2015年10月25日
地域再生の期待を担う「紋別バイオマス発電所」

紋別市新港町で建設が進む木質バイオマス火力発電所(10月下旬撮影)
オフィスビルに匹敵する高さの建屋が紋別市新港町の海浜地区、通称ガリヤゾーンに、その姿を現した。住友林業と住友共同電力が建設を進めている「紋別バイオマス発電所」だ。オホーツクの林地未利用材を燃料として使用する火力発電所。内部には、大小の配管類が幾何学模様を描いているのが確認できる。本格稼働まであと1年、完成が近づくにつれ地元の期待は高まっている。

観光と環境のマチになる「ガリヤゾーン」(写真はガリンコ号Ⅱとオホーツクタワー)
この発電所は、紋別市や興部町などに広がる住友林業所有の森林や国有林、道有林などの林地未利用材をチップにした原料を利用、ヤシガラと石炭を混焼させて発電する。チップは年間20万t、ヤシガラと石炭は年間5万tずつ使用する。
豊富な森林資源のあるこの地区の強みを生かした地産地消のエネルギーで、発電量は5万kwという。これは、紋別市の世帯数(約1万2300)を上回る6万5000世帯の年間使用量に相当する。発電した電気は再生可能エネルギー固定価格買取制度(FIT)によって北海道電力に売電される。
昨年11月に着工し今年6月には関係者が集まって立柱式と呼ばれるセレモニーを実施、現在はご覧のような建物が姿を現している。
林地未利用材を木材チップにする紋別工場とサテライト機能を持つ枝幸工場は今年3月に既に完成、遠軽町生田原の協力工場は佐藤木材工業(紋別市)が建設を進めており来年3月には完成する。
紋別市はこの発電所で使われる林地未利用材に対し、1㎥当たり900円を交付する補助制度を設けて市内の林業事業者の取り組みも推進している。
FIT制度によって来年12月の本格稼動から20年間は発電が継続されるため、燃料材になる林地未利用材の集荷やチップ工場の稼働も担保されることになり、市では年間39億円の経済波及が20年間続くと期待している。
宮川良一市長は、「木質バイオマス火力発電所は地元の林業再生に大きな役割を果たすと思う。地方で取り組むことができるモデルになるだろう」と話している。
Posted by 北方ジャーナル at 23:37│Comments(0)
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