2009年06月04日
#.3 ロキシー・ミュージック 「ライヴ」
いま蘇る、あのミュージシャン! 懐かしのRock
(フリーライター 七闇夢妖)
第3回 ROXY MUSIC 『LIVE』
(※ 北方ジャーナル2004年7月号掲載記事)
「蘇ったヨーロッパ・ダンディズム&ニヒリズム」
演奏力に秀でたミュージシャンを紹介してきたので、ここらで例外をひとつ。ブライアン・フェリー(vo)率いるロキシー・ミュージックは、72年にバンドと同名のファースト・アルバムでデビューした。最初のシングル「ヴァージニア・プレイン」もヒットし、T・レックスやデヴィッド・ボウイなどと並ぶ“グラム・ロック”の旗手として、化粧もケバケバに順調なスタートを切った。
バンドを結成してからピアノの練習を始めたという“フェリー伝説”もある通り、ロンドンのアートスクール出身者を核とする彼らのウリは演奏力ではなく、アイディアやスタイルだ。初期ロキシーには、フィル・マンザネラ(g)やアンディ・マッケイ(sax他)、ポール・トンプソン(ds)などお馴染みのメンバーに加えて、かのブライアン・イーノ(syn他)も在籍していた。
セカンドの『フォー・ユア・プレジャー』を残してイーノが脱退するまでのロキシーは、2人のブライアンの緊張関係が原動力となって「エディション・オブ・ユー」や「ドゥ・ザ・ストランド」といった名曲を量産した。ちなみにイーノは、U2を世界的ビッグネームに押し上げた敏腕プロデューサーとして知られるが、ソロとしても前衛音楽の御大かつ環境音楽の始祖として、音楽シーンに多大な業績を残した人物である。
イーノが去った後のロキシーはフェリーの独裁政権となる。それでも5枚目の『サイレン』(75年)に至るまで、フェリー特有のヨーロッパ的なダンディズム&ニヒリズムを前面に出しながら、名盤を輩出し続けたのはさすがだ。
何が凄いといって、後にプログレ路線を歩む超絶テクニシャンのエディ・ジョブソン(syn他)が一時在籍したとはいえ、演奏技術的には三流のメンバーが、コンセプトの独自性をスタジオやライヴできちんと表現していた点に驚かされる。
初期ロキシーは、総決算というべきライヴ版『VIVA!』(76年)を残して一時解散。79年の活動再開後は、超高額スタジオに超一流エンジニアらを招いて3枚のアルバムを制作。82年の『アヴァロン』は洗練されたサウンドが斬新で世界的ヒット作となるが、これは実質的にフェリーのソロであり、他のメンバーはサポート役に過ぎない。これをロキシーの代表作と呼ぶことについて筆者は大反対だ。
それはさておき、今回紹介する『ライヴ』は01年に(何故か)再結成されたロキシーのワールド・ツアーから、代表的なヒット曲をピックアップして収録したものだ。各メンバーは老いた(!)が、後期ロキシー的なアレンジ&タイトな演奏で聞かせてくれる。
頭脳で勝負するバンドだけに、メンバーそれぞれ解散後のビジネスでも成功しているそうだ。それだけに再結成には驚かされたが、精神的な余裕がある分だけエンターテインメント性は高く、“ロキシーヒット”の良さを存分に味わうことができる。
ロキシーの“キワモノ性”にアレルギーを持つオールド・ファンにもオススメだ。
※ この記事は、北方ジャーナル2004年7月号に掲載されたものです
セカンドの『フォー・ユア・プレジャー』を残してイーノが脱退するまでのロキシーは、2人のブライアンの緊張関係が原動力となって「エディション・オブ・ユー」や「ドゥ・ザ・ストランド」といった名曲を量産した。ちなみにイーノは、U2を世界的ビッグネームに押し上げた敏腕プロデューサーとして知られるが、ソロとしても前衛音楽の御大かつ環境音楽の始祖として、音楽シーンに多大な業績を残した人物である。
イーノが去った後のロキシーはフェリーの独裁政権となる。それでも5枚目の『サイレン』(75年)に至るまで、フェリー特有のヨーロッパ的なダンディズム&ニヒリズムを前面に出しながら、名盤を輩出し続けたのはさすがだ。
何が凄いといって、後にプログレ路線を歩む超絶テクニシャンのエディ・ジョブソン(syn他)が一時在籍したとはいえ、演奏技術的には三流のメンバーが、コンセプトの独自性をスタジオやライヴできちんと表現していた点に驚かされる。
初期ロキシーは、総決算というべきライヴ版『VIVA!』(76年)を残して一時解散。79年の活動再開後は、超高額スタジオに超一流エンジニアらを招いて3枚のアルバムを制作。82年の『アヴァロン』は洗練されたサウンドが斬新で世界的ヒット作となるが、これは実質的にフェリーのソロであり、他のメンバーはサポート役に過ぎない。これをロキシーの代表作と呼ぶことについて筆者は大反対だ。
それはさておき、今回紹介する『ライヴ』は01年に(何故か)再結成されたロキシーのワールド・ツアーから、代表的なヒット曲をピックアップして収録したものだ。各メンバーは老いた(!)が、後期ロキシー的なアレンジ&タイトな演奏で聞かせてくれる。
頭脳で勝負するバンドだけに、メンバーそれぞれ解散後のビジネスでも成功しているそうだ。それだけに再結成には驚かされたが、精神的な余裕がある分だけエンターテインメント性は高く、“ロキシーヒット”の良さを存分に味わうことができる。
ロキシーの“キワモノ性”にアレルギーを持つオールド・ファンにもオススメだ。
※ この記事は、北方ジャーナル2004年7月号に掲載されたものです
Posted by 北方ジャーナル at 10:14│Comments(2)
│文化(文芸・アート・音楽)
この記事へのコメント
はじめまして。わたしもロキシーミュージック、大好きですよ~(^^)。
Posted by ラブキャット at 2009年06月04日 12:43
5年前のものなので、自分でも書いた内容を忘れていました。若い洋楽ファンに初期ロキシーの良さを知ってもらいたいという思いがあって、本当は超下品なヘビ革ジャケットの「グレイテスト・ヒッツ」を選びたかったのですが、CD化されていないので断念したことを思い出しました。
Posted by 七闇夢妖 at 2009年06月06日 09:32
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