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2010年05月21日

道新グループで終焉へ向かう“菊池体制”

 北海道新聞社の菊池育夫社長(65)が5月19日、役員らに辞任を表明した。複数の道新関係者が本誌に明らかにした。

 6月の決算取締役会を前にして、ここ1カ月ほど道新の役員人事に関する風聞が飛び交っており、本誌にも関係者からさまざまな情報が届いていた。これらを受けて私も現役幹部などに接触して、オフレコ話を聞いていた経緯がある。

「あの人が辞める。この人は残る」──。実際さまざまな動きが見えてきた。だが、それらの動きの背景にあるのは「社員や幹部の菊池社長への抜きがたい不信感」というシンプルなテーマのように思えた。そして「なんだかんだ言っても(菊池さんは)続投なわけネ…」と思っていた矢先に冒頭のような情報が関係者から飛び込んできたのだ。

 裏を取ろうとしたら、地元のネットメディアBNNが独自の取材で20日昼に「道新、菊池育夫社長が19日の臨時取締役会で辞任を表明」と速報を出した。

 私が同日夕方、同社経営企画室の人事部門にBNNの報道内容も含めて確認すると「役員人事については決算取締役会で内定し、公表しています。現時点では公表する事実はありません。BNNの報道については承知していますが、少なくとも19日に臨時取締役会は開かれていません」とのコメントだった。

 さらに内部関係者に確認したところ「正式な取締役会かどうかはともかく、複数の役員の前で“社長を辞める”と宣言したことは確か」との証言が得られた。「続投」が決定的と思われていた矢先のドンデン返し。とにもかくにも“菊池体制”がその終焉に向かって舵を切ったことは、事実と見ていい。

 名トップの誉れが高かったが、脳疾患に倒れた東功社長による後継指名での抜擢。「異例中の異例の出世」と言われ、7年間の長期政権を続けた菊池社長(写真左)だが、残念ながら評判は良いとは言えなかった。

 最近、地元メディアに届いた「声なき声」と題された内部告発文書がある。道新関係者がしたためたと思しいが、端的に言って詠嘆調に菊池社長と現体制の問題点を列挙した内容だ。一読して同情を禁じ得ないほど、こきおろされている(書き手の本業が記者だけに容赦がない)。

「体裁は“怪文書”だけど、中身は“事実文書”だよ。要はトップとしての資質の問題。菊池さんは、社内の人心掌握、そしてトップとしての外交ができなかった。怒りっぽくって人望もない。今回の表明は、雲行きが怪しく形勢不利と見た菊池さんが追い出される不名誉より“名誉の辞任”を選んだってことじゃないか」

 道新の内部事情に詳しいメディア関係者のコメントである。ちなみに次期社長には菊池社長から命じられた「島流し」を拒否し、内外に辞任を表明していた村田正敏常務が内定されたもようだ。

 構造改革の名の下に道新は100人規模の人減らしに取り組んでいるが、かの「声なき声」の一節には、こうある。

「50前後で辞めると特別割り増し退職金の総額は7,000万円ぐらい。地味に暮らせば仕事をせずとも年金年齢まで、らくらく暮らせる額だ。朝夕刊セットで毎月4000円近い購読料を払っている読者はどう思うだろうか」

 この大盤振る舞いにも驚きだが、いずれにせよ道新の給与水準は中央マスコミ並みに高い。40歳平均で年収1200〜1400万円と言われ、これは昨今の勤務医などの年収に匹敵する。

 私は、利益が出ている中での高い給与水準は一概に否定しないが、バランスは重要視されるべきだと思っている。道内におけるバランス、そして経営手法におけるバランスだ。年収200〜300万円ベースの労働者が多い北海道を伝える地元メディアとして、あまりにも現実と会社がかけ離れるのは、紙面に影響が出ないとも限らない。実効性のない節約やなりふりかまわぬリストラを強いる前に、全体の報酬、給与の見直しを図ることこそが先決ではないかと私は思う。

 菊池社長の傲慢さやトップとしての資質を問う事はいい。だが、今彼を指弾するのであれば、問題を先送りにしてきた経営陣そして社員一人一人の意識も問われてしかるべきだろう。そして内部からのメディア改革を率先して起こしてもらいたいものだ。

 100万単位の読者を持ち、テレビ、ラジオへの関与も含めて絶大な影響力を有する地元メディアの筆頭格、北海道新聞社グループ──。

 なんだかんだ言っても事態は流動含みである。今後の動向に注目していこう。     (く)


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