北方ジャーナル2024年3月号

北方ジャーナル

2024年02月15日 00:00




2月15日発売。お求めは道内有名書店、セイコーマート、インターネットではAmazon、またはオンライン書店『Fujisan.co.jp』、あるいは直接当社(右サイドバーのメールボタンから)までお問い合わせください。

【報道】21世紀の人質司法③

「逃げてねえか」
黙秘権侵害映像、法廷で上映
国賠訴訟で異例の「文書提出」



「供述拒否権は『嘘ついていい権利』じゃない」「それは間違った選択肢だと思う」「逃げてるつもりはねえか」――。無言で俯く女性に、執拗に迫り続ける警察官たち。延べ約25時間に及んだという密室の取り調べの様子が、警察自身の手で撮影・録音されていた。その一部が裁判所で上映されたことで、長時間の権利侵害の実態が白日の下に。被害女性の代理人らは、改めて訴える。「この取り調べが合法というなら、黙秘権は何のためにあるのか」。(小笠原 淳)

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【報道】告発・陸の蟹工船〈4〉

市、事業所に合流迫る
恵庭牧場・障碍者虐待疑い訴訟
事業所報告「事実と異なる」と市



本誌などが報告を続けている恵庭市の牧場での障碍者虐待疑い問題で、当事者から訴えを起こされた自治体が地元の相談支援事業所へ「訴訟告知」を行なっていたことがわかった。早期に虐待の存在を疑っていた事業所を、市が自分たちの側につける形で裁判に合流させようというのだ。これに驚いた原告側は近く、同様の訴訟告知を行なって事業所に協力を求める考え。長期の虐待隠蔽が問われる事件の行方は、なお予断を許さない状況だ。(小笠原 淳)

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【経済】タクシー不足解消をどうする

誰が地域の足を守るのか
日本版ライドシェアの行方と
ハイタク業界の「新潮流」とは



二種免許を持たない一般の人がタクシー会社の管理下で自家用車を使って客を運ぶ「日本版ライドシェア」の試験導入が4月から東京で始まる。タクシーを拾えなかったり、配車を依頼してもなかなか来ない「地域」「時期」「時間帯」を限定した導入だが、安全管理やサービス面の課題もあり全面解禁の行方は不透明。人口減少の流れを受け鉄道やバスといった公共交通が縮小する中、地域の足をいかにして守っていくのか──。タクシー難民の解消に向け「ニセコモデル」など独自の取り組みも進めている北海道ハイヤー協会の今井一彦会長(71)に訊いた。   (12月17日取材 聞き手=工藤年泰)

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【被災地支援】つしま医療福祉グループが能登半島地震で介護支援

被災者の苦難に寄り添って
不自由な高齢者をサポート



厚生労働省からの要請を受け、つしま医療福祉グループ(本部札幌市豊平区・対馬徳昭代表)が1月中旬から能登半島地震の被災地に職員を派遣し、避難所で介護が必要なお年寄りを支えている。1月15日に出発した第1班を皮切りに、22日からは第2班、28日からは第3班、2月4日からは第4班が向かい、それぞれ1週間現地で活動に従事。同グループでは第4班以降も継続派遣を決めている。今回の支援の概要をはじめ現地の様子や介護に当たった職員の声を紹介する。      (工藤年泰)

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【報道】道警不祥事から考える〈68〉

暴行「注意」留まりか
懲戒6、監督上の措置91
道警処分2023年速報



地元警察が不祥事の全件公表に踏み切らない中、本誌が飽かず続けている定期的な公文書開示請求。北海道警察への本年最初の請求で昨年第4四半期(10―12月)の職員処分の記録が開示され、もって通年の記録が出揃った。直近では歳末に「不相応な借財」なる事案が頻発するなど、これまであまりみられなかった傾向が読み取れる。職員の逮捕事案が懲戒に到っていない可能性も含め、2023年の速報値を報告したい。(小笠原 淳)

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【報道】「桐島聡」死亡で囁かれる共犯・大道寺あや子に国内潜伏説

釧路に生まれた日本赤軍の
残党はいま何処にいるのか



1974年から75年にかけて連続企業爆破事件を起こした東アジア反日武装戦線のメンバーとして指名手配されていた桐島聡容疑者(70)を名乗る男が1月29日、入院先の病院で死亡した。警視庁公安部は2月2日までに男のDNA型を桐島容疑者の親族と照合し「親族関係に矛盾なし」との結果が出たとし、容疑者本人かどうかの特定を進めている。半世紀に亘る逃走劇が明らかになる中で、注視されるのが共犯者として今なお国際手配中の釧路出身、大道寺あや子容疑者(75)の動向だ。(ジャーナリスト 黒田 伸)

