2018年08月20日
小樽の「出直し市長選」で4氏が第一声。8月26日の投開票に向け舌戦スタート
迫俊哉氏
現職の突然の辞職に伴う小樽市長選が8月19日告示された。同日朝、立候補した4氏が雨の中で第一声を上げ、同月26日の投開票に向けて舌戦がスタートした。
立候補したのは、前職で無所属の森井秀明氏(45)のほか元市総務部長の迫(はざま)俊哉氏(60)、元最高裁事務官の鳴海一芳氏(63)、前市保健所長の秋野恵美子氏(66)の新人3人(いずれも無所属)。「脱しがらみ」を掲げ議会と激しく対立したこれまでの森井市政3年間の評価や人口減対策などが争点となる。
鳴海一芳氏
秋野恵美子氏
森井秀明氏
迫氏は19日午前9時過ぎ、JR小樽駅に近い旧国鉄手宮線跡地で200人を超す支援者らを前に街頭演説を行なった。推薦を受ける自民、公明、立憲民主各小樽支部の市議や道議のほか、自民党の中村裕之氏、国民民主党の徳永エリ氏ら国会議員も応援に駆け付けた。
迫氏は「前職の市政は議会や経済界との関係が築かれず、将来のまちづくりの論議が全く進んでいない。悪くなっている市政を一日も早く正常化させるのが、私に与えられた最大の役割」と市政の奪還を強調。「除排雪の改善や観光を中心とした経済政策で地域経済と市民生活の好循環を進める」などと訴えた。支援者の激励にガッツポーズで気炎を上げた迫氏は、選挙カーに乗り込んで遊説に向かった。8月21日午後7時から小樽経済センターで個人演説会を開き、脳科学者、茂木健一郎氏も応援に訪れる。
鳴海氏は午前9時、同市住之江の選対事務所近くで支援者や推薦する日本共産党北海道委員会、社民民主党、新社会党北海道などの応援部隊約150人が見守る中で第一声を上げた。鳴海氏は「この3年3カ月、小樽市政は混乱し中々前へ進まない。26日の投開票日はそれに終止符を打ち明るい小樽をつくる出発の日にしたい」と強調した。
その上で、子育て環境の整備や除排雪体制の徹底、年間観光客の入込を1000万人にするなどと政策を述べ、脱原発・カジノを含む統合型リゾート(IR)の道内誘致に反対する立場を鮮明に打ち出した。盛大な拍手と激励に見送られながら市内各所の遊説をスタートした。
秋野氏は午前9時50分に市役所前で街頭演説を行った。人口減少問題を喫急の課題に挙げた上で「文化と芸術、教育のまちと呼ばれる小樽にしていく」と決意を述べた。さらに、前保健所長としての知見を生かし医療と介護に軸足を置いた市役所を実現したいとし、財源の厳しい小樽で住民が話し合いながら方向性を決める「住民自治協議会」の設立が必要だと訴えた。
森井氏は午前10時に花園公園通りのパチンコ店前で第一声を上げた。白いジャンパー姿でマイクを握った森井氏は「市民の皆さんの力を得て、良い兆しが出てきた」と述べ、子育て支援や周産期医療体制の整備など3年間の市政運営の実績を強調。加えて子供や高齢者が安心・安全に暮らせるまちづくりや経済振興に取り組んでいく、などと支援を呼びかけた。
2015年の市長選で現職を抑えて初当選。再選を目指す森井氏は「もう相乗り市長はいらない!」のステッカーを貼った選挙カーで遊説に繰り出した。
今回の市長選は法令違反が指摘された高島漁港区の観光船問題などで、問責決議や辞職勧告を突きつけられた森井氏が議会と激しく対立、7月25日に辞職したことを受けて行なわれる。「改めて民意を問う」とする森井氏だが、前回氏の支援に回った共産党は反原発・反カジノを掲げる鳴海氏の推薦に転じた。
今回の出直し選をめぐっては、5団体のほかに国民民主党道連の推薦を受けるなど組織票を固めつつある迫氏が森井氏を一歩リードしているとの分析もある。一方、知名度の低さがネックとなっていた鳴海氏だが、陣営によると「反原発・反カジノ」で女性を中心に支持を広げつつあるという。その中で共産党の支援を失った森井氏が無党派層にどこまで食い込んでいくのか。「民意」の行方が注目される。(あ)
Posted by 北方ジャーナル at 14:30│Comments(0)
│政治経済
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