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2010年06月24日

【小樽市銭函風力発電計画】札幌で初の住民説明会

【小樽市銭函風力発電計画】札幌で初の住民説明会
6月22日夜、日本風力開発株式会社(東京)による住民説明会が手稲区民センター2階の区民ホールで開かれ、市内外から200人近くの参加があった。日本風力開発の完全子会社である銭函風力開発株式会社(東京)は、小樽市銭函地区の海岸に大型の風力発電施設(20基)を計画しているが、建設地の小樽市ではなく、札幌市で住民説明会が開かれるのはこれが初めて。同社は住民が不安を感じている低周波音について「風車からは人体に影響を与える低周波音は観測されていない」と建設への理解を求めたが、住民からは反発の声が続出した。

 建設予定地である銭函4・5丁目は小樽市の行政区域であるものの、海岸と工業用地が広がっているのみで小樽市民は住んでいない。風車に最も近い1.1kmの距離に住むのは、手稲区の市営山口団地の住む札幌市民だ。

「実害は札幌市民の方がたくさん受ける可能性がある」

 これまで同社は銭函地区の事業者に対して住民説明会を開催し、その議事録を補助金交付の審査機関に提出した模様だが、今年3月の札幌市定例記者会見で上田文雄市長は、同事業の補助金申請について問題意識を持っていると話した。会見当時から市は風車から出る低周波音に不安を持つ市民のために説明会の開催を同社に要請しており、会見から約3カ月が経って開かれたというのがこれまでの流れである。

「インターネットを検索したり、報道をみると風力発電について一方的な情報が流れています。今日はメディアの方々もたくさん来られているので、今回話す内容が多くの人に届くことを期待したい」

 冒頭、同社の担当者はそう語るとともに、東証マザーズ上場の同社が現在監理銘柄に指定されている件に関しては説明会の主旨に合わないとして質問を控えるよう要望した。

 同社は今月14日に、2010年3月期の有価証券報告書を期限までに提出できないと発表し、東証は監理銘柄に指定した。以降、同社の株価は急落し、一時はストップ安水準にまで下げた。今回の説明会の前日には、同社筆頭株主である代表取締役の株式保有比率が10.99%から6.27%へと低下(同社発表)。同代表取締役が個人として複数の金融機関から融資を受けるに当たり、株式を担保提供してきたが、このたび期限の利益を喪失し、担保権が実行され同社株式が市場で売却されたという。

 説明会では技術コンサルティング会社である風力エネルギー研究所の担当者がまず、今回の事業に関わっていない中立の立場であることを表明。再生可能な風力発電の計画を推し進める意義を強調したのちに、低周波音について説明した。

「グーグルやヤフーで検索するとさまざまな情報が出てきます。そのなかには『風車から人体に悪影響を与える低周波音が発生する』、『低周波音は距離があっても減衰しない』、『低周波音は壁を貫通するから防音対策は無意味』、『低周波音は脳や内蔵に直接作用する』、『風車が建つと小鳥がいなくなり、草木もなくなる』、『風車が建って家畜に奇形が発生した』などなど…。いろいろ出てきますが、最初に言っておきます。これらはすべて正しくない。観測されていないことです」

 担当者は、これまで医師などによって国内外で論文発表された『音響振動病』、『風車病』、『左脳受容説』などに関しても、サンプルが少数であったり恣意的な選別があるとして科学的な裏付けがないものと一蹴した。

「人間の耳には聴き取れない超低周波音は高レベルであれば確かに危険です。それは正しい。しかし、超低周波音は人体が自ら発生しているものですし、家電製品からも出ている。そして、風車からは人体に悪影響を与えるほどの超低周波音は出ていない」

 人体に悪影響を与える超低周波音が風車から観測されていないものの、近年、全国各地で健康被害を訴る例が増えていることについて、担当者はプラセボ(偽薬)を例に解説した。

「薬としての成分はまったく入ってないのに、思い込みによって症状が改善するプラセボの副作用というものがありますが、それと同じ状況だと推測します。インターネットや報道による偏向した情報によって、風車があると思っただけで体調不良を起こすということも考えられる」

