2018年04月14日
北方ジャーナル2018年5月号
5月14日発売。お求めは道内有名書店、セイコーマート、インターネットではAmazon、またはオンライン書店『Fujisan.co.jp』、あるいは直接当社(右サイドバーのメールボタンから)までお問い合わせください。
【報道】紋別漁業協同組合の組合員資格問題を追う(6)
終わりを告げた「阿部時代」
温存される配当利権の行方は?
本誌が昨年、数カ月にわたり“名ばかり組合員”の問題を検証した紋別漁業協同組合が3月19日、通常総会を開催。任期満了に伴う役員改選で阿部滋組合長(80)が退き、新組合長に副組合長の飯田弘明氏(66)が選出された。昭和51年に同漁協の役員(理事)となってから現在まで42年。平成12年から18年間、組合長として君臨した「阿部時代」は終わりを告げたが、漁労とは無縁の同氏がこれまで手にしてきた大きな利権は今後も温存されそうな雲行きだ。(本誌編集長・工藤年泰)
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【報道】狙い撃ちされた「エコクリーン」のオーナー
裁判所を騙して差し押さえ?
「債権者」に浮上した“ヤミ金業者”の疑い
3月号で報告した苫小牧で最終処分場を営むエコクリーンを舞台にした事件だが、ここに来て同社のオーナーを狙い撃ちした形の別のトラブルが起きている。仕掛けたのは、同社に被害を与えたとされる釧路の産廃業者、有限会社マルカ加藤商店の役員・小林健治氏だ。債権保全を名目に、司法を利用してエコクリーンのオーナー・中澤和彦氏の財産を差し押さえた小林氏。だが逆に浮上したのが、この差し押さえの申し立て内容が虚偽であり、小林氏が長年に亘り“ヤミ金”に手を染めていた疑いだった。(本誌編集長・工藤年泰)
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【報道】道警不祥事から考える〈24〉
パワハラ疑惑、同僚が証言へ
職場での“暴行”あったのか
警官同士の争い、弁論始まる
現職警部補によるパワハラ疑惑で3月中旬、暴行の被害を訴える巡査部長が起こした裁判が初弁論を迎えた。これに先立つ検察への刑事告訴は功を奏さなかったものの、民事裁判では原告の同僚が意見陳述に臨むことになり、巡査部長は裁判所の「フェアな審判」に期待を寄せている。勤務中の暴力行為はあったのか、なかったのか。昨年1月に起きたとされる“事件”は、まだ終わっていない――。(取材・文=小笠原 淳)
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【報道】恵庭事件第2次再審請求審
疑わしきは当局の利益に
地裁決定に「軽蔑」と弁護人
恵庭事件、第2次再審棄却
扉は、またも閉ざされた――。昨年1月に申し立てられた恵庭OL殺人事件の第2次再審請求審で、札幌地方裁判所(金子大作裁判長)は3月20日、請求棄却を決定した。被害者の殺害方法や遺体の焼損方法などに異を唱え、犯人とされた女性(実刑判決を受けて服役中)の潔白を訴え続けてきた弁護団は、憤然と即時抗告(通常の裁判でいう控訴)を申し立てる。科学的見地から積み重ねた新証拠が一切採用されなかったことで、怒りは痛罵となって放たれた。「審理不尽だ、軽蔑する」(取材・文=小笠原 淳 工藤 年泰)
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【報道】「日ハム新球場、北広島決定」の裏側
実現不能な札幌案に固執した
大手マスコミと行政側の迷走
球団の腹積もりは「最初から北広島」
プロ野球・北海道日本ハムファイターズ(以下日ハム)の新球場を含むボールパーク構想の建設候補地が3月26日、正式に北広島市の総合運動公園に決まった。道内テレビをはじめとする大手メディアは同日夕に北広島か札幌の真駒内か、まるでマッチレースのように伝えていたが、内実は「北広島ありき」で始まった移転話。日ハムの真意が読めず、道民を巻き込んで迷走した大手メディアの責任は重い。また札幌市は、取り返しのつかない「失策」続きで、コールド負けというより試合にならなかったと言った方がいいだろう。(ジャーナリスト 黒田伸)
