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着火後、炎はすぐ最大になり５分程度そのまま燃え続けた（９月９日午後１時56分、安平町郊外で）


　2000年３月16日に起きた「恵庭OL殺人事件」で実刑判決を受け服役中の大越美奈子受刑者が札幌地裁に再審請求を行なうことを受け、伊東秀子氏ら弁護団は９月９日午後、胆振管内安平町の郊外で豚を使った燃焼実験を行なった。今回の実験は地裁に提出する新たな証拠のデータ取りを兼ねたもの。燃焼工学の専門家チームの指導と立ち会いの下で、裁判所が認定した遺体の焼損状況を再現する形で進められ、凄惨な“遺体損壊”の実態に迫った。

事件当日と同じ条件にするため細かな氷を敷き詰める



体重が測定される。着衣の姿がリアルだ


豚の表面と内部に温感センサーを取り付ける


　実験は、安平町郊外にある資材置き場跡地で行なわれた。事件当時と同じ条件にするため燃焼場所にはシャーベット状の氷が敷き詰められ、その上に被害者が身につけていたとものと同様の服が着せられた豚が置かれた。ちなみに実験に供された豚の重さは53.9キログラムで、これも被害者と同程度になるよう調整されたもの。内部の熱変化を調べるため豚に数カ所の温感センサーを取り付けて、午後１時55分から実験がスタートした。


最初の数分間が最も激しく燃えた（同日午後１時57分）


火勢が弱まりほぼ鎮火状態に（同日午後２時６分）


　まず犯人が使用したとされた灯油10リットルを上から豚に満遍なくかけたうえで着火。すぐに全体に火が回り２メートル以上の炎が上がる。そのまま激しく５分程度燃え続けたが、徐々に火の勢いが弱まっていく。着火してから10分後には、ほとんど鎮火した状態となった。燃焼実験はその後も断続的に数百ミリリットル単位で灯油をかけて継続されたが、これは豚内部の熱変化の経緯を詳しく調べるためのもの。

　弁護団は「炎の目撃情報」を検証する観点から前日の８日夜にも別の豚を使って同様の燃焼実験を行なっており、この時の結果は「表面が黒くなっただけで、背中はきれいなまま。内部は全く熱変化は受けていなかった」（伊東弁護士）とのこと。被害者の遺体が全身にわたり炭化状態だったことを踏まえ、「大越被告が灯油10リットルをかけて焼損した」と認定した裁判所の判断が合理性を欠いていることを改めて指摘していた。　（く）