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2012年02月13日

“時給6万円”。「福島第1」で働きませんか?

“時給6万円”。「福島第1」で働きませんか?
原発事故現場の労働実態を物語る「手配書」


「オレのとこにこんなの来てんだけど、さっぱり(人が)集まらないわ」

 数日前、溜め息まじりに私に1枚の書類を差し出したのは、元建設会社幹部のT氏だ。見ると左上に【取扱い注意】の但し書きが付され、表題には「手持ち物件概要/東日本大震災復旧に関わる作業員派遣」と記されている。日付は先月下旬。発信元は東京に本社を置く、人材・作業員派遣会社だという。


 要は、この書類は被災地での作業員募集要綱なのだった。勤務の候補地は4カ所。「福島第1原発」の敷地内、同原発5km圏内、同15〜20km圏内、そして石巻市内である。作業内容は石巻市の港湾改修工事以外は全て「瓦礫処理」だ。

 興味深かったのは賃金(労働単価)だ。最も高額なのは原発敷地内の瓦礫処理で、1日1時間労働で何と日当が6万円。次いで5km圏内が3万円(※1日当たりの作業時間は不記載)となっていた。

 ちなみに福島第1原発敷地内の作業は「宿泊はJビレッジで無償提供。食事は3食無料提供。交通費は発注者持ち」という好条件。ただし「20日間以内。設定放射線量到達者はその時点で退場」という条件が付されていた。

 つまりは「被曝覚悟で来てくれ」ということだ。冒頭のT氏の話では、現地では常に作業員を募集しているが、暴力団関係者が紛れ込むことを阻止する流れが強まり、身分証明など手続きが煩雑化。容易にはマンパワーが集まらない状態なのだという。ちなみに、述べてきた労働単価や条件は「手配師」に示された内容だ。

 高濃度放射能に汚染された瓦礫を片付ける作業員らは「6万円」の何割を得る事ができるのか──。私は、書類を見ながらそんなことを考えていた。   (く)



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Posted by 北方ジャーナル at 00:52│Comments(0)編集長日記
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