東日本大震災で断ち切られた生命、地域、インフラ、通信

北方ジャーナル

2011年03月13日 17:01


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3月11日金曜日午後、岩手県と宮城県を中心に広範囲の東日本を襲った巨大地震と大津波。13日現在に至っても余震が続いており、予断を許さない状況となっている。

太平洋に面した沿岸都市の壊滅、福島第1原発で起きた(あるいはさらに起きつつある)炉心溶融と原子炉建屋の爆発、最終的に数万人以上にのぼる恐れが出てきた死者・行方不明者の数。どの事象ひとつとってみも、今回の災害が我が国がこれまで経験したことがない大規模かつ深刻なものであることは疑いの余地はない。いま全国の人々は、現地からこの世のものとは思えない悲惨な現実が伝えられるたびに、やりきれない思いを抱えているだろう。被害に遭われた方々には心からお見舞いを申し上げ、いまだ救助を待っている方々の一刻も早い救出を願ってやまない。
北海道でも太平洋側の沿岸を中心に軒並み津波に洗われ、漁港に被害が出たほか函館では1人が死亡。JRの運行も大きく乱れた。12日午後に札幌市内のスーパーを回ると、「明日以降、野菜が入ってこなくなるかもしれない。今のうちに必要なものを」と店員が声をかけていた。別の専門店に寄ると「品物がストップして、困っている」という話だった。

すでに郵便局、運輸大手では道外への配送を見合わせていると発表しているが、津軽海峡を挟んで物流が遮断されている形だ。今後、市民生活や事業活動への影響が懸念されるところだろう。

今回の災害で悲痛なひとつは、命からがら避難してきた人たちが通信回線の遮断やそれぞれの孤立化で、お互いの安否を確認できない状況が続いていることだ。通信大手KDDIは13日朝刊各紙で大規模な通信障害が起きているとして謝罪広告を掲載したが、記者の自宅でも11日夜から電話やネットが使えなくなった。

その後、12日夜にはまず電話が復旧、同じ頃ネットはかろうじてメールが使えるようになったが、13日午後に至ってようやくウェブにアクセスできるようになった。

必然的に、それまで私はテレビや新聞といったマスコミ大手、記者クラブメディアしか触れることができなかった。各局、そして大手紙の報道を眺めていると、それぞれ機動力を生かして大慌てで特番を組んでいることがよく分かる。スタッフたちの総力取材や番組づくりの苦労は推して知るべしだが、一方で情報が画一的に過ぎることにも気づかされた。「中継」に注力しなければならない事情は分かるが、事態を受けての世界各国の反応や動きも含めて多角的な観点が足りないように思われた。

特に原発事故関係の識者らのコメントは騒ぎの火消しに躍起になる御用学者然としたものが目立ち、一方的な印象が強い。福島第1原発で原子炉の建屋が吹っ飛んだ映像が出回っても原子力安全・保安院は「状況を調査中」などと寝ぼけた説明しかできない有様だ。

原発行政の情報隠しは今に始まった問題ではないが、炉心溶融というかつてのスリーマイル島、チェルノブイリ級の事故にもつながりかねない事態に立ち至っても「保身」に回ろうとするかのような関係者の姿勢には呆れざるを得ない。

福島第1原発で、炉心溶融による原子炉そのものの水蒸気爆発は、かろうじて13日夕現在でぎりぎり回避されているもようだが、他の原発も含め予断を許さない状況であることは間違いない。最悪の事態を避ける措置はもちろんだが、政府は住民の安全確保と情報公開を最優先に行なうべきだ。 (く)