2011年01月28日
浦河の「大黒座」をテーマにしたドキュメント映画が完成
浦河町在住の画家、鈴木翁二さんのイラストをあしらったパンフレット
日高地方の浦河町で、これまで93年間にわたって営業を続けている映画館「大黒座」をテーマにしたドキュメンタリー映画『小さな町の小さな映画館』が完成し、東京銀座で披露試写会、地元浦河町で完成記念特別上映会が開かれることになった。
掲載写真はその作品パンフレットだが、「おや?」と思った方は本誌の愛読者のはず。そう、使用されているイラストが本誌2010年1月号の表紙絵なのである。
実は作者の鈴木翁二さんは浦河町在住で大黒座ファンの一人。今回の映画製作に地元の一人としてサポートしたカタチの一つが今回のコラボだったというワケだ。
映画の主人公となった大黒座とはどんな映画館なのか? 届いた資料にはこんな一節が書かれていた。
【北海道にある人口1万4千余りの牧場と漁業の町「浦河」に創業93年を迎える「大黒座」がある。
大正時代、材木商人だった三上辰蔵がドサまわりの講談師や浪曲家を家に招いたのが始まり。現在、映画館は3代目、館主は4代目…。】
今回、プロデューサーと監督を務めた森田惠子さんは、企画意図を資料の中で次のように記している。
【「大黒座」は映画という映像文化を発信するだけでなく、心の豊かさや暮らしの豊かさという地域文化の情報発信基地としての役割も果たしている。町に映画館がある幸せ。住民に大切にしてもらえる映画館の幸せ。そんな『小さな町の小さな映画館』を描き出していきたい。】
※問い合わせ先と試写情報は以下の通り。 (く)
【東京試写】
■日時:2011年1月30日(日)15:30〜
1月31日(月)13:00〜
15:30〜
18:00〜
■会場:TCC試写室 中央区銀座8丁目3番先 高速道路ビル102号 ☎03-3571-6378
【地元での完成記念特別上映】
■日時:2011年2月5日(土)〜18日(金)
1日1回 毎回16:00〜
■会場:大黒座 北海道浦河郡浦河町大通2丁目18 ☎0146-22-2149
■料金:500円
実は作者の鈴木翁二さんは浦河町在住で大黒座ファンの一人。今回の映画製作に地元の一人としてサポートしたカタチの一つが今回のコラボだったというワケだ。
映画の主人公となった大黒座とはどんな映画館なのか? 届いた資料にはこんな一節が書かれていた。
【北海道にある人口1万4千余りの牧場と漁業の町「浦河」に創業93年を迎える「大黒座」がある。
大正時代、材木商人だった三上辰蔵がドサまわりの講談師や浪曲家を家に招いたのが始まり。現在、映画館は3代目、館主は4代目…。】
今回、プロデューサーと監督を務めた森田惠子さんは、企画意図を資料の中で次のように記している。
【「大黒座」は映画という映像文化を発信するだけでなく、心の豊かさや暮らしの豊かさという地域文化の情報発信基地としての役割も果たしている。町に映画館がある幸せ。住民に大切にしてもらえる映画館の幸せ。そんな『小さな町の小さな映画館』を描き出していきたい。】
※問い合わせ先と試写情報は以下の通り。 (く)
【東京試写】
■日時:2011年1月30日(日)15:30〜
1月31日(月)13:00〜
15:30〜
18:00〜
■会場:TCC試写室 中央区銀座8丁目3番先 高速道路ビル102号 ☎03-3571-6378
【地元での完成記念特別上映】
■日時:2011年2月5日(土)〜18日(金)
1日1回 毎回16:00〜
■会場:大黒座 北海道浦河郡浦河町大通2丁目18 ☎0146-22-2149
■料金:500円
Posted by 北方ジャーナル at 01:11│Comments(1)
│ニュース
この記事へのコメント
下高井戸で観ました。
大黒座を軸にしたこれまでの足跡と貴重なスナップの数々、
いまの大黒座を取り巻く多彩な人々の生活感あふれる素顔。
時間軸を基本に編集しながらも多面的で重層的なインタビューに、
丁寧かつ膨大な取材とカットされた素材のあることを思う。
映画という空間が、浦河から札幌・美唄・尾道と広がりを見せ、
人々の心をつなぐ大切な鍵である事が伝わってくる。
地方の映画館を続ける難しさと映画に寄せる思い。
