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2007年11月14日

公務員が官舎へ大移動?

公務員が官舎へ大移動?  道北の地方都市でアパート経営を手がけている友人が、こんな電話をかけてきた。

「もう、(こっちでの)商売はダメだね。少しずつ売り払っていくことにしたよ」

 不動産業も営む彼は、家族名義も含めればアパート20数棟を所有するオーナーで、このマチでは知る人ぞ知る実業家。堅実な金銭感覚とバランス感覚には定評がある人物で、地域に関する意見もしっかり持っている。地方人脈のなかでは、私が最も信頼しているひとりでもある。

 そんな彼であるからして、満室にするのがなかなか難しい(それも地方都市で)アパート経営も、これまで上手にやってきた。リーズナブルな家賃、メンテナンスとアフターフォローを重視した営業姿勢と情報の有効活用などで、入居率は常に9割以上をキープ。自ら大工仕事をこなし、冬は除雪重機も動かす。たいしたお方なのだ。

 そんなしっかり者の彼が音をあげるとは、いったいどうしたというのか。

「道職員や教職員が、民間アパートから官舎に移りだしてるんです。上司から移るように頼まれたと証言した借り主もいました。恐らくこの流れはとまりませんよ。このマチでは数千人が公務員関係者ですからね」

 財政再建団体転落の危機が迫っている道が、なりふりかまわず、コストカットに出ているということか。確かに住宅手当(※最大で2万7000円程度とか)を負担するより、家賃収入(※~2万円程度)の見込める官舎に入ってくれた方が、財布には都合がいい。

 実際に、道は政策的にこのような「誘導」措置を取っているのだろうか? 

「まず全体的に道職員の数が減ってきています。官舎に空きができれば、希望する職員にあっせんする場合はありますが、特に指示や通達はしてはいません」(総務部職員厚生課公宅グループ)

 場所によっては官舎がなく、民間アパートに頼らざるを得ない地域もあるというが、“民間”からあえて言わせてもらうなら、なにをいまさら贅沢なことを考えているのかという印象だ。

 私は炭鉱マチの出身だが、社宅というと「炭住」を思い出す。これは、国策産業だったからまだ分かる。だが、一般企業あるいは中小企業が従業員のために住宅インフラを整備するというのは、並大抵のことではない。相当なコストがかかる代物だ。だが、官の常識は違う。あって当たり前という感覚だ。

 そういうことができる財布の中身ならともかく、今の道庁には、その資格があるとは思えない。従業員の福利厚生を従前のままに担保できる状況などではないだろう。

 私なら官舎を民間に売却して撤廃し、住宅手当を削減しながら一律支給に切り替える。民間活力を期待でき、なおかつキャッシュフローも生まれるからだ。

 優れた行政マンに、私は敬意を表することも多々ある。だが官の組織と意識にしみついた「既得権」というエゴが、物事を硬直化させがちなのも事実だ。「そこにこだわって組織が潰れてしまっては元も子もない」という単純な理屈が時折、通用しない。

公務員が官舎へ大移動? 知事公館や公宅も例外ではない。景観保存や歴史的意義を考えて、すべてを売り払うのもナンだったら、広大な敷地の一部と上屋を残せばいい。残りは土地不動産として相当に高価で売れるだろう。

 財政団体への転落は「既得権」の決定的な破壊を意味する。民間でいえば民事再生法を申請するようなもの。そうなっては全てが遅い。
 
 友人からの連絡で、道庁のありようが深く地域と結びついていることを再実感した。親分格によたよたしてもらっては困るのである。

※写真は知事公館のスナップショット(道庁のホームページより)



Posted by 北方ジャーナル at 09:43│Comments(0)
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