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【報道】鵡川漁協で起きた役員改選妨害事件を追う
怪文書を組合員にばら撒いた
“暴露系ユーチューバー”の正体
胆振総合振興局管内で太平洋に面する「むかわ町」。ししゃもで知られるこのまちを支える鵡川漁業協同組合(小谷地好輝代表理事組合長)で起きた事件を報告したい。昨年6月の役員改選の最中、多くの組合員の自宅に「暴露系ユーチューバー」を名乗る人物から特定の候補者を誹謗中傷する怪文書が投函され、その影響から役員の選任が見送られる出来事があった。当事者は悪質な名誉毀損として刑事告訴に踏み切ったが、いまだに事件は解決していない。怪文書をばら撒いた差出人の目的とは何か、そして事件の背景にあるものは──。 (本誌編集長・工藤年泰)
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【報道】告発・陸の蟹工船〈2〉
「お答えを控える」
隠蔽疑いに恵庭市“無答弁”
障碍者虐待疑惑で議会追及
道央・恵庭市の牧場で長期間の障碍者虐待が疑われている問題で、地元市議会の野党系議員らが市の隠蔽疑惑を相継いで追及した。本会議と委員会で事案の事実関係などを質された理事者側は「お答えを控える」との答弁を連発、その理由を問われては曰く「裁判になっているため」。指摘される不適切な対応があったか否かは、飽くまで法廷であきらかにしていくという。市民が傍聴する開かれた議会でのやり取りは、市にとっては「場外戦」だった――。(小笠原 淳)
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【報道】問われる自治体の人権感覚②
「力尽くしたが…」
同性事実婚の扶養関係認めず
SOGIハラ訴訟で地裁判決
「同性パートナーを持つ北海道職員は、今回の判決にがっかりし過ぎないで」――。当事者の1人としてその訴えを起こした人は、かつての職場で自身と同じ差別に遭っている人たちにそう呼びかける。自らの闘いは不本意な結果に終わったが、この5年あまりを「とことんやりきった」と振り返り、問題提起としての訴訟の意義を再確認した。長い闘いから自分を解放し、今後は眼の前のパートナーとの時間を大切に過ごしていきたいという。 (小笠原 淳)
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【連載】“核のゴミ”レポートPART36 “原子力マネー”に頼らない地域づくりをめざす試み
地域を磨くか核に頼るか
アンケート調査で分かった
寿都町民の本音と憤りとは
後志管内の寿都町と神恵内村を対象に始まった“核のゴミ”最終処分場の候補地選定に向けた動きの中で問われているのは「原子力マネーに依存する道か」、それとも「地場資源を生かし、自立する町づくりをめざすのか」の選択でもある。この夏、泊原発周辺の住民団体が札幌のNPO法人に委託し、寿都町民を対象にしたアンケート調査を実施したが、その結果から町の将来に対する世代間の捉え方や、NUMO(原子力発電環境整備機構)が進めてきた「文献調査」によって住民が分断されたことへの憤りも伝わってくる。アンケートで見えてきたことをはじめ町づくりシンポジウムの様子や、地場資源を生かした事業を展開中の吉野寿彦さんの講演内容を紹介しよう。 (ルポライター・滝川 康治)
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【地域】羽幌町発・閉鎖直前の「焼尻めん羊牧場」に救世主
あべ養鶏場・東郷社長の決断で
焼尻サフォークブランド存続へ
赤字が続き最後の飼育員も退職が決まったことで8月末で閉鎖・廃業する方針だった苫前郡羽幌町(森淳町長)の町営「焼尻めん羊牧場」が、一転して存続する運びとなった。名乗りを挙げた民間事業者、あべ養鶏場(下川町)の東郷啓祐社長と町が合意に達し、東郷社長が設立する新会社で同牧場を承継し「焼尻ブランド」を継続するという。町議会の議決などを経てこの10月中にも新事業者による運営に切り替わる。「焼尻めん羊牧場」の歴史を振り返りながら、地域にとって朗報となった今回の土壇場の継承劇に注目してみた。 (佐久間康介・工藤年泰)
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【環境】仁木町商工会会長が関西電力の風車に反対し住民にチラシを配布
自然豊かな故郷を守るため
町民のみんなで声をあげる
