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2024年03月26日

北方ジャーナル4月号の誌面から 北海道フォトエッセイ「ひとときの美の競演 旭川の氷彫刻世界大会」

北方ジャーナル4月号の誌面から 北海道フォトエッセイ「ひとときの美の競演 旭川の氷彫刻世界大会」
大氷像「雪の妖精」・撮影日:2024/2/9 ©️白井暢明

 本誌で「北海道フォトエッセイ」を連載中の白井暢明氏は、2月初旬に旭川で行なわれた「氷彫刻世界大会」に足を運び、そこで撮った絵を現在発売中の4月号に寄せてくれた。タイトルは「時空の“戯れ”を表現する、ひとときの美の競演」。変幻自在な水という存在をモチーフに、会場の美しい氷像を捉えた作品になっている。去りゆく冬。道民にとっては一見、迷惑な氷と雪だが、世界的に降雪地帯が狭まる傾向にあるという。その中にあって北海道は、ある種「聖地化」しつつあるのを感じる今日この頃だ。 (く)


北方ジャーナル4月号の誌面から 北海道フォトエッセイ「ひとときの美の競演 旭川の氷彫刻世界大会」
最優秀賞「みんな仲良し」・撮影日:2024/2/12 ©️白井暢明


時空の“戯れ”を表現する
ひとときの美の競演
旭川、氷彫刻世界大会

 この宇宙で水ほど“変幻自在”なものはない。気温の変化と共に、気体(水蒸気)から液体(水)へ、そして固体(氷)へと姿を変える。しかし他方で、水は全ての生き物を支える命の根源であり、その総量は不変という“永遠性”を持っている。つまり、水はまさに時空を超越しかつ融合させる特別な存在なのだ。

 時間の芸術である音楽とは対照的に、美術(絵画や彫刻)は空間の芸術であり、その作品は本来的には永続性を持つ。しかし、いずれは溶解して消えてしまう氷彫刻の世界は、水が持つこのような時空の“戯れ”を芸術化したものだ。

 2月9日から旭川では「氷彫刻世界大会」が開かれた。駅前広場には日本を代表する氷彫刻家の大作が立ち、買物公園の一条から七条までの空間には国内外の作者たちが腕を振るった作品が立ち並んだ。夜になると氷像はライトアップされ、その競演はさらに華やかになる。今年もまた力作揃いで、細かく彫られた透明感豊かな氷の表面に色とりどりの照明が反射してとても美しい。買物公園全体がまさにメルヘンの空間に変わったのだ。

 旭川冬まつりが終了した翌朝、買物公園に立ち並んでいた氷像たちが一斉に姿を消した。立っていた場所の痕跡もほとんど無い。これこそ“変幻自在”の水の本領だ。昨日の夜まで美の競演に参加していたスターたちはどこに行ってしまったのか。その鮮やかな時空からの脱出こそが美の残像をより鮮明に蘇らせる──私たちの記憶の中に。



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Posted by 北方ジャーナル at 00:21│Comments(0)編集長日記
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