北方ジャーナル2024年11月号

北方ジャーナル

2024年10月14日 00:00




10月14日発売。お求めは道内有名書店、セイコーマート、インターネットではAmazon、またはオンライン書店『Fujisan.co.jp』、あるいは直接当社(右サイドバーのメールボタンから)までお問い合わせください。

【報道】「旭川・女子中学生いじめ凍死事件」の深層

隠され続ける「誤報道」
“盛られた事実”の拡散と隠蔽で
起きた事件関係者の「二次被害」



雪解けが始まったばかりの公園で見つかった女の子の遺体──。3年前に起きた「旭川・女子中学生いじめ凍死事件」は、大手メディアのオンライン報道や旭川市が再調査を手がけたことで全国的に注目を浴びた。だが、この事件をめぐる報道に多くの誤りがあったことをほかならぬ同市自身が認定していた事実はあまり知られていない。これらは最初の調査報告書で詳細に指摘されたが、公表にあたり全て黒塗り処理されたからだ。メディアの誤報と行政の隠蔽がもたらした深刻な二次被害とは──。   (本誌編集長・工藤年泰)

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【報道】札幌トロイカ病院に浮上した不正請求疑惑を追う

「不正の舞台はデイケア」
算定基準を満たさず請求か



昨年、開院40周年を迎えた精神科専門病院、社会医療法人共栄会 札幌トロイカ病院(札幌市白石区・有田矩明理事長)で長年にわたり診療報酬の不正請求が続けられてきた疑いが浮上した。複数の関係者が「デイ・ナイトケアの実施時間が算定基準を満たしていないにもかかわらず、時間を偽り請求している」と証言し、入手した関係書類からも不正が日常的に行なわれていることが強く疑われる。419病床という精神科領域における道内有数規模の同病院で、いったい何が起きているのか──。    (工藤年泰)

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【報道】告発・絶望の学府㉝

パワハラ死問題 法廷へ
江差看護・最悪の被害で国賠提訴
遺族「道に裁判を強制された思い」



「ここで諦めては息子が報われない」と、その母親は訴える。3年前の春に北海道立江差高等看護学院で表面化した、教員による日常的なパワーハラスメント問題。一連の事案の中でも最悪の被害といえる在学生の自殺問題が、紆余曲折の挙句に法廷へ持ち込まれることとなった。第三者調査を受けて謝罪した道のその後の「手のひら返し」は、遺族にとっては提訴を促す挑発に等しかったという。即ち「道が裁判を望んだ」――。(小笠原 淳)

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【報道】もの言う自衛官 法廷へ

公益通報 テロ扱い
現職自衛官が陸自に損賠請求
パワハラ告発、上官に筒抜け



所属部隊のパワーハラスメント問題を告発したら、通報内容が部隊に筒抜けになった――。理不尽な被害を受けた現職自衛官の男性が、組織に籍を置いたまま自衛隊を訴える裁判を起こした。匿名の告発人は職場の“犯人捜し”の標的となり、当時の上官から「通報はテロ行為」などの暴言を受けたという。法廷では、被告の国がそれらの暴言や不利益な取り扱いの多くを認める異例の展開に。この秋に幕を開けた裁判で、組織の不正隠蔽疑いはどこまで断罪されることになるのか。(小笠原 淳)

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【報道】首相批判封殺の波紋㉚

謝罪、処分、検証は…
「排除は違法」で問われる責任
野次国賠敗訴の道が要請黙殺



8月中旬に判決が確定した、首相演説野次排除事件国家賠償請求裁判。排除被害者への損害賠償を命じられた北海道はその後、謝罪や関係者の処分、問題の検証などを求められることとなったが、現時点でいずれにも明答を返していない。一審被告として控訴・上告にまで踏み切った筈の自治体は、5年間続いた争いに突如関心を失ってしまったのか。「慰藉料払って終わり、では済まされない」――。疑問の声が上がり始めるまでに、さほどの時間は要しなかった。(小笠原 淳)

