2011年02月04日
地方記者クラブを語るかい?
写真は本文と関係なくもありません(今はなき小樽港湾合同庁舎「記者室」)
6日夜、東京都内で、地方の記者クラブ問題を考えるトークイベント「地方記者クラブを語るかい?」が開かれる。各地の官庁記者クラブを知るジャーナリストらが一堂に会するほか、北海道からも小誌記者が参加する予定。当日の模様は、インターネットで生中継される。
昨年1月に発足した記者会見・記者室の開放を求める会の事務局を切り盛りする編集者・ライターの渡部真さんが企画した。一昨年秋の政権交代以来、記者クラブをめぐる問題が雑誌やインターネット媒体などを賑わせているが、中心となる話題が中央に偏りがちな傾向があるため、首都圏以外の記者クラブを知るジャーナリストらが地方の問題を報告し合う場を設けた。
参加するのは、記者クラブ非加盟の立場で大臣会見などに足繁く通い、昨年末に『記者会見ゲリラ戦記』を上梓したばかりの畠山理仁さん(フリーライター)、中部地方の地方紙出身で若者の生きにくさなどをテーマにした著作の多い渋井哲也さん(フリーライター)、山陰地方の地方紙出身で警察・検察や裁判所、大手金融業者などを追及する取材活動で知られる三宅勝久さん(ジャーナリスト)など。ほか、昨年4月にアフガニスタンで武装勢力に拘束され、同9月に帰国したジャーナリストの常岡浩介さんや、警察庁や東京地方検察庁などで実質“出入禁止”扱いを受けているジャーナリストの寺澤有さんなども参加を検討中。また北海道からは、小誌『北方ジャーナル』で記者クラブ問題のレポート「倶楽部は踊る」を連載中のライター小笠原淳が参加する。
北海道の記者クラブ問題については、必ずしも小誌のみが関心を寄せているわけではない。地元月刊誌『財界さっぽろ』がこれまでに何度か記者会見・記者室の話題を扱っているほか、昨年3月からはフリージャーナリスト浅利圭一郎さんが札幌市政記者クラブなどに会見参加を申し込み始め、同7月にはその成果で市長会見オープン化が実現している。また、記者クラブ加盟メディアの現役記者でありながら実名で提言を続け、先の求める会の呼びかけ人にも名を連ねる高田昌幸さんのような人もいる。
地元の官庁会見では、先の札幌市長定例会見のほか、札幌地方検察庁の定例会見が昨年6月にオープン化された。札幌市の上田文雄市長は昨年12月13日の会見で、会見開放を肯定的に評価するとともに、記者クラブについては「報道機関としての自主規制がはたらいており、信頼できる」との考えを述べた。札幌地検の米村俊郎次席検事も、同日夕の会見で「検察の活動をいろいろな視点で見ていただくことは有益」と語っている。
一方で北海道政記者クラブや同教育記者クラブ、北海道警察記者クラブ、北海道経済記者クラブ、北海道運輸・航空記者クラブ、北海道開発記者クラブなどでは現時点で会見開放の動きがなく、記者室の開放に到ってはほとんどの記者クラブで実現する見込みがない。とはいえ、従来からフリー記者らのオブザーバー参加(質問権を伴わない参加)を認めている北海道知事会見で、先月中旬から記者クラブ非加盟者向けに公式サイト上で会見日を告知する取り組みが始まるなど、徐々にではあるがオープン化の兆しが見えてきたケースもある。ただ、すでにオープンになっている会見でも定期的に参加するフリー記者の人数は必ずしも多いと言えず、地域の情報発信が新聞・通信・放送の大手メディア中心になっている地方独特の事情も顕わになっている。
首都圏では1月下旬、記者クラブ非加盟記者らが「自由報道協会(仮)」を設立、同27日に小沢一郎・民主党元代表の記者会見を主催して話題となった。同会では今後も週1回の頻度で会主催の会見を設け、大手メディアに所属していない人たちにも広く取材の場を開放していく方針だ。
「地方記者クラブを語るかい?」のライブ中継は、6日午後7時半ごろから。小誌では当日の模様をレポートし、15日発売の3月号に掲載する予定だ。 (ん)