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【報道】春の波乱・異例ずくめの「山谷副知事解任劇」
5選視野? 賭けに出た高橋知事
与党会派、官邸との間に広がる大きな亀裂
何もかもが異例だった山谷吉宏副知事(64)の退任劇。道議会与党会派や吉川貴盛道連会長に電撃的にもたらされた「山谷降ろし」の知らせは大きな反発を招き、3月20日の人事同意案の本会議議決では、採決を前に自民会派11人の道議が議場を一斉に退席する前代未聞の出来事が起きた。高橋はるみ知事(64)が決断した“山谷降ろし”が、与党との間に亀裂を引き起こしたのは間違いない。4期目最終年度を迎え5選を窺う高橋知事は、賭けに出たと言えそうだ。(佐久間康介)
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【原発】検証「泊原発は本当に必要なのか」33
原発を懸念する市民の声を
軽んじる道庁の“お役所対応”
知事の“忖度官僚”が公開質問の回答を作文
全道の市民団体70あまりの組織で構成される「泊原発を再稼働させない北海道連絡会」が高橋はるみ知事宛に送った公開質問状について、「どうして知事名で返事が来ないのか」と内部会議で不満の声が高まっている。道の回答書は担当課長の連名で出されており、背後に見え隠れするのは「お役所の壁」だ。中央官庁では最高権力者である首相に対する「忖度」という言葉がひんぱんに飛び交うようになったが、道庁ではいったい誰が誰に忖度して原子力政策が動いているのか。 (ジャーナリスト 黒田 伸)
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【連載】戦争遺産をめぐる旅 (36)
世界を凌駕した飛行艇の拠点
神奈川県「横浜海軍航空隊跡」
空の戦艦「二式大艇」の足跡
四方を海に囲まれている島国の日本が連合国軍と戦争をするためには、海軍と航空戦力は欠かせない。世界各国で空軍として独立していくのは、第二次世界大戦後で、それまで戦闘機などの航空機は陸軍か海軍の指揮下に置かれていた。太平洋戦争が始まった直後、日本がゼロ戦をはじめとした戦闘機による戦果を上げていたのは、航空機を製造する技術力が優れていたからだ。その中でも海から離発着できる飛行艇は南方戦線には欠かせない特殊な航空機だった。海軍最初の飛行艇の航空隊があった神奈川県横浜市の横浜海軍航空隊跡には、当時の巨大な格納庫が神奈川県警機動隊の倉庫として使われるなど遺構が残っている。(ジャーナリスト 黒田 伸)
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【経済】北洋銀・安田光春新頭取が船出
ポスト100年の新創業に向け
石井前頭取から託された“刷新”
昨年8月、創業100周年を迎え新しい世紀を歩み始めた北洋銀行(本店・札幌市)。そのまさに第一期目となる新年度が始まった4月1日に、新頭取に就任したのが安田光春氏(58)だ。4人の常務の末席からの抜擢は、サプライズを引き起こすと同時に、同行が役職の序列ではなく人物本位の人事を行なうことを内外に強くアナウンスすることになった。銀行経営はマイナス金利やITの進化で過去の経験則が通用しない変化の時代に突入している。北洋銀の新世紀を安田新頭取はどう創ろうとしているのか──。
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【ニュース】
■道新記者が「不貞」で同僚を提訴
夫の交際相手に退社など求める
──被告の記者は育児休暇中 裁判は和解終結へ
■“セクハラ”疑い、丸3年で和解
元道新従業員遺族の裁判が終結
──「違法行為なし」と確認も、遺族は背景語らず
■ストーカー殺人事件遺族が講演
再犯防止の功労者と意見交換も
──被害根絶は「加害者をなくすこと」と通底
■スクープ記者が語る「福島の今」
事故から7年、被害は終わらず
──参加者の驚きに「それこそ驚き」と自主避難者
■「懇親会」ビデオ上映、来年も?
