道議会に呼ばれた「やらせ」北電幹部。星野議員の追及も不発

北方ジャーナル

2011年09月08日 12:41


道議会に参考人招致された北電の川合副社長ら幹部7人(9月7日)


 道議会は7日、産炭地域振興・エネルギー問題調査特別委員会を開き、北電の川合克彦副社長ら7人を参考人招致して泊3号機のプルサーマル計画に関するシンポジウムの「やらせ」問題を中心に約2時間半にわたって質疑を行なった。冒頭に川合副社長が「プルサーマルシンポジウムに関して道民や関係者の信頼を損なう結果となり深くお詫び申し上げる」と述べ、参考人7人全員が起立し、頭を下げて陳謝した。特別委員会の委員からは、「なぜ12年前の泊3号機問題での教訓が生かされなかったのか」「社長はなぜこの委員会に来ないのか」など北電の体質に強い疑念の声も出た。

社長不在のまま道民に陳謝する川合副社長ら


 川合副社長は、プルサーマルシンポジウムでのやらせが明らかになった後、透明性や公正性の観点から9月3日に第三者委員会を設置し、原因究明だけでなく調査結果の報告、再発防止策の提言などを受けることにしたと述べ、「弊社としては全容解明に向け第三者委員会に全面的に協力する」と説明した。

 トップバッターで質問した自民党・道民会議の千葉英守委員(札幌市中央区選出)が、「平成11年の泊3号機増設問題の時にも『やらせ』が発覚したが、その時にどんな対応を取ったのか」と質すと、蔵田孝仁企業行動室長は「当時の社長が深く憂慮して北電グループの行動基準をつくり、地域の皆様と信頼関係を構築するためにコンプライアンスや行動憲章を定めて北電グループ内に徹底した」と答えた。


質問を受け挙手する川合副社長。歯切れの悪い返答が目立った


 しかし、この教訓は全く生かされなかったことになり、千葉委員が「北海道の幸せを願って様々な提言をしてきた故・戸田一夫会長ならどう考えただろうか」と嘆く場面もあった。

 民主党・道民連合の星野高志委員(札幌市東区)が、「北電は公益企業として起こしてはいけない不祥事を起こしてしまった。今日、ここで説明するのは会社の責任者の社長であるべきではないのか」と社長が出席しないことに言及すると、川合副社長は「調査を第三者委員会に委ねており社長や役員も調査対象になる。お任せした以上、そこに悪い影響を与えてはいけない」とかわし、さらに星野委員が第三者委員会の人選を推挙した人物は誰なのかを問うても、「選定基準と経過については申し上げられない。具体的な話は控えさせていただきたい」(川合副社長)と述べるにとどめた。

 星野委員がやらせを証拠づけるメールの存在について厳しく指摘し、「そのメールは削除してしまったのか」と迫ると、蔵田室長は「メールソフトの更新があったため、ハードディスクに保存していなければ削除されている」と答え、さらに星野氏が「いつメールソフトの更新をしたか」と突っ込むと「更新時期については承知していない」と述べるなど、不透明さがさらに募る答弁になった。

 2時間半にわたって行なわれた委員会だったが、真相究明を第三者委員会に委ねたことを理由に、北電側は委員らの質問を玄関前でシャットアウトするような姿勢に終始。同委員会による調査結果は10月上旬に公表される予定だが、その間道議会はやらせ問題の真相究明の道を閉ざされることになる。

 星野委員は「550万道民を代表してお訊きする」と道民を代弁する姿勢で質問を続けたが、北電幹部7人の委員会への参考人招致は議会にとっても参考程度の内容しか得られなかった。道民にとっては“参考にもならない”中身だったと言わざるを得ない。 (さ)


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