参加するのは、記者クラブ非加盟の立場で大臣会見などに足繁く通い、昨年末に『記者会見ゲリラ戦記』を上梓したばかりの畠山理仁さん(フリーライター)、中部地方の地方紙出身で若者の生きにくさなどをテーマにした著作の多い渋井哲也さん(フリーライター)、山陰地方の地方紙出身で警察・検察や裁判所、大手金融業者などを追及する取材活動で知られる三宅勝久さん(ジャーナリスト)など。ほか、昨年4月にアフガニスタンで武装勢力に拘束され、同9月に帰国したジャーナリストの常岡浩介さんや、警察庁や東京地方検察庁などで実質“出入禁止”扱いを受けているジャーナリストの寺澤有さんなども参加を検討中。また北海道からは、小誌『北方ジャーナル』で記者クラブ問題のレポート「倶楽部は踊る」を連載中のライター小笠原淳が参加する。
北海道の記者クラブ問題については、必ずしも小誌のみが関心を寄せているわけではない。地元月刊誌『財界さっぽろ』がこれまでに何度か記者会見・記者室の話題を扱っているほか、昨年3月からはフリージャーナリスト浅利圭一郎さんが札幌市政記者クラブなどに会見参加を申し込み始め、同7月にはその成果で市長会見オープン化が実現している。また、記者クラブ加盟メディアの現役記者でありながら実名で提言を続け、先の求める会の呼びかけ人にも名を連ねる高田昌幸さんのような人もいる。
地元の官庁会見では、先の札幌市長定例会見のほか、札幌地方検察庁の定例会見が昨年6月にオープン化された。札幌市の上田文雄市長は昨年12月13日の会見で、会見開放を肯定的に評価するとともに、記者クラブについては「報道機関としての自主規制がはたらいており、信頼できる」との考えを述べた。札幌地検の米村俊郎次席検事も、同日夕の会見で「検察の活動をいろいろな視点で見ていただくことは有益」と語っている。
一方で北海道政記者クラブや同教育記者クラブ、北海道警察記者クラブ、北海道経済記者クラブ、北海道運輸・航空記者クラブ、北海道開発記者クラブなどでは現時点で会見開放の動きがなく、記者室の開放に到ってはほとんどの記者クラブで実現する見込みがない。とはいえ、従来からフリー記者らのオブザーバー参加(質問権を伴わない参加)を認めている北海道知事会見で、先月中旬から記者クラブ非加盟者向けに公式サイト上で会見日を告知する取り組みが始まるなど、徐々にではあるがオープン化の兆しが見えてきたケースもある。ただ、すでにオープンになっている会見でも定期的に参加するフリー記者の人数は必ずしも多いと言えず、地域の情報発信が新聞・通信・放送の大手メディア中心になっている地方独特の事情も顕わになっている。
首都圏では1月下旬、記者クラブ非加盟記者らが「自由報道協会(仮)」を設立、同27日に小沢一郎・民主党元代表の記者会見を主催して話題となった。同会では今後も週1回の頻度で会主催の会見を設け、大手メディアに所属していない人たちにも広く取材の場を開放していく方針だ。
「地方記者クラブを語るかい?」のライブ中継は、6日午後7時半ごろから。小誌では当日の模様をレポートし、15日発売の3月号に掲載する予定だ。 (ん)
Posted by 北方ジャーナル at 13:04│Comments(2)
│ニュース
この記事へのコメント
貴誌で、延々と記者クラブ関連のネタを取り上げているけれども、なんてこんなことを真面目に取り上げて粘るのか、全く理解できません。
記者クラブってのは、要するに、役所とメディアのなれ合いの場でしかないでしょ? あるいは、大手マスコミ記者の、既得権にまみれた、甘やかな優越感の味わいうっとりの、暇つぶしの場でしょ?
役所の公式発表を、暇なメディアの記者が承って、報知する。
ただそれだけの場だと思ってるので、なんでこんなに、記者クラブに色気を見せるのか、貴誌の考えがわからない。
記者クラブ、および記者クラブ経由の情報は頭っから無視して、独自の調査報道で勝負をするのが、正道だ、と思うんですけどね。
そんなに、官製垂れ流し情報がありがたいんだろうか。
そんなに、大手マスコミの記者たち同等の扱いをしてもらいたいんだろうか。
「エリート」を強く自覚する大手マスコミ記者の仲間に、そんなになりたいんだろうか。
不思議です。
記者クラブってのは、要するに、役所とメディアのなれ合いの場でしかないでしょ? あるいは、大手マスコミ記者の、既得権にまみれた、甘やかな優越感の味わいうっとりの、暇つぶしの場でしょ?