道警記者クラブはノーコメント
──BPO、民放連、NHKも「お答えしかねる」
■「ベトナム戦争負の産物・枯れ葉剤が
藻岩山ほか全道各地で散布・投棄?
──北九州市立大職員が明らかにした忌むべき過去
■森井市長、任期最後の小樽幹部人事
またもや早期退職、降任希望相次ぐ
──止まらない市幹部職員からの市長への三行半
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【経営】北海道経営未来塾で「頭取・石井純二」が最終講義
「成長へ企業変革を恐れるな」
塾生40名に贈った熱いメッセージ
ニトリホールディングスの似鳥昭雄会長やアインホールディングスの大谷喜一社長のようなグローバル企業の経営者を北海道で育成しようと、昨年から始まった北海道経営未来塾(長内順一塾長)。2期目の2017年度は二世、三世の経営者や創業経営者など40人が参加、1年間に亘って研鑽を積んできた。3月2日に行なわれた2期目の最終講義で演壇に立ったのが北洋銀行の石井純二頭取(現会長)だった。その石井氏は4月1日付で北洋銀会長に就任。北洋大通センターで行なわれたこの講義は奇しくも頭取時代の最後の講演になった。『北海道の現状と企業の持続的成長のために』と題して塾生らに熱く語りかけたこの日、石井氏は若い世代に何を伝えようとしたのか──。長年の経験を踏まえた示唆に富んだ発言をまとめた。
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【企業】「野口観光ホテルプロフェッショナル学院」が開校
伝えたいのはホテル業の面白さ
業界全体で〝人を育てる〟努力を
野口観光グループ(野口秀夫社長)の創業期を支えた苫小牧プリンスホテルが、約7年間の休業期間を経て4月1日に「新苫小牧プリンスホテル和(なごみ)」と名称も新たに大幅リニューアルオープン。その館内に、収入を得ながら3食付の寮生活でホテルマンとしてのさまざまな知識やスキルが学べる「野口観光ホテルプロフェッショナル学院」が同月3日、開校した。業界全体で深刻化している人材不足に対し、同社が一丸となって打開策を講じた格好だが、野口社長の心を強く動かしたのが、〝観光の仕事のやりがいや面白さを伝えたい〟という若者たちへの思いだ。来たる6月には札幌の奥座敷・定山渓温泉への初進出も控えている。新規事業目白押しの野口社長にグループの現在地と未来戦略を訊いた。
(3月26日、新苫小牧プリンスホテル和内で収録)
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【レジャー】特集・春の観光情報
今、七色に輝く北海道
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【医療】睡眠障害の専門拠点が誕生「スリープクリニック札幌」
親子三代にわたる研究と治療で
“限られた睡眠力”を引き出す
なかなか寝付けなかったり、突然、仕事中や授業中に強い眠気に襲われる。このような睡眠障害で苦しむ人のための治療拠点「スリープクリニック札幌」が昨年11月、札幌市中央区に誕生した。ここを運営する医療法人社団スリープクリニックの理事長を務める遠藤拓郎医師はかねてから東京都内で睡眠に特化した専門外来を展開。祖父の代から3代で90年以上、研究を続ける睡眠医学の第一人者として知られる。患者が持つ本来の「睡眠力」を引き出すことを念頭に、画期的な治療法で患者に朗報をもたらしてきた遠藤医師に睡眠のメカニズムや睡眠障害治療の最前線について取材した。
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【企業】10回目を数えたコープさっぽろ農業賞
北海道の先駆的取り組みを称え