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【シリーズ・住宅不動産情報】⑯──札幌市内で解体されずに残る空き病院

利活用が進まない空き病院
閉院から10年経過の建物も



札幌市内では、1972年の札幌冬季五輪で街並みが大きく変わったが、当時建設された多くのビルが更新の時期を迎え、再び街並みが変わり始めている。その頃に建った病院も同様に建て替え時期に入っており、移転新築された新病院が市内随所で目に付くようになった。その一方で、解体されることなく当時の姿を留めたままの旧病院もある。今回は、そんな旧病院の動向を探ってみた。(佐久間康介)

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【環境】後志で風力発電に反対する住民団体の活動が活発化

余市でも高まる風車への懸念
初の住民学習会で深めた学び



現在、後志管内では仁木町、赤井川村、小樽市、余市町の4市町村の住民団体が風力発電の建設に反対する活動を続けている。そうした中、1月28日には「余市町の風力発電を考える会」(安田嵐嶄共同代表)が、関西電力が余市町と古平町で計画しているウインドファーム事業の建設予定地に近い余市町豊丘で初の学習会を開き、町内外から76人が参加した。一方、「仁木町の風車問題を考える会」(穂積豊仁代表)は、昨年12月に関電が開いた住民説明会をめぐり「住民を無視したもの」として、事業を認可しないよう求める上申書を1月17日付けで国に提出。脱炭素社会への切り札とされる風力発電に「NO」を突き付ける動きが後志で本格化している。   (武智敦子)

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【ニュース】

■道主催の「ひきこもり支援セミナー」で
 山田ルイ53世さんと斎藤環さんが講演

 ──テーマは「僕たちにはキラキラする義務などない」

■能登半島地震被災地の悪臭対策に
 寄贈された次亜塩素酸水が大活躍

 ──避難所の要請に応じて業界団体が搬送支援

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【流通】アークス・横山清社長が2024年の食品スーパー業界を展望

私も会社も発展途上
オーバーストアの調整局面
今年がその端緒の年になる



食品スーパーマーケットで全国5番手の売上高を持つアークス(本社・札幌市中央区)。同社を率いる横山清社長は、大学卒業後に就職した商社から子会社の食品スーパーに出向を命じられてこの道に入り、以来62年に亘り激動の業界を生き抜いてきた。横山氏の半生は、道内のみならず全国の食品スーパーが歩んできた歴史そのもの。同氏は今年5月に89歳を迎えるが、今もトップとして全国を飛び歩く。業界の“生老病死”を目の当たりにしてきた横山氏の眼に、2024年の食品スーパー業界はどう映っているのか──。現役経営者による縦横無尽の語りを読者にお届けしたい。   (佐久間康介)

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【観光】創業60周年を迎える野口観光の野口和秀 社長に訊く

祖父が生んで、父が育てた
野口ブランドを新たに磨く

目指す「ビッグとグッドの両立」



道内外で21カ所のリゾートホテル・旅館を展開し、今年創業60周年を迎える「野口観光グループ」(本社登別市)。2022年6月に社長に就任した3代目トップ、野口和秀氏(46)は、グループを率いる新リーダーとしてコロナ禍で打撃を受けた業績の建て直しに手腕を発揮した。「今後は会長(故・野口秀夫氏)が残してくれた課題に着手する」とする野口社長に、これまでの歩みを振り返ってもらいながら自身が描く「野口観光の明日」を訊いた。目指すのは「ビッグとグッドの両立」だ。(1月17日取材 聞き手=工藤年泰)

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【震災】正月を襲った未曾有の大災害 (㈱あかりみらい代表取締役社長 越智文雄氏)

いま能登半島地震から学ぶこと


元旦に起きた大地震から1カ月を過ぎ、能登半島ではいまだに多くの被災者が不便で不衛生な生活を余儀なくされている。いち早く現地で支援活動を行なっている日本除菌連合会長/(一社)次亜塩素酸水溶液普及促進会議の代表理事越智氏に取材した。

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【連載】〝農と食〟北の大地から
家畜福祉(アニマルウェルフェア)の普及をめざした歩みを振り返る

