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2011年03月22日

風力発電の先進地から発電所建設に警鐘

風力発電の先進地から発電所建設に警鐘

 21日午後、シンポジウム「風力開発が貴重な自然環境に与える影響~石狩・銭函海岸の風力発電計画を考える~」が、北海道大学学術交流会館で開催された。主催は北海道自然保護協会(佐藤謙会長)で、風力発電所の建設が計画されている小樽市銭函の浜辺の価値や風力発電所建設の是非について、海岸を多く利用する札幌市民はもとより広く道民に関心を持ってもらおうとシンポジウムは企画された。

 冒頭、同会の佐藤会長は、
「風力発電は環境にやさしいというイメージが先行し、全国で建設が進められてきましたが、今になって風車による健康被害や建設による環境破壊など、各地で問題が表面化してきている。イメージだけで単純に推進できるものではなく、情報を共有し、さまざまな角度から議論することが必要」と、挨拶。さる3月12日に、札幌で開催された日本生態学会が北海道知事、小樽市長、事業者である日本風力開発株式会社に計画の中止を求める要望書を提出したと紹介し、建設予定地である石狩海岸は、89年に道が策定した「北海道自然環境保全指針」でも「すぐれた自然地域」に選定され保全を図るべきとしているのに、建設を問題視しない道の姿勢は自ら作った指針を無視しているのではないかと指摘した。

 シンポジウムの基調講演は三重県伊賀市の「青山高原の自然を守る会」代表の武田恵世(けいせ)氏が行なった。三重県の伊賀市と津市の境界にある青山高原には51基にのぼる全国最大級の風力発電所があり、今後合計91基となる計画が進行中だ。全国的にも1、2を争う早い時期に風力発電の建設が進み、武田氏も当初は建設推進派だった。しかし、出資を検討するにあたって、その内実を調べているうちにさまざまな疑問にぶつかったのだという。そして現在まで11年間に亘って青山高原の状況や、風力発電そのもののメリットとデメリットを検討してきたという。そして、その結論は「現状では風力発電は決して推進してはならない」というもの。講演で同氏は、なぜそのような結論に至ったのかをつぶさに語った。

基調講演を行なった武田氏
風力発電の先進地から発電所建設に警鐘 武田氏がまず紹介したのは「風力発電のパンフレットの読み方」。風力発電の事業者が配るパンフレットなどにはよく「●●kwの風力発電所を建設、発電電力量は年間●万kwh、一般家庭約●万世帯の年間電気使用量に相当」といった文句があるのが常だ。銭函で建設を計画する日本風力開発株式会社が当初、案内していた文言は、「出力2000kwの風車を20基(のちに16基に変更)、計40000kwの風力発電所を建設、年間発電量は30000世帯の消費電力に相当」というものであった。

 しかし、この出力とは風力発電の場合、瞬間的な最大出力を指す。火力や原子力発電の場合は、普段の平均値の出力を意味するのだが、なぜか風力発電だけは違うというのだ。そして、風力発電機がこの出力で発電できるのは風速12~25m/sのかなり強い風の時。言うまでもなく、このような強風が吹くことは滅多にない。さらに、年間の発電量だが、これはこうした強風の日が1年の19%、約73日間にわたって続くと仮定して計算するのが常であり、まったく実態を表していないと武田氏は指摘した。

風力発電の先進地から発電所建設に警鐘

風力発電の先進地から発電所建設に警鐘

風力発電の先進地から発電所建設に警鐘

風力発電の先進地から発電所建設に警鐘

風力発電の先進地から発電所建設に警鐘

風力発電の先進地から発電所建設に警鐘

風力発電の先進地から発電所建設に警鐘


 このほか武田氏は、風力発電所の建設によって自治体に固定資産税や法人税が入るといわれているがその分の地方交付税が減額され結局はプラスマイナス0になること、風力発電は不安定なために年間を通じた発電は不可能であること、風力発電所が黒字経営となった成功例を専門家がひとつも挙げられないこと、風車が与える野鳥や人体への健康被害が世界各地で報告されていること、風力発電所は発電のためではなく補助金獲得のために建設することが事業者の第一目的となっていることなど、風力発電のデメリットの数々を挙げ、風力発電は決して推進してはならないと結論づけた。

 基調講演の後は、地元自然保護団体や石狩海岸を専門とする研究者、全国で自然保護活動を行なっている(財)日本自然保護協会の職員など、さまざまな立場の5氏が小講演を行ない、質疑応答を含めたパネルディスカッションが開かれ、4時間という長いスケジュールにも関わらず、さらに時間が延長されるなど、シンポジウムは熱の冷めぬまま閉会。参加者たちの高い関心がうかがわれた。

 閉会の挨拶で、地元の自然保護団体である「銭函海岸の自然を守る会」の後藤言行代表は次のように述べた。

「安全、安全、と繰り返されてきた原子力発電所が、福島の例を見て分かるように一気に見方が変わることもある。原子力に逆風が吹くなかで、では代わりのエネルギーには何がいいか、環境にやさしい風力がいい、ということには安易に考えられない。風という自然にあるものを活かす発想は素晴らしいが、全国的にも希少な海岸を壊していいということにはならない。今だけのことを考えるのではなく、将来に亘って子供たちにもこの財産を守っていくべきではないか」

(は)


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Posted by 北方ジャーナル at 01:04│Comments(0)ニュース
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