一次産業の新たな価値を伝える
持続可能性があり地域経済の活性化に繋がる農業や漁業を営んでいる生産者を表彰する「コープさっぽろ農業賞」が、北海道の一次産業の発展を後押しする役割を担っている。昨年11月で10回目を数え、累計の応募生産者は1192件、受賞生産者は164件になり、文字通り北海道の一次産業を代表する賞として定着した。6次産業化やロボット、AIの導入、さらにアニマルウェルフェアなどに意欲的に取り組んでいる生産者を応援する視点も取り入れるなど、この賞は北海道の一次産業の新たな価値を発信していくステージになりそうだ。
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【交通安全】2018春の全国交通安全運動
「支える・守る・防ぐ」に取組む
NASVAの包括的事故対策
事故なき社会を目指す現状と課題
自動車事故に対し、被害者を“支える”被害者援護業務、事故から“守る”安全情報提供業務、事故を“防ぐ”安全指導業務の3本柱で包括的な対策を講じているのがNASVA(独立行政法人自動車事故対策機構・本部東京、濱隆司理事長)だ。国土交通省が所管し自賠責保険・共済の運用益で運営されている同機構は、自賠責の契約者である自動車ユーザーに支払われる保険金ではカバーできない被害者支援や、根本目的である事故被害者の低減に向けて尽力している。安心・安全な車選びの参考となる性能評価試験や経済的支援だけに止まらない事故被害者や家族を支える取り組み──。NASVAの多岐に及ぶ活動や現状の課題などをレポートする。
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【人】写真造形家 *Cicacoさん
際立つ独自のアート目線
〝小樽を写真で表現する〟
季刊誌が創刊2年目に突入
小樽市在住の写真造形家、*Cicacoさんが企画、発行を手掛ける季刊誌『OTARU Ture*Dure』が創刊2年目に突入した。“小樽を写真で表現する”をテーマに、まちの見方や楽しみ方を提案。アーティストならではの独自の視点や世界観が共感を呼び、昨年は東京新宿で開催された「国内外ローカルメディア100誌」展で、北海道から1誌のみ選ばれるなど地域メディアとして存在感を高めている。どこか不思議でミステリアス。*Cicacoワールドに誘われて、小樽のまち歩きを楽しんではいかがだろう。
(聞き手・武智敦子)
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【地域】銭函移住者物語(後篇) 脇坂工務店社長・脇坂 肇さん
お洒落に変わり始めた街並み
移住が地域に活力を呼び込む
少子高齢化と札幌圏への若者の流出。人口減少に悩む小樽市だが、銭函地区だけはちょっと違う。海山の自然に恵まれ、JR札幌駅から区間快速で約20分と都心にも近いこの地に憧れ、移り住む人が増えているのだという。“銭函ライフ”の魅力を広くアピールし、移住者や観光客を呼び込んでいる“仕掛人”がいると聞き訪ねてみた。(武智敦子)
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【連載】ルポ 「ひきこもり」(32) ──深刻化する「8050問題」への処方箋
“親子の共倒れ”を未然に防げ
「SОSキャッチ」の対策を
社会とつながる道を模索する「楽しいモグラクラブ」
ひきこもりが長期化し、高齢の親と共に地域から孤立する「8050問題」が深刻化している。「助けて」のサインを出せず、地域に埋もれていく人たちを一人でもなくすにはどうすればいいか。この問題に危機感を抱いた札幌市内の就労継続支援事業所が、“人と上手く生きていくため”の支援プログラムに力を入れている。親の病気や介護、経済的困窮──。親子共倒れの危機を未然に防ぐための取り組みを取材した。(武智敦子)
