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2009年05月26日

#.2 ザ・フー『ライヴ・アット・リーズ』

#.2 ザ・フー『ライヴ・アット・リーズ』



「最強ライヴバンドが超ハイテンションで熱演!」

65年にファーストアルバム『マイ・ジェネレーション』でデビューしたザ・フーは、ロック界のボスとして名を馳せたピート・タウンゼント(ギター)が率いるスーパーグループだ。82年に最後のスタジオ盤『イッツ・ハード』を吹き込んだ後、実質的な活動を停止した彼らだが、英米では今もビートルズやストーンズと並んで、60年代イギリスを代表するバンドとして君臨し続けている。

そう紹介すると、ビートルズのファンあたりから「格が違うわよオ」とお叱りを受けそうだが、英米と日本では知名度や音楽的評価に歴然たる差があることも事実。来日公演を行なっていないという事情はあるにせよ、フーをもっと聞いてほしいというのが、筆者の偽らざる本音だ。

とはいえ、日本で何故に人気がないのか探っていくことも、フーについて知る上で不毛な作業ではない。“世界最強ライヴバンド”の称号が示すように、フーといえばやはりライヴである。日本でもライヴビデオは何本か入手できるが、肉眼で接したことがないというのは、筆者も含めてだが、フーを知る上では大きなハンデとなるに違いない。

ロック・オペラというコンセプトを導入して映画化もされた『トミー』(69年)や代表作と言われる『フーズ・ネクスト』(71年)など、スタジオ収録の名盤も多いフーだが、『四重人格』(73年)に引っ掛けるわけではないが、彼らは二重人格バンドでもある。

スタジオ盤は割とポップで、シングルカット曲も甘い曲調のものが多い。この辺はクリームと似た部分もあるのだが、ライヴになると性格が一変。超ハード&タイトな演奏と派手なステージアクションを織りまぜた、スーパーライヴバンドに変身するのだ。

フーの凄さを実感するにはライヴ盤が一番。中でもオススメは、70年2月に大学の食堂で行なわれたセッションを収録した『ライヴ・アット・リーズ』(70年)だ。

実は、このライヴ盤には3種類あって、オリジナル盤は「サマータイム・ブルース」や「マジック・バス」などヒットナンバー6曲のみ。だが、95年に発売された『25周年エディション』では未収録曲が8曲追加されている。しかし、CD2枚組となった『デラックス・エディション』では、ディスク2に『トミー』のほぼ全曲が収録されて、ライヴの全貌が分かる構成となっている。

『トミー』のライヴバージョンが聴けるだけでも超お得盤なのだが、さらに驚かされるのはタウンゼントのリミックスによるクリアーな音質と、それによってさらに判然となった演奏クオリティの高さだ。

しかしまあ、ライヴにおけるメンバーのテンションの高さは尋常ではない。打数が異常に多い“タコ足男”キース・ムーンが狂気と紙一重のドラミングを見せ、ジョン・エントウィッスルは大音量ベースでビンビンにドライブ。リーダーのタウンゼントが負けじと繰り出すフレーズの嵐に、メンバー唯一の色男ロジャー・ダルトリーのシャウトが絡むという構成は、まさにロックが体現した“奇跡”だ。

ライブで熱狂的なファンを獲得していった彼らの場合、ライヴのダイナミズムをスタジオで再現できなかったというより、スタジオ盤には収録不能な“神がかり”がライヴにはあったと説明した方が当たっているかも知れない。

最強ライヴバンドの最強ライヴアルバム。必聴です。

※ この記事は、北方ジャーナル2004年6月号に掲載されたものです



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