縄文時代の国宝・文化財を一堂に集め「北の縄文世界と国宝」展を開催中 多種多彩な道内遺跡の出土品

北方ジャーナル

2023年08月22日 17:01


左が函館市著保内野遺跡出土の中空土偶(国宝)、右奥は青森県八戸市風張1遺跡出土の合掌土偶(国宝)複製(写真は全て7月21日の報道機関向け展示説明会で撮影)


 2021年に北海道・北東北の縄文遺跡群がユネスコ世界文化遺産に登録されたことを記念して、10月1日まで北海道博物館(札幌市厚別区)で特別展「北の縄文世界と国宝」が開催中だ。

左が長野県茅野市棚畑遺跡出土の土偶・縄文のビーナス(国宝)、右奥は同市中ッ原遺跡出土の土偶・仮面の女神(国宝)

 展示物はいずれも国宝の函館市著保内野遺跡から出土した中空土偶(愛称・茅空)、長野県茅野市中ッ原遺跡出土の土偶・仮面の女神、同じく茅野市棚畑遺跡出土の土偶・縄文のビーナスの実物など、国宝は8件28点。国指定の重要文化財は38点で、展示総数はおよそ480点にのぼる。

 縄文より前、旧石器時代の遺物で初めて、今年6月27日に国宝に指定されたオホーツク管内遠軽町の北海道白滝遺跡群出土品(1965点)も、その一部が展示されている。そして音声ガイドは、縄文文化が大好きな俳優・井浦新さんが担当するという、古代の歴史好きならずとも興味関心を寄せそうな趣向。

 開幕日前日(7月21日)に行なわれた報道機関向け展示説明会で北海道縄文世界遺産推進室の阿部千春特別研究員は、「国宝や優れた造形の土器などを通じて、まずは縄文文化の凄さを実感してもらいたい。展示の構成は感じる(feel)、知る(discover)、学ぶ(learn)、伝える(hand down)の4つのキーワードをテーマにしています。これは我々の総力を挙げた縄文特別展です」と力を込めた。

 同展示会で驚かされたのは、道内出土品の数の多さと多様さ。先に函館の中空土偶、縄文文化の遺物ではないが北海道白滝遺跡群出土品に触れたが、道都・札幌でもとても貴重でユニークな通称の土偶が出土されていた。それが札幌市西区二十四軒、現在ポリテクセンター北海道が建つ場所で見つかったもので、多くの人から「イケメン土偶」と呼ばれている。見れば確かにシャープな顔立ちだ。札幌市指定文化財で、普段は札幌市埋蔵文化財センター(札幌市中央図書館に併設)で展示している。

 北海道・北東北の縄文遺跡群は17の構成資産と2つの関連資産から成るが、このうち北海道には垣ノ島遺跡(函館市)、北黄金貝塚(伊達市)、大船遺跡(函館市)、入江貝塚(洞爺湖町)、キウス周堤墓群(千歳市)、高砂貝塚(洞爺湖町)、鷲ノ木遺跡(森町、関連資産)があるが、素材だけでも土器は元より骨や石を活用したものなど、それぞれが独自色溢れる遺物ばかりだった。
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