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2008年07月15日

「道新vs道警」を傍聴して“癒着”を思う

「道新vs道警」を傍聴して“癒着”を思う
傍聴枠は58。但し、いつものように司法記者クラブ加盟社には「記者席」が用意されました

 14日午後、北海道新聞の道警裏金問題に関する報道に端を発した「道新vs道警」訴訟(そんな呼び方はないのだけれども)の第10回公判(竹田光広裁判長)を札幌地裁で傍聴してみた。原告側証人として当時の道警本部長・芦刈勝治氏らが出廷するとあり、傍聴希望者が地裁に殺到するかと思いきや、蓋を開けてみれば58人の枠に行列をつくったのは116人。競争率2.0倍のわりと“広い門”だったため、若手「は」記者の妻を含む6人を動員した編集部は少々拍子抜け、編集長ら3人があっさり“チケット”入手を果たしたのだった。

 裁判は佐々木友善・元道警総務部長が道新と同社記者、及び裏金問題をまとめた2冊の単行本の版元(講談社・旬報社)を相手取り、両書籍中に事実無根の記述があるとして名誉毀損で訴えていたもの。2006年5月の提訴以来、これまで計9回の口頭弁論が開かれている。この間に単行本の共著者である作家の宮崎“キツネ目”学氏とジャーナリストの大谷“黒田軍団”昭宏氏が被告側に補助参加し、この日も法廷に姿を見せていた。

 編集部の面々が同公判を傍聴するのは、このたびが初めて。おりしも『週刊新潮』や『財界さっぽろ』が「出来レース裁判」(道新が道警に“手打ち”を持ちかけた由)の記事を掲載したばかりとあって、興味津々で法廷に赴いた。傍聴席には、道新関係者や道警OBなどはもちろん、誰に言うともなくずっと道新の悪口を呟いている不思議なおじさんなどもいて、幅広い層の関心の高さが伺える。無断で何枚か廷内写真を撮ってみたが、無用の厄介ごとを避けるべくここには掲載しない(この1文が真実であるという保証はない)。

 午後1時30分に開廷した公判は、途中3時30分から同40分までの休憩を挿み(傍聴者が殺到した1階喫煙室には宮崎・大谷両氏の姿も)、5時過ぎまで続くことになった。当日及び翌日の大手メディアの報道は、もっぱら芦刈元本部長の証言(単行本に記載された同氏自身の発言部分を否定)に触れる内容だった。詳しくは、各紙のウェブサイトなどをご覧戴きたい。ほんとはそんなに詳しくないけれど、一応“公器”のアナウンスなので。

 そういうこととは無関係に、編集部が気になったのは芦刈氏の滑舌の悪さ、被告側代理人の質問の散らかり具合、原告側代理人の妙におだつ(北海道方言)姿、及び被告側証人である道新記者(裏金取材班サブキャップ=当時)の証言だった。同記者が何度か「ジレンマ」などの表現を盛り込んで口にした事情は、大手紙と警察との癒着関係をみごとに語っていて、やはり内部に「司法記者クラブ」を抱える裁判所の判事や書記官などはその事情を理解できたかもしれないが、関係者でもなんでもないふつうの市民にとってはあんまり素直に理解できないようなことだったのではないか。

 証人の記者らが原告・佐々木氏から裏金づくりに関する重要な証言を聴き出したのは、道警記者クラブ内での「キャップ懇」とか「25日会」とかいわれる懇親会の席上だった。新聞協会加盟社以外の取材者を完全に締め出し、警察情報を独占する特権階級として記者クラブに詰める大手メディアの記者たちは、取材相手たる警察の管理する施設内部で頻繁に楽しい飲み会を開いていた(いる)らしく、そういう場でスクープに値する(と思われる)証言を入手してしまうと、それを報じることにいささかのためらいを覚えるものらしい。原告側代理人が何度か繰り出した「なぜすぐ書かなかったんですか」という問いに、証人は「ですからそこ、ジレンマなんです。書くことで以後の取材に及ぶかもしれない影響を考えますと…」などと答える。即ち、書くことで警察との関係を悪化させると、それまで独占的に得ていた警察情報を貰えなくなるかもしれず、そうなると事件・事故の報道が自由自在にできなくなるだろう、ということだ。

 そんなもん、悪化させればよかったんでないの? と、クラブ非加盟を貫く(ほんとは加えて貰えない)北方ジャーナル記者は思った。ついでに他社もそそのかして、いっそクラブなんか解散しちゃったら? そもそも、最初の関係が“よすぎた”んじゃないの? と、つい思ってしまうのだった。なんだ、キャップ懇って。ただの談合飲み会じゃないか。たまにはおれたちにも奢ってくれ、もとへ、そんな催しは一刻も早くやめてしまえ。札幌地裁、おたくもだ。一般傍聴席のほかに「記者席」があるのは、憲法21条を根拠とする「知る権利」を侵していないのかね。おれたちにも座らせろ、もとへ、あんなものを設けるのは一刻も早くやめてしまえ。

 最後に、ほかは決して取り上げない極めてどうでもよいやり取りを採録しておく。証人の道新記者と原告・佐々木氏とが裏金報道後に道警本部内の便所で揉めた際のエピソードを、原告側代理人が質した場面である。

原告側代理人(以下「弁」)「その時あなた何してました?」

証人(以下「証」)「はい?」

弁「私言いましょうか、小便器の前でおしっこしてましたね」

証「いや、おしっこが出ていたかどうかまでは憶えていません」

弁「おしっこをしてたんでしょう」

証「おしっこをする準備をしていたと思います」

 ちなみに、原告側は『財界さっぽろ』の“手打ち”報道に登場した道新の内部告発者の文書も引き合いに出したが、被告側証人が「怪文書」と一蹴して、おしまい。

 次回公判は8月18日。被告側からは佐藤一キャップ(当時)が、原告側からは佐々木友善氏本人が証言台に立つ予定。「観覧料」は無料。詳しくは、札幌地裁まで。 (ん)




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Posted by 北方ジャーナル at 13:00│Comments(3)ニュース
この記事へのコメント
「キャップ懇、25日会、花見、それから忘年会…」と続いてましたね。
それらの費用はどうなっているのでしょうか。

よく業界団体等が開催するマスコミ懇談会では、マスコミ記者は千円とか、非常に安い会費しか払っていないものです。会場はホテルのホールなどで、会費千円では決して催せないものがほとんどでした。

そうした楽しい飲み会の費用は、均等に割り勘されているんですかね。まさかそのほとんどが「官」の金で催されている、なんてことはないでしょうね。

根底から、クラブのあり方を考え直すべきじゃないでしょうか。
Posted by (ご) at 2008年07月15日 13:26
道新内部でもクライアントからの裏金をプールし、社員の飲み食いに使っているという話を内部関係者から聞いたことがあります。道庁の裏金、道警の裏金を叩く前に自分のところはどうなっているんだということです。なかには誠実で好きな記者さんもいるんですが、組織として見たら完全にNGですね。大マスコミ並みの高給をゲットしながら、経費節減やら減頁検討もないでしょう。他の道内メィアもだらしなさすぎません? 頑張れ、北方ジャーナル!その他大勢も!
Posted by 真夜中のカウボーイ at 2008年07月15日 20:21
ttp://blog.livedoor.jp/miki_pinchi/

信じられない現実です。
なんとかして十勝北海道の正常化を
Posted by ヤバいです。 at 2011年05月10日 14:26
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