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2021年08月28日

本誌公式ブログ特別掲載 くつした企画没ネタ供養シリーズ第2回「内臓おじさんとパンダ猿」(前篇)

本誌公式ブログ特別掲載 くつした企画没ネタ供養シリーズ第2回「内臓おじさんとパンダ猿」(前篇)
写真と本文は関係ありません

 必要な資料などを決め打ちで購入する場合は別として、特に目的もなく古本屋さんを巡る場合には決して忘れてはならない心構えがある。『心惹かれたら必ずその場で手に入れろ』というものだ。他のお店を回ってからあとで買いに戻ろう、と考えてその場を離れ、購入できたためしがない。古本との出会いは常に一期一会なのだ。これはもちろん古本に限ったことではなく、時期を逸して成り立たなくなったネタも少なくない。どうやらこちらの方も一期一会なのは同じらしい。

 なお、今回は『画像も含めて現存しない』ことがキモのお話なので、掲げた写真は本編とは一切関係のないものであることをお断りしておく。『街で見かけた意図の分からないマスコット』という意味では記事内容と緩やかにリンクしているかもしれない。

 例えば琴似の一件がそうだ。少し前まで、地下鉄東西線琴似駅を降り、地上にあがってしばらく目抜き通りに沿って歩いていくと1軒の薬局があった。くつした企画は撮影時には琴似で機材車を借りる慣わしで、その車両を借り受ける会社は実を言うと件の薬局とは間逆の方角にあるのだけれど、遠回りしてでもその前を通っていた。掲げる看板がお気に入りだったからだ。

 個人経営の薬局で、恐らく漢方薬を扱われていたのだと思う。その看板は、内臓ごとの疾患についての各種相談事に乗りますよ、というような意味合いだったと記憶している。正面を向いた人のよさそうな中年男が腹のうちの内臓をあけっぴろげに衆目に曝して気の抜けた笑みを浮かべている。そんな意匠だ。

 このマスコット、以下仮に内臓おじさんと呼ばせていただくが、その由来や歴史を調べて記事にしようと考えていたことがある。数年前、くつした企画がゆるキャラブームへのあてつけとして制作展開していた着ぐるみマスコット『ホーンテッド時計GUY』の活動の総まとめとして、北方ジャーナルでシリーズ連載をしていた時のことだ。

『アンチゆるキャラ時計GUYがゆく』というこの連載は、ゆるキャラをカサにきて彼らが活躍する業界に入り込み、その内情を取材するという内容だったのだが、これはこれで生々しかったり、角が立ったり、実態があまりにもお粗末だったりで使えない取材内容の多い企画ではあったのだけれども、それはそれとして、今は内臓おじさんの話だ。

 ある日取材をしようとカメラを持って出かけてみると、建物が取り壊されていた。ほんの2週間前に店じまいしてしまったとのことだった。跡地の隅には、ぱんぱんに膨れた大量のガラ袋が転がっている。内臓おじさんはたぶんあの中にいるのだ。

 さよなら内臓おじさん。琴似の街から一切の魅力が抜け落ちてしまったような気持ちがして、その日は回れ右してまっすぐ帰途についた。

                    (続きは近日中に公開予定)



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