治時代の半ばに新潟県出雲崎出身の伊藤亀太郎氏が渡道して伊藤組土建を設立。1926年12月生まれの義郎氏は56年に29歳の若さで同社3代目当主となり、以後半世紀以上にわたって建設業のみならず、北海道経済をリードしてきた。
札幌証券取引所理事長も21年間務め、アンビシャス市場創設に尽力したほか、札証廃止論が強まる道内経済界の中で経済インフラの重要性を説き、存続に導いた立役者だった。
このほか北海道スキー連盟会長としてウインタースポーツ振興に努めるなど、その功績は多岐にわたる。
その伊藤義郎氏への追悼を込めて本人が91歳の時に収録、2018年4月号に掲載したロングインタビューを再録する。数多の苦労を乗り越えて年輪を重ね、卒寿を超えた伊藤氏が考えていた北海道の将来像とはいかなるものか──。その直言に耳を傾けてもらえれば幸いだ。
----------------------------------------------------------------------
【連載】ルポ「ひきこもり」101──レタポスの小樽での居場所事業を引き継いだ「塩谷福祉会」
長い時間をかけ取り組んできた
ひきこもり支援に新たな担い手
小樽市の社会福祉法人「塩谷福祉会」が運営する地域活動支援センター「やすらぎ」が、昨年10月からひきこもり支援に乗り出した。同市においては札幌市のNPO法人「レター・ポスト・フレンド相談ネットワーク」(田中敦理事長・以下レタポス)が2017年10月から22年12月までサテライト事業を行なっていたが、行政の支援が手薄なことに加え社会資源が乏しいことが課題であった。そうした中、地域活動支援センターの主導で始まった新たな動きは親達に歓迎されている。(武智敦子)
----------------------------------------------------------------------
【連載】戦争遺産をめぐる旅 【98】
平和のために何ができるかを問う
立命館大学国際平和ミュージアム
誠実に歴史に向き合う
京都府京都市北区の「立命館大学国際平和ミュージアム」が開館から30年余りを経て、初めて全面的な大改装を行ない、昨年9月23日に新装オープンしている。見学者自らが「平和とは何か」を考えることができるよう、日中戦争から太平洋戦争、そして世界各地で起きている現代の紛争まで、さまざまな視点から問いかけながら展示が進む。立命館大学がなぜこうしたミュージアムを作ったのかにも興味があり、冬の京都を訪れた。(ジャーナリスト 黒田 伸)
----------------------------------------------------------------------
【フォトレポート・トピックス】
●愛知県の企業が札証に上場! 陶器瓦、高機能屋根材の新東
●地域一番店を堅持するスーパー 根室の「マルシェ デ キッチン」
●伝統の餅まきで事業完了を祝ったマールク新さっぽろのまちびらき
●厳冬期の自然美、滝上渓谷「錦仙峡」の氷瀑
●札幌証券取引所の大発会で取引開始を祝った清宮選手
●例年好評のオホーツクフェア、今年は1月24・25日に開催
----------------------------------------------------------------------
【連載コラムなど】
*北海道フォトエッセイ
*シネマ
*スポーツ筆刀両断
*古本屋女房の“古本的日常"
*デンタルエッセイ
*北海道妄想紀行
*連載小説 特別授業
*よいどれブンガク夜話
*ソレでもナマがすき?
----------------------------------------------------------------------
【今月の表紙】鈴木翁二画
『ふるえる やわらかい力にも 光気よ やどれ!!』
Posted by 北方ジャーナル at 00:00│Comments(0)
│バックナンバー
※このブログではブログの持ち主が承認した後、コメントが反映される設定です。