2021年02月10日
【特別公開】1年前に本誌が報じていた旭川医大元教授の論文盗用②
元教授が論文を投稿した「脳神経外科ジャーナル2017年4月号」
(画像は版元の三輪出版のHPより)
本誌が1年前に報じていた旭川医大元脳神経外科教授による論文盗用事件。その全貌をお伝えする特別公開第二弾である。折しも同大では9日、学内の教授ら22人の有志が吉田学長の辞職を求める署名活動を始めたことが明らかになった。ついに内部からも上がった「ノー」の声。吉田学長はこの危機を乗り越えることができるのだろうか。(く)
(昨日からの続き)
「元教授の盗用先は、ある脳神経外科医のチームが2013年にアメリカの専門誌「Journal of Neurosurgery」に投稿した論文でした。てんかん治療に関して海馬(記憶や空間学習能力に関わる脳の器官)に外科的にアプローチする内容で、そこにはこの脳神経外科医のスタッフが作成したフィギュア(写真や図案)が多数使用されていた。それらの中で重要な術中の組み写真を元教授が勝手に自分の論文で使用したということです」
元教授はその術中写真を拡大、いわゆるトリミング加工して自分の論文に用いていた。脳神経外科ジャーナルに掲載された元教授の論文を読んだ関係者がこのことに気づき、盗用された脳神経外科医に連絡。ここで本人や出版社の許諾はおろか引用表記もされていないことが明らかとなったという流れだ。
これ以後、関係者からコングレスに届出と調査依頼がなされ、その結果がどうなったかは述べた通りだ。旭川医大に泥を塗り「論文取り下げ」「投稿禁止」という教授として恥ずべき措置を学会から受けたにもかかわらず、強制猥褻が疑われる不祥事を起こし大学を去るまで、この脳神経外科教授の不正行為が学内で問われることはなかった。驚くのは、このような大学側の不作為、そして本人の研究者としての意識の欠如だ。当時の関係者の証言を次に──。
「(ある学会の席で)なんでそんなことをしたんだと先生(盗用された脳神経外科医)は叱りつけてましたが、教授本人は全く悪びれた様子はありませんでした。曰く“たまたまいい画像があったので”と。“むしろ自分は書きたくもない原稿を書かされた被害者だ”と。さすがにこれらの言い草には先生が呆れていました」
旭川医大は先の公表の中で「文部科学省への匿名の告発があり、令和2年(2020年)3月10日付けで本学に回付された」ことから調査に乗り出したとしているが、述べたようにコングレス側は18年5月に本人へ投稿禁止を言い渡している。事実を把握しながら文科省に指摘されるまで問題を放置していたとすれば、まさにガバナンスが問われる話だ。
同医大の脳神経外科学講座の教授ポストは2019年3月以降、空席だったが、今年1月1日付で大阪大学医学部の講師が着任。関係者は「医局には何の相談もなく、ある日、吉田学長が“こんど大阪から(教授として)来ることになったから”との一言でした」と内情を話す。この教授選考を受けて大学に見切りをつけた複数の医師が退職を申し出て、すでに医局から去ったことが判明している。
※これ以降の本編記事は2月15日発売の3月号でお読みください。
「元教授の盗用先は、ある脳神経外科医のチームが2013年にアメリカの専門誌「Journal of Neurosurgery」に投稿した論文でした。てんかん治療に関して海馬(記憶や空間学習能力に関わる脳の器官)に外科的にアプローチする内容で、そこにはこの脳神経外科医のスタッフが作成したフィギュア(写真や図案)が多数使用されていた。それらの中で重要な術中の組み写真を元教授が勝手に自分の論文で使用したということです」
元教授はその術中写真を拡大、いわゆるトリミング加工して自分の論文に用いていた。脳神経外科ジャーナルに掲載された元教授の論文を読んだ関係者がこのことに気づき、盗用された脳神経外科医に連絡。ここで本人や出版社の許諾はおろか引用表記もされていないことが明らかとなったという流れだ。
これ以後、関係者からコングレスに届出と調査依頼がなされ、その結果がどうなったかは述べた通りだ。旭川医大に泥を塗り「論文取り下げ」「投稿禁止」という教授として恥ずべき措置を学会から受けたにもかかわらず、強制猥褻が疑われる不祥事を起こし大学を去るまで、この脳神経外科教授の不正行為が学内で問われることはなかった。驚くのは、このような大学側の不作為、そして本人の研究者としての意識の欠如だ。当時の関係者の証言を次に──。
「(ある学会の席で)なんでそんなことをしたんだと先生(盗用された脳神経外科医)は叱りつけてましたが、教授本人は全く悪びれた様子はありませんでした。曰く“たまたまいい画像があったので”と。“むしろ自分は書きたくもない原稿を書かされた被害者だ”と。さすがにこれらの言い草には先生が呆れていました」
旭川医大は先の公表の中で「文部科学省への匿名の告発があり、令和2年(2020年)3月10日付けで本学に回付された」ことから調査に乗り出したとしているが、述べたようにコングレス側は18年5月に本人へ投稿禁止を言い渡している。事実を把握しながら文科省に指摘されるまで問題を放置していたとすれば、まさにガバナンスが問われる話だ。
同医大の脳神経外科学講座の教授ポストは2019年3月以降、空席だったが、今年1月1日付で大阪大学医学部の講師が着任。関係者は「医局には何の相談もなく、ある日、吉田学長が“こんど大阪から(教授として)来ることになったから”との一言でした」と内情を話す。この教授選考を受けて大学に見切りをつけた複数の医師が退職を申し出て、すでに医局から去ったことが判明している。
※これ以降の本編記事は2月15日発売の3月号でお読みください。
Posted by 北方ジャーナル at 09:36│Comments(0)
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