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2008年11月08日

神田市長辞職で深まるオホーツク医療の危機


老朽化した北見市役所と隣接する北見赤十字病院

 毎年、本誌12月号の恒例企画となっているオホーツク特集。今年は地域の大きな課題となっている「医療と福祉」をテーマに掲げ、10月下旬に管内を回ってきた。部下が網走、北見、紋別3市の首長のインタビューやらグラビアをとりまとめ、私が「さあ総論にとりかかるか」という時に飛び込んできたのが、「北見市の神田孝次市長辞職」の報である。辞職は13日に開かれる臨時市議会で正式に認められる予定のため、本誌が15日に発売される時には、神田氏はすでに「前市長」になっていることになる(オイオイ…)。結局、インタビュー収録日を明記して、そのまま掲載することにしたが、気になったのが、今回の辞職のいきさつだ。

 神田市長(57)は、11月7日に開かれた臨時市議会で、同市の都市再生計画の中核をなす市役所本庁舎の移転条例案が否決されたことを受けて、「政治責任を取り民意を問う」として辞職を決意した。つまりは小泉の「郵政解散」ではないが、辞職し市長選に打って出ることによって、言う事を聞かない議会ではなく市民に今回の「都市再生計画」の是非を問い、正面突破を図ろうという戦略だ。

 議会対策や根回しを極端に嫌ういかにも「神田流」と言えば、それまでだが、私が腑に落ちないのは、今回、北見市議会が僅差とはいえ今回の移転条例案を否決した、その理由だ(ちなみに庁舎移転は地方自治法上、出席議員の3分の2以上の賛成が必要だが、7日は議員36人の中で賛成は23人で、3分の2の24人に1人届かなかった)。

 というのも、今回の市が提出した「都市再生計画」は築53年の老朽化した市役所本庁舎を昨年撤退した旧きたみ東急百貨店跡(写真右・現まちきた大通ビル)へ移すことばかりではなく、現庁舎跡地を隣接する北見赤十字病院に売却し、病院施設の新築用地として活用してもらう「地域医療の再生」という極めて重要なファクターを含んでいたからだ。

 この北見赤十字病院(680床・吉田茂夫院長)は、重篤患者や高度医療に対応できるオホーツク圏唯一の第3次救急医療機関に指定されており、管内の医療インフラとして極めて重要な役割を担っている。しかしいま、その医療拠点は文字通り存続の危機に直面している状況だ。

 今年1月下旬、同病院の副院長を含む内科医6名が全員退職し、管内唯一とされるリウマチや膠原病の専門外来があった内科分野の外来や入院対応が全面休止に追い込まれたニュースは関係者や患者に衝撃を与えたが、このような医師不足ばかりではなく、昭和10年に開設され、以後増改築を繰り返してきた同病院の老朽化や狭隘化が近年大きな問題として浮上していた事情がある。つまり同病院では、ソフトとハード両面にわたって地域のセンター病院として機能を維持することが困難になりつつあるのだ。医師確保、時代に即した診療体制の維持の観点からも「移転改築」が急務の状況となっており、運営母体の日本赤十字社もかねてから移転先を模索してきた経緯がある。

 11月7日、市役所内で記者会見に臨んだ神田市長は「庁舎移転案の目指すところはオホーツク圏の医療機能の確保」と述べたが、神田市長にしてみれば、今回の「都市再生計画」は長年の懸案となっていた庁舎問題と地域医療問題、そして中心市街地活性化を一挙に解決できる切り札として「不退転」の決意を持って議会に諮ったことは想像に難くない。

 現在2期目の神田市長が財政難を理由に「新庁舎建設凍結」を掲げて初当選したことは、良く知られている事実だが、現在の情勢は明らかに当時と異なっている。今回の市の提案は、オホーツクの住民の生命や北見市全体の将来と密接にかかわるものであり「ボロ庁舎をどうする」といった単純なレベルのものではない。

 今回の議会の対応を振り返れば、近年、市内で起きたガス漏れ死亡事故や断水事件の対応などをめぐって市民や議会から「神田批判」が高まっていることや、神田市長独特の「直球勝負」が災いしていることは想像に難くない。だが課題がここまで緊迫するなかで「反対のための反対」ではなく、対案を示すくらいの覚悟で「是々非々」で臨むことこそ、議会人に求められる姿勢ではないのか。

 議会では事業費の多寡も問題にされ「(移転案は)建て替える場合との比較が不十分」などの声も出ていたとされるが、市は旧きたみ東急百貨店ビルの活用を含め、「現在地での建て替えに比べ費用が約36億円少なく済む」試算を出している。

 「反対」した皆さんは、もしかして「神田市長や病院のためにいまさら古いビルに移れるか」という思いが本音だったりして…。




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