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2012年05月10日

「5・5」福島の少年からのメッセージ


メッセージを読み上げる渡邊くん(5月5日午後、札幌大通公園)


 5月5日、こどもの日。夜半に泊原発の出力がゼロとなり国内の原発が全停止したこの日、札幌の大通公園では午後から約400人の市民が集まり、原発ゼロを祝うパレードを行なった。「祝 原発ゼロ記念市民パレード」を企画したのは、札幌市の「Shut泊」(泉かおり代表)など道内30団体。パレードに先立って西4丁目で開かれた集会では、こどもの日にちなんで中高生3人がメッセージ読み上げた。

 本誌は、この時の模様や同日夜半に行なわれた岩内町でのカウントダウンイベントなどを次号6月号で詳報するが、ここでは先の中高生の1人で福島から札幌に避難している中学生・渡邊刀麻くん(13)が読み上げたメッセージ全文を紹介する。

【福島事故の収束まで原発は終らない
子どもたちの笑顔が戻るその日まで】

        渡邊 刀麻(13歳)

 今日、5月5日で泊原発3号機が停止し、国内で稼働している原発は1つもなくなります。これは素直に嬉しい事だし、1つの課題をクリアしたと言ってもいいでしょう。でも、手放しで喜ぶことができる人は多くはないと思います。課題をクリアしたといっても、1年以上かけてようやく1つしかクリアしていないし、再稼働させる気満々な原発もあるし、他にもまだまだやる課題はあるからです。僕は、原発全停止のあとは再稼働を阻止することを課題にしようと思っています。

 福島原発の事故が想定外だったのなら、今は津波で原発がやられる事ぐらいは想定内のはずです。日本は地震大国だし、最近も地震が多い。そんな中、再稼働なんてとてもさせられません。そもそももう想定内である津波に対して特に何の対策もしていないように見えます。電力が足りないから原発を再稼働させたいなら、テレビの再放送とか、そこまで必要とされていない電力を省いていったら電力は足りると思うし、何故そこまでして原発を動かしたいのか分かりません。

 原発から遠い所で電力を貰っている人にとって原発は、効率よく発電できる「おいしいもの」でしかないですが、原発近隣で原発の電力を貰っている人は電気と自分の命を同じ天秤にかけているのです。このシステムが人の考えや絆を引き裂いていると僕は考えています。

 福島市の僕が住んでいた地域がいい例です。事故当時、僕の家族はだんだん広がっていく避難区域に驚き、「危険かもしれないからとりあえず車でどこかに避難しよう」と言って、避難しようとした際、他にも沢山の避難しようとしているであろう車を見ました。多分この時点では福島県内、近くの県では危険かもしれないという考え方の人が多かったのではないかと思います。でも原発から遠い地区、例えば東京では、国が「ただちに人体に影響はない」と言って、子供の被曝の上限を年間20ミリシーベルトまで上げ、対応も曖昧なものしかしませんでした。



 結局他人事なわけです。国ならなんとかしてくれるだろうと信じていた分、対応に唖然とし、絶望しました。多分、福島原発が東京にあったとしたら、こんな結果ではなかったと思います。しかも、このことにツッコミを入れる人はあまりいませんでした。このことから、原発が遠い地域の人たちは国が安全と言っているから安全だと思うような人や、無関心な人が多かったのではないかと思います。

 もうこの時点で、安全だと思う、危険かもしれない、無関心、その他にもいろいろな考え方に分かれています。2011年の漢字に「絆」というのがありますが、まさに絆がズタズタに引き裂かれた年だと心底思いました。

 再稼働の阻止以外の課題では、本当の意味での福島原発事故の収束です。僕は今のままでは事故が収束したとはとても言えないと思います。汚染水は絶えず太平洋に流し続け、福島県でもまだ線量が高いところが山ほどあります。普通はこのまま住み続けて大丈夫な訳はないんです。とりあえず子供だけでも避難させたい、住めるような環境にしたい、まだそんなことを思っています。


 事故当時、福島では毎時24マイクロシーベルトぐらいまで線量が高くなりました。即、立ち入り禁止になる筈の線量だと思います。そんな中、近くで配っている水を貰いに行ったり、外で遊んでいた子供も少なからずいたと思います。そんな子供達はもうとんでもない被曝線量なんです。なのにまだ子供達を被曝させ続けているんです。しかも今は普通に外で体育をやっているそうです。命を守らず何が収束か。だから本当の意味で収束させたいと思っています。

 まだまだ課題はたくさんあり、僕が生きている間に終るかどうか分かりませんが、近い将来、なるべく子供が笑顔でいれるように頑張りたいと思います。


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