2009年04月03日
帯広の北斗病院が「センター化構想」で新時代へ

意欲的な取り組みを発表した北斗病院(写真は3月31日の記者会見)
この4月から社会医療法人として新たなスタートを切っている十勝圏の拠点医療機関、北斗病院(400床・鎌田一会長)が3月31日、記者会見を開き、注目される2つの事業を展開していくことを明らかにした。

「頭頸部腫瘍センター」の中心的役割を担う坂東伸幸ドクター
そのひとつは旭川医科大学の坂東伸幸医師(耳鼻咽喉科・頭頸部外科)を招聘して「頭頸部腫瘍センター」を開設する事。そしてもうひとつは、循環器部門への大きなテコ入れで、具体的にはアメリカのアーカンソー州にある循環器の“スーパー”病院との提携といった内容だ。
新しいハコ物を建設するといった派手さはないにしろ、北斗病院にとって、どちらも意欲的な事業と言っていい。また地域の医療ニーズにも応える側面も見逃せず、医療経営という観点からも興味深い点を含んでいる。
この4月1日から同病院の外来には新たに「頭頸部腫瘍センター」という看板が掲げられた。頭頸部とは、すなわち鎖骨付近から上の部分の総称で、目、鼻、口、喉頭、咽頭、食道上部、気管などが含まれる。脳は別にして診療科は耳鼻咽喉科、歯科口腔外科、眼科といったことになるが、ヒトの体というのは明確に線引きできない面もある。

提携先であるアメリカの「ハーツホスピタル」
今回の取組みは、鎖骨付近から上の部分に出来る腫瘍全般に関して診療科目それぞれのエキスパートが連携して治療に当たるというもの。会見で鎌田会長が何度も強調していたのが「チームオンコロジー」(チームによるガンの総合治療)だが、次代のスタンダードとなるべきガンの治療モデルを同病院で実践していくと宣言したと言い換えてもいいだろう。
同センターでは前述の坂東医師を中心に据えながら、脳神経外科医、歯科口腔外科医、放射線治療医、形成外科医、眼科医など8科の医師やスタッフをがチームをつくって患者に対応する。

「チームオンコロジー」の必要性を強調した鎌田会長
これまで北斗病院では、歯科口腔外科においても口腔癌など頭頸部腫瘍について多くの治療実績があった。またPETや高性能マルチスライスCTといった診断機械などに加え、トモセラピーによるIMRT専用放射線治療、あるいは癌免疫療法にも取り組んできた経緯がある。こういったバックボーンが、今回のセンター化と「チームオンコロジー」を大いに後押しすることは間違いない。
冒頭書いた「循環器の大きなテコ入れ」の詳細については次号5月号のレポートで確認していただきたいが、北斗病院が提携先として見いだした米国アーカンソー州の循環器専門病院「ハーツホスピタル」の取り組みもかなりユニークで先進的だ。そして、このモデル病院の開設者として注目されているのがブルース・マーフィー院長である。
凄腕のカテーテル医であると同時に、優れたマネージャーでもあるマーフィー院長のノウハウとは、いったいどのようなものなのか──。 (く)
Posted by 北方ジャーナル at 13:47│Comments(0)
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