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【連載】〝農と食〟北の大地から
「種子法」廃止と北海道農業の行方(その2)
道・道議会の動きと緊急フォーラムから
多国籍企業が狙う「種子支配」
道独自の新たな条例制定が急務
都道府県に稲・麦類・大豆の優良種子の生産や増殖を義務づけた、主要農作物種子法(種子法)が3月末で廃止された。「農と食」に関わる道民の関心は高く、札幌市内で開かれた「緊急フォーラム」は大入り満員。道議会の農政委員会では、廃止後の道の対応をめぐる質問が相次ぎ、新たな道条例の制定などを要請。廃止後は要綱や要領で対応する意向だった道側も「新たなルールをつくる」と表明し、今後は条例化に向けた具体的な論議が焦点になる。北海道では13年前、食の安全・安心条例と遺伝子組み換え(GM)作物の規制条例をセットで制定した先駆的な取り組みがある。新たな条例づくりでは、過去の歴史に学び、「北海道の種子を守る」ことを追求すべきだ。(ルポライター 滝川 康治)
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【フォトレポート・トピックス】
●「そしある」火災で犠牲の11人鎮魂 運営法人、四十九日慰霊会で新たな誓い
●生き続ける理念「愛と信頼の輪」 故・西村昭男氏「お別れの会」に300人
●網走ビールが「ゴールデン エール」全国販売
●札幌司教区「札幌カトリックセンター」がオープン
●ロコ・ソラーレ、故郷に凱旋! 1万2千人が歓喜した北見の春
●東京五輪に向け首都圏店舗拡充 どさんこプラザ吉祥寺店を新設
●札幌保健医療大学、遠別町、もりもと連携で道産ヘルシースイーツを開発
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【連載コラムなど】
*道北フォトエッセイ
*根掛かり人生
*視点 公共交通をどうする?
*風俗嬢のonとoff
*シネマ
*名画の小部屋
*スポーツ筆刀両断
*北海道⇄台湾フィルムプロジェクト
*時計GUYが行く
*新設企業情報
*人物株価
*古本屋女房の“古本的日常"
*乱の女
*僕の妻、乳がんになる
*デンタルエッセイ
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【今月の表紙】鈴木翁二画
『桜町の別れ』
【報道】「日ハム新球場、北広島決定」の裏側
実現不能な札幌案に固執した
大手マスコミと行政側の迷走
球団の腹積もりは「最初から北広島」
プロ野球・北海道日本ハムファイターズ(以下日ハム)の新球場を含むボールパーク構想の建設候補地が3月26日、正式に北広島市の総合運動公園に決まった。道内テレビをはじめとする大手メディアは同日夕に北広島か札幌の真駒内か、まるでマッチレースのように伝えていたが、内実は「北広島ありき」で始まった移転話。日ハムの真意が読めず、道民を巻き込んで迷走した大手メディアの責任は重い。また札幌市は、取り返しのつかない「失策」続きで、コールド負けというより試合にならなかったと言った方がいいだろう。(ジャーナリスト 黒田伸)
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【報道】春の波乱・異例ずくめの「山谷副知事解任劇」
5選視野? 賭けに出た高橋知事
与党会派、官邸との間に広がる大きな亀裂