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【報道】道警不祥事から考える〈72〉

パワハラ 5年で倍増
道警・処分は相談数の1割余
相継ぐ不祥事受け本部長通達



本年に入ってから地元警察で相継いでいる職員の不適切行為。小欄では8年あまり前から独自に未発表不祥事を掘り起こしてきたところだが、この9月には地元議会で複数の会派が追及の声を上げ、改めて再発防止の徹底を求めた。そこでは本誌などが伝えた旭川中央署の不適切飲酒問題が俎上に載ったほか、これまでのハラスメント相談の実績などが明かされることに。語られた「絶無をはかる」との目標が実現するのは、果たしていつのことになるのか――。(小笠原 淳)

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【報道】次世代半導体工場「ラピダス」と厄介な化学物質・PFASとの関係

いま、水があぶない
経済発展と環境保全の
両立を目指した対策を


全国各地で今、PFAS(ピーファス)と総称される化学物質がもたらす水道水や食品などへの汚染が問題視されている。体内に取り込まれると血液に溶けやすく、排出されにくい特徴があり、脂質異常症や発癌などの健康被害をもたらすことも。千歳市に進出する次世代半導体工場「ラピダス」をめぐり、住民らの間から工場用水や製造過程で生じる排水などに含まれるPFASの影響を危惧する声を聞く。将来に禍根を残さぬために、この問題をどう考えていけばいいのか──。(ルポライター・滝川 康治)

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【シリーズ・住宅不動産情報】㉔──2024年度道内基準地価から見える3極化

住宅地、商業地とも上昇の千歳市
札幌市は建築費の高騰で伸び鈍化



道は9月17日、2024年度の基準地価を発表した。道内の住宅地725地点、商業地255地点、工業地15地点、林地18地点、計1013地点で7月1日現在の価格を調査したもので、林地を除く全用途の平均変動率は昨年より0・4%高い4万8200円(1㎡当たり)となった。22年度は1・6%、23年度は2・3%だったので上昇率は鈍った。また22年度、23年度は全国平均を上回る上昇率だったが、24年度は全国平均の1・4%から1ポイント低い数字にとどまった。(佐久間康介)

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【報道】仁木町の再生可能エネルギー事業をめぐる官製談合疑惑に新展開

実名を出して憤る地元住民
議会では追及の新たな動き



「仁木町がソーラーパネルやバイオマスの実証実験に使った国の補助金は私たち国民の税金から出たもの。町民は問題の真相を知る権利があるのに議会はなぜ口をつぐむのか」。こう指摘するのは同町在住の今村晃子氏(88)だ。町が再生可能エネルギービジョン策定業務を特定の業者に発注した件に官製談合の疑いがあるとして、住民の宮下周平氏(74)が町に何度も起こし棄却された住民監査請求。今村氏は、町議会がこの問題を取り上げず議員らが宮下氏の「公開質問状」にも無回答だったことに憤慨する。そんな中、9月下旬になって議会では町側を追及する新たな動きがあった──。(武智敦子)

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【介護】つしま医療福祉グループの対馬徳昭代表が「ケアテックス札幌24」で講演

地方の介護施設が生き残る
ため必要な選択と集中とは



介護業界における北海道最大級の商談型展示会「ケアテックス札幌24」が9月18日と19日、アクセスサッポロ(札幌市白石区)で開催された。その経営者向け専門セミナーで「少子高齢化、人口減少が加速する日本のこれからの介護」をテーマに講師を務めたのが、我が国における高齢者介護のキーマンと言える、つしま医療福祉グループ(本部・札幌市豊平区)の対馬徳昭代表だ。人口減少が進む奈井江町での事業経験などをもとに、地方の特別養護老人ホームや介護老人保健施設が生き残る方法について説いた対馬代表の示唆に富む直言を紹介したい。
(9月19日取材 工藤年泰・佐久間康介)

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【文化】新千歳空港国際アニメーション映画祭は今年11回目

地元北海道ゆかりの作品紹介に
力を入れ、地域密着の映画祭に


映画祭としては世界的にも珍しい、空港が会場という「新千歳空港国際アニメーション映画祭」。第11回となる今回は11月1日から同5日まで開催される。大きな節目となった昨年の第10回から次の10年へと向かっていくこととなる今回は、地元・北海道により親しまれる映画祭にしていこうと、これまで以上に北海道ゆかりの作品や作家にクローズアップ。地域に根差した催しとして定着させていきたい方針だ。看板の催しであるコンペティションは全ての入選作品が既に決定。多くのクリエイターにとっては今回のアワードの行方も気になるところだろう。

