2011年01月29日
札幌市、ホームレス74人 「実数と隔たり」指摘の声も
年1回の公式な調査で、ボランティアなど33人が早朝の市街を歩いた
(29日午前4時52分、札幌市内)
29日朝、札幌市のボランティア団体などが同市内のホームレス人数調査を実施し、同日時点で路上生活中の74人を確認した。昨年同時期と較べて2人増という結果にとどまったが、関係者の間からは「実数はもっと多く、100人は下らない筈」との声が聴かれている。
厚生労働省が全国一斉に行なう概数調査の一環で、札幌では市の委託で北海道の労働と福祉を考える会(=労福会、北区、嶋田佳広代表)が調査を引き受けている。当日は自立支援団体なんもさサポート(北区、中塚忠康代表)のスタッフや一般市民なども協力し、33人で市内9エリアを回った。
午前3時半にJR札幌駅を出発した9チームは同6時までに調査を終え、その場で各地区の数字を集計、現場に立ち会った市保健福祉局保護指導課の職員らに結果を報告した。市内合計は74人で、過去5年間に亘って減り続けていた数字が微増に転じたものの(2007年から132人→109人→99人→72人→74人)、支援団体関係者らが認識する「少なくとも100人以上」という実感からは大きく隔たっている。
調査の責任者を務めた労福会の内山明さん(19)=北大農1=は、「感覚的にはもっと多いと思うけど、一日ですべてを把握するのは難しいです」と話す。調査に参加したホームレス支援北海道ネットワーク代表で札幌国際大講師の山内太郎さん(35)は、冬の早朝にホームレスと出会いにくい札幌の事情を説明、「調査法が“目視”に限られていて、車中生活者やインターネットカフェ利用者などはカウントできない。そういう隠れた数字を含めると、3桁を下回ることはないでしょう」と言い切る。午前5時ごろに調査員らと偶然出会ったホームレスの男性(50歳代)も、「最近は身なりがこざっぱりしていて服も綺麗なホームレスが多いから、ぱっと見ではわからないかもしれない」と語る。
実施日程が厳冬期に設定されているのは、02年7月のいわゆるホームレス支援法成立を受けての初調査が翌03年1月だったことによる。毎年同時期に全国調査を行なって経年変化を記録する目的があるため、時限立法の同法が施行されている間は(本年度まで)真冬の実施を余儀なくされることになった。
雇用情勢は相変わらず深刻で、ホームレスの実数が大きく減る兆しは当面なさそうだ。市が26日に発表した2011年度当初予算では、生活保護費が前年度比101億円増(約8.9%増)の1231億円に膨れ上がった。ただ、現時点での生活保護受給世帯が約4万5000世帯に上る中で、ホームレスへの保護適用は約170件ほどと、全体に占める割合は必ずしも多くない。
市内で10年以上に亘ってホームレス支援を続け、今月18日に札幌弁護士会(房川樹芳会長)の人権賞を受賞した自立支援事業所ベトサダ代表の眞鍋千賀子さん(68)は、「ひと頃の『派遣村』報道などで役所の敷居が低くなり、生活保護の窓口はさほど困っていない人にとっても足を運びやすい所になりました。その一方で、本当に困っている人たちには未だ充分に手が差し伸べられていません。空腹のあまり微罪を犯して刑務所と路上を行き来する人たちや、人数調査などのコースに含まれない郊外のトイレなどで寒さをしのぐ人たちの姿は、多くの人の眼に映っていないでしょう」と指摘する。「74人というのは、飽くまで一つの調査結果。私は200人ほどと捉えています」―。 (ん)
厚労省の報告では、ホームレスは年々減り続けていることになっているが…
午前3時半にJR札幌駅を出発した9チームは同6時までに調査を終え、その場で各地区の数字を集計、現場に立ち会った市保健福祉局保護指導課の職員らに結果を報告した。市内合計は74人で、過去5年間に亘って減り続けていた数字が微増に転じたものの(2007年から132人→109人→99人→72人→74人)、支援団体関係者らが認識する「少なくとも100人以上」という実感からは大きく隔たっている。
調査の責任者を務めた労福会の内山明さん(19)=北大農1=は、「感覚的にはもっと多いと思うけど、一日ですべてを把握するのは難しいです」と話す。調査に参加したホームレス支援北海道ネットワーク代表で札幌国際大講師の山内太郎さん(35)は、冬の早朝にホームレスと出会いにくい札幌の事情を説明、「調査法が“目視”に限られていて、車中生活者やインターネットカフェ利用者などはカウントできない。そういう隠れた数字を含めると、3桁を下回ることはないでしょう」と言い切る。午前5時ごろに調査員らと偶然出会ったホームレスの男性(50歳代)も、「最近は身なりがこざっぱりしていて服も綺麗なホームレスが多いから、ぱっと見ではわからないかもしれない」と語る。
実施日程が厳冬期に設定されているのは、02年7月のいわゆるホームレス支援法成立を受けての初調査が翌03年1月だったことによる。毎年同時期に全国調査を行なって経年変化を記録する目的があるため、時限立法の同法が施行されている間は(本年度まで)真冬の実施を余儀なくされることになった。
雇用情勢は相変わらず深刻で、ホームレスの実数が大きく減る兆しは当面なさそうだ。市が26日に発表した2011年度当初予算では、生活保護費が前年度比101億円増(約8.9%増)の1231億円に膨れ上がった。ただ、現時点での生活保護受給世帯が約4万5000世帯に上る中で、ホームレスへの保護適用は約170件ほどと、全体に占める割合は必ずしも多くない。
市内で10年以上に亘ってホームレス支援を続け、今月18日に札幌弁護士会(房川樹芳会長)の人権賞を受賞した自立支援事業所ベトサダ代表の眞鍋千賀子さん(68)は、「ひと頃の『派遣村』報道などで役所の敷居が低くなり、生活保護の窓口はさほど困っていない人にとっても足を運びやすい所になりました。その一方で、本当に困っている人たちには未だ充分に手が差し伸べられていません。空腹のあまり微罪を犯して刑務所と路上を行き来する人たちや、人数調査などのコースに含まれない郊外のトイレなどで寒さをしのぐ人たちの姿は、多くの人の眼に映っていないでしょう」と指摘する。「74人というのは、飽くまで一つの調査結果。私は200人ほどと捉えています」―。 (ん)
厚労省の報告では、ホームレスは年々減り続けていることになっているが…
Posted by 北方ジャーナル at 11:39│Comments(0)
│ニュース
※このブログではブログの持ち主が承認した後、コメントが反映される設定です。