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消費者ニーズの変化を熱弁する王社長（３月３日午後、札幌全日空ホテルで）

中小企業の様々な経営相談に専門のコーディネーターが対応する窓口として、経産省が2014年から全国に設置している「よろず支援拠点」。その道内版である「北海道よろず支援拠点」（本部札幌）が３月３日午後、札幌市内のホテルで経営力強化セミナーを開催した。その基調講演に登場したのが“ラッピ”の愛称で知られる道南地域ナンバーワンのファーストフードチェーンを展開する有限会社ラッキーピエログループ（本社函館）の王一郎（おう・いちろう）社長。王社長は「Ｂ級グルメ地域ナンバー１、〜パワーブランド戦略〜」をテーマに、今の時代を生きる中小企業が重視すべき経営論をパワフルに指南した。

基調講演の会場風景

午後にもかかわらず王社長の「おはようございます」の元気な挨拶からスタートしたこの講演。会場に詰めかけた約120人の参加者も全員大きな声で、同じ言葉の挨拶を返した。自身も33歳から現在までの40年間欠かさず、商業界主催のセミナーに出席しているという王社長。その経験から「この会場の（座席）３列目以内は私の愛が届きます。ですが、それより後ろの席は残念ながら半減、もしくは全く届かない。ぜひセミナーに来る時は３列目以内に座りましょう」と、冒頭からやや辛口な指摘で参加者の意識を喚起。早くも序盤から緊張感高まる講演となった。

まず語られたのが、自分たちの仕事が環境適応業であると認識した上で、ビジネスにおける３つの環境変化「技術革新」「環境破壊」「人口減少」への対応力を養う重要性に関してだった。技術革新では、スマートフォンの爆発的な普及に伴う新たなネットＰＲ環境の迅速な整備の必要性を強調。環境破壊に関しては、企業として環境保全活動に注力する事は子や孫の次の世代のためにも重要な取り組みであると共に、企業ＰＲとしても有効であると主張。人口減少については、避けられない状況である事を認識した上で「結果的にこれからの時代は、地域で１番ないし２番手の企業にならなければ生き残れない。そのためには自分たちの強味を絞り込み、それを徹底的に磨き上げることが必須だ」と語気を強めた。

総じて同社長は、高度成長期とはほぼ真逆の視点で市場を捉える事が重要であると強調。それを端的に表す言葉として示されたのが「“大、同、新”から“小、異、義”に発想を転換する」というフレーズだ。これは高度成長期に端的だった「大企業で作っている」「他の人が買っている物と同じ」「少しずつ新しくなっている商品にニーズがあった」風潮から脱し、現在では「小規模な会社であっても」「他の人とは異なる物で」「その会社の信頼性や社会貢献度（義）も判断基準にして」商品を購入する時代になっているということ。言い換えれば、個人の価値観やライフスタイルで商品を購入する時代に転換した事を意味している。

講演ではこの他、「物のマーケティングから人のマーケティングに時代は変わったと認識する事」や「現在のビジネスは損得よりも善悪を考えるべき」などといった事柄も取り上げられ、参加者は皆、王社長のパワフルな講義に聞き入っていた。