何もかもが異例だった山谷吉宏副知事(64)の退任劇。道議会与党会派や吉川貴盛道連会長に電撃的にもたらされた「山谷降ろし」の知らせは大きな反発を招き、3月20日の人事同意案の本会議議決では、採決を前に自民会派11人の道議が議場を一斉に退席する前代未聞の出来事が起きた。高橋はるみ知事(64)が決断した“山谷降ろし”が、与党との間に亀裂を引き起こしたのは間違いない。4期目最終年度を迎え5選を窺う高橋知事は、賭けに出たと言えそうだ。(佐久間康介)
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【原発】検証「泊原発は本当に必要なのか」33
原発を懸念する市民の声を
軽んじる道庁の“お役所対応”
知事の“忖度官僚”が公開質問の回答を作文
全道の市民団体70あまりの組織で構成される「泊原発を再稼働させない北海道連絡会」が高橋はるみ知事宛に送った公開質問状について、「どうして知事名で返事が来ないのか」と内部会議で不満の声が高まっている。道の回答書は担当課長の連名で出されており、背後に見え隠れするのは「お役所の壁」だ。中央官庁では最高権力者である首相に対する「忖度」という言葉がひんぱんに飛び交うようになったが、道庁ではいったい誰が誰に忖度して原子力政策が動いているのか。 (ジャーナリスト 黒田 伸)
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【連載】戦争遺産をめぐる旅 (36)
世界を凌駕した飛行艇の拠点
神奈川県「横浜海軍航空隊跡」
空の戦艦「二式大艇」の足跡
四方を海に囲まれている島国の日本が連合国軍と戦争をするためには、海軍と航空戦力は欠かせない。世界各国で空軍として独立していくのは、第二次世界大戦後で、それまで戦闘機などの航空機は陸軍か海軍の指揮下に置かれていた。太平洋戦争が始まった直後、日本がゼロ戦をはじめとした戦闘機による戦果を上げていたのは、航空機を製造する技術力が優れていたからだ。その中でも海から離発着できる飛行艇は南方戦線には欠かせない特殊な航空機だった。海軍最初の飛行艇の航空隊があった神奈川県横浜市の横浜海軍航空隊跡には、当時の巨大な格納庫が神奈川県警機動隊の倉庫として使われるなど遺構が残っている。(ジャーナリスト 黒田 伸)
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【経済】北洋銀・安田光春新頭取が船出
ポスト100年の新創業に向け
石井前頭取から託された“刷新”
昨年8月、創業100周年を迎え新しい世紀を歩み始めた北洋銀行(本店・札幌市)。そのまさに第一期目となる新年度が始まった4月1日に、新頭取に就任したのが安田光春氏(58)だ。4人の常務の末席からの抜擢は、サプライズを引き起こすと同時に、同行が役職の序列ではなく人物本位の人事を行なうことを内外に強くアナウンスすることになった。銀行経営はマイナス金利やITの進化で過去の経験則が通用しない変化の時代に突入している。北洋銀の新世紀を安田新頭取はどう創ろうとしているのか──。
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【ニュース】
■道新記者が「不貞」で同僚を提訴
夫の交際相手に退社など求める
──被告の記者は育児休暇中 裁判は和解終結へ
■“セクハラ”疑い、丸3年で和解
元道新従業員遺族の裁判が終結
──「違法行為なし」と確認も、遺族は背景語らず
■ストーカー殺人事件遺族が講演
再犯防止の功労者と意見交換も
──被害根絶は「加害者をなくすこと」と通底
■スクープ記者が語る「福島の今」
事故から7年、被害は終わらず
──参加者の驚きに「それこそ驚き」と自主避難者
■「懇親会」ビデオ上映、来年も?
道警記者クラブはノーコメント
──BPO、民放連、NHKも「お答えしかねる」
■「ベトナム戦争負の産物・枯れ葉剤が
藻岩山ほか全道各地で散布・投棄?