決してハッピーエンドではなく、でも殊更に悲観的な描写もせず、
カメラは淡々と館主家族の思いと日常を映して終わる。
僕はそこに、地に足のついた生活感覚、人の暮らしの本質を見る。
今の仕事で暮らしていけないのなら、職を変えることは
当然の選択肢の一つです。
どんなに映画を愛して大黒座の仕事が好きだとしても、
優先すべきは三上さんが家族を守ることであり、大黒座ではない。
民間での運営が無理ならNPOや組合、場合によっては公立であってもいい。
まぁ公立に辿り着く以前に娯楽≒文化で大論争になるでしょうけど…
要は地域の文化を考え求める市民がどれだけ存在しているかです。
この作品の何よりの価値は、地方の小さな映画館には
人々をつなぐ場としての魅力があることを、
大黒座を通して証明したことです。
第二に、人間らしい生活、健やかな暮らしを送る名もなき
小さな人々の明るさと生きる知恵、地に足のついたたくましさと、
柔軟でしなやかな感性を、浦河の生活者の肉声を通して丁寧に
拾い上げていることです。
だから映画のラストは
『私たちは今、この町でこうして生きています』
というメッセージであり、ドキュメンタリーとして
それ以上のことも、それ以下のことも付加しない。
この作品の持つ稀有なほどに健やかな味わいは、
監督の資質であると共に、浦河という町の良さが共鳴している証左でもある。
札幌蠍座の田中次郎さんは、蠍座通信の中で
『小さな町の小さな映画館』のラストシーンを評して、
とても苦く、と感じておられた。
映画館を営む田中さんならではの受け止め方であり、
不入りの重みをリアルに共感しての表現でしょう。
だからこそ、この作品は日本の各地で映写機を回し続けておられる
単館の関係者の方々に観てほしいと思う。
ご自分の小屋で掛けるかは別にしても。
大黒座を軸にしたこれまでの足跡と貴重なスナップの数々、
いまの大黒座を取り巻く多彩な人々の生活感あふれる素顔。
時間軸を基本に編集しながらも多面的で重層的なインタビューに、
丁寧かつ膨大な取材とカットされた素材のあることを思う。
映画という空間が、浦河から札幌・美唄・尾道と広がりを見せ、
人々の心をつなぐ大切な鍵である事が伝わってくる。
地方の映画館を続ける難しさと映画に寄せる思い。
決してハッピーエンドではなく、でも殊更に悲観的な描写もせず、
カメラは淡々と館主家族の思いと日常を映して終わる。
僕はそこに、地に足のついた生活感覚、人の暮らしの本質を見る。
今の仕事で暮らしていけないのなら、職を変えることは
当然の選択肢の一つです。
どんなに映画を愛して大黒座の仕事が好きだとしても、
優先すべきは三上さんが家族を守ることであり、大黒座ではない。
民間での運営が無理ならNPOや組合、場合によっては公立であってもいい。
まぁ公立に辿り着く以前に娯楽≒文化で大論争になるでしょうけど…
要は地域の文化を考え求める市民がどれだけ存在しているかです。
この作品の何よりの価値は、地方の小さな映画館には
人々をつなぐ場としての魅力があることを、
大黒座を通して証明したことです。
第二に、人間らしい生活、健やかな暮らしを送る名もなき
小さな人々の明るさと生きる知恵、地に足のついたたくましさと、
柔軟でしなやかな感性を、浦河の生活者の肉声を通して丁寧に
拾い上げていることです。
だから映画のラストは
『私たちは今、この町でこうして生きています』
というメッセージであり、ドキュメンタリーとして
それ以上のことも、それ以下のことも付加しない。
この作品の持つ稀有なほどに健やかな味わいは、
監督の資質であると共に、浦河という町の良さが共鳴している証左でもある。
札幌蠍座の田中次郎さんは、蠍座通信の中で
『小さな町の小さな映画館』のラストシーンを評して、
とても苦く、と感じておられた。
映画館を営む田中さんならではの受け止め方であり、
不入りの重みをリアルに共感しての表現でしょう。
だからこそ、この作品は日本の各地で映写機を回し続けておられる
単館の関係者の方々に観てほしいと思う。
ご自分の小屋で掛けるかは別にしても。
Posted by 小高和彦 at 2011年05月02日 21:14
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