人と動物とのより良い関係を目指す
啓発は道半ば。今後は「学びの場」を



筆者がアニマルウェルフェア(家畜福祉・AWと略)の問題を勉強し始めてから、すでに20年ほどの歳月が流れた。「家畜に福祉? 何それ…」と首を傾げる人が多かった時代は終わり、一定数の人がこの言葉を認知するようにはなった。普及に向けた“そよ風”は吹いているが、本気でAWの問題に関わろうとする人材はまだまだ少ない。店頭に並ぶパック詰めされた畜産食品の価格や味には敏感でも、それを生みだす動物たちの劣悪な飼育環境にまで関心を向ける消費者も多くはない。AWの基本は、それぞれの動物の習性や生態、生理によく学ぶこと。その原点に立ち返り、「学びの場」を創ることも必要ではないか──。自身の歩みを振り返りながら、今後に向けた課題などを考えた。(ルポライター滝川 康治)

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【文化】「まち文化研究所」を主宰する塚田敏信さんに訊く(前篇)

足元の生活文化こそ宝
縮小する銭湯や市場は小樽の
魅力を伝える貴重な地域資源



2020年1月に国内で新型コロナの感染者が確認されてから3年余り。世界をパニックに落とし入れた感染症は昨年5月に収束し、観光都市小樽にも外国人観光客が押し寄せている。しかし、まちを歩くと新型コロナによる不況の影響はそこかしこに。客足が途絶えたり経営者の高齢化で閉店を余儀なくされたまち並みには空き地が増え、昔ながらの店舗は姿を消しつつある。「まち文化研究所」を主宰し、小樽をはじめ道内各地の市場や銭湯など「まち文化」を研究する塚田敏信さん(73)を訪ね、まちの記憶をどうとどめ伝えていくかを訊いた。  (武智敦子)

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【連載】ルポ「ひきこもり」102──レタポスの居場所事業を田中理事長が総括

当事者の参加で活況の江別と
横のつながりを欠いた北広島



札幌市のNPO法人「レター・ポスト・フレンド相談ネットワーク」(レタポス・田中敦理事長)が2023年度に江別市と北広島市で開催してきたサテライト型の居場所事業は、江別が昨年12月、北広島は11月に事業を終了した。これにより札幌圏の居場所事業は一区切りついたが、両市の結果を見ると、当事者や家族の参加が順調に推移した江別に比べ北広島はいずれもゼロだった。「江別市では後援団体間に横のつながりがあり、当事者がいたら積極的に声がけをしていたが、北広島市にはそれが欠けていたのではないか」と話す田中理事長に、これまでの居場所事業の総括と今後の予定などを聞いた。(武智敦子)

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【連載】戦争遺産をめぐる旅 【99】

英米の兵士24人が命を落とした
広島県尾道の旧向島捕虜収容所

プレートに刻まれた戦争の苦難


広島県尾道市向島(むかいしま)町にある大型スーパーとドラッグストアの敷地隅に赤レンガのモニュメント、そして英文と日本語で書かれた2枚のメモリアルプレートが置かれている。かつて赤レンガの壁とノコギリ屋根が特徴的だった旧向島捕虜収容所の名残りを伝える慰霊碑だ。太平洋戦争中にフィリピンなどで捕虜となって移送されたイギリス兵やアメリカ兵が収容されていたもので、収容中に亡くなったイギリス兵23人とアメリカ兵1人の名前が刻まれている。収容所が解体されてもプレートには戦時中の悲しい事実が刻まれている。 
  (ジャーナリスト 黒田 伸)

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【フォトレポート・トピックス】
●飲食店大充実の第2弾オープンでココノススキノが待望の本格始動
●サッポロビールとポッカサッポロ北海道が2024年事業方針を発表
●聖地、昭和新山に精鋭チームが集結 国際雪合戦 待望の通常開催へ
●札幌モビリティショー2024 模索される未来
●ISHIYAとTOPPANが環境に配慮した事業構築で協業開始
●流氷の到来と同時期という好機にチカホでオホーツクフェアが開催
●SUSUKINO PICKUP GIRL「みずき」(セクシーホスピタル ER。)
●北海道で生まれた全国注目の「呼吸する換気口」

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【連載コラムなど】
*北海道フォトエッセイ
*シネマ
*スポーツ筆刀両断
*古本屋女房の“古本的日常"
*デンタルエッセイ
*北海道妄想紀行
*連載小説 特別授業
*よいどれブンガク夜話
*ソレでもナマがすき?
*人物株価
*視点 公共交通をどうする?
*夏井功の夜を駈ける車イス

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【今月の表紙】鈴木翁二画
『春の踊り』
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