役所の公式発表を、暇なメディアの記者が承って、報知する。
ただそれだけの場だと思ってるので、なんでこんなに、記者クラブに色気を見せるのか、貴誌の考えがわからない。
記者クラブ、および記者クラブ経由の情報は頭っから無視して、独自の調査報道で勝負をするのが、正道だ、と思うんですけどね。
そんなに、官製垂れ流し情報がありがたいんだろうか。
そんなに、大手マスコミの記者たち同等の扱いをしてもらいたいんだろうか。
「エリート」を強く自覚する大手マスコミ記者の仲間に、そんなになりたいんだろうか。
不思議です。
Posted by 東直己 at 2011年02月04日 13:51
記者クラブが官庁などを継続的に取材しているように、私は“記者クラブを”継続的に取材しようと考えました。記者会見に参加している理由はいくつかありますが、その一つは“記者会見を”取材するためです。
記者クラブに加盟しようとは思いません。記者クラブは取材対象なので、そこに加わったら記者クラブを取材することができなくなる、あるいは難しくなります。『北方ジャーナル』編集部としても、加盟の意志はないそうです。
「大手マスコミ記者の仲間」になりたいと思っているフリーランスは、あまりいません。逆に、記者クラブの中には「記者クラブを取材するフリーは記者クラブに加盟したがっている」と思い込んでいる人がけっこういます。それこそ不思議なことで、記者クラブ加盟記者でない方からそれを言われたのは、本日が初めてです。
記者クラブ問題の記事に需要があるのは、乱暴に言えば忘れっぽい人が多いからだと思います。大相撲の八百長を記者クラブメディアが報じると読者・視聴者は関心をもって見ますが、ちょっと前に週刊誌が同じ話題を報じて協会に訴えられ事実上敗訴したことは憶えていても、その顛末を新聞各紙が喜んで報じたことは多くの人たちが忘れていて、かの話題を“薄々わかってたがやっと公式に認められた”かのように受け止めています。「なんらかの事情で当局がメール内容をリークしたかもしれない」という見方はしません。記者クラブ問題をしつこくやり続けることは無意味ではなく、しつこくやり続けてもストップがかからないほどの需要が、今あるということだと思います。
蛇足ですが、大手メディアの中には、どっちかというと「自分は『エリート』ではない、取材相手ににコントロールなどされていない」と思い込もうとしている人たちもずいぶん多いように思います。
記者クラブに加盟しようとは思いません。記者クラブは取材対象なので、そこに加わったら記者クラブを取材することができなくなる、あるいは難しくなります。『北方ジャーナル』編集部としても、加盟の意志はないそうです。
「大手マスコミ記者の仲間」になりたいと思っているフリーランスは、あまりいません。逆に、記者クラブの中には「記者クラブを取材するフリーは記者クラブに加盟したがっている」と思い込んでいる人がけっこういます。それこそ不思議なことで、記者クラブ加盟記者でない方からそれを言われたのは、本日が初めてです。
記者クラブ問題の記事に需要があるのは、乱暴に言えば忘れっぽい人が多いからだと思います。大相撲の八百長を記者クラブメディアが報じると読者・視聴者は関心をもって見ますが、ちょっと前に週刊誌が同じ話題を報じて協会に訴えられ事実上敗訴したことは憶えていても、その顛末を新聞各紙が喜んで報じたことは多くの人たちが忘れていて、かの話題を“薄々わかってたがやっと公式に認められた”かのように受け止めています。「なんらかの事情で当局がメール内容をリークしたかもしれない」という見方はしません。記者クラブ問題をしつこくやり続けることは無意味ではなく、しつこくやり続けてもストップがかからないほどの需要が、今あるということだと思います。
蛇足ですが、大手メディアの中には、どっちかというと「自分は『エリート』ではない、取材相手ににコントロールなどされていない」と思い込もうとしている人たちもずいぶん多いように思います。
Posted by 小笠原 淳 at 2011年02月04日 18:16
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