2015年05月15日
北方ジャーナル2015年6月号

5月15日発売。お求めは道内有名書店、セイコーマート、SPAR、オンライン書店『Fujisan.co.jp』、または当社(右サイドバーのメールボタンから)までお問い合わせください。
【報道】道南発・初春の怪火 (3)
「死の2日前、娘は6時間泣き続けた」
道新セクハラ疑惑で刑事告訴
不審死女性の両親が語る胸中

本誌4月号から報告してきた北海道新聞函館支社嘱託職員の不審死事件で、5月に入ってから新たな展開があった。セクハラ被害を訴えて亡くなった女性の両親が、加害者とされる男性社員2人の刑事告訴に踏み切ったのだ。遺族の怒りに火を着けたのは、道新本社の事後対応。事実関係の解明は遅々として進まず、2カ月半が過ぎてなお調査に進展がみられない。娘に代わって無念を晴らす──。5月7日の告訴直後、1時間半にわたって本誌に胸中を語った両親の、痛切な訴えをここに採録する。(小笠原 淳)
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【報道】前代未聞、暴力団との〝関係〟まで明かした民事訴訟の行方 ②
違法カジノへの出資を
あえて“カミングアウト”
渦中の若手社長が明かした「提訴の理由」
リスク情報に敏感な金融機関などが主要な取り引き先である不動産賃貸業の若手社長が、事件化していない自身の違法カジノ経営を民事提訴を行なうことで“カミングアウト”する──。不動産賃貸業で道内大手の㈱ハイチエイジェント(札幌市)と同社の鷹野公弘社長が平成24年5月28日に提起した「不当利得返還等請求事件」は、被告が違法カジノ店の“表向きの経営者”とされる後藤郁享氏のほか、不動産業の道内大手でゴルフ場経営なども手掛けるキタコー株式会社(札幌市)と同社の草野浩平社長、草野社長の実父でキタコーの代表権を持つ草野馨氏の1社3名であったことから、金融業界を中心に秘かに注目を集めている。訴訟は昨年8月29日の札幌地裁判決を経て、現在は札幌高裁に争いの場を移しているが、夏前には結審に至る見通しだ。そうした中、渦中の鷹野社長が取材に応じた。
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【行政】高橋道政4期目の幹部人事を占う
未踏の任期に待ち受ける荒波
「高井退任」で副知事は誰に?
問われる「お気に入り人事」からの脱却

道政史上初の4選を手中にした高橋はるみ知事(61)の下で新しい〝組閣〟が行なわれている。本誌が発売される5月15日には、臨時道議会が開会中で、最終日の20日にも特別職人事が提案され「新しい発想で大胆に挑戦する」とした高橋道政を司る顔ぶれが決まることになるだろう。本稿は道庁幹部人事の行方を占うものだが、単なる観測記事ではなく「高橋道政4期目に真に必要な人材とは」という視点でまとめてみた。幹部OBなど道庁関係者の取材から透けて見えてくるのは、内外で高橋知事を待ち受ける意外なほどの荒波だ。
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【小樽市長選】注目の首長選挙を読み解く
小樽市長選は3度目の挑戦で
元市議・森井秀明氏が初当選
統一地方選の後半戦、4月26日に投開票が行なわれた小樽市長選(人口約12万4千人)は、元市議で3度目の挑戦となる新人の森井秀明氏(42)が、現職の中松義治氏(68)を破って初当選した。告示直前に市議選から市長選に乗り換えた元市議の吹田友三郎氏(65)を加え3氏による争いとなったが、結果(投票率60・21%)は森井氏の圧勝。僅差と見られた中松氏に約1万5000票の大差を付けて市長選を制した。小樽市民の投票行動を左右したものとは──。
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【金融】北洋銀“春の大異動”を読み解く
石井頭取の「渾身人事」で次のトップが見えてきた?
明快な実力布陣。広報出身者に目立つ昇進

