ニッカウヰスキーが余市蒸留所の見学施設を一新 新たに誕生した「ニッカミュージアム」
「ブレンダーズ・ラボ」コーナー
アサヒビール(本社・東京都墨田区)のウイスキー製造子会社ニッカウヰスキー(同・東京都港区)は、北海道余市蒸溜所(余市郡余市町黒川町7-6)内の見学施設「ウイスキー博物館」の一部を「ニッカミュージアム」にリニューアルし、10月27日から見学できるようにした。23年ぶりの改装で、「ニッカウヰスキー」の歴史や価値を体感できる施設になっている。
「ポットスチル」を配した有料試飲コーナー
ニッカウヰスキー余市蒸溜所では創立50周年記念事業の一環として、1986年に「竹鶴資料館」を旧貯蔵庫を利用して開設。日本のウイスキーの歴史を綴った資料や当時の商品の展示を始めた。98年にはここを「ウイスキー博物館」にリニューアルしたが、2010年代以降、日本のウイスキーに対する国際的評価や国内の関心が高まったことを受け、23年ぶりに施設や展示内容を刷新し、合わせて「ニッカミュージアム」に名称を変更することにした。投資額は数億円という。
見学が可能になったのは、2棟ある施設の1棟で、内部は「ブレンダーズ・ラボ」「ストーリー・オブ・ニッカウヰスキー」「ディスティラーズ・トーク」「有料試飲コーナー」の4ゾーンに分かれている。
「ブレンダーズ・ラボ」の壁には琥珀色のカーテンが掛けられ、周りには余市蒸留所で作られた原酒がズラリ。中央には千葉県柏工場のブレンダー室にあるブレンダーテーブルが再現され、映像でウイスキーの味をつくり出すブレンダーの仕事を紹介している。
「ストーリー・オブ・ザ・ニッカウヰスキー」のコーナーでは、「余市」「竹鶴」「ブラックニッカ」「フロム・ザ・バレル」の4銘柄について、歴史やストーリーを紹介している。また「ディスティラーズ・トーク」のコーナーでは、余市蒸溜所が1934年の創業以来続けている「石炭直火焚き蒸留」の担当者が、ウイスキーの製造について語ったスペシャルトークなど、70分間の映像が流されている。
入場者にとって楽しみな有料試飲コーナーでは、実際に使用していたポットスチル(蒸溜器)を配置して数十種類のウイスキーを試飲できる。
「ストーリー・オブ・ニッカウヰスキー」コーナー。見学しているのはニッカウヰスキー岸本健利社長=左と竹鶴孝太郎顧問
10月26日に行なわれた内覧会で、ニッカウヰスキーの岸本健利社長は、「このミュージアムは7月末には完成していたが、緊急事態宣言でオープンが延び、ようやく見ていただけるようになった。ニッカの価値、歴史、今後取り組む内容を紹介することで、来場者にニッカファンになってもらいたい」とアピール。
またアサヒビールの枝伸・理事北海道統括本部長は、「あらためてウイスキーの魅力や素晴らしさに触れていただき、マーケットが広がっていけばと期待している」と述べた。
見学施設を運営している北海道ニッカサービスの高梨直也社長は、「刷新によってより深い内容を来場者に伝えることができるようになった。マニアの方から観光客まで楽しんでもらえると思う」と語っている。
ニッカミュージアムのもう1棟では、これまで通り創業者・竹鶴政孝、リタ夫妻の生活の様子を再現した展示などを見学できるが、来年度にリニューアルを予定している。(こ)
「ニッカミュージアム」の外観