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2009年11月10日

北見の「タケダ楽器」、健在なり!

北見の「タケダ楽器」、健在なり!

 11月14日発売の北方ジャーナル12月号では、恒例のオホーツク特集を質量ともに例年以上のボリュームで掲載する。温暖化の影響で流氷の接岸量は減少しているとはいえ、オフシーズンの冬もオホーツクは魅力満載だ。

 筆者が偏愛している網走市の景勝地・天都山にある「博物館 網走監獄」では、行刑資料館が「監獄歴史館」と名称を変え、来る2月1日にリニューアルオープンする。その概要もカラーグラビアでチラリと触れているのだが、いやもう凄い変貌&充実ぶりなのであって、ここを見ずして2010年の春は迎えられないのではないか、と思う次第なのである。

 ここまでオホーツクに思い入れがある理由としては、約30年前に3年間ほど、父の仕事の都合で北見市に住んでいたせいもある。当時から北見市庁舎はボロかったが、それはさておき今回はJR北見駅前の国道39号線にある「タケダ楽器」にまつわる思い出話なんぞをしたい。

 小学3年生の終盤、2学年上の兄に影響されてビートルズの魅力に開眼してしまった筆者は、兄弟のお年玉の全てを放出してビートルズのレコード蒐集に励んでいたが、英国オリジナル盤と日本編集盤を全て、米国編集盤とシングル盤の一部を購入したのが、ここタケダ楽器である。

北見の「タケダ楽器」、健在なり! 当時は中心商店街の一角にあるこじんまりとした店であったが、販売係の兄ちゃんたちは子どもにも優しく接してくれたことを思い出す。最も印象深いのは確か5年生の頃、ラジオで数回聴いただけで曲名やグループ名も分からぬまま、ママス&パパスの「夢のカリフォルニア」のシングル盤を買いに行った時のことだ。

 こっちは英語などまるで分からぬ小学生である。欲しい曲を伝えるために勇気を奮って実行したのが、販売係の兄ちゃんの前でAメロを鼻歌で歌うという荒技。筆者は名うての音痴なのであるが、兄ちゃんは一瞬で理解したようで、素早くレコード棚を掻き回すと目当てのシングル盤を取り出してくれた。

 当時は小さな店であったが、商品知識及び商品ストックには端倪すべからぬものがあった。ベレス・プラードのLP盤なんかも訊けばすぐに出してくれたもので、この辺などは大量のストックを謳いながら販売員に全然音楽知識がない昨今の大型外資系レコード店とは違う次元にあったのである。

 話は横道に逸れるが、数年前まで札幌大通地区にあった大型外資系レコード店はヒドかった。ベレス・プラードのコーナーが見付けられなかったので、ラテン音楽の担当だという女性販売員を紹介されて尋ねたところ、「え、ベレス…、何ですか?」といった有り様。「マンボの王様、ベレス・プラードですよ」と言ったところ、「マ、マンボの王様ですか…」と頬を赤らめられた日にゃ、こっちまで赤面してしまいました。

 アマゾンなどのネット販売も、買いたいCDがはっきりしている時には便利だが、ぶらりと店内を回ってオッというアルバムに遭遇するという点では、街のCD店の存在価値はまだまだ大きい。「これなんか、お客さんの好みに合うと思いますけど」と提案できるCD店であれば、音楽好きとして断固潰させるわけにはイカンのである。

 長くなったが言いたいことはひとつ。北見の「タケダ楽器」よ、永遠なれ!(ひ)




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