銀行界には「人事が万事」という言い方があるという。銀行マンにとって最大の関心事は自行の人事異動ということらしい。というのも、その結果を見れば頭取が何をしようとしているのか、あるいは数年後の自分の立ち位置さえも見えてくる。そして次の幹部は誰なのか、果ては次期頭取の輪郭まで浮かんでくるからだ。北海道のリーディングバンク、北洋銀行が3月中旬に発表した今回の人事異動は、石井純二頭取(63)の思惑を反映した大胆なものだった。そこから見えてくるのは何か──。この春の北洋銀の“大異動”を読み解いてみた。
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【論評】道観光振興機構「近藤改革の実態」
予算倍でも赤信号の近藤体制
徐々に綻び始めた“道の思惑”
強引さを現場が敬遠、途絶える観光人脈

昨年、坂本眞一会長が不慮の死を遂げたことで会長ポストをめぐり迷走した公益社団法人北海道観光振興機構(以下観光機構)。同年6月に鳴り物入りで会長に就任した近藤龍夫氏(71)は、機構を「官民一体の組織に改革する」と宣言したが、この“近藤改革”に早くも「赤信号」が点っているようだ。今年度の観光予算は機構向けだけで約14億円とこれまでの2倍以上になったが、実態は従来以上に官主導色が強まっているという。「そもそも近藤氏は観光について理念や哲学を持っているとは言い難い。そんな人物を道は思惑がらみで観光機構のトップに祭り上げてしまった。これがボタンの掛け違いの始まり」(観光機構関係者)。綻びが見え始めた道の思惑と近藤体制の内実を論評する。
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【報道】「開かれた司法」が閉じ始めた (10)
年間警備費用3400万円
札幌高・地裁、手荷物検査3年目

大手メディアがその問題をほとんど採り上げないまま丸2年が過ぎ、さして社会的関心が高まらない中、地元の役所は3年めの継続実施を決めた。2013年3月から札幌高等・地方裁判所で続いている訪庁者手荷物検査の話だ。具体的な実施理由が明示されることなく、年間3千万円以上を費やすその取り組みはなし崩しに続いていく。本稿記者の請求に応じて裁判所が開示した公文書を紐解きながら、改めて検査のあらましを記録しておきたい。(小笠原 淳)
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【ニュース】
■“アイヌパンフ発注問題”で
札幌市が関係者4人を刑事告発
──クルーズ社が受注できるよう市に働きかけたのは?
■小樽市議選は若手がトップ当選
安斎氏が自転車遊説で2期目へ
──新会派「新風小樽」結成し代表に
■再会した元オウム幹部と民俗学者
上祐さん・大月さんが札幌で対談
──アレフ急増地で四半世紀ぶり討論、ISから「アナ雪」まで談論風発
■「専門家とのタッグで心のケアを」
「アシスト協会」が新体制で始動
──「避難者と地域をつなぐアンテナとして存続したい」と佐藤新代表
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【連載】戦争遺産をめぐる旅 (4)
本土空襲の一大拠点となった
「絶対防空圏」のサイパン島
勝者にも敗者にも歪められた戦史

人類史上初の原子爆弾を広島、長崎に投下したアメリカ軍の爆撃機B29が飛び立ったテニアン島の北には、サイパン海峡を挟んでサイパン島がある。テニアン陥落の約1カ月前の1944年6月、アメリカ軍との激しい戦闘で多くの犠牲者を出した「玉砕の島」だ。サイパンが陥落したことでアメリカ側は空襲のための爆撃機を直接、日本本土へ飛ばすことが可能になり、日本は敗戦への歩みを早めることになる。日本の運命の転換点ともなったサイパン島は1970年代から多くの日本人観光客が訪れる南海の楽園に変わったが、空港の近くや島の北部には旧日本軍のトーチカや戦車が70年前の姿をさらしている。昨年10月、民間人が次々に海に身を投げた「バンザイクリフ」の上に立つと「なぜ私たちが死ななければならなかったのですか──」との声が聞こえるような気がした。(ジャーナリスト 黒田伸)
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【連載】ある市民運動の記憶から (2)
西武流通グループの進出、
商工会議所の全面保存転向…
それでも変わらぬ小樽市の姿勢

開発か埋め立てか。マチを二分した小樽運河論争の終焉から来年で30年。激しい論争の舞台となった運河はなぜ全面保存できなかったのか──。市民運動の経緯とエピソードを、元小樽市議で運動の渦中にいた山口保氏(67)に再び聞いた。(武智敦子)
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【連載】検証「泊原発は本当に必要なのか」(10)
再稼働せずとも安全対策で地元に落ちる「原発マネー」
“泊”に翻弄される岩内町のミニバブル