 この後、6月14日に建設予定地から最も近い住民の住む市営山口団地で計測された数値に基づいた風車稼働後の予測数値では、環境省が定める感覚閾値よりも十分低い数字であり、人体に影響することはないとの説明があった。

 午後7時から始まった会では、ここまでの説明に約1時間をかけ、午後8時8分からの残り約1時間が質疑にあてられた。だがその時間に参加者の口から発せられたのは、質問というよりも反対意見というほうがふさわしかったかもしれない。(以下、住民の声を抜粋)

「(技術コンサルタントの担当者が)中立の立場から説明というけれど、なぜ配布した資料に豊橋市(愛知県)のデータ(環境省による低周波音調査)しか載せないの? これは計測方法も含めてあなたたちに一番都合がいいデータじゃない。伊方町(愛媛県)のデータを使いなさいよ。なにが中立だ。恣意的じゃないか」

「環境省が定める感覚閾値より低いから大丈夫というけれど、そもそもその閾値が正しいと言えるのか。耳に聴こえないから大丈夫というものでもない。放射線だって目に見えないのに害はある」

「なぜ売電先である北電が来ていないのか。今、この場所に風力発電所を作らなければいけない電力事情なのか。今、電力が本当に必要ならみんなで考えなければいけない。しかし、そうではないでしょう」

「この計画は今年になってから知った。寝耳に水」

「二酸化炭素削減のために必要といえば、黙ると思うな」

 住民の挙手は相次いでいたが、閉会予定時刻の午後9時に説明会は終了。住民からは再度の開催が要望されていた。

 事業者からの説明を受け、住民たちは今回の建設に対してどのような考えを持ったか。思いつきで出口調査を行なってみた。質問は「銭函風力発電所の建設に賛成か反対か」。思いがけず回答者の多くがさまざまな思いや説明会に来た経緯などを記者に語ってくれ、その間に多くの参加者が記者の横を通り過ぎて足早に会場を後にしてしまったため回答を得られたのはわずか17人に留まった。思いつきで何かをすると失敗する例のひとつかもしれないが、一応その結果を書いておく。ちなみに、無作為に出てきた参加者にとにかく声をかける方針だったが、説明会で明らかに反対意見を述べていた参加者からは時間もなかったのでアンケートに協力してもらわなかった。

【サンプルの少ない(参加者の1割程度)出口調査結果】

質問
「銭函風力発電所の建設に賛成か反対か」

賛成 1人
条件付き(景観整備)で賛成 1人
どちらでもない 3人
風力発電には賛成だが、今回の建設場所はふさわしくない 1人
反対 11人

(は)

◆当ブログ内関連記事◆

【小樽市銭函風力発電計画】手稲区住民への説明会(2010年10月1日付※動画)
【小樽市銭函風力発電計画】10月5日に小樽市で住民説明会(2010年10月1日付)
隣町の風力発電所は大丈夫か専門家会議、開かれる(2010年9月24日付)
【小樽市銭函風力発電計画】風車建設を一部撤回(2010年9月8日付)
【小樽市銭函風力発電計画】札幌で初の住民説明会(2010年6月24日付)

※小樽市銭函風力発電計画については、本誌『北方ジャーナル』での過去に2回レポート。
『クリーンなイメージの風力発電に環境破壊と健康被害を危惧する声』
北方ジャーナル2010年4月号
『環境にやさしいはずの風力発電が環境を破壊?』
北方ジャーナル2010年5月号


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Posted by 北方ジャーナル at 00:15│Comments(1)ニュース
この記事へのコメント
【サンプルの少ない(参加者の1割程度)出口調査結果】

質問
「銭函風力発電所の建設に賛成か反対か」

賛成 1人
条件付き(景観整備)で賛成 1人
どちらでもない 3人
風力発電には賛成だが、今回の建設場所はふさわしくない 1人
反対 11人

これまたいい加減な出口調査結果だなー
大体参加者の多くは、文句や反対が言いたくてわざわざ会場まで出かけているんでしょ。
賛成者や興味のない人は会場に来ないでしょ?
そこで出口調査やってもいみがないよ。
もう少し公平にやらないとね。
Posted by トウゾクカモメ at 2010年10月07日 01:16
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