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【企業】ふるさとに感謝を伝える取り組みに注力

道民・地域に支えられて育った
〝サッポロ クラシック〟ブランド



道民にとってはすっかりお馴染みのビールとして定着。また北海道限定商品でありながら広く全国にも沢山のファンを持つ、サッポロビールのサッポロ クラシック。来年6月には大きな節目となる発売40周年を迎えるという。そのメモリアルイヤーを前に同社が力を入れているのが、今日に至るまでサッポロ クラシックを愛し育んでくれた人々や、ふるさとである北海道という地域に対して感謝を伝える取り組みだ。折しも間もなく、秋にお目見えする限定品「サッポロ クラシック 富良野VINTAGE」の発売や、同品を通じた新キャンペーンが始まる時期ということもあり、ここで改めてサッポロ クラシックのブランド力などについて触れていきたい。(髙橋貴充)

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【行政】4期目の当選を決めた松野哲・岩見沢市長に訊く

統合による新病院開業で
市民の生命と健康を守る

人口減少下で活きるスマートシティ



8月25日投開票の市長選で4選を果たした現職の松野哲市長。だがその内容は、一騎打ちだった新人の若林宗洋候補に1296票差まで迫られる、現市政に対する市民の厳しい評価を浮き彫りにした辛勝だった。そうした民意への受け止めをはじめ選挙の争点となった岩見沢市立総合病院と北海道中央労災病院の統合による新病院建設の意義、全国的にも注目されているスマートシティ化の今後など、4期目に向けた舵取りと胸の内を松野市長に訊いた。(9月20日取材 工藤年泰)

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【経済】北海道信用金庫協会の新会長・原田直彦氏に訊く

行動する「北信協」として
道内金庫の底力を高める



一般社団法人北海道信用金庫協会(北信協)の新会長に旭川信用金庫(本店・旭川市)の原田直彦会長(65)が就任した。旭川信金の理事長、会長が北信協会長に就任するケースはこれまでも多く、原田氏は2012年6月から16年4月まで2期4年務めた杉山信次氏(当時理事長・会長)に次ぐ就任。広域分散型の北海道にとって信用金庫は地域経済の要であり、地域の隅々までカバーする金融インフラとしてなくてはならない存在。北信協の新会長として道内の信用金庫業界をどう舵取りするのか、就任の抱負と今後のビジョンを訊いた。(佐久間康介)

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【緊急提言】㈱あかりみらい代表取締役 越智文雄氏

レプリコンワクチン接種の一時中止を
―製薬会社社員が売りたくないと内部告発―


総裁選で世の中が沸いているタイミングで、報道されないままに薬害事件の芽となるワクチン接種が開始されようとしている。製薬会社は社員が「家族にも打たせたくない!」と言っている新薬について全国新聞に一面広告を出したが、多くの団体が不安視しているその安全性については語ろうとしていない。自治体首長や医療関係者は、地域と住民が深刻な風評被害を被らないよう接種の一時中止を検討すべきである。

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【企業】自然由来化粧品のサボン・デ・シエスタが「シエスタのテラコヤ」スタート

ビジネスの核は自然との共生
創業20年を前に「大人の学校」



石油化学原料を一切使わず、良質の天然素材で手間暇を掛けて石鹸やスキンケア商品などを製造販売しているサボン・デ・シエスタ(本社札幌)。ものづくりだけでなく植樹活動やフィリピンとのフェアトレードも実践するなど、地球環境を保全する企業活動を地道に展開している同社が、来年の創業20周年に向けて「シエスタのテラコヤ」と名付けた大人の学校を始める。そのプレスタートとしてこの10月から約20人を集めて定期的にワークショップを開催するという。大人の学校「シエスタのテラコヤ」の意義と目的とは──。(佐久間康介)

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【衆院選】社民党公認候補として衆院選の出馬を決めた鳴海一芳氏に訊く

