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2015年08月05日

小樽空襲を題材にした創作劇「失われしもの」 劇団「うみねこ」が8月8日、小樽市民センター・マリンホールで上演

小樽空襲を題材にした創作劇「失われしもの」 劇団「うみねこ」が8月8日、小樽市民センター・マリンホールで上演
戦時下に生きる同世代の若者を体当たりで演じる「うみねこ」の劇団員

1945年7月15日の小樽空襲を題材にした創作劇「失われしもの」が8月8日、小樽市民センター・マリンホールで上演される。「アンネの日記」など戦争の悲劇と平和を舞台化してきた、劇団「うみねこ」(小樽市)の戦後70年企画。吉川勝彦代表(71)は「終戦から70年。戦争の記憶が風化している今だからこそ、若者たちに見て欲しい」と話す。

小樽空襲を題材にした創作劇「失われしもの」 劇団「うみねこ」が8月8日、小樽市民センター・マリンホールで上演
「戦争の記憶が風化している今だからこそ若者たちに見て欲しい」と話す吉川代表

「失われしもの」は、戦争の悲劇と命の尊さを訴えようと、2005年に吉川代表が書き下ろした創作劇。戦時下の小樽を舞台に、治安維持法への恐怖から「戦争は悪いこと」と子供たちに教えることのできなかった女性教師とその家族を軸に、戦禍に巻き込まれていく人々の姿を描いた。息子や教え子を招集される女性教師の苦悩や父親の心情を通して、戦争の非情さ、そして平和とは何かを問いかける。初演から10年が過ぎ、集団的自衛権の行使を可能とする安保法制の成立が現実味を帯びてきたことから、戦後70年企画として再演を決めた。

2005年の初演では、小樽空襲で夫を亡くした女性教師が慟哭するシーンで幕を閉じ、会場の緊張感を高めた。今回の再演に当り、吉川代表は脚本をリメイク。舞台の最終幕を終戦で灯火官制が解かれ、女性教師の子供たちが電球の灯りを点ける場面で締めくくった。電球の傘を覆っていた布を外し、「こんなに明るかったんだ」と喜ぶ姿から、平和へのメッセージがくっきりと浮かび上がる。

このシーンは吉川代表が中学1年の時に聞いた、母親の回想を基にしている。葛藤する女性教師の姿には、20代の頃、「アカ」と誤解されることを怖れ、原水爆禁止運動をしている知人を避けてしまったという吉川代表自身の苦い体験を重ねたという。小樽空襲の史実に基づきながら、様々な人の想いを交錯させることで、それぞれの「戦争」をより鮮明に描いた。

台詞には「特高」「愛国婦人会」「敵性語」など、戦時下ならではの“言葉”が随所に出てくる。キャストの大半以上を占めるのは10代から20代の若手たち。戦時下に生きた同世代の若者の姿をどう演じるかが期待される。

本番を控えた稽古場では、吉川代表の演技指導が続き、若手キャストたちが体当たりで役作りに励んでいる。

「戦禍の悲劇や命の尊さを、戦争を知らない若い世代が演じる。本番に向け今は全力疾走を楽しみたい」と吉川代表は話している。(武智敦子)

8日は午後1時半と同6時半の2回公演。入場券は一般前売り1500円(当日2000円)、70歳以上1000円(同1500円)、学生700円(同1200円)、小学生は当日、前売りとも300円。

問い合わせは吉川代表(☎090・9523・6344)へ



Posted by 北方ジャーナル at 11:03│Comments(0)
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