北方ジャーナル2023年12月号の誌面から 巻頭言「以前より若く」
画像は12月号の巻頭漫画
一昨日から店頭に並んだ今月号(12月号)の巻頭言で、私は「以前より若く」と題して次のように書いた。
以前より若く
鏡を見れば若い頃とは別の自分がいる。使い込んできたツケが体のあちこちで感じられ、以前のような体力もない。誰にとっても宿命の「老い」は私にも確実に忍び寄っている──。
だが、とも思う。肉体に引きずられ気持ちまで老いることはないのだと。
「ああ、あの頃の私はもっと老けていた。でも今の私は、以前よりずっと若い」
これはボブ・ディランの「マイ・バック・ページズ」という曲のサビの歌詞だが、「今の私は、以前よりずっと若い」というくだりが特に気に入っている。
そうなのだ。さまざまなものに囚われていた過去の自分よりも、もしかしたら今の自分の方が自由で若々しい発想ができるかもしれない。そんな風に勝手に解釈して、私はずっとこの曲を聴いてきた。
最近、ローリング・ストーンズが18年ぶりにオリジナルアルバムを出した。今やメンバー全員が日本でいうところの後期高齢者。特にミック・ジャガーは80歳だが、歳を感じさせない歌声とサウンドに驚かされた。顔には深く皺が刻まれていても「気持ちの若々しさ」は何ら失っていない。
まるで「以前よりずっと若い」ように。
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