──北九州市立大職員が明らかにした忌むべき過去
■森井市長、任期最後の小樽幹部人事
またもや早期退職、降任希望相次ぐ
──止まらない市幹部職員からの市長への三行半
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【経営】北海道経営未来塾で「頭取・石井純二」が最終講義
「成長へ企業変革を恐れるな」
塾生40名に贈った熱いメッセージ
ニトリホールディングスの似鳥昭雄会長やアインホールディングスの大谷喜一社長のようなグローバル企業の経営者を北海道で育成しようと、昨年から始まった北海道経営未来塾(長内順一塾長)。2期目の2017年度は二世、三世の経営者や創業経営者など40人が参加、1年間に亘って研鑽を積んできた。3月2日に行なわれた2期目の最終講義で演壇に立ったのが北洋銀行の石井純二頭取(現会長)だった。その石井氏は4月1日付で北洋銀会長に就任。北洋大通センターで行なわれたこの講義は奇しくも頭取時代の最後の講演になった。『北海道の現状と企業の持続的成長のために』と題して塾生らに熱く語りかけたこの日、石井氏は若い世代に何を伝えようとしたのか──。長年の経験を踏まえた示唆に富んだ発言をまとめた。
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【企業】「野口観光ホテルプロフェッショナル学院」が開校
伝えたいのはホテル業の面白さ
業界全体で〝人を育てる〟努力を
野口観光グループ(野口秀夫社長)の創業期を支えた苫小牧プリンスホテルが、約7年間の休業期間を経て4月1日に「新苫小牧プリンスホテル和(なごみ)」と名称も新たに大幅リニューアルオープン。その館内に、収入を得ながら3食付の寮生活でホテルマンとしてのさまざまな知識やスキルが学べる「野口観光ホテルプロフェッショナル学院」が同月3日、開校した。業界全体で深刻化している人材不足に対し、同社が一丸となって打開策を講じた格好だが、野口社長の心を強く動かしたのが、〝観光の仕事のやりがいや面白さを伝えたい〟という若者たちへの思いだ。来たる6月には札幌の奥座敷・定山渓温泉への初進出も控えている。新規事業目白押しの野口社長にグループの現在地と未来戦略を訊いた。
(3月26日、新苫小牧プリンスホテル和内で収録)
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【レジャー】特集・春の観光情報
今、七色に輝く北海道
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【医療】睡眠障害の専門拠点が誕生「スリープクリニック札幌」
親子三代にわたる研究と治療で
“限られた睡眠力”を引き出す
なかなか寝付けなかったり、突然、仕事中や授業中に強い眠気に襲われる。このような睡眠障害で苦しむ人のための治療拠点「スリープクリニック札幌」が昨年11月、札幌市中央区に誕生した。ここを運営する医療法人社団スリープクリニックの理事長を務める遠藤拓郎医師はかねてから東京都内で睡眠に特化した専門外来を展開。祖父の代から3代で90年以上、研究を続ける睡眠医学の第一人者として知られる。患者が持つ本来の「睡眠力」を引き出すことを念頭に、画期的な治療法で患者に朗報をもたらしてきた遠藤医師に睡眠のメカニズムや睡眠障害治療の最前線について取材した。
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【企業】10回目を数えたコープさっぽろ農業賞
北海道の先駆的取り組みを称え
一次産業の新たな価値を伝える
持続可能性があり地域経済の活性化に繋がる農業や漁業を営んでいる生産者を表彰する「コープさっぽろ農業賞」が、北海道の一次産業の発展を後押しする役割を担っている。昨年11月で10回目を数え、累計の応募生産者は1192件、受賞生産者は164件になり、文字通り北海道の一次産業を代表する賞として定着した。6次産業化やロボット、AIの導入、さらにアニマルウェルフェアなどに意欲的に取り組んでいる生産者を応援する視点も取り入れるなど、この賞は北海道の一次産業の新たな価値を発信していくステージになりそうだ。
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【交通安全】2018春の全国交通安全運動
「支える・守る・防ぐ」に取組む
NASVAの包括的事故対策
事故なき社会を目指す現状と課題
自動車事故に対し、被害者を“支える”被害者援護業務、事故から“守る”安全情報提供業務、事故を“防ぐ”安全指導業務の3本柱で包括的な対策を講じているのがNASVA(独立行政法人自動車事故対策機構・本部東京、濱隆司理事長)だ。国土交通省が所管し自賠責保険・共済の運用益で運営されている同機構は、自賠責の契約者である自動車ユーザーに支払われる保険金ではカバーできない被害者支援や、根本目的である事故被害者の低減に向けて尽力している。安心・安全な車選びの参考となる性能評価試験や経済的支援だけに止まらない事故被害者や家族を支える取り組み──。NASVAの多岐に及ぶ活動や現状の課題などをレポートする。