自然に恵まれ、果樹栽培の盛んな仁木町を後世に残したい──。そんな思いから、仁木町商工会会長・津司康雄さん(83)が関西電力による風力発電「古平・仁木・余市ウインドファーム事業(仮称)」に反対するチラシの発行・配布を続けている。チラシでは「風力発電は、なぜ要らないのか!」と題して風力発電の危険性を簡潔に分かりやすく解説。津司さんは「中止になるまで町民と一緒に声をあげていきたい」と意気込んでいる。(武智敦子)
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【シリーズ・住宅不動産情報】⑫──住宅支援策による転入増の成功例
全国町村で人口増加率1位
スーパーも呼び込む南幌町
空知郡南幌町の人口が増加している。総務省が2023年7月に公表した人口動態調査で、増加数(22年1月と23年1月との対比)が153人と、北海道の市町村で最高となったほか、増加率では2・09%と全国の町村で最高に。人口増をもたらしているのは、町が進める住宅支援策による転入増だ。町は、こうした人口増に対応してスーパー誘致に動き町有地を事業者に貸し付け、道央圏連絡道路の南幌ランプ開設を見越して、新たな工業団地の造成にも取り組む。南幌町の住宅・不動産施策にスポットを当てる。 (佐久間康介)
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【ニュース】
■元作業員男性、東電などと和解
原発復旧作業めぐる訴訟が終結
──一審被告側が原発作業に「感謝の意」など表明
■誰もが驚いた根回しなしの移転劇
北海道医療大、当別から北広島へ
──ワンマン鈴木英二理事長の早わざと功罪
■「行政をぶん取る」発言で失脚した
島田氏に振り回された仁木町事業
──今も議会に追及される町と同氏の関係
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【観光】自然体験観光の在り方とは──ウエネウサルみどり・菅野又代表に訊く
観光客の心を満たしているのは
大自然と触れ合う非日常の空間
ATの根底にあるのは新鮮な驚きや感動
アドベンチャートラベル・ワールドサミット(略称、ATWS)を盛大に盛り上げる(34頁)など、コロナパンデミック後の観光起爆剤として道庁などが普及に力を注いでいる体験型観光・アドベンチャートラベル(略称、AT)。確かに北海道は自然体験観光において計り知れないポテンシャルを有するが、それを盛り上げていくには自然と観光客、そして地元住民の上手な付き合い方を考えることが重要だ。そこで広く道東圏をフィールドに自然体験観光の事業を展開し、かつてない厳しさに見舞われた知床の実情も知るウエネウサルみどりの菅野又康彦代表に、自然体験観光の在り方などを訊ねた。 (9月29日収録、髙橋貴充)
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【農業】稚内グリーンファクトリーの挑戦
最北の地で支える酪農と再エネ
「地域の未来」を託された男の夢
農業支援と珪藻土販売、風力発電の複合事業
地域の未来を託された男──。小説のタイトルのような生き方をしてきた人物が稚内市大字宗谷村字増幌にいる。有限会社稚内グリーンファクトリーの渡辺義範代表取締役(65)、その人だ。酪農支援のコントラクター事業や風力発電事業、珪藻土事業のほか、酪農業の有限会社ビックグリーン増幌の代表取締役も務め、今やグループが宗谷地区で所有する土地は6千haを超える。不動産事業では稚内市内に「ローソン」の店舗用地を提供、新たなコンビニ進出のお膳立てもした。渡辺氏が手掛ける数々の事業の原動力は、祖父が百十数年前に入植したこの地を疲弊させたくないという強い想いだ。限界集落という言葉に押し流されてしまう地域が多い中、渡辺氏は「最北端のまちから食糧とエネルギーを全国へ届ける」と揺るがぬ決意で生まれ故郷と向きあっている。 (9月19日取材 工藤年泰・佐久間康介)
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【アート】新千歳空港国際アニメーション映画祭は今年10周年
記念すべき大きな節目に取り戻した
空港ならではの国際色豊かな賑わい
国内外を見渡しても珍しい空の玄関口が会場という映画祭、「新千歳空港国際アニメーション映画祭」が今回10周年という大きな節目を迎える。今年の開催期間は11月2日から同6日までの5日間。メインイベントとなっているコンペティション短編部門、同長編部門のノミネート作品もすでに発表されるなど、準備は着々と進んでいる。そして何より、新型コロナパンデミックに伴う行動規制が取り払われたため、コロナ禍前のような大勢の海外クリエイターたちによる賑わいも期待できそうだ。北海道のショールームを標榜する新千歳空港。ここで催されるグローバルな映画祭の今年の見どころは?