「自公政治」と訣別するために
今回の選挙で風穴を開けたい



社民党北海道連合副代表を務める鳴海一芳氏(70)が10月27日投開票の衆院選に比例代表道ブロックで出馬する。元最高裁事務官で在職中は労働組合の役員を歴任。親の介護のために小樽に転居後、カジノ反対や護憲、脱原発運動に取り組み、6年前には小樽市長選にも挑戦した。そんな鳴海氏にとって今回の出馬は市民運動の延長線上にあるようだ。「新自由主義を掲げる自公政治は自己責任や格差という言葉で労働者の生活を破壊している。その政治がいかなるものかを選挙戦で周知していきたい」と意欲を語っている。(武智敦子)

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【連載】ルポ「ひきこもり」110──北見市の新たな支援から【後編】

ピアスタッフの「リアルな声」に
寄せられた共感、生まれた希望



8月下旬に北見市内で開催された「支え合いの地域づくりフォーラム(ひきこもり支援フォーラム)」(北見市地域福祉活動合同推進本部主催)に関する後編だ。フォーラムの後半は「“その人らしく暮らし続ける”を考える~ひきこもり経験者の『声』をとおして~」と題して札幌市のNPO法人「レター・ポスト・フレンド相談ネットワーク」(レタポス・田中敦理事長)のピアスタッフ3人が自らのひきこもり経験や親との関係、当事者活動についてトークセッションを行なった。午後からはレタポスが主催する居場所「ふらっと」が北見市芸術文化ホールで開かれるなど、実態調査でひきこもり問題が深刻なことが判明した北見市のひきこもり支援が本格化している。 (武智敦子)

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【文化】劇団うみねこ元代表・吉川勝彦さんに訊く(後篇)

時代や環境が変わっても
変わらない芝居への情熱



小樽を活動拠点とする「劇団うみねこ」の元代表、吉川勝彦さん(80)のインタビュー後篇は、仕事との両立に苦労しながら芝居を続ける劇団員の奮闘をはじめ、長く公演を続けてきた「運河プラザ」(市内色内2)の民間貸し出しに伴い利用ができなくなった経緯についても話が及んだ。来年8月3日には、吉川さんのオリジナルで小樽空襲を題材にした『失われしもの』の上演が小樽市民センター・マリンホールで予定されている。60年にわたり打ち込んできた芝居への情熱は、今も衰えることがない。(武智敦子)

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【連載】戦争遺産をめぐる旅 【107】

10万人が犠牲になった惨禍を伝える
「東京大空襲・戦災資料センター」

民間による「歴史の真実の継承」



1945年3月10日未明から始まった惨禍、侵入したB29約300機が雨あられと投下した焼夷弾でおよそ10万人もの犠牲者を出した東京大空襲。この出来事を未来に語り継ぎ、平和の研究と学習を目的として今から22年前の2002年3月9日、東京都江東区に民間が運営する「東京大空襲・戦災資料センター」が開館した。4年前に展示リニューアルしたという同センターを訪れると、今も世界各地で市民を巻き込んでいる戦争の本質を改めて知ることができた。
  (ジャーナリスト 黒田 伸)

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【フォトレポート・トピックス】
●帰ってきた矯正展 作業品や野菜の販売に長蛇の列
●「食の学校祭」にあふれた農業を学ぶ学生らの笑顔
●地元の食を通して地域に貢献 アンデルセングルメ祭り開催
●秋の行楽は「有珠山ロープウェイ」を拠点に紅葉の名所「洞爺湖有珠山エリア」へ!
●フィッシングとアウトドア「コルソ旭川」がオープン!
●ココノススキノに注目ラーメン5店舗集まったミングルが開業
●ススキノピックアップガール「らむ」(OLクラブ アフターファイブ)
●北洋銀と道銀が内定式を開催 来春入行予定の新人にエール
●OMO7旭川が12月から提供する厳冬の街のさまざまな楽しみ方

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【連載コラムなど】
*つれづれフォトエッセイ
*シネマ
*スポーツ筆刀両断
*古本屋女房の“古本的日常"
*デンタルエッセイ
*北海道妄想紀行
*連載小説 仮面の恋
*よいどれブンガク夜話
*ソレでもナマがすき?
*夏井功の夜を駈ける車イス
*人物株価
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【今月の表紙】鈴木翁二画
『たそがれのちから』
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