さぽろぐ

  新聞・ニュース  |  札幌市東区

ログインヘルプ


 › 月刊誌「北方ジャーナル」公式ブログ › 編集長日記 › 縮まる小沢包囲網と賭けに出た鳩山政権

2010年01月16日

縮まる小沢包囲網と賭けに出た鳩山政権

縮まる小沢包囲網と賭けに出た鳩山政権

 よく分からない。何がって1月15日金曜日の夜に起きた石川知裕衆議院議員以下、小沢一郎ファミリー丸ごと逮捕のことだ。民主党大会の前日そして国会開催を来週に控えるなかで決行された、この事件が意味するところが、どうもよく分からない。

「おいおい、石川もかよ」「民主も偉そうなこと言ってカネにだらしないのは一緒じゃないか」「小沢もとっとと幹事長を辞めたら」

 連日メディアを賑わす「石川聴取」を受けて、今回の逮捕前からこんな声があちこちから聞こえてきていた。編集部で議論しても当然、民主や小沢幹事長を擁護するトーンにはなかなかならない──。

 いずれにせよ東京地検特捜部が昨年来、現在の日本政界における最高実力者をターゲットにしていることは誰の目にも明らかだ。09年春、中川昭一元財務省(現在は故人)の「酩酊会見」直後に起きた大久保隆規公設第1秘書の逮捕。ここから始まった感がある“小沢包囲網”は、いま最終段階に入りつつあると言える。

 最近メディアは、お馴染みの「関係者によれば」という但し書きで石川衆議聴取に関する動きを一斉に、かつ頻繁に報じていた。そして金沢某なる「内部告発者」がしたり顔で登場し、捜査機関やメディア、そして自民に協力を申し出る──。このような流れに一種のデジャブ(既視感)を覚えてしまうのは私だけだろうか。物々しく家宅捜索に入る絵をマスコミが流すことができるのは何故なのか。新政権誕生以後、国会での論戦がはじめて本格的に行なわれようとしている直前に逮捕に踏み切った真の理由は何なのか──。

 検察の思惑、考えの在処はともかく、今回の逮捕は小沢本人はもとより、来週予定される国会論戦に大きな影響を与え、民主党政権のダメージになることは間違いない。そして今夏の参院選においては、かっこうの民主攻撃の材料となるだろう。

 だが、検察に言わせれば「権力側だろうが何だろうが、不正は正すべき時に正す以外にない」ということになる。この原則には私も同意する。為政者側への影響を担保することは、司法とジャーナリズムにおける生命線である。政局などに頓着せず、大いに摘発し追及することが国民の利益に叶うのだ。

 だがしかし、本件は果たして、そのような原則に基づいた出来事なのか。私が冒頭、「よく分からない」と書いたのは、そういう理由からだ。「石川逮捕」を受けて非難コメントが飛び交うなかで、メディアの取材に対応した新党大地代表の鈴木宗男衆議は、「検察当局による鳩山内閣潰しだ」と疑義を表明し、激しく反発した。持論である「国策捜査」を今回の事件にも当てはめ、検察に対する不信感を露にしたわけだ。

 私は、とりあえず二つのことを疑問に思う。ひとつは、捜査の公平性。もうひとつは来週の国会審議への影響についてだ。

「政治家とカネ」の問題をテーマに政治資金規正法がらみの摘発を目指すなら、検察は小沢以外にも山ほど違反関係の事実を把握しているはずである。「資金の額が大きい」ことは犯罪の軽重と本来、関係ない話だ。二階俊博元総務相や森喜朗元首相なども含めて検察のファイルに収められている該当者リストは、かなりの数に上っているであろう。

 以前、松山千春氏なども指摘していたが、「やるなら該当者全員を」というのが捜査・摘発の基本である。市内で数十件の窃盗事件が起きているとして、最も被害額の大きな事件しか扱わない警察などあり得ない。

 まして政治家の刑事責任の追及は、本人の政治生命を脅かす影響力を持っている。政界の最高実力者へ矛先を向けることに躊躇する必要は無いが、同時に他の政治家の犯罪に目をつぶっておく必要もどこにもないはずだ。

 どうやら小沢絡みで検察は、虚偽記載を突破口にして裏献金、そして増収賄事件に発展させていきたいのではないか。ゆえに他の“雑魚”には目もくれず、突っ走る──。だが野党の実力者(当時)という身分で、果たして便宜供与というものが成立し得るのか。そして本人を立件しきれるのか。


 もう一つの疑問、というよりこれは懸念に近いが、来週から始まる国会論戦が、この問題だけで終始してしまわないかということだ。すでに我が意を得たとばかりに、自民党の幹部たちはそれぞれ最大限の表現で小沢批判を繰り返している。それも結構。だが、来年度の予算がしっかり審議され、とにもかくにも国会を通らなければ何も始まらない。国会が空転すれば、私たちの国民生活に支障をきたす事態にもなりかねないのだ。

 検察は石川逮捕のタイミングを、この時期に持ってきたことについて、「国会審議への影響を抑えることを考慮して」などというコメントを出しているが、事実としては審議へ最も大きな影響力を与える時期の逮捕と言える。

 このなかで民主党は、16日に開いた党大会で小沢幹事長の潔白を信じるとし、続投を宣言した。

 ともあれ鳩山首相はリスキーな賭けに出たと言っていい。振られたサイコロの目は、いったいどう出るのだろうか────。  (く)



同じカテゴリー(編集長日記)の記事画像
令和元年初日の朝に祈る
鶴雅グループ最高峰の温泉ホテル「碧の座」が支笏湖にオープン
ススキノで帰宅難民になりかけた夜
生きる伝説、幻想画家の鈴木翁二が札幌でCD発売記念ライブ
昭和22年創業。旭川ラーメンの老舗「蜂屋」の醤油ラーメンを食す
拓銀破綻20年─そこから私たちは何を学んだか─
同じカテゴリー(編集長日記)の記事
 令和元年初日の朝に祈る (2019-05-01 22:57)
 鶴雅グループ最高峰の温泉ホテル「碧の座」が支笏湖にオープン (2019-04-30 23:25)
 ススキノで帰宅難民になりかけた夜 (2019-02-22 09:46)
 生きる伝説、幻想画家の鈴木翁二が札幌でCD発売記念ライブ (2019-02-18 17:34)
 昭和22年創業。旭川ラーメンの老舗「蜂屋」の醤油ラーメンを食す (2018-11-19 23:45)
 拓銀破綻20年─そこから私たちは何を学んだか─ (2017-11-17 10:35)

Posted by 北方ジャーナル at 18:28│Comments(0)編集長日記
※このブログではブログの持ち主が承認した後、コメントが反映される設定です。
上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。

QRコード
QRCODE
削除
縮まる小沢包囲網と賭けに出た鳩山政権
    コメント(0)