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2024年03月16日

北大総長解任取り消し訴訟で札幌地裁が名和氏の請求を棄却

北大総長解任取り消し訴訟で札幌地裁が名和氏の請求を棄却
判決後の記者会見に臨む名和豊春前総長(左)と佐藤博文弁護士(3月13日午後、札幌市内)

 北海道大学の総長を解任されたのは不当だとして名和豊春前総長(69)が国と北大に処分の取り消しと1466万円の損害賠償を求めていた訴訟で3月13日、札幌地方裁判所の右田晃一裁判長は、「手続きに誤りはなく解任は正当」として名和氏の請求を棄却する判決を言い渡した。(こ)

 名和氏は2017年4月に北大総長に就任したが翌年9月、同氏に関するパワハラの公益通報があるとして総長選考会議が調査委員会を設置。職員からの聞き取りにより威圧的な言動など30件の非違行為が総長選考会議で認定され、同会議は2019年7月に文科相に解任を申し出た。ほぼ1年後の2020年6月、文科相は30件のうち28件を非違行為と認定して名和氏を解任した。

 これを受けて名和氏は、同年12月に国と北大を相手取り、①解任手続きに瑕疵(かし)がある、②解任事由の「その他総長たるに適しないと認めるとき」に該当しないにもかかわらずそれを認定した、③判断過程審査に裁量権の逸脱・濫用がある、④比例原則違反による裁量権の逸脱・濫用がある──として札幌地裁に提訴していた。

 3年以上の審理を経て下した判決で右田裁判長は、「解任申し出の手続きに瑕疵は認められず、違法であるとは認められない」「認定した名和氏の非違行為及び評価は正当である」とした。さらに「処分認定事実の内容は、被告職員に対して威圧的にふるまう、過度に叱責する、合理的な理由もなく予定をキャンセルする、不必要な業務を指示する、研究者倫理に反し著作権を侵害しかねない指示をする、合理的な理由なく前言を覆す、入札の公正さを害するような言動に及ぶ、職員倫理規定に違反する、対外的にも尊大な態度で接するなど多岐にわたっており、被告北大の職員を困惑させるとともに被告北大の信用を失墜させるものである」、「総長選考会議規定18条4項所定の『その他総長たるに適しないと認められるとき』に該当すると判断した評価は、正当ということができる」と断じた。

 また「原告の非違行為の件数及び内容に照らせば、解任処分による原告の不利益が大きいことを踏まえても、総長選考会議が『その他総長たるに適しないと認められるとき』に該当すると認めた判断が比例原則に反するものとはいえず、解任申し出に裁量権の逸脱・濫用は認められない」とした。

 判決後に開かれた会見で、名和氏の弁護団のひとりである小野寺信勝弁護士は、「調査委員会で名和氏に反論の機会が与えられなかったことや、証拠関係の音声データの謄写が許されなかったことなど解任手続きが違法という主張をしたが、裁判所は『名和氏に反論の機会はあった』として違法性はないと認定した。また28件の非違行為に事実の認定、評価に誤りがあるという主張についても、裁判所は全てについて事実と評価に誤りはないと判断。判決は、いずれもほぼ北大の主張をそのまま認定した内容で、我々としては到底受け入れがたい」と話した。

 同じく弁護団の佐藤博文弁護士は、「『その他総長たるに適しないと認められるとき』という総長選考会議の解任条文について、その基準は具体的にどういうことなのかを突き詰めて考える必要がある。(今回の解任は)労働事件では懲戒解雇のようなもの。不利益を受ける名和氏に対してきちんとした資料を見せ、本人の弁明を踏まえたうえで解任の審議をしなければならないのに、それがなされていなかった」と、あらためて疑問を呈した。

 名和氏は、「多くの支援者に傍聴していただいたが、残念ながら皆さんが望んでいた結果にならず申し訳なかったというのが本心だ。私は(非違行為を)やっていないということで証拠を提出したり、証言をしてきた。それらが一顧だにされなかったことは誠に残念だ」と悔しさを隠さなかった。

 控訴について佐藤弁護士は、「判決内容を検討して、2週間の期限の間に弁護団、原告、関係者と相談して決めたい」と述べた。



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