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2012年03月14日

3.11 第5回ようこそあったかい道 その3

3.11 第5回ようこそあったかい道 その3
福島出身のパーソナリティー・宍戸さんの体験談にじっと耳を傾ける来場者

 3月11日に開催された「3.11 第5回ようこそあったかい道」(主催・北海道、札幌市、3.11あったかい道実行委員会)の最終回。会場の札幌コンベンションセンターには、12時30分から一般市民も入場し、約450人の避難者と合わせ来場者は約700人に達していた。

 紙オムツや飲料水などを大量に持っている避難者も多い中、会場内を慌ただしく移動していた実行委員長の湊源道さんにイベントの収支について話を向けると、

「たくさんの企業に物資提供などの応援をいただきましたが、『道』の原資では少し足が出て実行委の負担になりました。でも、あったかい道はもともと手弁当で始めたものですし、物資が多ければ多いほど喜ばれますよね。そんなことより、僕らは『これから』を考えなきゃならない」と意に介す風もない。

3.11 第5回ようこそあったかい道 その3
午後に改めて壇上に立ち、息の長い支援の必要性を訴えた湊さん

 午後になり追悼式の時間が近付くと、国会議員をはじめ政治家の姿も目に付くようになったが、

「僕らは支援と社会活動を一緒に考えていないので、手伝ってくれるのなら企業だろうが一般市民だろうが同じ仲間だと見ています。政治家の方々も一緒で、来られるのなら超党派、政治と関係のない個人として出席して下さいとお願いしています」(湊さん)

3.11 第5回ようこそあったかい道 その3
「子供たちに寄り添うことも支援のひとつ」と中脇さん

 中ホールのステージでは、道内の4支援団体による活動報告が行なわれていた。そのうち、約120人の学生ボランティアで組織される「みちのくkids」の中脇まりや代表は、避難者の子供たちと学習支援やレクリエーションなどを通じて交流する「春スクール」の準備をすでに始めているとした上で、

「北海道には新鮮な空気があります。その中で子供たちが遊べる環境をつくる、また環境面だけではなく精神的にも安心して遊べる活動を目指したい。北海道、札幌の大学生に出来ることは限られていると思うが、何が出来るのか考えていきたい」と力強く語った。

 次いで、福島県や茨城県からの避難者3名が壇上に立ち、それぞれ震災後の体験や現在の想いを述べた。個人的に印象的だったのは、福島県福島市から昨年6月に避難してきた渡邊恭一さんの発言だ。

3.11 第5回ようこそあったかい道 その3
「北海道に来て、どんなに助けられたか」と道民への謝辞を述べた渡邊さん

「3.11で被害を受けた建物は周囲で10棟程度。しかし3月15日の夕方、本当に気持ちの悪い雪が降りました。(放射能で)汚染されているという先入観もあったでしょうが、一生忘れることはないだろうという気持ちの悪い雪だった。普通の暮らしが出来ることを、素晴らしいと思います」

3.11 第5回ようこそあったかい道 その3
追悼式が近付きホールに戻ると、立錐の余地もない状況になっていた

 追悼式の司会は宍戸慈さん。震災以降も福島県郡山市でコミュニティ放送のパーソナリティなどを務めていたが、昨年12月に北海道に自主避難してきた女性だ。

 宍戸さんに紹介され壇上に立った高橋はるみ知事は、

「道産子はみな知っていますが、北海道は昔から東北と強い強い絆で結ばれています。明治時代、北海道開拓の歴史の中で最も多く北海道に入っていただき、北海道の発展に貢献したのは東北の方々です。4年以内に函館までの北海道新幹線の延伸が決まっていますが、私たちは海峡を越え、陸続きで東北と深い絆を結ぼうと頑張っています」

3.11 第5回ようこそあったかい道 その3
「これからもしっかり支援をさせていただく」と高橋知事

「私たち行政は、札幌市やNPOの方々など多くと連携しながら、一時的に北海道に来ていらっしゃる皆さんの生活をしっかり支えていこうと考えています。東北の復旧復興のために道職員を派遣をしていますが、これからもしっかり支援をさせていただく決意を改めて申し上げます」と挨拶。

 その後、震災発生時刻の14時46分まで宍戸さんの体験が語られ、来場者がそれぞれの想いを胸に黙祷へ。

3.11 第5回ようこそあったかい道 その3
それぞれの想いを胸に黙祷。静寂の中、シャッター音だけが響いた

「全国各地で、多くの方が祈りを捧げた一分間だったと思います」
と挨拶を切り出した上田文雄札幌市長が、

「震災、原子力発電所の事故と未曾有の事態に直面したが、原発の爆発は初めての経験。日本の技術なら大丈夫だろうと多くの人が信じていた。私たちが今まで安全だ、経済発展のために大切だと思い、それをベースに発展してきた日本を考え直さなければならない」

3.11 第5回ようこそあったかい道 その3
「悲しみ、嘆き、怒りのエネルギーを転換し、力強い運動に」と上田市長

「2度とこんなことがあってはならない。札幌市議会は昨年6月に、『原子力発電に頼らないエネルギー政策に転換してほしい』との国への意見書を全会一致で採択した。また昨年12月14日、『泊3号機プルサーマルを白紙撤回して下さい』と全会一致で決議しました。これは大きな意思表示だと思います」と語ると、会場内から大きな拍手が。

3.11 第5回ようこそあったかい道 その3
脱原発の立場を鮮明にした上田市長の発言に大きな拍手が

「悲しみ、嘆き、怒りもひとつのエネルギーだが、これを絆という仲間づくりに転換し、力強い運動にしていかなければならない」との上田市長の発言は、政令市トップというより個人としての想いを乗せたものだろうが、広く共感されたようだ。

3.11 第5回ようこそあったかい道 その3
献花を捧げる高橋知事と上田市長の元に殺到する報道陣

3.11 第5回ようこそあったかい道 その3
「祈り」の意味を考えさせられる一日だった

 来場者の献花をもって、全プログラムを終えた第5回ようこそあったかい道。1年の節目は過ぎたが、湊さんの言葉にあったように「これから」を考えることが、我々に問われている課題なのだろう。(ひ)


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