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【企業】
サッポロビールが迎えた記念の年
上富良野ホップ試験栽培100周年
ビールをより美味しくする素材の物語
ビールに欠かせない原料のホップ。サッポロビールが道北のまち・上富良野町で、この原料作物の試験栽培を始めてから、今年は100年というまたとない節目の年となった。この記念の年、同社は年初から「上富良野ホップ試験栽培100周年」を大きく打ち出した、国産・道産ホップの幅広い魅力発信に注力。希少な品種に焦点を当てた商品の発売や、産地・上富良野町の地域の魅力も知り楽しむ日帰りバスツアーが実施されるなど、さまざまな取り組みが行なわれた。そして10月24日には試験栽培100周年の上富良野産摘み立て生ホップを使用した、2023年版の「サッポロ クラシック 富良野VINTAGE」が満を持して売り出される。そこで本稿でも、知ればビールがより美味しくなるであろうホップについて学んでいきたい。(髙橋貴充)
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【医療】ミライシアHDの神山武士社長が釧路の精神科医療に救いの手
清水桜が丘病院の危機を受け
医師を確保し外来診療を再開
地方で急がれる精神科医療の立て直し
病棟閉鎖や医局の医師引き上げなどで釧路管内の精神科医療が急速に縮小する中、今年5月には管内最大162床を有する精神科病院、医療法人清水桜が丘病院の清水輝彦院長(当時)が病で倒れ、外来診療の停止に追い込まれた。こうした危機を打開しようと動いたのが、調剤薬局などを展開するミライシアホールディング(本社札幌)の神山武士社長(42)だ。同病院のSOSを受け神山氏は7月28日付で医療法人理事に就任。経営にも関わりながら8月末には新たな医師を確保し、外来の再開に漕ぎ着けた。精神疾患を抱えながら生きていくには医療機関のケアと地域の支え合いが欠かせない。救いの手を差し伸べた神山氏に今回の取り組みの真意と目的を訊いた。(9月14日取材 工藤年泰・武智敦子)
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【農業】JA北海道中央会の新たな舵取り役、樽井功新会長
複合危機の渦中だからこそ多くの
人々に発信する“農業とは何か‼”
教育現場でも伝えて欲しい農業の大切さ
組合員・JAの共通の意志の結集、実現をはかり地域・事業の枠を超えてJAグループ北海道の総合力を発揮する役割などを果たすJA北海道中央会(=北海道農業協同組合中央会)。この6月、新会長に上川管内・JAひがしかわの代表理事組合長だった樽井功氏が就任した。地元では、主食用米の需要が低迷する中、米の活用の幅を広げる発想で水田を減らすどころか拡大させる取り組みに尽力。現在はプラスチックの原料になる資源米の試験栽培も始まり、広大な水田は今や東川を象徴する風景になっている。水田のまちおこしに寄与した樽井氏が目下挑むのが、消費減退、物価高騰など北海道農業全般を襲う複合危機。これを乗り越えるためにも、沢山の人々に農業とは何か、を知って貰いたいという。(8月28日収録、髙橋貴充)
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【農業】
玉ねぎ「さらさらゴールド」が
生鮮野菜で機能性表示食品に