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【人】写真造形家 *Cicacoさん
際立つ独自のアート目線
〝小樽を写真で表現する〟
季刊誌が創刊2年目に突入
小樽市在住の写真造形家、*Cicacoさんが企画、発行を手掛ける季刊誌『OTARU Ture*Dure』が創刊2年目に突入した。“小樽を写真で表現する”をテーマに、まちの見方や楽しみ方を提案。アーティストならではの独自の視点や世界観が共感を呼び、昨年は東京新宿で開催された「国内外ローカルメディア100誌」展で、北海道から1誌のみ選ばれるなど地域メディアとして存在感を高めている。どこか不思議でミステリアス。*Cicacoワールドに誘われて、小樽のまち歩きを楽しんではいかがだろう。
(聞き手・武智敦子)
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【地域】銭函移住者物語(後篇) 脇坂工務店社長・脇坂 肇さん
お洒落に変わり始めた街並み
移住が地域に活力を呼び込む
少子高齢化と札幌圏への若者の流出。人口減少に悩む小樽市だが、銭函地区だけはちょっと違う。海山の自然に恵まれ、JR札幌駅から区間快速で約20分と都心にも近いこの地に憧れ、移り住む人が増えているのだという。“銭函ライフ”の魅力を広くアピールし、移住者や観光客を呼び込んでいる“仕掛人”がいると聞き訪ねてみた。(武智敦子)
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【連載】ルポ 「ひきこもり」(32) ──深刻化する「8050問題」への処方箋
“親子の共倒れ”を未然に防げ
「SОSキャッチ」の対策を
社会とつながる道を模索する「楽しいモグラクラブ」
ひきこもりが長期化し、高齢の親と共に地域から孤立する「8050問題」が深刻化している。「助けて」のサインを出せず、地域に埋もれていく人たちを一人でもなくすにはどうすればいいか。この問題に危機感を抱いた札幌市内の就労継続支援事業所が、“人と上手く生きていくため”の支援プログラムに力を入れている。親の病気や介護、経済的困窮──。親子共倒れの危機を未然に防ぐための取り組みを取材した。(武智敦子)
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【連載】〝農と食〟北の大地から
「種子法」廃止と北海道農業の行方(その2)
道・道議会の動きと緊急フォーラムから
多国籍企業が狙う「種子支配」
道独自の新たな条例制定が急務
都道府県に稲・麦類・大豆の優良種子の生産や増殖を義務づけた、主要農作物種子法(種子法)が3月末で廃止された。「農と食」に関わる道民の関心は高く、札幌市内で開かれた「緊急フォーラム」は大入り満員。道議会の農政委員会では、廃止後の道の対応をめぐる質問が相次ぎ、新たな道条例の制定などを要請。廃止後は要綱や要領で対応する意向だった道側も「新たなルールをつくる」と表明し、今後は条例化に向けた具体的な論議が焦点になる。北海道では13年前、食の安全・安心条例と遺伝子組み換え(GM)作物の規制条例をセットで制定した先駆的な取り組みがある。新たな条例づくりでは、過去の歴史に学び、「北海道の種子を守る」ことを追求すべきだ。(ルポライター 滝川 康治)
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【フォトレポート・トピックス】
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●東京五輪に向け首都圏店舗拡充 どさんこプラザ吉祥寺店を新設
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【連載コラムなど】
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*根掛かり人生
*視点 公共交通をどうする?
*風俗嬢のonとoff
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*名画の小部屋
*スポーツ筆刀両断
*北海道⇄台湾フィルムプロジェクト
*時計GUYが行く
*新設企業情報
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*古本屋女房の“古本的日常"
*乱の女
*僕の妻、乳がんになる
*デンタルエッセイ
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【今月の表紙】鈴木翁二画
『桜町の別れ』
Posted by 北方ジャーナル at 00:00│Comments(0)
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