多くの地元メディアが取材に集まった
濃紺のスーツに赤いネクタイ姿で登場した秋元氏は冒頭、昨年9月の出馬表明以来、多くの市民と対話を重ね多くの声に丁寧に耳を傾けてきたと強調。近い将来、札幌市が戦後はじめて人口減少の局面を迎える現実を示し、「今、まさに我々の札幌は転換点を迎えている」と危機感を表明した。
そのうえで「重要なのは、現状を見つめ地域課題の解決に全力を尽くす徹底した地域主義」とし、その観点から今回の政策を取りまとめたと説明。同時に、この日に発表した政策については告示日までアップデートを続けより充実させていくことも付け加えた。
この日に秋元氏が掲げた「6つの挑戦」は以下の通り。
①経済・雇用関係「地場産業を応援し、未来を担う人を育て、雇用を生み出す力強い街をつくる」
②女性・子育て関係「多様な選択を支えるしくみづくりを進めて、女性が活躍できる街をつくる」
③子ども・スポーツ関係「成長の機会をいっそう増やして、子どもたちのがいきいきと健やかに育つ街をつくる」
④福祉・医療・介護関係「互いに支え合う地域福祉力を向上させて、いつまでも安心して暮らせる街をつくる」
⑤環境・街づくり・都市の再構築関係「世界都市・道都としての、都市整備を進めて魅力と活力にあふれた暮らしやすい街をつくる」
⑥行財政改革関係「地域の意見と視点を常に市政に取り入れて、市民とともに普段の改革を進める街をつくる」
各項目には、より具体的な目標が掲げられているが、ここでは割愛する。全体的な印象としては「財政改革の成果を踏まえて将来に資するインフラ整備、投資を行なう段階に入った」という認識を秋元氏が持っているということだ。もうひとつ目を引いたのは、⑤環境・街づくり・都市の再構築関係で「原発に依存しない社会をめざす」ことを明記したこと。
質疑応答で、本稿記者は2点について質問した。ひとつは、③の青少年の育成、子育てというテーマに関わる、ひきこもりや不登校問題についてだ。秋元氏は「フリースクールへの支援ということで今回の政策でも触れている」と説明した。
もうひとつは秋元氏が、④の福祉・医療・介護関係で「特別養護老人ホームなどの施設・居住系の整備を進め、定員を大幅に増加させます」と目標を掲げたことについてだ。記者は「大幅とはどの程度か?」「在宅介護を目指す国の方針との整合性は?」と質問。これに秋元氏は「サービス付き高齢者向け住宅などを活用して」と言及したが具体的な数字の提示はしなかった。後者については、「国の方針は承知しているが必要なものは必要なものとして進める」というものだった。
札幌市長選では、元総務省自治大学校研究部長の本間奈々氏(45)も自民党推薦で出馬を表明している。共産党も独自候補の擁立を目指しているとされるが、事実上、秋元氏と本間氏の一騎打ちとなる見込み。