「B層」知ってますか?

北方ジャーナル

2009年07月07日 14:28



 いよいよ選挙も近くなってきたような気がする今日この頃。世間では芸人出身の知事が次期衆院選に出馬するのしないのと朝から晩までテレビを賑わせてみたり、世論調査の数字が何ポイント上がったの下がったのと、毎日のように伝えられています。
 
 いわゆる国民の関心、「世論」というものはまさに水物であって、そうした世論の形成にマスコミが一役買っていることは、誰もが感じているのではないでしょうか。インパクト重視で意図的に切り取られる政治家のコメント、あるいはテレビニュースにおける激しい調子の演説場面、俳優によって演じられる、匿名の「党関係者コメント」などが、国民に様々なイメージを与えているものです。
 「B層」という言葉があります(ウィキペディア)。これは小泉郵政民営化の際、内閣府が竹中平蔵氏の知人が代表を務める広告代理店「スリード」に立案を依頼した際、同社が提唱した概念で、「具体的なことは分からないが小泉総理のキャラクターや閣僚を支持する層」、「政策よりもイメージで投票を行うなどポピュリズム政治に吸引される層」を意味するとのこと。
 
 既にネット上には、当時同社が配布した資料がPDF化されてあちこちに流出していますが、その「ターゲット戦略」には、こういう図が書かれています。


 
 画像が小さいので読めるかどうかわかりませんが、アルファベットで囲まれた項目の中身を見ると、
 
A層:
・財界勝ち組み(ママ)企業
・大学教授
・マスメディア(TV)
・都市部ホワイトカラー


B層:
小泉内閣支持基盤

・主婦層&子供を中心
・シルバー層

具体的なことはわからないが、
小泉総理のキャラクターを支持する層
内閣閣僚を支持する層

C層:
構造改革抵抗守旧派


 そしてB層の左隣には別の囲みがあり、「既に(失業等の痛みにより)構造改革に恐怖を覚えている層」とあります。
 
 この図の縦軸には、「IQ軸(EQ、ITQ)」とあります。IQは知能指数、EQは「心の知能指数」、ITQは「IT普及度」、IT機器を使いこなす能力のことですが、これは上にあるほど高い。A層の人々は、それらの知的能力が高い位置にあります。それでは下段にあるB層、失業者層はどうか。これは知能指数などが低いという意味になるのだろうと思います。
 
 資料ではこの表を元に「B層にフォーカスした、徹底したラーニングプロモーションが必要と考える」と提案しています。片仮名ばかりで何を言っているのかよくわかりませんが、つまり「B層(とされる人々)に集中した、徹底した教化宣伝が必要」という意味なのでしょう。
 
 そこで資料では、この「知能の低い」「具体的なことのわからない」「総理のキャラクターのみを支持する」B層に向けた、具体的な「コミュニケーション戦略フォーカスポイント」とメディア戦略の具体的な方法について書いています。
 
 同社は05年に「郵政民営化フライヤー戦略」の内容に関する見解とお詫び」を発表しています。特に同社の提案について云々するつもりはありませんし、マーケティングとはこういうものだとは思いますが、笑顔で握手を求める政治家の裏側に、こうした「分類」や「戦略」が存在しているのだということは忘れないようにしたいものです。 (て)