「民事再生」の融雪メーカー・大仁が債権者説明会

北方ジャーナル

2008年08月03日 11:56

 7月29日に札幌地裁に民事再生手続きの開始を申し立てた大手融雪メーカーの大仁(本社札幌・四元善博代表)の債権者説明会が8月1日、白石区のアクセス札幌で開かれた。

 この日、午前10時から始まった債権者説明会では、冒頭、大仁グループの創業者でグループトップを務める四元代表が集まった数十社の債権者らに陳謝。続いて再生申立代理人の山崎博弁護士が、民事再生に踏み切らざるを得なかった経緯や今後の事業計画、配当率の見通し、今後のスケジュールなどを説明した。

 その後に行なわれた質疑応答では、一部の金融機関から同社グループの財務内容や四元代表の経営責任を質す声も聞かれたが、最終的に同社が民事再生手続きを進めることが了承されるに至った。負債の合計は約8億9800万円とされる。

 融雪機の「ゆうらく号」で有名な業界ナンバーワン企業であり、「融雪」を世に広めた草分け的な存在だっただけに、今回の大仁の経営破たんは、融雪業界はもちろん関係者に大きな衝撃をもって受け止められている。

 ここ数年、次々と同業他社が融雪事業から撤退するなかでも商品力の強みと東北地方まで広げた販売網を駆使して健闘を続けてきたが、販売環境の悪化のなかで先般からの原油高(灯油高)が直撃し、資金繰りが行き詰まった形だ。リーディングカンパニーの経営破たんは、そのまま融雪業界の決定的な冷え込みを意味していると見て差し支えない。


債権者説明会の会場

 四元代表は陳謝の言葉のなかで「ここまで灯油が上がるとは思わなかった」と口にしていたが、この思いは業界も同様だろう。現在の灯油価格は1リットル130円前後だが、この価格は数年前の3倍前後にもなる。これでは消費者が「もったいなくて雪処理には使えない」と敬遠するのも無理からぬところ。


ゆうらく号
 
 だが北海道発の技術であり、豪雪地帯の冬期環境の改善に寄与してきた「融雪」が、全く不要になったかといえば、そうでもない。特に大きなシェアをもっていた同社の場合、これまで販売した融雪機器のアフターやメンテも大きな社会的責任。規模を縮小してでも事業を継続させ、ユーザーの期待に応えることが求められよう。

 いずれにせよ、20年あまり続いた融雪業界は、今回の大仁の経営破綻で大きな節目を迎えたと言えそうだ。 (く)

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