3年前の2012年5月5日は北海道にとって歴史的な日だった。フクシマの事故後、国内の原子力発電所で唯一運転していた泊原発3号機が定期検査に入り、この日の深夜に発電を停止。多くのメディアが泊原発を望む岩内町の岸壁に集まった。原発作業員などが多く滞在してきた同町は、ある意味で泊村以上に原発マネーが落ちているマチだ。あれから丸3年。再稼働が見通せない中で地元には意外な“ミニバブル”が押し寄せていた。同町の歴史を辿りながら現在も原発に翻弄され続けている地域の実態を報告する。(ジャーナリスト 黒田 伸)
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【医療】札幌市内で進む総合病院の施設更新
相次ぐ“建て替えラッシュ”
禎心会、孝仁会、KKR…

札幌市内で総合病院の建て替えが相次いでいる。建設工事が現在進行形なのは3カ所で、今後計画されているものも少なくとも2カ所ある。病院は築30~40年が建て替えの目安とされるが、今後その時期に差し掛かる市内の総合病院は少なくないと言われている。建設コストが急騰する中でも医療機関の施設更新は別扱い。札幌における“建て替えラッシュ”を概観してみよう。
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【医療】
医療法人徳洲会 札幌東徳洲会病院 清水洋三院長に訊く
“危機”をバネに独自に成長
使命は患者に寄り添うこと

「生命を安心して預けられる病院・健康と生活を守る病院」を理念に1986年に札幌市東区に誕生した医療法人徳洲会 札幌東徳洲会病院(325床・清水洋三院長)が今年、開院30年を迎える。99年の就任当時、医師の大量引き揚げという事態に直面した清水院長は、いかにして病院存続の危機を乗り越えたのか。いわゆる「徳洲会事件」は病院にどんな影響を与えたのか。そしていま、急性期の拠点病院として365日休むことなく救急患者を受け入れながら臨床研究や最先端のがん治療にも積極的に取り組む原動力とは何なのか──。陣頭指揮を執る清水院長にこれまでの歩みと将来ビジョンを訊いた。
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【長期連載】“農と食"北の大地から
「アニマルウェルフェア畜産」の今(その7)
元酪農家と獣医師の思いから
“動物もヒトも同じ命”との実感が
真の家畜福祉につながる事を力説

