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2022年07月31日

「風力発電の問題点を学ぼう」 岩内の市民科学者、斉藤武一さんが小樽で紙芝居を上演

「風力発電の問題点を学ぼう」 岩内の市民科学者、斉藤武一さんが小樽で紙芝居を上演
自作の紙芝居で風力発電の問題点を説明する斉藤さん

 風力発電の問題点を学ぼうと、後志管内岩内町在住の市民科学者、斉藤武一さん(69)による紙芝居の上演会が7月30日、小樽市のいなきたコミュニティーセンターで開かれた。脱原発を目指す斉藤さんは、研究範囲を自然エネルギーにも広げており「10年後の道内では陸上、洋上を含め現在の10倍にあたる3000基以上の風力発電の建設計画があり、それにより山や海は傷ついていく」と訴えた。

 小樽市と余市地区では、東京の総合商社双日が毛無山など国有林に高さ最大200メートル、単機出力4300~5500キロワットの巨大風車27基の建設を計画し、2024年の着工を予定している。紙芝居の上演会は、自然破壊や低周波・超低周波音による健康被害が及ぶとして、この計画に反対する住民団体「小樽余市の巨大風力発電から自然と生活を守る会」の有志が、風力発電のメリットとデメリットを知り、人が暮らし続けることのできるまちづくりを考えようと企画。住民ら27人が斉藤さんの上演会に足を運んだ。

 斉藤さんは、本州で起きた風車被害の事例を紹介。定年退職後、静かな場所で暮らしたいと山に家を新築した60代の夫婦のケースでは、家から近い場所に風車が建った。不眠症に悩むようになった夫婦はアパートなどを借りて避難。事業者が低周波音を調査すると基準値以下だったが、大学の専門家が測定すると大きな測定値が出たという。「夫婦は事業者に掛け合い月額5万円のアパート代を支払ってもらうことにしたが、山の家は風車のために売れず困っている。このような風車被害は全国にたくさんあるが、報道されることもなく闇の中に消されている」(斉藤さん)

 小樽と余市で巨大風車を山の尾根に建てる計画については「最もアブナイ」と断言。その理由として、「低周波は地形に沿って山の下の海側へ行く。その音の量は中々減衰せずに遠くへ飛んでいくので海側の民家だけでなく、谷や窪地の民家にも届く」と説明した。

 稼働年数を過ぎた20年後の風車はどうなるか。こちらについては、「解体処分されることもなく、そのままにされ風車の墓場になる。風車の会社は倒産国の責任が曖昧になる怖れがある。故郷の自然は巨大風車により破壊され元には戻らない」とした。

 国が進めようとしている洋上風車をめぐっては、石狩湾を始め岩内湾、寿都湾、島牧村沿岸などで計画が浮上する一方で、道南の乙部町が、「町民に低周波音による健康被害が出る恐れがある」などとしして反対の立場を明確にしたことを紹介。「乙部町のように自分たちの町を自分たちで守っていくというメッセージが求められる」と呼びかけた。

 現在、道内では334基の風車が稼働。10年後には陸上、洋上を含めて現在の10倍に当たる風力発電の建設が計画されている。斉藤さんは、「北海道の山と海は傷ついていくし、人間の健康被害も10倍になる」とした上で、「風車のない小樽余市にするためにも、住民一人ひとりが勉強することが大事」と話した。

 斉藤さんは1978年、25歳の時から泊原発の対岸の岩内港の防波堤で温排水の影響を調査しており、今年で45年め。自作の紙芝居を各地で上演しながら脱原発を訴えてきた。北電を相手取り、泊原発の廃炉と運転差し止めを求めた集団訴訟の原告団長も務めており、札幌地裁は5月末、同社に運転差し止めを命じ事実上の勝訴となった。4月には埼玉県内の男性と2人で、地震の問題を焦点に泊原発の危険性を訴える訴訟も起こしている。(あ)



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Posted by 北方ジャーナル at 17:09│Comments(0)ニュース
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