釧路商工会議所が地域課題解決の事業支援で「KCボード」を創設 資金の出し手と受け手をマッチング

北方ジャーナル

2024年06月10日 10:12


「KCボード」創設の記者会見。右が栗林定正会頭(5月28日、釧路商工会議所)

 釧路商工会議所(栗林定正会頭)が5月28日、市内で記者会見を開き、今年11月に迎える創立百周年の記念事業の一環として開始した事業支援の枠組みを明らかにした。

 地元企業や個人、釧路出身者など資金の出し手と受け手をマッチングさせ、地域の課題解決に結びつける取り組みで、釧路ビジネスサポートセンター(k-Biz・澄川誠治センター長)の協力を得て、マッチングの受け皿として「KCボード(Kushiro Collective Impact Board)」を創設したもの。

「KCボード」の仕組みを説明する澄川センター長

 かつて製紙や石炭といった基幹産業が市の経済を潤していた釧路市では、企業や個人の中にストック資金を保有する、いわば富裕層がある程度存在する。こうしたストック資金を地元の活性化に役立てたいと思っても出資や融資の方法を見出せず、生きたお金として利用されてこなかった。

 このような現状を受け、釧路の社会課題解決に取り組むスタートアップや第2創業を目指す企業とストック資金保有層をマッチングさせていく狙いがある。

 k-Bizへの相談を経て提案された案件について同ボードの審査委員会(座長・山田京リクルート住まいカンパニー執行役員、栗林会頭らで構成)が、①地域に必要な事業か ②継続性があるか ③事業者の熱意があるかなどについて審査。審査基準を満たすと「釧路共助プロジェクト」に認証し、商工会議所会員やOB会員、東京在住の釧路出身者などに広く投融資を呼びかける。

 実際の投融資に当たっては当時者同士で話し合って内容を決め、KCボードは関与しない。会見当日に行なわれた1回目の審査では2件のうち1件の子連れ層専門レストラン事業(必要資金100万円)が認証を得て、7月頃からマッチングを行なう運び。

この日の会見で栗林会頭は、「KCボードの取り組みにより、人口減少社会でも若者たちが暮らしやすく、生活の糧を育める地域づくりを進めたい」と話した。

 k--Bizの澄川誠治センター長は、「地域で活動する事業者の数と地域に再投資される資金があるかどうかが地域活性のバロメーター。これらが強い地域は生き残っていける。今回の仕組みを動かすことで、チャレンジができるまちとして若者を呼び込みたい」と力を込めた。 (こ)

関連記事