アニマルウェルフェア(家畜福祉)の取り組みを進めるには現場の声に耳を傾けることが欠かせない。昨年発足した「北海道・農業と動物福祉の研究会」(代表・瀬尾哲也帯広畜産大学講師)では3月下旬、放牧を主体に適正規模の経営を続けた元酪農家と食育活動にも携わる若手獣医師の話を聴く「家畜福祉セミナー」を開催した。「牛も、飼育する人間も、幸せでなければ家畜福祉は進まない」と、半世紀余りの牛飼い経験をもとに力説した月形町の久保純一さん。学生時代の動物実験を振り返り、診療活動のなかで感じた乳牛の疾病や現場の矛盾を語る八雲町の末永龍太さん──2人の家畜福祉や酪農に対する熱い思いを、講演などをもとに紹介する。(ルポライター 滝川 康治)
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【話題の人】
「演劇集団RE」の主宰者で
高校演劇を指導する鷲頭 環さんに訊く
「舞台は敷居や境界のない世界。
観客が喜んでくれたら勝ち」
3月28日、札幌市中央区で札幌琴似工業高校定時制演劇部の卒業公演『北極星の見つけかた』が開催された。不登校やいじめ、障害、そして「定時制だから」という偏見を実体験してきた部員たちが等身大の姿を体当たりで演じ、会場を深い感動で包んだ。昨年11月の高文連全道演劇発表大会で「奇跡のような舞台」と評され、最優秀賞を受賞。7月に滋賀県で開催される全国高校演劇大会に北海道代表として出場するが、メンバーの多くはこの春卒業した。「同じメンバーでもう一度舞台を」──。卒業公演の舞台裏には、若者たちを指導してきた演劇人・鷲頭環さん(38)の祈りと想いがあった。 (聞き手・武智敦子、4月22日収録)
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【長期連載】白井暢明のホンネで語る北海道独立論 特別篇
アメリカの属国へと向かう日本!
集団的自衛権、ガイドライン改正、TPPが意味するもの
『米国国民を代表する皆様。私たちの同盟を、「希望の同盟」と呼びましょう。アメリカと日本、力を合わせ、世界をもっとはるかに良い場所にしていこうではありませんか。
希望の同盟──。一緒でなら、きっとできます。』
こういって、我が国の安倍首相は米国連邦議会での演説を締めくくった。発話全体に自然な抑揚や流れがなく、お世辞にもうまいとはいえない彼の英語スピーチであった。しかし、問題は発音ではなくその内容だと人は言う。確かに、それはそうだ。そして安倍支持者は“内容”的にはうまくまとめた良い演説だったと言う。中には「歴史的名演説」と言う安倍ファンまでいるらしい。
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【フォトレポート・トピックス】
*正栄プロジェクトの冠大会でレバンガ北海道が東芝に勝利
*パブリックシアターフェニックスがオープン!
*今年も開催される“空港映画祭"短編アニメ作品の募集を開始!
*中国駐札幌総領事館の一行がコープさっぽろ石狩食品工場を訪問
*札幌心臓血管クリニックが大規模な医療講演会
*土屋公三氏の“門下生"が札幌に大集合
*性的少数者とのかかわりを考えるセミナーに経営者らが関心
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【連載コラムなど】
*視点 公共交通をどうする?
*夏井功の「夜を駈ける車イス」
*風俗嬢の休日
*シネマ
*須賀章雅のよいどれブンガク夜話
*名画の小部屋
*スポーツ筆刀両断
*夢の夢吉 夢吉の夢
*おたくの文壇殴り込み
*新設企業情報
*人物株価
*古本屋女房の“古本的日常"
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【今月の表紙】鈴木翁二画
『開店』
【金融】北洋銀“春の大異動”を読み解く
石井頭取の「渾身人事」で次のトップが見えてきた?
明快な実力布陣。広報出身者に目立つ昇進

銀行界には「人事が万事」という言い方があるという。銀行マンにとって最大の関心事は自行の人事異動ということらしい。というのも、その結果を見れば頭取が何をしようとしているのか、あるいは数年後の自分の立ち位置さえも見えてくる。そして次の幹部は誰なのか、果ては次期頭取の輪郭まで浮かんでくるからだ。北海道のリーディングバンク、北洋銀行が3月中旬に発表した今回の人事異動は、石井純二頭取(63)の思惑を反映した大胆なものだった。そこから見えてくるのは何か──。この春の北洋銀の“大異動”を読み解いてみた。
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【論評】道観光振興機構「近藤改革の実態」
予算倍でも赤信号の近藤体制
徐々に綻び始めた“道の思惑”
強引さを現場が敬遠、途絶える観光人脈

昨年、坂本眞一会長が不慮の死を遂げたことで会長ポストをめぐり迷走した公益社団法人北海道観光振興機構(以下観光機構)。同年6月に鳴り物入りで会長に就任した近藤龍夫氏(71)は、機構を「官民一体の組織に改革する」と宣言したが、この“近藤改革”に早くも「赤信号」が点っているようだ。今年度の観光予算は機構向けだけで約14億円とこれまでの2倍以上になったが、実態は従来以上に官主導色が強まっているという。「そもそも近藤氏は観光について理念や哲学を持っているとは言い難い。そんな人物を道は思惑がらみで観光機構のトップに祭り上げてしまった。これがボタンの掛け違いの始まり」(観光機構関係者)。綻びが見え始めた道の思惑と近藤体制の内実を論評する。
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【報道】「開かれた司法」が閉じ始めた (10)
年間警備費用3400万円
札幌高・地裁、手荷物検査3年目