この野菜を使った料理をぱっと思い浮かべても、実に沢山のレシピが出てくる、万能食材といっても過言では無い玉ねぎ。その1品種「さらさらゴールド」がこのほど、健常な高齢者の加齢によって低下しがちな積極的な気分を維持するのに役立つケルセチンを豊富に含むということから、機能性表示食品として消費者庁に受理された。これを受けホクレン農業協同組合連合会(以下、ホクレン)は、10月初めから売り出した本年産の同品より機能性表示食品を前面に打ち出している。同品はさまざまな加熱調理でも栄養成分がほぼ減らないとあって、活用の幅は広がりそうだ。
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【連載】ルポ「ひきこもり」98──「道ひ老連協」の発足記念シンポから「ひきこもりの老後」を考える
多くの不安を抱え踏み出す一歩
全員が生きやすい社会の実現を
既報のように、8月27日に札幌市内で開かれた「北海道ひきこもりの老後を支え合う連絡協議会」(道ひ老連協)の発足記念イベントでは、基調講演をする予定だった大田原守穂さん(58)が8月下旬に膵臓がんで死去したため、友人のとりさん(50代後半)が講演し故人の思いを伝えた。その後、第一部後半のミニシンポジウムではNPO法人「レター・ポスト・フレンド相談ネットワーク」の田中敦理事長(57)が司会を務め、とりさん、大橋伸和さん(39)、オンラインで参加した吉川修司さん(55)の3人が「ひきこもりの老後」について忌憚のない意見を交わした。 (武智敦子)
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【連載】戦争遺産をめぐる旅 【95】
幌加内町の朱鞠内湖畔に残る
戦時下における強制労働の跡
「神秘の湖」の陰にある殉難
道北の上川管内幌加内町にある朱鞠内湖は国内最大の人造湖で、大小13の島々が浮かび、独特な雰囲気を持つ神秘の湖と言われる。だが戦時中に完成した雨竜第一、第二ダムでは建設工事で「タコ」と蔑まれた日本人や朝鮮半島出身者たちが強制労働に従事し、200人以上の犠牲者を出した。8月下旬、朱鞠内湖を訪れると、ひっそりとした湖岸には慰霊碑や史料展示館の跡などが点在し、往時の出来事の一端を窺い知ることができた。
(ジャーナリスト 黒田 伸)
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【フォトレポート・トピックス】
●アークスがアマゾンとタッグ 「二刀流」でネット路線を追求
●ヤジ排除に「公安の過剰な忖度」指摘 青木理さん迎えたトークに200人が関心
●「一への会」が4年ぶりに「ニューフロンティア経営セミナー」を開催
●コロナ禍後の観光起爆剤か? ATの国際イベントが盛大に
●キャンパーズアンドアングラーズ北広島市に待望の1号店オープン
●日中平和友好条約締結45周年で在札幌中国総領事館が記念行事
●秋の行楽は「有珠山ロープウェイ」を拠点に紅葉の名所「洞爺湖有珠山エリア」へ!
●すすきのピックアップガール「セクシーカフェ モエッタ」みゆ
●厚沢部の規格外農作物を有効に 函商生とカドウフーズ共同事業
●「共に北海道の明日を切り拓こう」北洋銀が「2023年度内定式」開催
●双方向の一体感で包まれた多様性溢れるアイヌ音楽祭
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【連載コラムなど】
*北海道フォトエッセイ
*シネマ
*スポーツ筆刀両断
*新設企業情報
*古本屋女房の“古本的日常"
*デンタルエッセイ
*北海道妄想紀行
*連載小説 特別授業
*夏井功の夜を駈ける車イス
*よいどれブンガク夜話
*ソレでもナマがすき?
*視点 公共交通をどうする?
*人物株価
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【今月の表紙】鈴木翁二画
『J』