大手メディアがその問題をほとんど採り上げないまま丸2年が過ぎ、さして社会的関心が高まらない中、地元の役所は3年めの継続実施を決めた。2013年3月から札幌高等・地方裁判所で続いている訪庁者手荷物検査の話だ。具体的な実施理由が明示されることなく、年間3千万円以上を費やすその取り組みはなし崩しに続いていく。本稿記者の請求に応じて裁判所が開示した公文書を紐解きながら、改めて検査のあらましを記録しておきたい。(小笠原 淳)
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【ニュース】
■“アイヌパンフ発注問題”で
札幌市が関係者4人を刑事告発
──クルーズ社が受注できるよう市に働きかけたのは?
■小樽市議選は若手がトップ当選
安斎氏が自転車遊説で2期目へ
──新会派「新風小樽」結成し代表に
■再会した元オウム幹部と民俗学者
上祐さん・大月さんが札幌で対談
──アレフ急増地で四半世紀ぶり討論、ISから「アナ雪」まで談論風発
■「専門家とのタッグで心のケアを」
「アシスト協会」が新体制で始動
──「避難者と地域をつなぐアンテナとして存続したい」と佐藤新代表
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【連載】戦争遺産をめぐる旅 (4)
本土空襲の一大拠点となった
「絶対防空圏」のサイパン島
勝者にも敗者にも歪められた戦史

人類史上初の原子爆弾を広島、長崎に投下したアメリカ軍の爆撃機B29が飛び立ったテニアン島の北には、サイパン海峡を挟んでサイパン島がある。テニアン陥落の約1カ月前の1944年6月、アメリカ軍との激しい戦闘で多くの犠牲者を出した「玉砕の島」だ。サイパンが陥落したことでアメリカ側は空襲のための爆撃機を直接、日本本土へ飛ばすことが可能になり、日本は敗戦への歩みを早めることになる。日本の運命の転換点ともなったサイパン島は1970年代から多くの日本人観光客が訪れる南海の楽園に変わったが、空港の近くや島の北部には旧日本軍のトーチカや戦車が70年前の姿をさらしている。昨年10月、民間人が次々に海に身を投げた「バンザイクリフ」の上に立つと「なぜ私たちが死ななければならなかったのですか──」との声が聞こえるような気がした。(ジャーナリスト 黒田伸)
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【連載】ある市民運動の記憶から (2)
西武流通グループの進出、
商工会議所の全面保存転向…
それでも変わらぬ小樽市の姿勢

開発か埋め立てか。マチを二分した小樽運河論争の終焉から来年で30年。激しい論争の舞台となった運河はなぜ全面保存できなかったのか──。市民運動の経緯とエピソードを、元小樽市議で運動の渦中にいた山口保氏(67)に再び聞いた。(武智敦子)
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【連載】検証「泊原発は本当に必要なのか」(10)
再稼働せずとも安全対策で地元に落ちる「原発マネー」
“泊”に翻弄される岩内町のミニバブル

3年前の2012年5月5日は北海道にとって歴史的な日だった。フクシマの事故後、国内の原子力発電所で唯一運転していた泊原発3号機が定期検査に入り、この日の深夜に発電を停止。多くのメディアが泊原発を望む岩内町の岸壁に集まった。原発作業員などが多く滞在してきた同町は、ある意味で泊村以上に原発マネーが落ちているマチだ。あれから丸3年。再稼働が見通せない中で地元には意外な“ミニバブル”が押し寄せていた。同町の歴史を辿りながら現在も原発に翻弄され続けている地域の実態を報告する。(ジャーナリスト 黒田 伸)
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【医療】札幌市内で進む総合病院の施設更新
相次ぐ“建て替えラッシュ”
禎心会、孝仁会、KKR…

札幌市内で総合病院の建て替えが相次いでいる。建設工事が現在進行形なのは3カ所で、今後計画されているものも少なくとも2カ所ある。病院は築30~40年が建て替えの目安とされるが、今後その時期に差し掛かる市内の総合病院は少なくないと言われている。建設コストが急騰する中でも医療機関の施設更新は別扱い。札幌における“建て替えラッシュ”を概観してみよう。
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【医療】
医療法人徳洲会 札幌東徳洲会病院 清水洋三院長に訊く
“危機”をバネに独自に成長
使命は患者に寄り添うこと

「生命を安心して預けられる病院・健康と生活を守る病院」を理念に1986年に札幌市東区に誕生した医療法人徳洲会 札幌東徳洲会病院(325床・清水洋三院長)が今年、開院30年を迎える。99年の就任当時、医師の大量引き揚げという事態に直面した清水院長は、いかにして病院存続の危機を乗り越えたのか。いわゆる「徳洲会事件」は病院にどんな影響を与えたのか。そしていま、急性期の拠点病院として365日休むことなく救急患者を受け入れながら臨床研究や最先端のがん治療にも積極的に取り組む原動力とは何なのか──。陣頭指揮を執る清水院長にこれまでの歩みと将来ビジョンを訊いた。
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【長期連載】“農と食"北の大地から
「アニマルウェルフェア畜産」の今(その7)
元酪農家と獣医師の思いから
“動物もヒトも同じ命”との実感が
真の家畜福祉につながる事を力説

アニマルウェルフェア(家畜福祉)の取り組みを進めるには現場の声に耳を傾けることが欠かせない。昨年発足した「北海道・農業と動物福祉の研究会」(代表・瀬尾哲也帯広畜産大学講師)では3月下旬、放牧を主体に適正規模の経営を続けた元酪農家と食育活動にも携わる若手獣医師の話を聴く「家畜福祉セミナー」を開催した。「牛も、飼育する人間も、幸せでなければ家畜福祉は進まない」と、半世紀余りの牛飼い経験をもとに力説した月形町の久保純一さん。学生時代の動物実験を振り返り、診療活動のなかで感じた乳牛の疾病や現場の矛盾を語る八雲町の末永龍太さん──2人の家畜福祉や酪農に対する熱い思いを、講演などをもとに紹介する。(ルポライター 滝川 康治)
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【話題の人】
「演劇集団RE」の主宰者で
高校演劇を指導する鷲頭 環さんに訊く
「舞台は敷居や境界のない世界。
観客が喜んでくれたら勝ち」
3月28日、札幌市中央区で札幌琴似工業高校定時制演劇部の卒業公演『北極星の見つけかた』が開催された。不登校やいじめ、障害、そして「定時制だから」という偏見を実体験してきた部員たちが等身大の姿を体当たりで演じ、会場を深い感動で包んだ。昨年11月の高文連全道演劇発表大会で「奇跡のような舞台」と評され、最優秀賞を受賞。7月に滋賀県で開催される全国高校演劇大会に北海道代表として出場するが、メンバーの多くはこの春卒業した。「同じメンバーでもう一度舞台を」──。卒業公演の舞台裏には、若者たちを指導してきた演劇人・鷲頭環さん(38)の祈りと想いがあった。 (聞き手・武智敦子、4月22日収録)
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【長期連載】白井暢明のホンネで語る北海道独立論 特別篇
アメリカの属国へと向かう日本!
集団的自衛権、ガイドライン改正、TPPが意味するもの
『米国国民を代表する皆様。私たちの同盟を、「希望の同盟」と呼びましょう。アメリカと日本、力を合わせ、世界をもっとはるかに良い場所にしていこうではありませんか。
希望の同盟──。一緒でなら、きっとできます。』
こういって、我が国の安倍首相は米国連邦議会での演説を締めくくった。発話全体に自然な抑揚や流れがなく、お世辞にもうまいとはいえない彼の英語スピーチであった。しかし、問題は発音ではなくその内容だと人は言う。確かに、それはそうだ。そして安倍支持者は“内容”的にはうまくまとめた良い演説だったと言う。中には「歴史的名演説」と言う安倍ファンまでいるらしい。
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【フォトレポート・トピックス】
*正栄プロジェクトの冠大会でレバンガ北海道が東芝に勝利
*パブリックシアターフェニックスがオープン!
*今年も開催される“空港映画祭"短編アニメ作品の募集を開始!
*中国駐札幌総領事館の一行がコープさっぽろ石狩食品工場を訪問
*札幌心臓血管クリニックが大規模な医療講演会
*土屋公三氏の“門下生"が札幌に大集合
*性的少数者とのかかわりを考えるセミナーに経営者らが関心
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【連載コラムなど】
*視点 公共交通をどうする?
*夏井功の「夜を駈ける車イス」
*風俗嬢の休日
*シネマ
*須賀章雅のよいどれブンガク夜話
*名画の小部屋
*スポーツ筆刀両断
*夢の夢吉 夢吉の夢
*おたくの文壇殴り込み
*新設企業情報
*人物株価
*古本屋女房の“古本的日常"
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【今月の表紙】鈴木翁二画
『開店』
Posted by 北方ジャーナル at 00:00│Comments(0)
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